弁護士藤田進太郎による解説動画
本ページの内容は、当事務所代表弁護士藤田進太郎による解説動画「頻繁に休む派遣社員の対処法」を素材として文章化したものです。より詳しい解説をご覧になりたい場合は、動画を直接ご視聴いただくこともできます。
本ページの要点
頻繁に休む派遣社員への対処法としては、絶対的な正解があるようなものではありません。派遣社員ご本人に色々話してもあまり解決しないことが多く、契約の相手方はあくまでも派遣会社です。まず派遣会社とよく話し合い、安定的に勤務できる方を派遣してもらえないか相談すること。それでも解決しなければ、別の派遣会社を探すこと、直接雇用への切り替えを検討すること、仕事の難易度を下げること、AI活用や自動化で人に頼らない企業経営を推進すること。会社経営者として、様々なアイデアを出して検討し、あれこれ試してみるという姿勢が、この問題への対処の本質となります。
この問題には絶対的な正解がない
よくある相談内容と問題の難しさ
「病気などを理由に派遣社員が頻繁に休むため、計画通りに業務が進まず困っています」。このような相談は非常によくあります。確かに、派遣社員の方に来てもらうのを当てにしていたのに頻繁に休まれると、派遣先としては本当に困りますよね。
しかしなかなかうまく思惑通りに行かないことも現実にはあります。この対処法としては、絶対的な正解があるようなものではありません。会社経営者としては様々なアイデアを考え、それを検討して経営判断をしてこれだと決めていく。あれこれ試してみるということをやっていかなければなりません。これからお話しすることは、考えるアイデアを出して検討する材料にするぐらいのつもりで聞いていただければと思います。
派遣社員ご本人に話しても解決しないことが多い
まず理解しておくべき前提があります。派遣社員ご本人に色々話してもあまり解決しないことが多い、という点です。そもそも、派遣会社と労働者派遣契約を締結して、派遣社員を出してもらうという関係になっているわけですから、契約の相手方はあくまでも派遣会社です。基本的には派遣会社と話をつけなければいけないと考えてください。
派遣社員というのは特にこの人と特定して来てもらっているわけではなく、派遣会社が労働者派遣契約の相手方として責任を持つ立場にあります。そのため、問題の解決のためには派遣会社と連携して進めることが大切です。
まず派遣会社に相談する
安定的に勤務できる方を派遣してほしいと伝える
まず取り組むべきことは、派遣会社とよく話し合うことです。安定的に勤務できる方を派遣してほしいという話を派遣会社にするのが、筋がいい対応です。もしかしたら話し合いの内容次第では、安定的に勤務ができる派遣社員を派遣してもらえるかもしれません。
ただし、派遣会社と言っても、安定的に勤務できる人を多く抱えているわけではないことも多いのです。実際にそういった方を派遣してもらえればそれに越したことはありませんが、実際にはできないこともあるわけです。
派遣会社を非難し続けていても始まらない
派遣会社が対応できないとき、派遣会社を非難し続けていても始まりません。契約しないということはできるかもしれませんが、「急に休む頻繁な方じゃない人を派遣しろ」と言い続けても、それが実現できるかどうかはなかなかうまくいかないことも多いわけです。そのような場合には別な方法を検討することになります。
別の派遣会社を探す・直接雇用を検討する
別の派遣会社と契約できないかを検討する
もし派遣社員を今後も使い続けていきたいというのであれば、別の派遣会社と契約できないかどうかを検討するのが自然です。もしかしたらいい派遣会社と当たれば、安定的に勤務ができる派遣社員を派遣してもらえるようになるかもしれません。
ただ現実問題として、そんないい派遣会社がなかなか見つからないということだってあります。また、安定した勤務ができそうな方を派遣できるという派遣会社であったとしても、料金が高すぎるとか、様々な理由からそこと契約できないということもありますよね。そういった場合はさらに別な方法を検討していく必要があります。
直接雇用への切り替えを検討する
もう一つの方法として、派遣社員ではなく自社で直接雇用できないかを検討することも考えられます。やっぱりですね、派遣社員に多くを求めるというのはちょっと贅沢な要求かもしれないのです。メインの労働力の確保は自社の社員に期待して、それを補充するような形で派遣社員を利用するという発想に切り替えることができれば、業務が頓挫するようなことがないぐらいには状況が改善できるかもしれません。
ただし、直接雇用にも難しい面があります。現在の採用難の時代には、思ったような方に来てもらえないこともあるかもしれません。必要な人数が集まらないということもあるでしょう。そういった場合には、どうやって必要な人数を確保するのかということを考えていく必要があります。
採用基準を下げても仕事ができる仕組みを作る
仕事の難易度自体を下げる発想
必要な人数が集まらないような状況になっているとすれば、採用基準を下げても仕事ができるような仕組み作りをしていくという工夫が一つの案として考えられます。仕事の難易度自体を下げるわけです。
「気遣いができるような人でないとダメだ」と言わないで、気が効かなくても空気が読めなくてもできるような職場にする。仕組み作りをしていくということです。機械の導入や仕事のやり方の工夫をしながら、そういった方でも仕事できるように持っていくような仕組み作りを検討されるといいかと思います。
クオリティのハードルを下げることへの抵抗感
こんな話を聞くと、「うちの仕事の内容からしてクオリティを確保しなければいけないので、そのハードルはさすがに下げられない」とおっしゃる社長さんも多くいらっしゃると思います。だけども、現実問題として必要な人を十分に確保できないような状況になっているとすれば、そんなことを言ってられませんよね。
人が集まらないからといって事業を縮小しますかということで、縮小するというのであればそれはそれでいいのですが、事業を縮小する気はなく今の事業を発展させていきたいというのであれば、なんとかして人を確保しなければいけないかもしれません。そうであれば、仕事の難易度自体を下げてでも対応できる仕組みを作ることが必要になってきます。
仕組み作りの具体的なアイデア例
例えば飲食店であれば、券売機でお客さんに商品を選んでもらい、ICやタッチ決済で注文を受け付けることで、接客の難易度を大きく下げることができます。細かい気遣いや空気を読む力がなくても働けるような仕組みにすることで、採用のハードルを下げながら業務品質を確保できるかもしれません。業種によってどのような工夫ができるかを考えてみてください。
それでもハードルを下げることが難しい場合
ハードルを下げても実際に採用できないということもあります。また、そもそもハードルを下げること自体が現実的に難しいというケースもあるでしょう。その場合についてはさらに別な方法を検討していきましょう。
人に頼らない企業経営を推進する
AIや自動化を活用する発想
もう一つ提案したいのは、人に頼らない企業経営を推進するという発想です。何でもかんでも人に頼って、人の能力・やる気などに頼って仕事をしようとすると、なかなかうまくいかない状況になっている場合があります。そういった時代になっているような場合は、できるだけAIを活用したり、自動的に何かものを作れる機械などを導入したりすることで対応するということも考えられます。
例えば飲食店などであれば、券売機でお客さんに商品を選んでもらい、ICやタッチ決済で注文を受け付けるといったことをやっていくことで対応するということも考えられますよね。こうすることで、対応に人手がかかる部分を自動化し、人手不足の影響を受けにくい体制を作ることができます。
経営者でなければできない大きな決断
ただしこのやり方というのは、仕事のやり方自体を変えていかなければならないもので、大きな変革です。これはもう社長さん、会社経営者の皆様でなければできないような決断ですし、うまくいくかどうかも分からないところもあって不安かもしれませんよね。それは確かにそうです。
でも、もう一つの手段としては人に頼らない企業経営を推進するということも、もし人手不足で困っているのであれば工夫してみるのも一つの検討材料だと思います。
視野を広げて様々な手法を検討してほしい
今後も人手不足などが進むことが予想されています。他にもいい派遣会社がないか探してみたり、自社での直接雇用でも対応できるように工夫できないか、あるいはもう人に頼らない企業経営ができないかということも含めて視野を広げて対策を考えていくべき時が来ているかもしれません。
従来型のやり方でうまくいくかもしれませんが、それでも見込みが取れないぐらいうまくいかなくなったら、そういった視野を広げて様々な手法を検討してみてください。会社経営者は目の前の対処療法的な対応だけやっていればいいというものではなく、広くいろんなことを考えなきゃいけないから大変ですよね。ただそれがまさに会社経営者の醍醐味でもあります。色々大変ですけども頑張っていきましょう。
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、派遣社員トラブル、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。派遣社員トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
よくあるご質問
Q. 派遣社員が頻繁に休んで困っています。まず何をすべきですか。
まず派遣会社とよく話をすることから始めてください。派遣社員ご本人に色々話してもあまり解決しないことが多く、契約の相手方はあくまでも派遣会社です。安定的に勤務できる方を派遣してもらえないか相談し、それが難しければ別の選択肢を順に検討していきます。
Q. 派遣会社に相談しても人手不足で対応してもらえません。
現在の採用難の時代には、派遣会社も十分な人員を確保できないことがあります。その場合は、別の派遣会社を探すこと、直接雇用への切り替え、仕事の難易度を下げること、AI活用や自動化で人に頼らない業務体制を作ることなど、複数の選択肢を組み合わせて検討してください。一つの方法にこだわらず、あれこれ試してみるという姿勢が重要です。
Q. 直接雇用に切り替えればこの問題は解決しますか。
直接雇用への切り替えは選択肢の一つですが、それで問題が解決するとは限りません。現在の採用難の時代には直接雇用でもいい人を採用できないケースがありますし、大きな決断でもあります。ただ、メインの労働力の確保は自社の社員に期待して、それを補充する形で派遣を利用するという発想は検討する価値があります。
Q. 「仕事の難易度を下げる」とは具体的にどういうことですか。
気が効かなくても空気が読めなくても仕事ができるような仕組み作りをしていくことです。例えば飲食店であれば、券売機を導入してお客さんに商品を選んでもらう、ICやタッチ決済を活用して注文の受付を効率化するといった工夫があります。高度な気遣いや判断力を要求しなくても業務が回る仕組みにすることで、人手不足の時代においても安定した業務遂行が可能になります。
Q. 「人に頼らない企業経営」とはどういう意味ですか。
人の能力、人のやる気に依存した仕事のやり方を見直し、AIや自動化を活用して人に頼らなくても業務が回る体制を作っていくということです。今後も人手不足が進むことが予想される中で、従来型のやり方に固執するのではなく、仕事のやり方自体を変えていくという大きな変革を経営判断として行うことが、この時代の会社経営者に求められる視点です。
Q. 遠方の会社ですが、相談できますか。
対応しております。事務所会議室での対面相談のほか、ZoomやTeamsによるオンライン相談を実施しており、日本全国各地の会社経営者からのご相談を承っています。派遣社員トラブルへの対処は状況が変わりやすいため、Zoom等で短時間の打ち合わせを繰り返し入れながら進めていく方法が実務上効果的です。
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