能力が極端に低い社員に対する教育指導の仕方

 

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能力が極端に低い社員に対する
教育指導の仕方。
「とにかく具体的に」が最大のポイント。

 極端に能力が低い社員に対する教育指導は、平均以上の方に教えるのと同じやり方では足りません。最も効果があるのは、とにかく具体的に教育指導することです。本ページでは、具体的な教育指導の進め方、やってみせることの重要性、適材適所の配置、そして本人の健康への配慮までを、会社側専門の弁護士が解説いたします。


VIDEO

本ページの基となる解説動画

 

 本ページの解説内容は、以下の藤田進太郎弁護士による解説動画を素材として、当事務所が文章化しているものです。本ページの記載と動画の内容に齟齬がある場合や、より詳しい解説をご覧になりたい場合は、動画を直接ご視聴ください。

CHAPTER 01

とにかく具体的に教育指導する

 

平均以上の方と同じやり方ではダメ

 極端に能力の低い方に対する教育指導は、平均以上の方に物を教える時と同じやり方では足りません。「これぐらい言っておけば通じるだろう」「自分の時は先輩がそんなに教えてくれなかったが、やがてできるようになった」といった前提に基づく抽象的な指導では不十分です。一般的な研修を受けただけではわからないということもあります。

 最も効果がある方法は、とにかく具体的に教育指導することです。「これやっといて」ではダメです。具体的に何を、どのようにやっていけばいいのかを伝える必要があります。たとえば「こういった連絡が入った時は、誰々さんに対してこんな風に対応する」「この仕事を割り振られた時は、この手順でこのように進める」というように、具体的な場面ごとに説明していくのです。

「指示に従わない」のではなく「理解できていない」だけのことも多い

 「言うことを聞いてくれない」「指示通りにやらない」という相談をよくよく聞いてみると、単に理解力が低いだけということも結構あります。悪気はまったくなく、普通に言われた通りにやったつもりでもできなかっただけ、というケースです。悪い人ではなく、能力が足りないだけで、わざとやっているわけではないのです。

 能力が低い方の多くは、抽象的な言葉の理解能力が低いことが多いです。抽象的な日本語を理解して行動に移せる方は、大体すでに仕事ができる方か、極端に抽象度の高い議論が得意な特殊な方々です。そういった方はレアですので、どちらかというと具体的に言ってあげないとわからないケースが多いのです。

CHAPTER 02

やってみせる、フィードバックする

 

言葉だけで伝わらなければ、目の前でやってみせる

 言葉を行動に転換するというのも一つの能力です。言葉で耳から聞いても分からない方は結構いらっしゃいますので、実際に目の前でやってみせることが必要になる場合があります。「なんでそこまでやらなきゃいけないのか」と思われるかもしれませんが、やってみせることで「なんとなく分かりました」となるケースはある程度あります。

 もちろん、具体性が増せば増すほど、やってみせなければならないとなればなるほど、教える側の負担は重くなります。時間も取られますし、他の仕事ができなくなることも多いでしょう。しかし、特に求人が難しい中小企業にとっては、やめてもらってもいい人がまた取れるとは限りません。よほどひどい場合はやめてもらうにしても、ほどほどでもいいから仕事してもらいたいという方が助かることもあるのです。

しっかり見てあげて、フィードバックする

 教育指導は放っておいたら終わりではありません。実際にやったことをしっかり見てあげて、フィードバックすることが大事です。どこが良かったのか、どこを直せばいいのかを具体的に教えてあげてください。

 しっかりできたところは褒めて構いません。しかし、改善を要する部分がある場合はしっかりそれを伝えてください。人はポジティブなことを伝えるのは得意ですが、耳の痛いことを伝えるのは億劫に感じるものです。嫌われたくない、パワハラと言われたくないという気持ちはよく分かりますが、これは仕事です。改善すべき点を率直に、礼儀正しく伝えることができなければ、不誠実な対応になってしまいます。できていないのに褒めるのは嘘をつくことになりますし、後でトラブルの原因にもなります。

CHAPTER 03

適材適所の配置を検討する

 

人には向き不向きがある

 具体的な教育指導を手間暇かけて行った結果、エース級の社員になってもらいたいと考えるのが普通ですし、それが経営者の合理的な考え方だと思います。しかし現実には、手間暇かけてもほどほどの人材になるだけということも多いのです。

 そこで考えていただきたいのが、やらせる仕事を変えることです。人には向き不向きがあり、才能は一人一人違います。ある仕事が全然ダメでも、他の仕事だったらそれなりにできる、稀にはすごくできるということが本当にあるのです。向いている仕事とやりたい仕事は違うことも多く、本人が応募した仕事が向いていなかっただけで、別の仕事をさせたらそれなりに活躍したというケースもあります。

 つい「この人は優秀だ」「この人はダメだ」と大雑把にその人全体のスコアのように考えてしまいがちですが、実際にはそうではありません。子供の頃のテストでも、ある教科は得意で別の教科は苦手ということがあったはずです。仕事も同じで、タレントマネジメント、適材適所の発想で本人に向いている仕事がないかを確かめてみるのも、非常によいやり方です。

向いていない仕事は本人にとっても辛い

 中小企業で余ったポストがないという会社もあるでしょう。やらせられる仕事が少なくて、どの仕事をやらせても本人にとって苦痛でしかないという場合は、本人の健康のことも考えなければなりません。

 向いていない仕事というのは本当に辛いものです。「早く時間が過ぎないかな」と思いながら働いていたり、適応障害やうつ状態という診断が出てくることもあります。向いている仕事であれば仕事に熱中して気がついたら時間が過ぎていたという状態になるのに、向いていない仕事では毎日が苦痛なのです。

 「雇用を維持するのがよいことで、やめさせるなんてとんでもない」と考える経営者もいらっしゃるかと思いますが、それは本人が活躍できる仕事がある場合の話です。体調を崩すぐらいひどい状態になっているのであれば、続けさせること自体がよくないのです。安全配慮義務の観点からも、他の会社で活躍していただくことを選んでもらうという選択肢を考える必要があります。働く人の健康を考えてあげるのも経営者の仕事です。

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CHAPTER 04

当事務所のサポート体制と監修者

 

 弁護士法人四谷麹町法律事務所は、会社側(使用者側)専門の法律事務所として、能力不足社員への教育指導のサポートを日常的に行っています。具体的にどのような言葉で教育指導すべきか、記録の取り方、配置転換の進め方、退職勧奨や解雇に至る判断まで、問題社員対応に慣れた弁護士がZoomやTeamsで短時間の打ち合わせを繰り返しながら伴走します。

 手間暇のかかる大変な作業かもしれませんが、具体的に教育指導することで能力不足と思われていた方が成長することもあります。本人の体調が問題ない限り、しっかり教育してなんとか働けるようにしてあげてください。しかし、体調を崩すぐらいの状態であれば、別の会社で活躍していただくことも選択肢として考える必要があります。

弁護士 藤田 進太郎

監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

能力不足社員への対応でお悩みの会社経営者の皆様へ

まずは経営労働相談までご連絡ください。事務所会議室でのご相談、Zoom・Teamsでのオンライン相談、いずれも対応しています。

経営労働相談のお問い合わせ

FAQ

よくあるご質問

 

Q. 何度教えても覚えてくれません。もう教える側が限界です。

 まず教え方が抽象的になっていないかを見直してください。能力が低い方には、具体的な場面ごとに手順を説明し、場合によっては実際にやってみせる必要があります。それでもダメな場合は、別の仕事に配置換えすると活躍するケースもあります。どうしても改善しない場合は、弁護士に相談しながら退職勧奨や解雇の検討に進みます。

Q. 別の仕事に配置転換するポストがありません。

 中小企業では余ったポストがないことも多いです。その場合は、本人の体調が問題ない限り、手間暇をかけて具体的に教育指導しながらなんとか働けるレベルまで持っていくか、どうしても改善しない場合はやめていただくことを検討します。本人が体調を崩しているような場合は、続けさせること自体がよくないこともあります。

Q. 能力が低い社員にやめてもらうのは、かわいそうではないですか。

 向いていない仕事を続けることは本人にとっても辛いことです。早く時間が過ぎないかと思いながら毎日働いているような状態であれば、適応障害やうつ状態になってしまうこともあります。本人のキャリアや健康のためにも、他の会社で活躍していただくことが本人にとって良い結果につながることもあります。

Q. 遠方の会社ですが、相談できますか。

 対応しております。事務所会議室での対面相談のほか、ZoomやTeamsによるオンライン相談を実施しており、日本全国各地の会社経営者からのご相談を承っています。

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