就業規則の条件を下回る労働契約を締結した場合、その労働契約は有効ですか。
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就業規則を下回る労働契約は無効となる(最低基準効) 就業規則の条件を下回る労働契約を締結した場合、その労働契約は無効となり、就業規則で定める基準が労働契約の内容となります(労働契約法12条)。 |
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個別合意で不支給を定めても支払義務は消えない 就業規則で支給条件と支給額を確定的に定めているにもかかわらず、当事者間で支給しないことを合意した場合、その合意は無効となり、使用者は支給条件を満たす労働者に支払義務を負います。 |
848の記事で解説した賞与規定の支給義務とも関連しますが、そもそも、就業規則で定めた基準を下回る個別の労働契約や合意は、法的にどのような扱いを受けるのでしょうか。この点を正確に理解しておくことは、個別労働者との合意を行う際の前提知識として重要です。
会社側専門の弁護士の立場から、就業規則を下回る労働契約の効力を解説します。
01就業規則の最低基準効(労契法12条)
就業規則の条件を下回る労働契約を締結した場合、その労働契約は無効となり、就業規則で定める基準が労働契約の内容となります(労働契約法12条)。これは、就業規則が事業場全体で統一的に適用される最低基準としての効力(最低基準効)を持つことを意味します。個別の労働者との合意によって、この最低基準を下回る条件を設定することは、たとえ労働者本人が同意していたとしても、認められません。
02具体例(賞与不支給の個別合意)
たとえば、就業規則で支給条件と支給額を確定的に定めているにもかかわらず、当事者間で支給しないことを合意した場合、その合意は無効となり、使用者は、就業規則の支給条件を満たす労働者に対し、当該手当の支払義務を負うことになります。848の記事で解説した「賞与年2回、3か月分」といった確定的な規定がある場合、会社と労働者が「今回は賞与を支給しないことにする」と個別に合意しても、その合意自体が無効とされ、規定どおりの賞与支払義務が残るということです。
03会社側が押さえておくべき視点
会社側にとって重要なのは、個別の労働者との交渉や合意によって、就業規則の基準を下回る条件を設定しようとしても、それは法的に無効になるという点です。特定の労働者について、業績不振等を理由に「今回だけ特別に」不利な条件で合意しようとする場面は実務上少なくありませんが、就業規則にそれと異なる確定的な基準が定められている限り、その合意には法的効力がありません。
個別の事情に応じた柔軟な対応を可能にしたい場合には、865の記事の前提となる848の記事で解説したとおり、就業規則自体を、会社の業績・個人の勤務成績等を考慮できる柔軟な規定に改定しておくことが、根本的な解決策になります。個別合意による対応には限界があることを、正確に理解しておく必要があります。
04よくある質問(FAQ)
Q. 労働者本人が同意していれば、就業規則より不利な条件で契約してもよいですか。
認められません。本人が同意していても、就業規則の基準を下回る労働契約は無効となり、就業規則の基準が適用されます(労働契約法12条)。
Q. 賞与を支給しないことを個別に合意していれば、支払義務はなくなりますか。
なくなりません。就業規則で支給条件・支給額を確定的に定めている場合、不支給とする個別合意は無効となり、規定どおりの支払義務が残ります。
Q. 柔軟な待遇を実現するには、どうすればよいですか。
個別合意ではなく、就業規則自体を、業績・勤務成績等を考慮できる柔軟な規定に改定しておくことが根本的な解決策になります。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。就業規則の整備でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日:2026年7月13日