問題社員277 勤務態度が悪い社員への懲戒処分
動画解説
この記事の要点
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「懲戒処分すると職場の雰囲気が悪くなる」は逆——懲戒処分が必要なほどひどい社員はすでに雰囲気を悪くしている 懲戒処分をしないまま退職勧奨や解雇に進もうとすることの方が、法的リスクが高く雰囲気も悪化しやすい。周りの社員を守るためにも懲戒処分は必要 |
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懲戒処分の核心は「具体的事実の特定」——「勤務態度が悪い」は評価であって事実ではない 懲戒処分通知書には「何月何日の何時頃、どこで、誰が、どのように、何をしたか」という5W1Hの具体的事実を記載する必要がある。評価的表現だけでは教育効果も証拠価値も低い |
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証拠より先に「具体的事実の認識」——何をしたかを説明できない状態では懲戒処分の土台が作れない 証拠の確保を考える前に、まず「いつ・どこで・誰が・何を・どのようにしたか」が自分の口で説明できる状態になることが先決 |
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職場の秩序の強さが処分の重さを左右する——ルールに厳しい職場ほど重い処分ができる 秩序が緩い職場で突然重い処分をしても法的に認められにくい。普段からルールを守らせてきた職場だからこそ重い処分が有効になる |
目次
1. 「懲戒処分すると雰囲気が悪くなる」という誤解
会社経営者の皆様、こんにちは。弁護士法人四谷麹町法律事務所の代表弁護士、藤田進太郎です。
勤務態度が悪い社員に対して懲戒処分ができていない会社が多くあります。「気が重いからやり方が分からない」「トラブルになるのが怖い」という理由もありますが、「うちのような小規模な会社では、懲戒処分なんてやったら職場の雰囲気が悪くなる」という声もよく聞きます。
しかし、これは逆です。懲戒処分が必要なほど問題がひどい社員は、すでに職場の雰囲気を悪くしています。私のところに相談に来る段階では、周りの社員が「もう耐えられない」「やめてもらわないと自分が辞める」と言っているような最悪の状態になっていることがほとんどです。
そのような状態で懲戒処分なしに退職勧奨や解雇に進もうとすると、準備不足で法的リスクが高まる上に、本人が拒否した場合にさらに職場の雰囲気が悪化します。周りの社員を守るためにも、懲戒処分は必要です。
2. 懲戒処分の核心——具体的事実の特定が最重要
懲戒処分を行う際に最も重要なのは、具体的な事実を特定して処分の根拠とすることです。
よくある問題——評価的言葉による懲戒処分
「あなたは常日頃から勤務態度が悪く、このままでは就業規則第○条に違反するため懲戒処分とします」——これは事実ではなく評価です。本人は「社長に嫌われているから言われているだけだ」「勤務態度が悪いとは思っていない」と反論します。懲戒処分の根拠として機能しません。
「勤務態度が悪い」というのは評価であって事実ではありません。大切なのは、その評価を導くための具体的事実です。
有効な懲戒処分の根拠——具体的事実
「○月○日○時頃、○○において、あなたが△△さんに対して『○○○』と大声で怒鳴りつけました。このような言動は就業規則第○条に定める△△に該当するため、けん責処分とします。」——このように具体的事実を記載した処分が有効です。
3. 証拠より先に「事実の認識」が必要な理由
懲戒処分を相談に来る経営者から「どんな証拠が必要ですか」という質問をよく受けます。しかし証拠の前に、まず「何月何日の何時頃、どこで、誰が、どのように、何をしたか」を自分の口で説明できる状態になることが先決です。
実際の相談事案を見ると、問題がうまくいかないケースのほとんどは「証拠がない」のではなく、「いつどこでその問題社員が何をしたのかを説明できない」という状態です。「態度が悪くて困っているんです」と言うだけで、具体的に何をいつやったのかを説明できない——そのような状態では証拠があっても懲戒処分の根拠になりません。
具体的事実を認識して説明できるようになれば、その過程で自然と記録も残ります。証拠作りを優先させず、事実の認識と説明能力を高めることが先です。
4. 懲戒処分通知書への記載——5W1Hで書く
懲戒処分通知書には、具体的事実を5W1Hで記載することが必要です。
懲戒処分通知書に記載すべき要素
| いつ | 何月何日の何時頃(日時が特定できれば) |
| どこで | どの場所・状況で |
| 誰が・誰に | 当該社員が誰に対して |
| 何を | どのような言動・行為を |
| どのように | どのような態様・方法で |
| 就業規則の根拠 | 就業規則第○条の△△に該当する旨を明記する |
「なぜ(動機)」については、内心の問題なので難易度が高いです。明確に認定できる場合は記載することを検討しますが、他の5Wがしっかり書けていれば十分な場合がほとんどです。
5. 処分の重さの決め方——職場の秩序の強さが左右する
懲戒処分の重さを決める際は、行為の重大さだけでなく、職場の秩序の強さも重要な考慮要素です。
職場の秩序の強さと処分の重さの関係
| ルールに厳しい職場 | 守るべき秩序が明確に存在する。その秩序を乱した場合、重い処分が認められやすい |
| 秩序が緩い職場 | 「結果さえ出せばいい」という雰囲気の職場。同じ行為でも重い処分は認められにくい。突然厳しい処分をしても「これまでと整合しない」と評価される |
処分の重さは、やったことの重大さ・これまでの注意指導・懲戒処分歴・職場の秩序の強さなど、複数の事情を考慮した実質判断になります。個別の状況については弁護士に相談してください。
6. まとめ
- 「懲戒処分で雰囲気が悪くなる」は誤解——処分が必要な社員はすでに雰囲気を悪くしている。周りの社員を守るためにも懲戒処分は必要
- 「勤務態度が悪い」は評価——具体的事実を特定することが最重要。いつ・どこで・誰が・何を・どのようにしたかを説明できることが懲戒処分の土台
- 証拠より先に事実の認識——具体的事実を認識・説明できる状態になれば、記録も自然と残る
- 懲戒処分通知書には5W1Hで具体的事実を記載する——就業規則の根拠条文も明示する
- 職場の秩序の強さが処分の重さを左右する——普段からルールを守らせてきた職場だからこそ重い処分が有効になる
勤務態度が悪い社員への懲戒処分でお悩みの経営者の皆様は、ぜひ弁護士にご相談ください。
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 懲戒処分の種類(けん責・減給・出勤停止など)はどのように使い分ければよいですか。
A. 一般的に、けん責(書面での戒め)→減給→出勤停止→降格→懲戒解雇という順で重くなります。初回の問題行為では軽い処分から始め、改善しない場合に段階的に重くしていくことが基本です。ただし、極めて重大な行為(横領・暴行等)の場合は最初から重い処分になることがあります。どの処分が適切かは個別の事情によりますので、弁護士に相談してください。
Q2. 懲戒処分を行う前に本人の弁明を聞く手続きは必要ですか。
A. 懲戒解雇など重い処分の場合は、本人の弁明の機会を与えることが就業規則上も必要とされていることが多く、また適正手続きとして重要です。軽い処分(けん責等)の場合でも、本人の言い分を聞いた上で処分することが、後のトラブルを防ぐ上で有効です。就業規則の手続き規定を確認し、弁護士に相談してください。
最終更新日:2026年4月30日