問題社員255 問題社員対応のコツ

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この記事の要点

問題社員対応で最も大切なのは「誰かと相談しながら対応すること」——一人で抱え込むと感情的になり、判断を誤りやすくなる

社員は「身内」のような感覚で関わっているため、問題が起きると感情的になりがち。自分以外の誰かと話しながら対応するだけで、判断の精度が大きく上がる

相談相手は社内の信頼できる同僚・役員から始め、できれば弁護士へ——労働関係は法律・判例が絡むため、専門家の関与が不可欠

信頼できる同僚や役員との相談も有効だが、労働問題には法律・判例の知識が不可欠。弁護士に相談することで、法的リスクを踏まえた正確な対応が可能になる

注意指導では「違法かどうか」を目指すのではなく、「教育効果の高い日本語」を目指す——具体的事実に基づいた指導が行動改善につながる

「パワハラかどうか」「違法かどうか」というギリギリのラインを狙うのではなく、行動を改めさせる効果の高い言葉・伝え方を選ぶ。試験で言えば赤点ギリギリではなく80点以上を目指す発想

Zoom・Teamsを活用したこまめな相談が問題社員対応を成功に導く——短時間・高頻度の相談が感情を抑え、タイムリーな対応を可能にする

問題社員対応は相手のリアクションに応じてその都度判断する必要がある。ZoomやTeamsで短時間でも頻繁に相談しながら対応することが、失敗を防ぐ最善の方法

1. 問題社員対応で最も大切なこと 「誰かと相談しながら対応する」

会社経営者の皆様、こんにちは。弁護士法人四谷麹町法律事務所の代表弁護士、藤田進太郎です。

問題社員対応において何と言っても最も大切なことは、「誰かと相談しながら対応すること」です。

これを聞いて「それだけか」と思われるかもしれません。しかし、問題社員対応の失敗の多くは、一人で判断し、感情的になって誤った対応をとることから生じています。相談しながら対応するというシンプルな原則を徹底するだけで、問題社員対応の成功率は大きく上がります。

社内の従業員との関係は、どうしても感情が入りやすいものです。特に問題行動により会社や周りの社員に迷惑をかけているような社員に対応しようとすると、ますますその傾向が強まります。普段であれば冷静な判断ができる社長であっても、そのような社員の言動に対しては感情的になりがちです。

その感情的な状態を少しでも緩和する方法として、自分以外の誰かと話しながら対応することが最も効果的です。ものすごく頭のよい方が一人で頑張るよりも、ほどほどの方であっても誰かと相談しながら対応する方が、冷静になって間違いが起こりにくくなります。

2. 感情的になりがちな理由 日本企業特有の「身内感覚」が判断を曇らせる

なぜ社内の問題社員対応では感情的になりやすいのでしょうか。

日本の会社では、労働者は単なる「取引相手」という感覚ではなく、「家族」や「身内」のような感覚で付き合うことが多い傾向があります。そのため、問題行動を起こした社員に対応しようとしても、どうしても感情が入ってしまいます。

感情的になることで起きがちな失敗

  • 感情に任せた叱責がパワーハラスメントと受け取られる
  • 怒りのまま解雇を言い渡してしまい、後に無効とされる
  • 逆に感情に流されて問題行動を見て見ぬふりし、後手に回る
  • 「もういい加減にしろ」などの抽象的な叱責で証拠が残らない

冷静な判断ができる社長であっても、「身内」のように感じている社員の問題行動に直面すると、その冷静さが失われます。これは能力の問題ではなく、日本の雇用関係が持つ構造的な特性によるものです。だからこそ、意識的に「自分以外の誰か」を介在させることが重要なのです。

3. 誰に相談すればよいのか 信頼できる同僚から弁護士まで

「誰かと相談しながら」とはいっても、誰に相談すべきかという問題があります。

差し当たり、社内の信頼できる同僚・部下・役員と話しながら対応するだけでも、一定の効果はあります。一人で判断するよりもはるかに冷静な対応が可能になります。

しかし、問題社員への対応は、労働関係の法律や判例と密接に関わります。注意指導の仕方が違法なパワハラとされないか、懲戒処分の手続きや内容が有効か、解雇が認められるだけの事実の積み上げができているか——こうした点は、法律・判例を踏まえた判断が必要です。そのため、できれば弁護士に相談しながら対応を進めることをお勧めします。

弁護士に相談することで得られるのは、法律・判例に基づいた適法性の確認だけではありません。「どのような言葉・表現で注意指導を行うべきか」というアドバイスも得られます。適切な日本語の選択が、問題社員対応の成否を左右することがあります。

4. 「違法かどうか」ではなく「教育効果の高い日本語」を目指す

問題社員への注意指導を行う際に、多くの経営者が気にすることは「これはパワハラにならないか」「これは違法ではないか」という点です。それ自体は重要な確認事項ですが、そこを「目標」にすることには問題があります。

試験で言えば、「赤点にならなければいい」と考えている人は赤点になりやすいのと同じです。「合格ギリギリでいい」と考えながら勉強している人は、少しのミスで落ちてしまいます。

目指すべきは「80点の注意指導」

「違法かどうか」という低いレベルを目標にするのではなく、「どうすれば教育効果が高くなるか、どうすれば相手の行動を改善させられるか」という高いレベルを目指すべきです。教育効果の高い適切な日本語を使って指導すれば、違法になることはほとんどありません。ギリギリを狙うよりも、高みを目指す方がかえって安全なのです。

「違法かどうか」という低いレベルで考えている注意指導は、往々にして教育効果も低く、後に「パワハラだ」と言われるリスクも高くなりがちです。適切な言葉・伝え方を選んで指導すれば、そのような問題が生じることは大幅に減ります。

5. 注意指導は必ず具体的事実に基づいて行う 評価・印象ではなく事実を示す

注意指導を行う際の最重要原則として、具体的な事実に基づいて行うことが挙げられます。

「協調性がない」「態度が悪い」「やる気がない」などの言葉は、すべて評価・印象であって事実ではありません。このような言葉だけで注意指導しても、相手は「自分はそう思っていない」「評価が不当だ」と反論するだけで、行動改善につながりません。また、後に紛争になった場合も、事実の裏付けのない注意指導は証拠として弱いものになります。

具体的事実に基づく注意指導の例

❌ 事実がない指導 「あなたは協調性がない。もっと周りと仲良くしなさい。」
✓ 事実に基づく指導 「○月○日〇時頃、○○部長から△△の資料作成を依頼された際、『私の仕事ではない』と述べて拒否しました。この業務はあなたの担当範囲内です。今後同種の指示があった場合は従ってください。」

このように「何月何日の何時頃、誰が誰に何をしたか(あるいはしなかったか)」という具体的な事実を示した上で指導することが、法的にも有効で、かつ教育効果も高い注意指導になります。弁護士と相談しながら対応することで、このような具体的事実に基づいた注意指導の内容・文言のアドバイスを受けることができます。

6. Zoom・Teamsを活用したこまめな相談が問題社員対応を成功に導く

弁護士に相談しながら問題社員対応を進めるとしても、「その都度相談するのは時間がかかる」と思われるかもしれません。しかし、問題社員対応は相手のリアクションに応じてその都度対応を変えていく必要があるため、タイムリーな相談が不可欠です。

お勧めするのは、ZoomやTeamsといったオンラインツールを活用した短時間・高頻度の打ち合わせです。長時間の相談を月に一度行うよりも、15〜30分程度の打ち合わせを何度も繰り返す方が、問題社員対応においては有効です。

こまめな相談が有効な理由

  • 問題社員は、注意指導への反応が毎回異なる。その都度対応を調整する必要がある
  • 感情的になりそうな場面で「相談してから動く」という習慣が冷静さを保つ
  • 短時間でも話すだけで頭が整理され、「感情的な対応」を防ぐことができる
  • タイムリーに対応することで、問題が大きくなる前に手が打てる

皆さん、信頼できる誰かに相談しながら、ZoomやTeamsを使ったオンライン打ち合わせをこまめに繰り返しながら問題社員対応を進めてください。そうすることで、問題社員の周りで嫌な思いをしている大事な社員たちを守りながら、会社を守っていくことができます。

7. まとめ

問題社員対応のコツをまとめます。

  1. 誰かと相談しながら対応する——一人で抱え込まず、自分以外の誰かと話しながら対応することが最も大切。感情的になりにくくなり、間違いが減る
  2. 相談相手は弁護士がお勧め——労働問題は法律・判例が絡む。弁護士に相談することで、適法かつ教育効果の高い対応が可能になる
  3. 「違法かどうか」ではなく「教育効果の高い日本語」を目指す——ギリギリのラインを狙わず、行動改善効果の高い言葉・伝え方を選ぶ
  4. 注意指導は具体的事実に基づいて行う——「何月何日の何時頃、誰が何をしたか」という事実を示して指導する
  5. ZoomやTeamsでこまめに相談する——短時間・高頻度の打ち合わせを繰り返しながら、相手のリアクションに応じてタイムリーに対応する

問題社員への対応でお悩みの経営者の皆様は、ぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士 藤田 進太郎

監修者 弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 問題社員への対応は一人で判断していました。何が問題なのでしょうか。

A. 一人で判断すると、どうしても感情が入りやすくなります。感情的な状態では、行動が早すぎる(感情に任せた解雇・叱責)か遅すぎる(腹が立ちすぎて手がつけられない)という両極端になりがちです。自分以外の誰かと話しながら対応することで、冷静に状況を整理でき、適切なタイミングで適切な対応が取れるようになります。

Q2. 社内の役員や幹部に相談するだけでは不十分ですか。

A. 社内の信頼できる方への相談は一定の効果があります。しかし問題社員対応には、注意指導の適法性・懲戒処分の有効性・解雇リスクなど、法律・判例の知識が必要な判断が数多く含まれます。社内の方々はこうした専門知識を持ち合わせていないことが多いため、重要な局面では弁護士に相談しながら進めることをお勧めします。

Q3. 問題社員への注意指導はどのような言葉で行えばよいですか。

A. 最も重要なのは、具体的な事実に基づいて行うことです。「態度が悪い」「協調性がない」などの評価的な表現ではなく、「何月何日の何時頃、誰から何を依頼されたのに断ったか」「何月何日にどのような発言をしたか」という具体的な事実を示した上で指導してください。事実に基づいた指導は教育効果も高く、後に紛争になった場合の証拠としても有効です。

Q4. 弁護士に相談するタイミングはいつが適切ですか。

A. 問題行動が繰り返されていると気づいた段階で、できるだけ早く相談することをお勧めします。「もう少し様子を見てから」と考えているうちに問題が深刻化し、対応の選択肢が狭まることがよくあります。懲戒処分や解雇を検討している段階では必ず事前に相談してください。また、相談は一度きりでなく、相手のリアクションに応じてこまめに行うことが、問題社員対応を成功に導きます。

Q5. 注意指導を繰り返しても全く改善しない場合は、どうすればよいですか。

A. 具体的事実に基づいた注意指導を重ね、それでも改善しない場合は懲戒処分(けん責・減給・出勤停止など)を段階的に行うことが考えられます。懲戒処分を重ねても改善しない場合には、退職勧奨や解雇という選択肢も出てきます。ただしこれらの判断は、これまでの対応の積み上げ(注意指導の内容・頻度・相手の反応)を総合的に評価して行う必要があるため、弁護士に相談しながら進めることが不可欠です。

最終更新日:2026年4月30日


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