問題社員237 心療内科に通っている社員が、暴言を吐いたり物を蹴ったりするため、顧客対応を任せることができず、周りの社員が不安になっている場合の対処法

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この記事の要点

心療内科通院中の社員であっても暴言・物を蹴るといった問題行動を注意指導することは当然の義務——周りの社員を守ることは経営者の責任

腫れ物に触るような対応で周りの社員を不安なまま放置することは許されない。職場環境を良好に保つ義務は経営者にあり、その社員が心療内科に通っていることは免除の理由にならない

注意指導は「具体的な事実」を中心に行う——精神状態が不安定な方には特に、5W1Hで具体的に伝えることが重要

「暴言ダメだよ」のような抽象的な言い方は噛み合わない。「何月何日・どこで・誰に対して・どのように何をしたことが問題か」を具体的に特定して伝え、どう直せばいいかを具体的に話す

懲戒処分を検討する際は、問題行動が病気・障害の影響を受けているかどうかを確認する——影響を受けているかどうかで対応の重みが変わる

心療内科の主治医への問い合わせや産業医面談で「この言動は病気・障害から来ているのか」を確認する。影響がある場合はそれを考慮した上で懲戒処分の重さを判断する

病気・障害の影響が強く業務ができていない場合は休職を検討——強制的に欠勤扱い・休職開始・休職期間満了退職というルートも

暴言や物を蹴るほど調子が悪いなら、そもそも仕事ができていないとも評価できる。医師・弁護士と協力して対応する

1. 心療内科に通っていても暴言・物を蹴る行動は注意指導の対象——周りの社員を守ることは経営者の責任

心療内科に通院している社員が暴言を吐いたり物を蹴ったりするため、顧客対応を任せられず、周りの社員が不安を感じている——このような状況で「心療内科に通っているから仕方ない、腫れ物に触るように対応するしかない」という考え方は間違いです。

会社には職場環境を良好に保つ義務があります。暴言を吐いたり物を蹴ったりして周りを不安にさせる社員がいる場合、その方が心療内科に通っていようと関係なく、会社として注意指導して直してもらわなければなりません。問題のある行動をとっているのがたとえ自社の社員であっても、だからこそ注意指導する義務があると言えます。

周りで働いているパート・アルバイトを含む社員を守ることも経営者の責任です。腫れ物に触るような対応で周りの社員が嫌な思いや怖い思いをし続けるのを放置することは、職場環境配慮義務違反につながりえます。

2. 注意指導は「具体的な事実」を中心に——精神状態が不安定な方には特に5W1Hで具体的に伝える

まず本人を会議室などに呼んで面談を行い、「何月何日の何時頃、どこで、誰に対して、どのように、何をしたことが問題なのか」という具体的な事実を伝えた上で、どう改めるべきかを話してください。

精神状態が不安定になっている方は、抽象的な思考が難しくなっている可能性があります。「暴言はダメだよ」「物を蹴るのは困る」といった抽象度の高い指導では話が噛み合いません。具体的な事実・具体的な改善策を伝えることが特に重要です。

▶ 注意指導での伝え方の例

❌ 抽象的な伝え方(NG)
「暴言はダメだよ」「物を蹴るのは困る」「職場環境を悪化させている」

✓ 具体的な事実ベースの伝え方
「○月○日の午後○時頃、○○課長から○○という業務を依頼された際に、大声で『うるさい、できない』と怒鳴りつけた上に、近くにあった椅子を蹴った。これが問題だ。次にこのような状況になったときは、まず冷静に○○のように対応してほしい」

3. 改善しない場合——厳重注意書の交付と懲戒処分の検討

注意指導を行っても問題行動が改善しない場合は、厳重注意書を交付することが次のステップです。厳重注意書には「何月何日・どこで・何をしたことが問題か」を具体的に記載して本人に交付します。

さらに改善しないようであれば懲戒処分を検討することになります。ただし心療内科に通院している場合は、懲戒処分を行うにあたって重要な確認作業が必要です。

4. 懲戒処分前に確認すべきこと——問題行動が病気・障害の影響を受けているかどうか

懲戒処分を行う前に必ず確認すべきことがあります。それは「暴言を吐いたり物を蹴ったりする問題行動が、病気や障害の影響を受けているのかどうか」という点です。

病気・障害の影響がある場合とない場合では、懲戒処分の重さの判断が変わります。病気・障害の影響があるにもかかわらずそれを考慮せずに通常の懲戒処分と同様の対応をとると、後に問題になる可能性があります。

▶ 影響の有無を確認する方法

心療内科の主治医への問い合わせ(本人の同意が前提):「この言動は病気・障害から来ているものでしょうか」と確認する

産業医面談・産業医への意見照会:産業医に「この方の問題行動が病気・障害の影響を受けているか」という意見を求める

影響があると確認された場合はその事情を考慮した懲戒処分の重さを判断する。逆に「病気・障害との関係はありません」という確認が取れれば、通常の懲戒処分を行うことができる

5. 病気・障害の影響が強く業務できない場合——欠勤・休職というルートへ

病気・障害の影響が非常に強く、暴言を吐いたり物を蹴ったりするほど調子が悪い状態であるとすれば、その方はそもそも仕事ができていないとも評価できます。このような場合は休職を検討するルートへ移行することになります。

本人が「俺は働けるんだ」と言って出社しようとする場合でも、医師や産業医の意見を踏まえて欠勤扱いや出社拒否を行うことが検討できます。ただし強制的に欠勤扱いにする・出社を拒否する・休職命令を出すといった踏み込んだ対応は、医師と弁護士の両方と連携しながら進めることが必須です。単独で行うのは非常に危険です。

休職制度がある会社では、休職期間満了まで回復しなければ退職というルートをたどることになります。休職命令書で開始日を明確にすることを忘れないでください。

6. まとめ

① 心療内科通院中でも注意指導は当然の義務——「腫れ物扱い」で周りを不安なまま放置しない

職場環境を良好に保つことは経営者の責任。問題行動は病気・障害の有無に関わらず注意指導の対象になる。

② 注意指導は5W1Hで具体的に——特に精神状態が不安定な方には抽象的な言い方は通じない

「暴言ダメ」ではなく「○月○日・どこで・誰に・どのように・何をしたか」を具体的に示して改善方法を伝える。

③ 懲戒処分前に病気・障害の影響の有無を確認——影響を考慮した上で対応の重さを判断する

主治医への問い合わせ・産業医の意見で確認。影響が強く業務できない場合は欠勤・休職ルートへ。いずれも医師・弁護士と連携して進める。

よくある質問(FAQ)

Q 心療内科に通院中の社員が暴言を吐き続けています。解雇できますか?
A

解雇を検討する前に、厳重注意書の交付・懲戒処分(戒告・減給など段階的な処分)を積み重ねることが原則です。いきなり解雇は無効になるリスクがあります。また病気・障害の影響が大きい場合は、解雇よりも休職制度を活用して休職期間満了退職というルートを検討することが多いです。個別の状況を踏まえて弁護士に相談してください。

心療内科通院中の社員の暴言・問題行動でお困りの方はご相談ください

注意指導の進め方・懲戒処分の判断・休職対応まで、会社側の立場に特化した弁護士が具体的にアドバイスします。

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弁護士 藤田 進太郎

監修者 弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

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弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日 2026/04/16


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