問題社員327 注意指導すると被害者のように振る舞う。
動画解説
この記事の要点
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抽象的な評価では治らない。事実で指導する 「態度が悪い」では動かない。いつ・どこで・何をしたのが問題で、どうすべきだったかを具体的に伝える |
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「自分の都合ばかり」の人は、そう変わらない前提で対応する 相手が変わるのを期待せず、具体的にどう行動してほしいかを社長が決めて伝える |
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被害者のように振る舞われても、対応を変えない ひるむと要望が通るという戦略のことが多い。元々の言動が妥当だったかで判断する |
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被害者的な態度は、むしろ情状として重めの処分に傾く要素 反省していない表れとも言える。甘い方向に考慮してはいけない |
目次
1. この3つの特徴を分けて考える
本記事では、勤務態度が悪く、自分の都合ばかりを主張し、注意指導すると自分が被害者であるかのように振る舞う社員の対処法を解説します。この方には、勤務態度が悪い、自分の都合ばかり主張する、注意指導すると被害者のように振る舞う、という3つの特徴があります。それぞれ考えるべきことが違いますので、分けて見ていきます。
2. 勤務態度が悪い:事実で指導する
勤務態度が悪いといっても、「態度が悪いぞ」と抽象的に言っても治らないタイプです。自分が被害者だと思っていて、自分の都合ばかり言うような方ですから、「態度が悪い」という主観的な情報を伝えても治りません。抽象的なもの(態度が悪い、協調性がない)を言って治るのは、うっかり何かをやってしまったような方です。いつも態度が悪く、注意すると被害者のような受け答えをする方は、あまり自分が悪いと思っていないことが多いのです。
ですので、具体的な事実をテーマに、あなたが何月何日の何時頃、どこで、どのように何をやったことが問題だったのか、そしてそれをどう言ったりやったりすれば良かったのかを、しっかり指導する必要があります。方法は、原則として会議室などでしっかり時間を取って話します。言い返されて大変ですが、必要です。同じくらい問題のある方でも、対応する人によって改善の度合いに差が出ることが多いからです。すごく言い返してきて終わらない場合は、一定のところで時間を打ち切ってかまいません。理屈になっていないことでも、しつこく言い返して相手を根負けさせようとする方もいますので、負けないよう、こちら主導でしっかり取り仕切って対応してください。
3. 自分の都合ばかり主張する
自分の都合ばかり主張する人は、悪気なく、普通にしていると自分の都合ばかり主張するタイプの比率が高い印象です。こちらからすると常識外れですが、それはこちら側の価値観です。本人は「伝えないと分からないでしょう」と思っていたり、過去に主張したら受け入れられた経験が多かったり、あるいは特に意識せず、呼吸するように自分の都合を主張するのがデフォルトになっている方もいます。
相手が変わるのを期待せず、こちらがどう対応するか
こうした状態は、本人が自分でコントロールできないことも多いものです。ですから、相手が変わってくれないかと期待するのではなく、自分がこういう方にどう対応するか、という主体的な考え方が必要になります。ポイントは、やはり具体的に話すことです。抽象論に行くと、相手を根負けさせようという戦略が成功しやすくなります。具体的な事実・言動をテーマに話していると、明らかに変なことを押し通そうとするのは、ある意味恥ずかしいので、意外と説得できることもあります。相手が「それは違う、こうすればいい」と言ってきて、もっともな内容であれば取り入れればよいのですが、あまり役に立たない提案のこともあります。ある程度は聞いてよいのですが、最終的には社長が判断し、本人にどう行動してもらうべきかを伝えてください。それが経営者の仕事です。自分の都合ばかり主張する方に「自分の頭で考えて」と期待するのは難しく、社長が悩むほどひどいケースでは、はっきり何をどうすべきかを社長がスパッと決めて守らせないと、解決しません。
4. なぜ被害者のように振る舞うのか
注意指導すると被害者のように振る舞うのは、なぜでしょうか。一つは、自分の要望が通らず、思い通りにならなかったからがっかりしている、というものです。心の中で思うだけなら誰にでもあることかもしれませんが、それを言動に表すのがおかしいところです。
もう一つは、被害者のような態度を取ると相手がひるみ、その結果、自分の要望が通るケースがあるからです。そういう隙を見せていないでしょうか。被害者らしく振る舞われると、こちらも「言いすぎたかな」と思って、わがままを聞いてあげてしまう。そうすると、本人にとっては戦略的に大成功なのです。隙のない相手には、最初の一回でこの手が通じないと諦める人が多く、多くのケースでは、被害者のように振る舞えば有利に持っていけるという期待感があるからやる、というものです。
5. 被害者的な態度で、対応を変えない
相手が被害者を演じたからといって、対応を変えない
大事なのは、相手が被害者のように振る舞ったからといって、対応を変えないことです。判断の基準にすべきは、被害者的な態度ではなく、本人の元々の言動が妥当なものだったかです。元々勤務態度が悪いということですから、しっかり注意指導や懲戒処分をやっていかなければならない方なのです。被害者のような態度に引きずられて手心を加えると、被害者を演じれば要望が通るという成功体験を、さらに与えてしまいます。
6. むしろ情状として重めに傾く
むしろ、被害者のように振る舞う方は、情状が悪いとも言えます。反省していないということだからです。被害者だということは、相手が加害者でその被害を被った、と言っているのと同じですから、反省などしていませんし、また繰り返す可能性が高い方だと言えます。
こちらが理不尽なことをしていたのなら別ですが、勤務態度が悪く自分の都合ばかりの人に、事実を踏まえて正当な注意指導や懲戒処分をしたのに、被害を被ったようなことを言うのであれば、「反省していないのだな」と、情状を悪く評価するのが普通です。処分前の聞き取りで被害者のようなことを言い、ある程度対話しても治らないようであれば、言葉では「申し訳ありませんでした」と言っても、被害者のような振る舞いをしている以上、反省の程度は低いと言わざるを得ず、どちらかというと重めの処分に傾く要素になります。被害者として振る舞う行動を、甘い方向に考慮してはいけません。
7. まとめ
- 勤務態度が悪い:抽象的な評価では治らない。事実で指導する。いつ・どこで・何をしたのが問題かを具体的に
- 言い返しが続くときは、こちら主導で取り仕切る。根負けさせようとする戦略に負けない
- 「自分の都合ばかり」の人は、そう変わらない前提で対応する。最終的には社長が判断して伝える
- 被害者のように振る舞われても、対応を変えない。元々の言動が妥当だったかで判断する
- 被害者的な態度は、反省していない表れとも言え、情状として重めに傾く要素。甘く考慮しない
勤務態度が悪いといっても、いろいろなパターンがあります。個別のバージョンに応じて考えるべきことは別々ですので、あらかじめぴったり合うものを本やセミナーで準備するのは無理があります。基本をしっかり押さえた上で、個別事情を踏まえて対応していきましょう。被害者のように振る舞う社員への対応でお悩みの経営者の皆様は、ぜひ会社側専門の弁護士にご相談ください。
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 注意すると「パワハラだ」「傷ついた」と被害者のように言われます。注意を控えるべきですか。
A. 被害者のように振る舞われたからといって、対応を変える必要はありません。判断の基準は、相手の態度ではなく、本人の元々の言動が妥当だったかどうかです。事実に基づいた正当な注意指導であれば、それを控える理由にはなりません。むしろ、正当な指導に対して被害者のように振る舞うのは、反省していない表れとも言え、情状としてはマイナスに働く要素です。人格を否定する言い方を避け、具体的な事実に絞って淡々と指導し、そのやり取りを記録に残しておくことが、後の備えになります。
Q2. 面談で延々と言い返され、話が終わりません。どうすればよいですか。
A. 理屈になっていないことでも、しつこく言い返して相手を根負けさせようとする方がいます。そうした場合は、一定のところで時間を打ち切ってかまいません。ポイントは、抽象論の応酬に持ち込ませず、こちらが具体的な事実をテーマに、どんな行動を取ってほしいのかを明確に伝えることです。抽象的な評価だと空中戦になり噛み合いませんが、具体的な言動については、意外と説得できることもあります。会議室でしっかり時間を取り、こちら主導で取り仕切ってください。
Q3. 「態度が悪い」と何度言っても改まりません。
A. 「態度が悪い」という抽象的な指摘で治るのは、うっかりやってしまった方です。いつも態度が悪く、自分が悪いと思っていない方には、抽象的な評価は届きません。何月何日の何時頃、どこで、どのように何をやったことが問題で、どうすべきだったのかを、具体的な事実に落として伝えてください。改善が見られなければ、事実に基づいて厳重注意、さらに懲戒処分へと段階を踏みます。事実の記録がないと処分が難しくなりますので、日頃から記録を残しておくことも大切です。
最終更新日:2026年7月18日