問題社員366 無断で休日出勤をしないよう指示しても休日出勤を続ける。

動画解説

この記事の要点

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明確に禁止したのに従わないのは大問題。厳格に対応する

健康リスク・残業代・不正の温床にもなりうる

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本当の問題は「原則禁止・例外あり」という曖昧なルールにあることが多い

誰が、どんな基準で「例外」を判断するのかがはっきりしていない

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本人に判断を委ねるか、事前許可制にするかを決める。両取りはできない

裁量を与える以上、ある程度の判断ミスは許容する

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黙認状態を放置するのは危険。責任回避的な管理職自身の問題も疑う

現状把握を行い、方針をはっきり決めて実態に合ったルールにする

1. 指示しても休日出勤を続ける社員という問題

無断で休日出勤をしないよう指示しても、休日出勤を続ける社員がいる。本記事では、無断で休日出勤をしないよう指示しても休日出勤を続ける社員への対処法を、会社側の視点から解説します。

2. 明確な違反には厳格に対応する

明確に休日出勤するなと命じているにもかかわらず従わないのは大問題です。休日は労働契約上、労働する義務のない日ですから、出社しなくてよいはずです。長時間労働になれば健康を害する可能性がありますし、無駄な残業代が発生するかもしれません。監視の目も行き届かなくなりがちで、不正行為の温床にもなりかねません。

放置せず、繰り返し注意する

明確に休日出勤しないでくださいと言っているにもかかわらず続けるのは、放置してはいけません。単なる立ち話で軽く伝えるのではなく、会議室に呼んで、どうして出たのか事情を聞きながら、合理的な理由がないのであれば「これは絶対にやってはいけないことだ」としっかり命令してください。そのうえで厳重注意書を渡す、あるいは懲戒処分に処すこともあるでしょう。社長が明確に休日出勤しないでくださいと決めた以上、たとえ休日出勤しないことで仕事が遅れても、社長が責任を取ると割り切って、指示に従わせるべきです。事案の程度に応じてどの程度の処分にするかはケースバイケースですが、まず明確な違反には厳しく対応する必要があります。

3. 本当の問題は「曖昧なルール」にあることが多い

ここまではシンプルな話です。問題なのは、「休日出勤しないでね」という指示が曖昧になりがちなことです。たとえば、「原則休日出勤禁止」という定め方をしているケースが多く、例外として「急な顧客対応など」があるとします。では、その「急な対応が必要かどうか」は誰が判断するのでしょうか。基準ははっきりしているでしょうか。

誰が判断するのかを、まずはっきりさせる

本人に判断権限を委ねているのであれば、それなりの裁量を与える必要があります。「急な対応」の基準は、本人が急だと思ったら急なのでしょうか。客観的な基準が必要というなら、どんな場面を指すのか、いちいちルール化するのは大変かもしれません。その場合は、判断権限を持つ人を決め、その人とコミュニケーションを取りながら「今回はよいが、これはだめだった」と個別にすり合わせていくのが現実的かもしれません。ここを曖昧にしていると、「自分の頭で考えろと言うから考えて休日出勤したのに、原則ダメだと言われるのはおかしい」と思われてしまいます。その人の判断が信用できないというなら、判断権限を与えるべきではありません。100%上司や社長の許可がなければ休日出勤不可、としてしまえば、勝手に判断して間違えることはなくなります。

4. 判断権限を委ねるか、事前許可制にするか

「そんなことをしたら臨機応変に対応できなくて困る」と思う社長もいるでしょう。そのとおりで、社長や上司の判断がなければ休日出勤できないという状況にすれば、臨機応変な判断はできなくなります。臨機応変な判断を任せてよいような社員であれば、任せればよいのです。しかし、「休日出勤しないよう言っているのに続けている」というご相談をされているくらいですから、その人の判断がおかしいと思っているはずです。それなら、自分で決めてください。この人の裁量に判断を任せるのか、上司の許可がなければ勝手に休日出勤できないようにするのか、はっきりさせる必要があります。

5. 両取りはできない。どちらかに決める

もし社長がやめさせたいと思っているのに、本人には「例外的に急な顧客対応の場合はOK」と伝えていて、それでどんどん休日出勤されてしまっているのであれば、判断権限を奪えばよいのです。「あなたに自分で判断する権限は与えないので、100%社長・上司に聞いてください」とすればよいのです。

裁量を与える以上、ある程度の判断ミスは覚悟する

社長の意図に合う行動を取れる方と、取れない方の両方がいます。曖昧で抽象的な指示、自分の頭で考えさせるやり方でうまくいかない方には、具体的に指示していく必要があり、現実的な対応としては、社長や上司の許可を取ってからでないと休日出勤できないというルールにするのが無難なことが多いです。それでは臨機応変に対応できなくて困る、という気持ちも分かりますが、臨機応変に対応させたいのであれば、多少無駄な休日出勤や判断ミスをしてしまうことも覚悟してください。あるいは、特定の案件だけ限定して「この案件は例外的に臨機応変の判断を認めるから、やりなさい」と伝えるのも一つの方法です。判断権限を認めたら、ある程度間違えることも許容する。それがしょうがないところです。どちらかを決めるのは、究極的には社長の仕事です。権限を与えられた人には原則としてある程度の裁量があるという扱いになりますので、それがおかしいと言っても、教育指導ならまだしも、ルール違反だと言うのは難しくなります。いいとこ取りはできませんので、どちらか決めていただくことが大事です。

6. 明確なルールなのに黙認されているケース

ここまでは「原則ダメ」というルールの場合の話でしたが、もう一つ、ルールを守らなくても黙認しているケースもあります。「必ず上司・社長の許可を取ってからでないと休日出勤できない」と明確に定められているのに、実際に休日出勤した際に放置している、黙認しているような状況です。

現状把握をして、方針をはっきり決める

本当に必要性が高いものであれば、まだ理解できます。実際に対応しなければならなかったわけですから。ただ、その際「今回は休日出勤してもらったが、これは例外だからね」としっかり話しておくことが大事です。他方、それほど必要性が高くなくても休日出勤したほうが仕事が楽だという感覚で続けるケースもあります。それを黙認して、会社としての方針としてこれでよいと腹をくって決めるのであれば、それでも構いません。ただし、時間外労働・休日出勤の協定(36協定など)の範囲内で、残業代も全額支払い、しっかりマネジメントできているか、生産性が無駄に低くなっていないかもチェックできているかが前提です。しかし、黙認して分かっていながら放置し、「休日出勤はおかしい」という状況が続いているのは大問題です。社長の意図と違うことが起きているからです。一旦そうなった場合は、しっかり現状把握をしてください。面談などして、本当に休日出勤しなければ対応できない状況なのか、平日の所定労働日の勤務だけで足りるのではないか、無駄に休日出勤させていないかを確認し、休日出勤を認めるかどうか考えてみてください。

7. 責任回避的な管理職自身の問題も疑う

社長として、ルールを作ったらルールを守らせる必要がありますし、ルールがおかしいと思うならルールを変える必要があります。社長の意図を反映したルールを実態に合わせるべきです。そうでなければ、「ルールなんて守らなくてよい」「上司の指示なんて従わなくてよい」という職場になってしまいます。

「どちらにも言い訳できる」ルールを作る管理職に注意

直属の管理職が責任を取りたくない方だったりすると、どちらとも取れるような対応をしがちです。「休日出勤が必要だったのでは」と言われたときには非難されないよう休日出勤できるルールにしておき、「無駄な休日出勤ではないか」と言われたときには「原則不可というルールになっています」と言い訳できるようにしておく、という具合です。こうした「いいとこ取り」をしようとする発想は非常に危険で、そういった方を管理職に据えていると、経営者として予定していないひどい結果になることがよくあります。勝手に休日出勤する社員だけが問題なのではなく、その上司自身が管理職に向いていないのかもしれない、という大問題である可能性もありますので、軽く見ずにしっかり対応していきましょう。

8. まとめ

  1. 明確に禁止したのに従わないのは大問題。厳格に対応する
  2. 本当の問題は「原則禁止・例外あり」という曖昧なルールにあることが多い。誰が例外を判断するのかを明確にする
  3. 本人に判断を委ねるか、事前許可制にするかを決める。両取りはできない
  4. 裁量を与える以上、ある程度の判断ミスは覚悟する
  5. 明確なルールなのに黙認されている場合は、現状把握をして方針をはっきり決める
  6. 「どちらにも言い訳できる」曖昧なルールを作る管理職自身の問題も疑う

無断で休日出勤を続ける社員への対応は、明確な違反であれば厳格に対応すべきですが、多くの場合、本当の原因はルールの曖昧さにあります。判断権限を本人に委ねるのか、事前許可制にするのかをはっきり決め、いいとこ取りのルール運用を許さないことが、根本的な解決につながります。黙認状態が続いている場合は、責任回避的な管理職自身の問題も視野に入れて対応してください。こうしたケースにお悩みの経営者の皆様は、ぜひ会社側専門の弁護士にご相談ください。

弁護士 藤田 進太郎

監修者弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 休日出勤を禁止しても、社員は「必要だと思った」と反論してきます。

A. これは、判断権限の所在が曖昧になっていることが原因であることが多いです。「原則禁止、例外は急な対応」というルールでは、誰がどんな基準で「急」と判断するのかがはっきりしません。本人の判断を信用できないのであれば、事前に上司・社長の許可を得なければ休日出勤できないというルールに変えることをおすすめします。

本人の判断に任せつつ、間違えたら注意する、というのはだめですか。

A. 判断権限を与えた以上、ある程度の判断ミスは許容する必要があります。臨機応変な対応を求めるなら、多少の無駄な休日出勤は覚悟しなければなりません。判断ミスを一切許容できないのであれば、そもそも判断権限を与えず、事前許可制にすべきです。裁量を与えつつミスを一切許さないという「いいとこ取り」はできません。

ルールでは許可制なのに、実態としては黙認されています。

A. まず、面談などで現状を把握してください。本当に休日出勤の必要性があるのか、平日の勤務だけで足りるのではないかを確認し、認めるかどうかの方針をはっきり決めましょう。あわせて、責任を取りたくないためにどちらにも言い訳できる曖昧なルール運用をしている管理職がいないかも確認してください。管理職自身の問題が根本原因になっていることも少なくありません。

最終更新日:2026年7月20日


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