問題社員353 上司の見ていないところで些細な嫌がらせをする。

動画解説

この記事の要点

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些細だと思っても、まず本当に些細かを確かめる

放置するとエスカレートする傾向がある。多くの問題社員は入社当初は些細な言動から

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決めつけずに面談する。多くは本人に悪気がない

「こんな話があるがどうか」と穏やかに聞くだけで、面談自体に抑止効果がある

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悪質・反抗的なら、事実ベースの正式な対応に切り替える

社長の注意すら聞かないなら、それ自体が別の重い問題になる

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早い段階での注意指導が、後々の大きな問題を防ぐ

正しく注意することは、本人・周囲・会社を守るための「愛情」でもある

1. 見えないところでの些細な嫌がらせという問題

上司の見ていないところで、周囲の社員に些細な嫌がらせをする社員がいる。目立った大問題ではないだけに、対応に迷う経営者も多いでしょう。本記事では、上司の見ていないところで周囲の社員に些細な嫌がらせをする社員への対処法を、会社側の視点から解説します。

2. 些細でも放置してはいけない理由

まず最初に考えなければならないのは、些細な嫌がらせであったとしても、何らかの対応が必要だということです。些細なものであっても、周りの人からするとストレスだからこそ、社長の耳に入ってくる程度のものなのです。少なくとも、職場環境を悪くしている可能性がかなりあります。ひどい場合は、これといった明確な問題が職場にあるわけではないのに、なぜかみんな辞めてしまう、そんな職場になりかねないこともあります。

放置するとエスカレートする傾向がある

今は些細だったとしても、その行動を放置するとエスカレートする傾向があります。私が相談を受けるかなりの割合の問題社員は、入社当初は些細な嫌がらせをする程度だった、という方が多いのです。ですから、些細なものだと思っても、まず本当に些細なのかどうかを確かめてみましょう。それが大事です。本当に些細な話で、被害を訴えている方の単なる気にしすぎだったなら、それでよいのです。結構なケースで、それなりの問題があることも多いので、しっかりチェックしてみてください。確認作業ぐらいはやったほうがよいと思います。

3. まずは決めつけない面談から

対応の方法として、まずおすすめなのは面談です。場合によっては、繰り返し行います。やっていることが些細だと思える程度のものは、明確に就業規則違反や懲戒に該当するとまで言えないケースもかなりあります。ですから、いきなり厳重注意をしたり懲戒処分をしたりするような話ではないことも多いのです。ただ、被害を訴える方がいるわけですから、何らかの問題行動をやっている可能性があるので、確かめてみるというスタンスで進めます。最初から「あなた、こんなことをやって問題ですよ」とこちらから決めつけて言うのではなく、「こういった話もあるのだが、どうなの」という形で面談を行っていきます。

4. 多くは悪気がない。だからこそ伝えることに意味がある

計画的な嫌がらせは少ない。伝えること自体に意味がある

これは結構意味のある作業です。というのは、些細な嫌がらせだと訴えられるようなものの中には、やっている側は全然嫌がらせだと思っていないようなものも多く含まれているからです。された側は非常に嫌な気分になっているのに、やっている側は悪気がなく、相手が嫌がっているとすら思っていない、ということもたくさんあります。意図的にさじ加減を調整して計画的に嫌がらせをしているケースはむしろ少数です。大抵のケースは、その方が普通に生活し、普通に仕事をしていると出てきてしまう癖のようなものが、周りにとっては不快だ、辛いと感じさせるものになっていることが多いのです。本人に嫌がらせをしている気がないのですから、周りが嫌だと思っているということを伝えること自体に意味があります。そういった話があったと伝えるだけで、本人が「少し気をつけようかな」と思ってくれるきっかけになることもあります。

5. 面談自体が持つ抑止効果

とくに社長が面談すれば、その効果は大きいものです。社長までいかなくても、部長や人事担当者など、会社側の人間と見られている方が面談を行えば、「会社は懸念材料として考えているのだな」ということが伝わります。誰が対応するかは、問題の程度に応じて決めていく必要があります。

穏やかに、淡々と話すだけでも効果は大きい

これに効力がある理由は、面談自体がすごく抑止力になるからです。「会社からマイナスに見られているかもしれない」と本人が気づくことで、面談すること自体のインパクトが強くなります。穏やかにニコニコとした顔で、強く叱りつけたりしなくても、淡々と話しているだけで、案外効果があります。ですから、厳重注意や懲戒処分というほどではないと思う段階では、まず面談をしっかりやってみてください。ただし、重要なポイントとして、できるだけ迎合しないことです。相手の言っていることを「そうなんだ」と聞くのはよいのですが、「それはそうだよね」と話を合わせすぎると、聞き目がなくなってしまいます。話は聞くけれども、強くは叱らず、淡々と「周りが嫌がっているようだから、少し考えてもらえないか」と話をしていただくのがよいでしょう。オンライン(Zoom・Teamsなど)での面談も、慣れていて抵抗がなければ十分効果的です。オンラインが苦手な場合には、実際に会う、あるいは電話などの従来型のツールと組み合わせて対応するのもよいでしょう。

6. 悪質・反抗的な場合の対応(事実ベースへの切り替え)

ここまでは、些細な嫌がらせという程度の話です。ただ、これも悪質な場合があります。問題の程度がひどい場合、最初は些細な嫌がらせという訴えだったのに、よく聞いてみると全然些細ではなかった、というケースもあります。あるいは、確かに些細なもので本人も悪気がないのかもしれないのに、社長ご自身が注意しても治らない、ということもあります。これは単なる嫌がらせだけの問題ではなく、社長の指示に従わない社員という問題も出てきます。社長の注意を、周りが嫌がらせだと感じているから気をつけるようにと言われても全然気にしないような方であれば、社長に対して反抗しているような状態です。社長の言うことを聞かないという点でも社内秩序を乱していることになりますので、悪質な案件と言って差し支えありません。

やんわりではなく、事実を指摘して議論する

そうなった場合は、その方のやっている嫌がらせの内容について、通常のしっかりとした対応をやっていく必要があります。やんわりとなんとなく話すのではなく、何月何日の何時ごろ、あなたが誰にどのように何をやったのか、この行動について問題ですよ、何か言い分がありますか、と事実をしっかり指摘し、事実ベースで議論して、しっかり注意します。それでもまた似たようなことをした場合、「前回何月何日の何時ごろ、誰々さんにどのように何かやったことについて注意したよね。でもまた誰々さんに対してこんなふうにこの日にこの時間にこの場所でこういうことをやったよね。これはどういうことですか」という話をしていきます。それでも治らなければ、厳重注意書を交付したり、本当にひどい場合は懲戒処分の対象になったりしていきます。

もっとも、こういった些細な嫌がらせをするタイプの方は、意図的というよりは、普通に仕事をしているとそういった不快な言動をしてしまうタイプであることも多く、周りと協調しながら仕事をしていく適性が低い方だとも考えられます。その場合は、教育指導のルートでしっかり直していくほかありませんが、これにはスキルが必要です。しっかりいい方向に教育して持っていく力が会社にないと、なかなか治らない、難易度の高いケースかもしれません。それでも、逃げずに対応することが大事です。とくに悪質な場合は、「治らないのだからしょうがない」では済まされません。周りの人が嫌な思い、嫌がらせだと感じるようなことをやっているわけですから、被害を受けている方が複数人になれば、職場の雰囲気は非常に悪化します。1人だけだったとしても、社長から見て許せる事態ではないはずです。悪質な場合には、面談も繰り返し、事実ベースでしっかり話をして、それでも治らなければ厳重注意や懲戒処分も検討する、ということを粘り強くやっていきましょう。

7. 早期対応の大切さ

本日お話ししたように、些細だと思っていても、これはエスカレートしてどんどん大きな問題になっていく可能性があります。鉄は熱いうちに打て、と言いますが、早い段階で対応していると大問題にならずに済むことも多いのです。実際に大きな問題を起こして辞めていただくことになってしまった問題社員も、たくさん見てきました。ただ、そういった大問題を起こすような方でも、入社から間もない時期に、些細な問題行動だという段階でしっかり注意指導していれば、こんなことにはならなかったのに、そこで甘い顔をしてしまったばかりに、かえって本人に辞めていただくことになってしまい、会社のためにも周りの社員のためにも、何よりその問題を起こしたご本人のためにもならなかった、というケースをたくさん見てきました。

正しく注意することは、一種の愛情である

間違ったこと、問題のあることを注意指導してあげるというのは、ある意味愛情です。怒れと言っているのではなく、穏やかに指摘して話せばよいのです。面倒かもしれませんが、愛情がなければ、なかなか治らない方を根気強く注意し続けるのは難しいものです。経営者としては、自分の会社を守り、働いてくれる方々を守るためにも、そして問題を起こしてしまっている本人を立ち直らせるためにも、しっかり注意指導していく必要があります。これこそが、問題を起こしている本人に対する愛情でもあります。もちろん、やり方には気をつけてください。正しいやり方や発想が正しいのかどうかは、弁護士に相談しながら言葉を選んで話していただくことをおすすめします。

8. まとめ

  1. 些細だと思っても、まず本当に些細かを確かめる。放置するとエスカレートする傾向がある
  2. まずは決めつけずに面談する。多くの場合、本人には悪気がない
  3. 面談自体に強い抑止効果がある。穏やかに淡々と話すことが大切。ただし迎合しすぎない
  4. 悪質・反抗的な場合は、事実ベースの正式な対応に切り替える。社長の注意すら聞かないのはそれ自体重い問題
  5. それでも治らなければ、厳重注意・懲戒処分へと段階的に進める
  6. 早い段階での注意指導が、後々の大きな問題を防ぐ。正しく注意することは本人への愛情でもある

些細な嫌がらせは、放置すればエスカレートし、職場の雰囲気を静かに、しかし着実に蝕んでいきます。まずは決めつけずに面談で事実を確かめ、多くは悪気のない言動であることを踏まえて穏やかに伝える。それでも改善しない、あるいは悪質だと分かれば、事実ベースの正式な対応に切り替えていく。この段階を踏んだ対応が、周りの社員を守り、会社を守り、そして問題を起こしている本人を守ることにもつながります。こうしたケースにお悩みの経営者の皆様は、ぜひ会社側専門の弁護士にご相談ください。

弁護士 藤田 進太郎

監修者弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 些細な嫌がらせの訴えでも、対応する必要はありますか。

A. 対応することをおすすめします。些細なものであっても、周りの人にとってストレスだからこそ社長の耳に入ってくることが多く、職場環境を悪化させている可能性があります。放置すると行動がエスカレートする傾向もあり、些細な問題行動だった段階でしっかり対応していれば大きな問題にならずに済んだ、というケースは少なくありません。まずは本当に些細なのかどうかを確かめる作業から始めてください。

いきなり厳重注意や懲戒処分をすべきでしょうか。

A. 些細な段階では、まず決めつけない面談から始めるのがおすすめです。多くの場合、本人には嫌がらせをしている自覚がなく、悪気なく行っていることが多いためです。「こういった話があるが、どうなのか」という形で穏やかに面談すること自体に、強い抑止効果があります。それでも改善しない、あるいは本人が反抗的で社長の注意すら聞かない場合には、事実ベースの正式な注意指導、厳重注意、懲戒処分へと段階的に対応を強めていってください。

面談しても本人が反省せず、同じことを繰り返します。

A. 社長が注意しても改善しないのであれば、それは単なる嫌がらせの問題にとどまらず、社長の指示に従わないという社内秩序の問題にもなります。この段階では、やんわりとした対応から切り替え、何月何日の何時ごろ、誰にどのように何をやったのかという具体的な事実を指摘し、事実ベースで議論してしっかり注意してください。それでも改善しなければ、厳重注意書の交付や懲戒処分も検討することになります。

最終更新日:2026年7月19日


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