問題社員339 営業成績が極端に悪い営業社員。
動画解説
この記事の要点
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まず原因を見極める。能力不足か、サボりか 極端に成績が悪い理由は、大きくこの二つに分けられる。原因で対応が変わる |
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能力不足なら、まず教育。難易度の低い営業手法を用意する発想も持つ 人を揃えにくい時代。特殊な能力がなくても成果を出せる手法を準備するのも一つの方法 |
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サボりが疑われるなら、日報の裏取りと具体的な面談で確認する GPSは目的を「仕事時間中の場所把握」に限り、事前告知し、目的外に使わない |
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突き詰めると、多くは「営業に向いていない」という適性の問題 向いている仕事をさせてあげる。難しければ配置転換、それも難しければ退職も検討する |
目次
1. 営業成績が極端に悪い営業社員という悩み
外出した営業社員の営業成績が極端に悪く、本当に仕事をしているのか分からない。こうしたお問い合わせをいただくことがあります。外回りで社長の目が届きにくいだけに、対応に悩む場面です。本記事では、営業成績が極端に悪い営業社員への対処法を、会社側の視点から解説します。
2. まず「原因」を見極める(能力不足かサボりか)
最初に考えなければならないのは、どうして極端に営業成績が悪いのかです。理由はいくつか考えられますが、大きく二つに分けられます。一つは単なる能力不足、もう一つは仕事をサボっているからです。どちらが原因なのかによって、対応は変わってきます。
3. 能力不足の場合の対応(教育と営業手法の工夫)
能力不足の可能性が高い場合、能力が低いのですから、まずは教育でできるだけ何とかするのが基本です。とくに市場で人を確保するのが難しければ、多少能力が足りなくても、教育してやりくりすることが経営者に求められます。本人の相談を受けてアドバイスしたり、相談を受けなくてもこちらから細かく教えたりしながら、仕事を覚えさせていきます。営業先に同行してやり方をフィードバックしたり、自分がやって見せたりしてもよいでしょう。ややマイクロマネジメント的にはなりますが、成績が極端に悪く、能力が低い可能性が高いのであれば、まずはこうして育成していくほかありません。
難易度の低い営業手法を用意するという発想
もう一つの方法が、難易度の低い営業の仕事をさせることです。ある程度高い能力を前提とした営業は、人を十分に集められる時代ならよいのですが、特殊な能力を元々持っているか、後から身につけられるタイプの人でないと、現実的でない営業方法かもしれません。そうした人を集めるのが現実的でなくなってきたと思ったら、もっとハードルの低い、特殊な能力がなくてもそれなりの成績を収められる営業手法を準備し、成績があまり良くない人に当てがってあげる、という工夫も考えてください。人を揃えるのが難しい時代です。「本来ここまでの水準であるべきだ」と経営者が思っていても、それを実行できる人を採用できないのであれば、素質がそれほどなくてもうまくいく営業手法を見つけないと、現実には十分な人が集まりません。
4. それでもうまくいかない場合(配置転換・退職)
こうした努力をしても、どうしてもうまくいかないことはあります。本人の適性がそもそも営業になかったり、会社として「これ以上簡単なタイプの営業にはできない、言うのは簡単だが実行は無理だ」というケースもあるでしょう。ある程度頑張ったら、営業を頑張ってもらうことは諦めたほうがよいと思います。社内に他にやらせられる仕事があるのであれば、営業以外の仕事につけて、そちらならある程度いけるかどうか様子を見る、というのも一つの方法です。それでもだめなのであれば、辞めていただくほかありません。もっとも、退職勧奨はあくまで任意のお願いであり、退職の強要と受け取られないよう、進め方には注意が必要です。
5. サボりが疑われる場合の対応
極端に営業成績が悪いもう一つの大きな理由が、サボっていることです。これも意外と多いものです。外出しているので社長の目が届きにくいですが、基本は、こちらもしっかり管理していくことです。
日報の裏取りと、具体的に話させる面談
従来型のやり方としては、電話を度々かけて今何をしているかチェックする、同行して様子を見る、日報のチェックを厳しくする、といったものがあります。日報に「このお客さんを回った」と書いてあっても、本当に行ったか分からなければ、実際に問い合わせてみる。すると、「その日は来ていない」という回答が返ってくることもあります。そこまでしなくても、本人としっかり面談の時間を取り、日報の内容について、どこで何をやったのかを淡々と具体的に話させるのも有効です。嘘をついていると、どんどん苦しくなってきます。具体的な嘘をつくのは、実はとても難しいのです。抽象的にさらっと言うだけなら嘘をつける人でも、具体的な話を作るのは難易度が高く、しかも具体的に話すほど、裏を取ったときに嘘がばれやすくなります。こうした確認作業をしっかり行うと、気まずくなって自分から辞めていく、ということも少なくありません。
6. GPS活用の勘どころ(目的・告知・プライバシー)
電子通信機器の発達を考えると、GPSの利用も一つの方法です。スマートフォンや社用車などにGPSをつけておき、どこにいるのかを確認します。場所が分かれば、お客さんのところにいるのかどうかが、ある程度分かります。抑止的な効果という意味でも有効で、「ご自宅にいるようですが、どうしたのですか」といった話もできるようになります。
目的は「仕事時間中の場所把握」に限り、事前に告知する
GPSにはプライバシーの問題がありますので、あくまで仕事時間中の話に限ることが大切です。仕事が終わった後まで本人の場所を追跡するような使い方はしてはいけません。位置情報も個人情報にあたりうるため、目的をきちんと定め、その範囲でのみ利用する必要があります。また、事前に「GPSが入っている、場所が分かる」ことを伝えておきましょう。それを伝えることで、抜き打ちにせずに済みます。ずるをしている現場を騙して押さえるようなことをする必要はありません。会社は、悪い人を捕まえたいのではなく、しっかり仕事をしてもらいたいだけです。場所が分かると伝われば、本人も「サボれないな」と思ってくれます。不正の現場を押さえることよりも、よく警告を発して、しっかり仕事をしてもらうことに注力するのがよいでしょう。
導入は、できれば同ジャンルの営業社員全員に同時に
GPS導入の対象者ですが、できれば同じジャンルの営業社員全員に、同時に導入するのがよいと思います。特定の個人だけを狙い打ちするのは感じが悪く、挑発的なニュアンスが出かねないからです。もちろん、体制が整わず、問題の大きい人から順に導入していくほかない、というのであれば理解できます。しかし、会社の対応能力が高く全員に導入できるのであれば、営業社員全員、あるいは一定の仕事をしている営業社員の全員に導入したほうが、スムーズに進みます。GPSは、あくまで仕事をしっかりしてもらうためのものですから、それ以外のことを考える必要はありません。仕事時間中の場所把握を目的とし、目的外の使用はしないことが、非常に大事です。
7. 突き詰めると「適性」の問題である
能力不足なのか、外でサボっているのか。まったく違う話のように聞こえるかもしれませんが、実は、こうした問題はたいてい一つの原因に行き着きます。それは、営業が向いていない人である可能性が高い、ということです。適性が低い、と言い換えてもよいでしょう。
向いていないから、やる気も出ず、サボりたくもなる
適性がないというのは、能力不足との関連なら分かりやすいでしょう。しかし、それだけではありません。サボるというのも、向いていないからサボりたくなる、という面があるのです。自分に向いている仕事だと疲れませんし、むしろ楽しいとすら思うことがあります。他方、向いていない仕事だと、すぐに疲れて、早く時間が過ぎないかな、となってしまうものです。ですから、サボるのを、単なる人格の問題や心構えの問題ととらえる以前に、そもそも向いていないから、やる気が出ずサボりたくなる、というケースが多いことを、まず考えてあげてください。そうすると、別の仕事につけてあげるのがよいかもしれませんし、それが難しいのであれば、他の会社で働いていただく、簡単に言えば辞めていただくのがよいかもしれません。
8. まとめ
- まず原因を見極める。能力不足か、サボりかで対応が変わる
- 能力不足なら、まず教育。難易度の低い営業手法を用意する発想も持つ
- それでもだめなら、営業以外への配置転換を試み、難しければ退職も検討する(退職勧奨は任意)
- サボりが疑われるなら、日報の裏取りと、具体的に話させる面談で確認する
- GPSは目的を「仕事時間中の場所把握」に限り、事前告知し、目的外に使わない
- 突き詰めると、多くは「営業に向いていない」という適性の問題である
営業成績が極端に悪いという悩みは、能力不足にせよサボりにせよ、突き詰めれば「その人が営業に向いているか」という適性の問題に行き着くことが多いものです。まずは教育や営業手法の工夫、管理の徹底といった対処をしっかり行い、それでも合わないのであれば、向いている仕事に就いてもらうことを考える。本人にとっても、向いた仕事のほうが力を発揮でき、幸せなはずです。営業社員の成績や勤務管理にお悩みの経営者の皆様は、ぜひ会社側専門の弁護士にご相談ください。
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 営業成績が悪い社員を、成績だけを理由に解雇できますか。
A. 成績が悪いという結果だけを理由に、すぐに解雇するのは難しいのが原則です。まずは、原因が能力不足なのかサボりなのかを見極め、能力不足であれば教育や営業手法の工夫を尽くし、サボりであれば管理や注意指導を行う必要があります。それでも改善せず、営業に適性がないと判断できる場合には、社内で可能な配置転換を検討し、それも難しいときに退職勧奨や解雇が検討対象になります。退職勧奨は任意のお願いであり、強要にならないよう進め方に注意し、弁護士に相談しながら対応することをおすすめします。
Q2. サボりを確認するために、GPSで社員の居場所を把握してよいですか。
A. 業務上の必要性がある範囲で、仕事時間中の場所を把握することは考えられます。ただし、いくつかの注意点があります。目的を「仕事時間中の場所把握」に限定し、勤務時間外まで追跡するような目的外の使用はしないこと、位置情報も個人情報にあたりうるため適正に取り扱うこと、そして、事前に「GPSが入っている」ことを社員に伝えておくことです。抜き打ちで現場を押さえるより、事前に告知して抑止効果を働かせるほうが、しっかり仕事をしてもらうという目的にかないます。導入する場合は、特定個人だけを狙い打ちせず、同じジャンルの営業社員全員に同時に導入するほうがスムーズです。
Q3. 日報に嘘の訪問記録が書かれている疑いがあります。どう確認すればよいですか。
A. 日報に記載された訪問先に、実際に訪問があったかを問い合わせて裏を取る方法があります。あわせて、本人と面談し、日報の内容について「どこで、何を、どのようにやったのか」を淡々と具体的に話させると効果的です。抽象的にさらっと言うだけなら嘘をつける人でも、具体的な話を一貫して作るのは難しく、裏を取ったときにばれやすくなります。こうした確認を重ねることで、事実が明らかになりやすくなりますし、気まずくなって自ら退職する社員も少なくありません。
最終更新日:2026年7月18日