問題社員269 問題社員に社長の言うことを聞いてもらうコツ

動画解説

この記事の要点

指示の伝え方を変えることが最初のステップ——立ち話や軽い声かけではなく、会議室に呼んで改まった雰囲気でしっかり話す

問題のない社員と同じ伝え方では通じない。早い段階で会議室に呼んで具体的事実を伝えることが、エスカレートを防ぐ最善策

Zoom・Teamsは慣れている人には対面と同等の効果——自分がどのコミュニケーション手段を得意とするかで使い分ける

オンラインツールに違和感がある経営者は実際に会って話す方がうまくいく。長年身につけた自分の得意なやり方で臨むことが成功につながる

メール単独での指示・注意指導は失敗しやすい——口頭(面談・電話・Zoom等)との合わせ技が基本

メールだけで指示しても言うこと聞かない問題社員には通じない。「社長が怖くて直接話せないんだろう」と思われるリスクもある

労働契約の本質は「給料と引き換えに指揮命令に従ってもらう契約」——この基本に立ち返って指示を出す力を磨くことが会社経営の根幹

指揮命令を効果的に行えなければ会社は機能しない。メールや書面だけでは指揮命令として十分でないことが多い

1. 指示の「伝え方」を変えることが出発点

会社経営者の皆様、こんにちは。弁護士法人四谷麹町法律事務所の代表弁護士、藤田進太郎です。

言っても言われた通りに動いてくれない、言い返してくるけど説得力がない、周りが面倒になって放置してしまっている——そんな状況でお悩みの経営者の方のために、問題社員に指示を聞いてもらうコツをお話しします。

まず大事なのは、指示の「伝え方」を変えることです。問題のない社員に対して行う通常の伝え方——本人のそばで「これやっといてね」と軽く声をかけるだけ——では、問題社員には通用しません。それと同じやり方を続けても改善は期待できないのです。

2. 会議室に呼んで改まった雰囲気で話す——早い段階が大事

問題社員への指示・注意指導において最も基本的かつ効果的な方法が、会議室など個室に呼んで、改まった雰囲気の中でしっかり話すことです。

重要なのは「早い段階で行う」という点です。問題がエスカレートしてからでは、会議室への呼び出しすら応じない状況になることがあります。早い段階であれば、会議室に来てもらえることがほとんどです。

面と向かって人と話すことが得意な経営者・管理職の方であれば、会議室での面談が最も効果的です。対人能力の高い方が直接会って話せば、多くの問題社員は言うことを聞くようになります。軽く声をかけるのではなく、しっかり会議室に呼んで話すことで、劇的な効果が生まれることがあります。

3. Zoom・Teamsの活用——慣れているなら対面と同等の効果

遠隔地の社員やテレワーク中の社員に対しては、ZoomやTeamsを活用する方法があります。これで効果があるかどうかは、使う側の慣れと得意不得意によります。

Zoom・Teamsの活用可否の目安

Zoomに慣れていて違和感がない方 実際に会った時とほぼ同等の効果が期待できる。積極的に活用してよい
Zoomに違和感がある・対面の方が得意な方 その直感は正しい。実際に会って話す方法を優先する。Zoomは通常業務で慣れてから活用を検討する

長年身につけてきた自分の得意なやり方で臨むことが、問題社員への指示・説得においては最も重要です。新しいツールへの挑戦は通常業務で練習を積んだ後、比較的問題の程度が軽い相手に試すところから始めてください。

4. 電話も有効——長年の経験が活きる

電話は音声のみのコミュニケーションですが、声のトーンや話し方も伝わるため、一定の効果があります。特に電話での対話に長年慣れてきた経営者の方であれば、電話でも十分に説得できることがあります。

Zoomなどのオンラインツールに違和感があるが、遠隔地の相手に話す必要がある場合は、電話を活用することも選択肢の一つです。

5. メール単独指示が失敗しやすい理由

メールで指示内容を伝えることには「形に残る」というメリットがあります。しかし、メールだけで指示を出すことには大きな問題があります。

メール単独指示の問題点

  • 言うことを聞かない問題社員に対してメールだけでは効果が薄い
  • 「社長が怖くて直接話せないんだろう」「自分のことを避けているんだろう」と受け取られる可能性がある
  • 相手がメールを無視したり、長文の言い訳メールを送ってきたりして問題がこじれることがある
  • 「文面でのやり取りしかできないなら、まともに会話できないのでは」と裁判官に見られるリスクがある

面談での対話と組み合わせてメールを使うことは非常に有効です。しかしメールだけでは問題解決になりません。口頭(面談・電話・Zoom等)との合わせ技が基本です。

6. 書面だけの指示も同じ問題がある

弁護士に相談すると、厳重注意書や懲戒処分通知書などの書面で通知しましょうとアドバイスされることがあります。これは証拠として非常に有効な手段ですが、書面を渡すだけで口頭での指導をほとんど行っていないケースは問題があります。

書面だけで渡されても、本人に行動を直してもらう気がないのではないかと見えることがあります。また、単なるアリバイ作り・証拠作りにしか見えないこともあります。

お客様に商品を買っていただく時のことを想像してください。魅力的な営業レターを送ることは良いことですが、問い合わせが来たら実際に話せなければ意味がありません。書面での指示や注意指導も、口頭でのコミュニケーションと組み合わせることで初めて効果を発揮します。

7. 労働契約の本質——指揮命令を効果的に行う力を磨く

そもそも労働契約・雇用契約とは何でしょうか。給料を払うことによって指揮命令をして仕事をしてもらう契約です。つまり、指揮命令を効果的にできなければ会社は機能しないというのが労働契約の本質です。

その指揮命令の手段として書面・メールを見た場合、本当にそれだけで言うことを聞いてもらえるでしょうか。家族に旅行の計画を提案する時、資料を見せながら話すから「いいね」という反応が得られます。書面を黙って渡すだけでは納得が得られないのと同じように、労働契約における指揮命令も、口頭でのコミュニケーションが中心になければなりません。

指揮命令を効果的に行う力を磨くこと——これが問題社員に言うことを聞いてもらうための根本的な解決策です。

8. まとめ

  1. 指示の伝え方を変える——立ち話ではなく会議室に呼んで改まった雰囲気でしっかり話す
  2. 早い段階で面談する——エスカレートしてからでは会議室への呼び出しも困難になる
  3. Zoom・Teamsは慣れている人には対面と同等の効果——自分の得意な手段で臨む
  4. メール・書面単独の指示は失敗しやすい——口頭コミュニケーションとの合わせ技が基本
  5. 労働契約の本質を理解する——指揮命令を効果的に行う力を磨くことが会社経営の根幹

問題社員への対応でお悩みの経営者の皆様は、ぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士 藤田 進太郎

監修者弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 会議室に呼ぼうとしても「なぜ会議室に行かなければならないのか」と言って来ない社員がいます。どうすればよいですか。

A. 会議室への呼び出しを拒否する場合、それ自体が業務命令拒否として問題になる可能性があります。「上司からの呼び出しに応じること」は業務上の合理的な指示です。拒否する場合はその旨を記録に残し、弁護士に相談の上で対応を検討してください。なお、こうした状況は問題がエスカレートしたサインでもありますので、早期に弁護士に相談することをお勧めします。

Q2. メールで指示を出した記録はありますが、口頭での指導記録がありません。証拠として使えますか。

A. メールの記録は証拠として一定の価値があります。ただし、メールだけで口頭指導がなかった場合、「本当に行動改善を求めていたのか」という点で評価が下がることがあります。今後は口頭での面談とメールを組み合わせた対応を行い、面談の内容をメールで記録として残していくことをお勧めします。具体的な対応については弁護士に相談してください。

最終更新日:2026年4月30日


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