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本ページの基となる解説動画
本ページの解説内容は、以下の藤田進太郎弁護士による解説動画を素材として、当事務所が文章化しているものです。本ページの記載と動画の内容に齟齬がある場合や、より詳しい解説をご覧になりたい場合は、動画を直接ご視聴ください。
周囲に配慮することも仕事の一部
よかれと思ってやっている、だから厄介
仕事を真面目にやることは大事です。しかし、「みんな真面目にやりましょう」というタイプの人で、パワハラまがいの言動を繰り返してしまう方がたまにいらっしゃいます。こういった方は、周りの人がいい加減な仕事をしているように見えているのでしょう。ご本人はよかれと思って、いい職場にしよう、しっかり仕事をやろうというつもりでやっているのです。
しかし結果として周りの方々が嫌な思いをします。場合によってはメンタル不調になる方が出てくることもありますし、職場の生産性を落としてしまうこともあります。仕事をきっちりやろうと思ってパワハラまがいの言動を繰り返した結果、周りの人が出勤できなくなったら本末転倒です。そしてそうなった時に「自分は悪くない、あいつらが悪いんだ、あいつらがいい加減だからこうなったんだ」という意識を持たれたら本当に困るのです。
そもそも周囲に配慮することも仕事の一部
労働契約というのは、単にどんな態度でもいいから仕事さえすればよいというものではありません。周りの方に嫌な思いをさせないよう、職場の秩序をしっかり守った上で、周りの足を引っ張らない形で仕事をしなければならないのです。周囲に配慮して仕事をすること、それ自体が仕事の一部です。自分の作業さえこなせばいいというものではなく、周りの職場の方々に配慮した言動を選ぶことも仕事に含まれるのです。
社長の目から見て「これはパワハラまがいだな」と思うぐらいのものであれば、大体もうアウトです。そこはやめさせなければなりません。周りの社員たちを守ってあげなければいけません。
「注意指導」ではなく「教育指導」として進める
この方は「勘違い」をしている
こういった方に対しては、単なる「注意指導」ではなく「教育指導」として取り組むことをおすすめします。なぜわざわざ「教育」と言うかというと、この方はルールを分かっているのにルール違反をしたわけではなく、そもそも勘違いをしているからです。自分の言ったりやったりしていることが正当なものだと思っている。仕事を真面目にやっているからこうなっているだけで、真面目にやっていない周りの人間こそ問題だという意識でやっています。ですから、メインの考え方としてはまず勘違いを解いてあげなければならないのです。
「普通に考えれば分かるでしょう」は通じない
「最近評判悪いよ」「言葉気をつけたらどうなの」と遠回しにぼんやり伝えても、こういったタイプの方にはまず通じません。「社長は自分のことが嫌いだからわざと嫌がらせしてきているんだな」としか思われないことが普通です。
さらに厄介なのは、「普通に考えれば分かるでしょう」「常識で考えればこうでしょう」と言っても効果がないということです。「自分の頭で考えて行動してください」という指導も通用しません。分かるぐらいなら最初からやっていないのです。ちょうど小学校の勉強をやる前に大学の勉強をさせようとしても無理なのと同じで、まず基礎の部分をやっていただかなければ、その上のことはできません。
具体的な事実と具体的な指導がポイント
対応方法としては、しっかり会議室などに呼んで面談で話すことをおすすめします。「あなたが今日の何時頃、どこで、誰に、どんな風に何をやったことが、こういう理由で問題だから、こういう風に改善しなさい」と、具体的な題材を用いてしっかり教育指導すると、ある程度理解してもらえることが多いです。
「いつもパワハラっぽいことをやってるよね」では何のことを言っているのか分かりません。何が問題なのか、具体的にどうすれば良かったのか、何をやめれば良かったのかをしっかり伝えてください。そして本人の言い分も聞いてあげてください。「何か言い分ありますか」と聞いた上で、改善の方向を具体的に示していくのです。
ポイントは「具体的な事実」と「具体的な指導」です。社長としては「自分の頭で考えて動いてほしい」という思いがあるのはよく分かります。しかしこの方はまだそこまでのレベルに達していません。まず具体的な指導でベースとなる部分を押さえて、ある程度できるようになってから、さらに上を目指す段階で「自分の頭で考えさせる」ことをやっていくべきです。その手順を間違えないようにしてください。
教育指導しても改善しない場合の対処
マネジメントに適性がない方を管理職につけていないか
教育指導を繰り返しても改善しない場合はあります。そもそもこういった方は人間関係が苦手である可能性が高いのです。プレイヤーとして仕事させたら出来が良かったので管理職につけたけれども、マネジメント能力は別の話です。対人関係に関して適性が低い方を管理職につけてマネジメント的なことをやらせようとしたらトラブルになっている、というケースはよく見かける問題です。
マネジメントに適性がない方は、スタートのレベルが低い上に、学習のスピードも遅いです。適性がある方は最初から高い水準からスタートして経験の中で早く成長していきますが、適性がない方はその逆です。周りの方がメンタル不調になるような状況にまでなっているのであれば、管理職から外して周りの社員たちを守ってあげることも選択肢として考える必要があります。
厳重注意書、そして懲戒処分へ
パワハラまがいの言動が職場秩序を乱しているようであれば、教育指導だけでなく、まずは最低限厳重注意を行う必要があります。会議室に呼んで、「いつもパワハラっぽいことをやっている」ではなく、「今日の何時頃、誰に、どんな風に何をやったことが問題だ」という具体的な言動を指摘して、「それはダメです、こういう風にしなければなりません」としっかり口頭で注意します。これを繰り返すとある程度はマシになることが多いです。
それでも治らない場合は厳重注意書を交付します。ここでも大事なのは具体性です。対人関係に関して適性が高くない方は抽象的な日本語では理解できませんから、何月何日の何時頃どこで何をどのようにやったのが問題なのか、具体的に何をどうすれば良かったのか、何をしてはいけなかったのかまでしっかり書きましょう。
懲戒処分通知書を作成する場合も同じ考え方です。何月何日何時頃、誰にどのように何をやったことが問題で、具体的にどのようにすれば良かったのか、どうすべきだったのにしなかったのか、してはいけないことをしてしまったのかまで書くと、単に懲戒処分を行ったという記録を残すだけでなく、教育効果の高い懲戒処分になります。こうした教育効果の高い対応をしっかり積み重ねているということは、その後のより重い懲戒処分や解雇の場面でも大きな意味を持ってきます。
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当事務所のサポート体制と監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所は、会社側(使用者側)専門の法律事務所として、パワハラまがいの言動を繰り返す社員への教育指導、厳重注意書や懲戒処分通知書の作成、管理職から外す判断まで、日常的にサポートしています。具体的な事実の整理の仕方、具体的にどのような言葉で教育指導すべきかが分からないという場合は、聞き取り調査を行った上で厳重注意書や懲戒処分通知書を会社の名前で作成することもできますのでご相談ください。
こういった方は多くの場合、悪気がありません。よかれと思って、真剣に、真面目にやった結果がこうなっているのです。だからこそ厄介ですし、だからこそ抽象的な注意ではなく具体的な教育が必要なのです。周りの社員たちをメンタル不調から守ってあげるためにも、そしてこのパワハラまがいの社員にも改善してもらうためにも、しっかり対応していきましょう。
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
よくあるご質問
Q. 本人は「自分は仕事を真面目にやっているだけだ」と主張しています。
周囲に配慮して仕事をすること自体が仕事の一部です。自分の作業をこなすだけでなく、周りの職場の方々に配慮した言動を選ぶことも含めて「仕事を真面目にやる」ということなのだと理解してもらう必要があります。その際、抽象的に伝えても通じませんので、具体的な事実をもとに何が問題でどう改善すべきかを説明してください。
Q. 「常識で考えれば分かるでしょう」と言っても通じません。
こういったタイプの方に抽象的な指導はほぼ効果がありません。分かるぐらいなら最初からやっていないのです。「あなたが今日の何時頃、誰に対して、どのように何をやったことが問題です。こういう風に改善してください」と、具体的な事実と具体的な改善策をセットで伝えるようにしてください。
Q. 教育指導を繰り返しても改善しません。どうすればいいですか。
マネジメントに適性がない可能性があります。管理職から外して周りの社員を守ることも選択肢です。また、厳重注意書の交付や懲戒処分に進む場合も、具体的な事実を記載して教育効果の高い内容にすることが重要です。やり方が分からない場合は弁護士にご相談ください。
Q. 遠方の会社ですが、相談できますか。
対応しております。事務所会議室での対面相談のほか、ZoomやTeamsによるオンライン相談を実施しており、日本全国各地の会社経営者からのご相談を承っています。
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