無断欠勤・年休使い切りへの対応

 

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無断欠勤・年休使い切りへの対応。
権利と義務違反の区別から
処分の可否までを解説します。

無断欠勤、事前連絡はあるが欠勤を繰り返す、毎年年次有給休暇を使い切った上でさらに欠勤する、といった類型は、一見似ているようで契約論的に別個の評価を受ける行為です。年次有給休暇の取得は労働者の権利であり、使い切ること自体を処分対象とすることはできません。他方、連絡義務違反を伴う無断欠勤や、年休消化後のサボりによる欠勤については、段階的な注意指導・懲戒処分の対象となり得ます。本ページでは、各類型の法的評価、処分の可否、経営者として避けるべき発言、実務上の対応手順を、会社側専門の弁護士が会社経営者向けに解説いたします。

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本ページの基となる解説動画

 

 本ページの解説内容は、藤田進太郎弁護士による解説動画「無断ではないが欠勤を繰り返す社員の対処法」「会社に全く連絡せずに1週間以上も欠勤を続ける社員の対処法」「毎年年休を使い切り欠勤する社員の対処法」を素材として、当事務所が文章化しているものです。本ページの記載と動画の内容に齟齬がある場合や、より詳しい解説をご覧になりたい場合は、動画を直接ご視聴ください。

本記事の要点

年次有給休暇の取得及び使い切りは労働基準法第39条に基づく労働者の権利であり、これ自体を処分対象とすることはできません。経営者として「年休を取っておいたら」といった発言は、権利行使の妨害と評価されるおそれがあり、避けるべきです。処分の可否が検討されるのは、年休消化後の欠勤部分、無断欠勤における連絡義務違反、及びサボりによる欠勤です。欠勤の原因が傷病であれば、傷病休職制度の有無にかかわらず、原則として懲戒処分の対象とはならず、ノーワーク・ノーペイ、人事評価、休職、満了退職等の枠組みで対応します。各類型の契約論的評価を正確に区別することが、対応の出発点となります。

CHAPTER 01

三つの類型と契約論的評価の違い

 

 本ページで取り扱う欠勤事案は、外形上は類似しているものの、契約論的評価が根本的に異なる三つの類型に整理されます。各類型の性質を正確に区別することが、対応方針を正しく設計する出発点となります。

第一類型:無断欠勤

 無断欠勤は、会社への事前連絡をせず、所定労働日に出勤しない行為です。単純な欠勤(労務不履行)に加えて、連絡義務違反を伴う点で、通常の欠勤よりも重い契約違反として評価されます。極端な事例として、1週間以上連絡がないまま欠勤が継続する類型があり、この場合、事件・事故の可能性の検討、安否確認、雇用契約の整理といった複合的対応を要することとなります。

第二類型:連絡ありの反復欠勤

 連絡はあるが欠勤を繰り返す類型は、事前連絡自体は行われているものの、頻度・継続性・理由の妥当性に問題が認められる事案です。連絡義務違反は存在しないため、無断欠勤よりも処分の根拠は弱くなりますが、欠勤理由が合理的でない場合や業務への支障が重大である場合には、段階的注意指導・懲戒処分の対象となり得ます。

第三類型:年休使い切り後の欠勤

 毎年年次有給休暇を使い切った上でさらに欠勤する類型は、特に注意を要する構造を持ちます。年次有給休暇の取得及び使い切りは労働者の権利であり、それ自体を処分対象とすることは一切できません。処分の可否が検討されるのは、あくまで年休消化後の欠勤部分についてのみであり、その欠勤がサボりによるものか、体調不良によるものかによって対応が大きく異なります。

評価を誤ると処分が無効になる

 これらの類型を混同し、例えば年休使い切り自体を処分対象とみなした場合、処分の有効性が根本から否定されます。同様に、体調不良による欠勤をサボりとして扱った場合、処分は無効となり、会社側のハラスメント責任すら問われかねません。各類型の性質を正確に把握した上で、適切な対応方針を選択することが不可欠です。

CHAPTER 02

無断欠勤の契約論的位置づけと連絡義務

 

 無断欠勤は、労務提供義務の不履行に加えて連絡義務違反を伴う、二重の契約違反として評価される行為です。連絡義務は、労働契約上の信義則及び就業規則に基づき、労働者が当然に負う義務として位置づけられます。

連絡義務の実務上の内容

 連絡義務の内容は、就業規則に定められていることが一般的です。「やむを得ない事由により欠勤する場合は、始業時刻前までに所属長に連絡すること」等の規定が典型です。就業規則に明示的規定がない場合でも、社会通念上、出勤できない事情が生じた際には速やかに会社に連絡することが労働者としての基本的義務として認められています。

 連絡手段は、電話、メール、社内メッセンジャー等、会社で通常用いられているチャネルを通じて行うのが原則です。体調不良等で電話が困難な場合にはメールでの連絡、メール送信も困難な場合には家族による代理連絡といった、状況に応じた柔軟な対応も認められます。しかし、一切の連絡を行わないのは義務違反となります。

無断欠勤が与える職場への影響

 無断欠勤は、労務不履行による業務支障に加えて、職場秩序への影響が重大です。「連絡すらなく休む社員を放置している」という状態は、周囲の真面目に勤務する社員の不満を蓄積させ、「自分たちだけが連絡義務を守るのは不公平だ」という感情を招きます。他の社員の勤怠意識にも悪影響を及ぼすため、会社として毅然とした対応が求められます。

無断欠勤への段階的対応

 無断欠勤が初回であり短期間(1日程度)の場合、まずは事情聴取と口頭注意から始めます。事後に判明した事情により、やむを得ない事由(急病、家族の緊急事態等)が認められる場合は、連絡方法の確認と再発防止の申し合わせで足ります。他方、正当な理由が認められない、又は無断欠勤が複数回繰り返される場合には、書面による厳重注意、段階的懲戒処分(譴責・減給・出勤停止)へと進みます。

 無断欠勤が長期(1週間以上)に及ぶ場合は、対応の性質が異なります。次章で詳述します。

CHAPTER 03

1週間以上連絡のない欠勤への対応

 

 会社への連絡が一切なく、1週間以上の欠勤が継続している事案は、通常の欠勤対応とは異なる性質を持ちます。事件・事故の可能性、健康上の重大な問題、メンタル不調による引きこもり等、事態の深刻性を想定した多角的対応が必要となります。

安否確認が第一優先

 長期の無連絡欠勤事案では、「当たり前のことを当たり前にやる」という基本姿勢が極めて重要です。電話、メール、社内メッセンジャー等の通常手段を継続的に試み、それでも連絡が取れない場合には、自宅訪問、身元保証人・家族への連絡を検討します。連絡努力の記録化は、後の雇用契約整理の際の基礎となります。

 長期勤続の正社員が突然連絡を断つのは、通常考えにくい行動であり、事件・事故やメンタル不調等の深刻な事情を疑うのが合理的です。会社として安否を気遣い、連絡努力を丁寧に重ねる姿勢は、本人及び家族との関係維持、後の紛争予防の双方に資します。

雇用契約の整理の選択肢

 連絡努力を尽くしても進展が見られず、欠勤が相当期間(1か月以上等)継続した場合、雇用契約の整理に進みます。選択肢としては、①解雇による終了(意思表示の到達)、②簡易裁判所の「公示送達」を活用した解雇、③就業規則上の自然退職規定の適用があります。本人の所在、就業規則の整備状況、会社のコンプライアンス要請水準に応じて、適切な選択を行います。

 詳細な手順については、関連ページ「出社しなくなり連絡が取れない社員への対応」で解説しております。本ページでは契約整理の概要のみを扱い、詳細は関連ページに譲ります。

就業規則への自然退職規定の整備

 将来の同種事案への備えとして、「会社と連絡が取れず、無断欠勤が30日を超えて継続した場合は、当該期間満了の日をもって自然退職とする」旨の自然退職規定を就業規則に整備しておくことが実務上有効です。自然退職規定は、要件充足により当然に効果が生じるため、解雇の意思表示の到達の問題を回避でき、長期無連絡欠勤事案への対応手段として機能します。

CHAPTER 04

連絡はあるが欠勤を繰り返す社員への対応

 

 事前連絡は行われているものの、欠勤が反復的に継続する類型は、無断欠勤とは別の対応を要します。連絡義務違反が存在しないため、処分の根拠は欠勤そのものの労務不履行に限定され、対応の性質も段階的注意指導を中心とするものとなります。

欠勤理由の確認

 連絡があるタイプの欠勤では、本人から欠勤理由の申告がなされているのが通常です。申告理由としては、体調不良、家族の都合、私的用事等が挙げられます。欠勤事案への対応の第一歩は、この申告理由の妥当性の検討です。

 体調不良の申告が継続する場合には、診断書の提出要請、産業医面談の勧奨等により医学的判断を得ます。関連ページ「仮病・体調不良が疑わしい欠勤への対応」で詳述しております。家族の都合や私的用事が理由として挙げられる場合、その妥当性を事案ごとに評価します。

頻度・継続性・業務への影響

 欠勤の頻度、継続性、業務への影響の程度は、対応水準の判断要素となります。月1回程度の欠勤が一時的に続いているだけであれば、特段の処分は要しません。他方、月5日以上、半年以上継続するような状態であれば、周囲の社員の負担が蓄積しており、業務の円滑な遂行に重大な影響が生じているため、段階的対応を検討する必要があります。

段階的対応の手順

 連絡ありの反復欠勤への段階的対応は、他の欠勤類型と同様の基本構造に従います。第一に事情聴取による理由の確認、第二に口頭での改善要請、第三に書面による厳重注意、第四に段階的懲戒処分(譴責・減給・出勤停止)、最終的には退職勧奨又は解雇へと進みます。

 各段階で、欠勤事実の記録化、指導内容の記録化、書面交付の証拠化を丁寧に積み重ねます。これにより、後の処分の有効性を基礎づける証拠基盤が整います。

CHAPTER 05

年次有給休暇の使い切りは労働者の権利

 

 年次有給休暇を毎年使い切る社員について、「欠勤に備えて年休を取っておくべきだ」という感覚を持たれる経営者は少なくありません。しかし、年次有給休暇の取得及び使い切りは、労働基準法第39条に基づく労働者の法定の権利であり、会社が制限できるものではありません。

年休取得の法的性質

 年次有給休暇は、労働者が時季を指定して取得の意思表示を行うことにより成立する、法定の権利です(労働基準法第39条)。取得理由を問うことは原則として許されず、会社に認められるのは時季変更権のみです(業務の正常な運営を妨げる場合)。

 付与された年休を全て消化することは、労働者の権利行使として当然認められます。「将来の欠勤に備えて取っておく」「会社のために残しておく」といった行動は美徳ではあるかもしれませんが、それを労働者に求めることは法的に根拠を欠きます

経営者として避けるべき発言

 年休を毎年使い切る社員に対して、経営者や管理職が「年休を取っておいたらどうか」「使い切るのは問題ではないか」といった発言を行うことは、実務上お勧めできません。発言者本人は助言のつもりでも、労働者の側には権利行使への圧力として受け取られるおそれがあり、パワーハラスメント、権利濫用の妨害等として問題化するリスクがあります。

 特に社長や経営陣が直接こうした発言を行うと、会社全体としての方針と受け取られやすく、他の社員にも影響が及びます。結果として、「年休を取得しにくい職場」としての企業イメージが定着し、採用面でもマイナス影響が生じます。

事後的な人事評価での反映は可能

 事前に年休取得を抑制する発言は避けるべきですが、事後的に、年休消化後の欠勤の多さを人事評価に反映することは可能です。「年休使用後の欠勤が多く、業務への支障が大きかった」という事実に基づき、賞与額、昇給、人事評価等で合理的な差別化を行うことは、年休取得への圧力とは区別される適法な経営判断です。

 この場合も、評価の根拠を客観的事実(年休消化後の欠勤日数、業務への支障の程度等)に限定し、「年休を使い切った」こと自体を評価下げの理由としないよう、運用を慎重に行う必要があります。

CHAPTER 06

年休消化後の欠勤の性格判断

 

 処分の可否が検討されるのは、年次有給休暇を全て消化した後の欠勤についてです。この欠勤が「サボりによるものか、体調不良によるものか」の判断が、以後の対応方針を決定します。

サボりによる欠勤

 体調上の問題がなく、ルール違反・怠慢により欠勤している類型は、労働契約上の債務不履行として正面から処分対象となります。事情聴取、注意指導、書面による厳重注意、段階的懲戒処分という通常のルール違反型対応の手順を踏みます。

 処分の重さは、欠勤日数、業務への支障の程度、本人の責任ポジション等を総合考慮して決定します。軽微な1日欠勤であれば口頭注意で足りる場合もありますが、業務に重大な支障を及ぼした場合、特に責任のあるポジションの社員が重要業務を放置して欠勤した場合には、より重い処分が相当となります。

体調不良による欠勤

 他方、年休消化後の欠勤が体調不良を理由とするものである場合、対応方針は根本的に異なります。体調不良により「出勤したくてもできない状態」で欠勤している場合、これを労働契約上の義務違反として処分対象とすることは、実務上困難となります。本人に責められるべき帰責事由が薄いためです。

 この場合の会社側の対応としては、ノーワーク・ノーペイの原則に基づく賃金控除、人事評価での反映、傷病休職制度の活用、休職期間満了による退職又は普通解雇が中心となります。懲戒処分は原則として選択しません。

サボりと体調不良の区別が判定困難な事案

 本人が体調不良を主張しているものの、真偽が判然としない事案については、診断書提出要請、産業医面談、継続的な面談と観察により客観的事実を積み上げる必要があります。真に体調不良であれば休職・退職の方向に切り替え、サボりであることが明確となれば懲戒処分の対象とする、という段階的確認を経て対応を進めます。詳細は、関連ページ「仮病・体調不良が疑わしい欠勤への対応」をご参照ください。

CHAPTER 07

サボり欠勤への段階的処分

 

 サボりによる欠勤が確認された事案への対応としては、段階的な処分運用が原則となります。日数、業務への影響、本人のポジション等を考慮しつつ、軽い対応から重い対応へと段階的に進める運用が、有効性と実効性の両立を図る実務の標準です。

日数と重大性の関係

 サボり欠勤の日数と重大性の関係については、人事院「懲戒処分の指針」が参考となります。同指針によれば、正当な理由なく10日以内の欠勤で減給又は戒告、11日以上20日以内で停職又は減給、21日以上で免職又は停職が標準とされています。民間企業における対応の目安として、この水準を基準に、事案の個別事情を踏まえた判断を行います。

 もっとも、日数だけが判断要素ではなく、業務への悪影響の程度、本人の責任ポジションも重要な考慮要素です。平社員が1日サボった事案と、部長が重要プロジェクトを放棄して1日サボった事案では、同じ1日でも評価が異なります。後者では、業務への悪影響が深刻であるため、より重い処分が正当化される場合があります。

軽微な事案では処分をしない選択もある

 平社員やパート・アルバイト等、責任ポジションが相対的に軽く、業務への影響も小さい事案については、口頭注意、厳重注意、人事評価への反映等で対応し、懲戒処分までは行わない選択もあり得ます。ノーワーク・ノーペイにより賃金が支払われないこと自体が一定のペナルティとして機能するため、軽微事案で重い処分を選択する実務的必要性は低い場合があるためです。

 いきなり重い処分を課すと懲戒権濫用と評価されるリスクがあるため、段階的進行を原則とします。譴責・減給・出勤停止の順に運用し、改善が見られない場合に段階を上げます。

解雇の検討

 段階的処分を繰り返しても改善が見られない場合、又は欠勤の程度が甚だしく業務への重大な支障が継続している場合には、退職勧奨又は解雇の検討に進みます。サボり欠勤事案における解雇の実務選択は、普通解雇(予告解雇)が標準です。関連ページ「欠勤・遅刻・早退を繰り返す社員への対応」(柱ページ)で解雇判断の実務を詳述しております。

CHAPTER 08

傷病欠勤と休職制度の関係

 

 体調不良を理由とする欠勤(傷病欠勤)への対応は、傷病休職制度の有無によって具体的手順が異なります。本章では、傷病休職制度がある会社とない会社それぞれの対応を整理いたします。

傷病休職制度がある会社の対応

 一定以上の規模の会社では、就業規則に傷病休職制度を設けていることが多くあります。典型的な規定は「傷病により欠勤が引き続き1ヶ月に達したとき、会社は休職を命ずることができる」という形式です。

 この規定の下では、一定期間の欠勤(通常1ヶ月程度)は制度設計上予定された期間であり、当該期間内の傷病欠勤自体は懲戒処分の対象とはなりません。欠勤期間中の賃金は、ノーワーク・ノーペイの原則により支払われないのが通常で、この賃金控除が本人にとっての実質的な影響となります。

 欠勤要件(例:連続1ヶ月)に達した段階で、会社は休職命令を発することができます。休職期間中も回復しない場合、休職期間満了により自動退職又は解雇となるのが一般的です。詳細は関連ページ「休職開始の判断」をご参照ください。

傷病休職制度がない会社の対応

 就業規則に傷病休職制度を設けていない会社もあります。この場合でも、体調不良による欠勤を直ちに懲戒処分の対象とすることは困難です。「出勤したくてもできない」状態であれば、本人の帰責事由が薄く、処分の有効性を基礎づけにくいためです。

 傷病休職制度がない会社における傷病欠勤への対応は、ノーワーク・ノーペイによる賃金控除と、欠勤が長期化した場合の普通解雇が中心となります。「あまりにも長期の欠勤が継続しており、労働契約上の労務提供が実質的に不可能な状態」と評価できる段階に至れば、普通解雇を検討する余地が生じます。ただし、他の社員との平等取扱いの観点も踏まえた慎重な判断が必要であり、弁護士との相談が不可欠です。

傷病休職制度の新設検討

 傷病休職制度がない会社において、本類型の事案が生じた場合、将来への備えとして休職制度の新設を検討することが有益です。休職制度は、傷病欠勤が長期化した場合の雇用契約終了のルールを明確化でき、会社にとっても本人にとっても予測可能性の高い運用を実現します。

傷病手当金の案内

 傷病欠勤が長期化する社員に対しては、健康保険制度上の傷病手当金の案内を行うことも実務上有益です。傷病手当金は、業務外の傷病により労務不能となった被保険者に対し、欠勤4日目以降について標準報酬日額の3分の2相当額を支給する制度です。本人の生活保障の観点からも、制度の存在を案内することは会社としての配慮となります。

CHAPTER 09

当事務所のサポート体制

 

 弁護士法人四谷麹町法律事務所は、会社側(使用者側)の労働問題に特化した法律事務所です。無断欠勤・連絡不通事案、連絡はあるが反復欠勤する事案、年休使い切り後の欠勤事案、傷病欠勤事案のいずれについても、事案発生初期からの助言、通知書・処分書の作成、就業規則の改訂、雇用契約整理、紛争化時の労働審判・訴訟対応まで、一貫してサポートいたします。

 当事務所では、オンライン打合せを活用した継続的支援を多く採用しております。Zoom等を用いた30分単位のオンライン打合せを、事案の進行に応じて随時実施し、局面ごとに具体的助言を提供いたします。「弁護士に依頼する」というより「弁護士と並走する」イメージで、経営者が判断を孤立して抱え込むことがない体制を整えております。

具体的な支援内容

 第一に、類型の見極めと対応方針の設計です。無断欠勤・連絡ありの反復欠勤・年休使い切り・傷病欠勤のいずれに該当するかを正確に判定し、類型ごとに最適な対応方針を設計いたします。

 第二に、注意指導・懲戒処分の文書作成です。厳重注意書、懲戒処分通知書、退職合意書、解雇通知書等を、事案に即して作成又はレビューいたします。

 第三に、就業規則の点検・改訂です。自然退職規定、傷病休職制度、欠勤の取扱い、連絡義務規定、診断書提出規定等について、実務で機能する内容となっているかを点検し、必要に応じて改訂案をご提案いたします。

 第四に、紛争化時の対応です。労働審判、訴訟、労働組合との団体交渉等が生じた場合、事案発生当初から関与してきた同じ弁護士チームが一貫して対応いたします。

関連ページ 欠勤・遅刻・早退対応の全体像については「欠勤・遅刻・早退を繰り返す社員への対応」(柱ページ)、遅刻事案については「遅刻を繰り返す社員への対応」、仮病・体調不良が疑わしい事案については「仮病・体調不良が疑わしい欠勤への対応」、突然出社しなくなった社員については「出社しなくなり連絡が取れない社員への対応」もあわせてご参照ください。

Q & A

よくあるご質問

 

Q.毎年年次有給休暇を使い切り、さらに欠勤する社員がいます。年休使い切り自体を処分対象にできますか。

A.年次有給休暇の取得及び使い切りは労働基準法第39条に基づく労働者の権利であり、これ自体を処分対象とすることはできません。処分の可否が検討されるのは、あくまで年休消化後の欠勤部分についてです。欠勤がサボりによるものか体調不良によるものかを見極めた上で、それぞれに応じた対応を組み立てることとなります。

Q.「年休を使い切るのはやめて、将来に備えて取っておいたら」と本人に言うことは問題ありますか。

A.お勧めできません。権利行使への圧力として受け取られる可能性があり、パワーハラスメント、権利行使の妨害として問題化するリスクがあります。特に社長や経営陣からの発言は、会社としての方針と受け取られやすく、他の社員にも影響が及びます。年休取得は気持ちよく認めることで、良い職場・良い会社のイメージを維持することが結果的に有益です。処分の検討は、年休消化後の欠勤部分に絞って行ってください。

Q.社員が1週間以上連絡なく欠勤しています。どう対応すべきでしょうか。

A.まず電話・メール・SNS等の通常手段による連絡努力を継続し、それでも進展がない場合には自宅訪問、身元保証人・家族への連絡を検討します。事件・事故・健康上の重大な問題の可能性を想定した慎重な対応が必要です。欠勤が相当期間(1か月以上)継続した場合、雇用契約の整理(解雇、公示送達、就業規則の自然退職規定の適用)に進みます。詳細は関連ページ「出社しなくなり連絡が取れない社員への対応」をご参照ください。

Q.事前連絡はあるのですが欠勤が多い社員について、懲戒処分はできますか。

A.連絡があることから無断欠勤よりは処分の根拠が弱くなりますが、欠勤理由が合理的でない場合や業務への支障が重大な場合には、段階的注意指導・懲戒処分の対象となり得ます。まず事情聴取で理由の妥当性を確認し、必要に応じて診断書提出要請、産業医面談等により客観的事実を積み上げた上で、口頭注意・厳重注意・懲戒処分の段階を踏んで対応を進めます。

Q.体調不良による欠勤が続いている社員について、懲戒処分や解雇はできますか。

A.体調不良による欠勤は、「出勤したくてもできない」状態であり本人の帰責事由が薄いため、懲戒処分を行うことは実務上困難です。対応の中心は、ノーワーク・ノーペイによる賃金控除、人事評価への反映、傷病休職制度の適用、休職期間満了による退職又は普通解雇となります。傷病休職制度がある会社では、欠勤要件を満たした段階で休職命令を発し、満了までに回復しない場合の退職処理を行います。

Q.就業規則に傷病休職制度を設けていません。傷病欠勤が長期化した場合、どう対応すべきでしょうか。

A.傷病休職制度がない会社では、ノーワーク・ノーペイによる賃金控除を行いながら、欠勤が相当期間継続した段階で普通解雇の検討に進みます。「あまりにも長期の欠勤が続いており、労働契約上の労務提供が実質的に不可能な状態」と評価できる段階で、他の社員との平等取扱いも踏まえて判断します。将来の同種事案への備えとして、傷病休職制度の新設を検討することをお勧めいたします。

Q.就業規則に自然退職規定を設けたいと考えています。どのような条文が適切でしょうか。

A.典型的な条文例として、「会社と連絡が取れず、正当な理由なく欠勤が30日(又は60日等)を超えて継続した場合、当該期間満了の日をもって自然退職とする」旨の規定が考えられます。要件(欠勤日数、連絡取れない状態、正当理由の不存在)、効果(自然退職の発生時期)、手続を明確に規定することが重要です。実効性のある条文を作成するには、会社の実情に応じた個別設計が必要ですので、弁護士と協議の上で改訂を進めることをお勧めいたします。

Q.年休消化後の欠勤を人事評価で不利に反映してもよろしいでしょうか。

A.事後的に年休消化後の欠勤の多さを人事評価に反映することは可能です。「年休消化後の欠勤が多く業務への支障が生じた」という客観的事実に基づき、賞与額、昇給、人事評価等で合理的な差別化を行うことは、権利行使への圧力とは区別される適法な経営判断です。ただし、「年休を使い切った」こと自体を評価下げの理由としないよう運用を慎重に行う必要があります。評価の根拠は、年休消化後の欠勤日数と業務への支障の程度に限定してください。

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SUPERVISOR 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

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弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

 
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最終更新日 2026/04/20