動画解説

 

1. 高圧的で異動の受入先が見つからない問題社員とは

 会社経営をしていると、周囲の社員に対して高圧的な態度を取り続ける問題社員の存在に悩まされることがあります。このような社員が職場にいると、周囲で働く社員は大きなストレスを感じることになり、職場環境が悪化してしまうことも少なくありません。

 例えば、常に偉そうな態度で話をしたり、相手の気持ちを考えずに強い言い方をしたりする社員がいると、周囲の社員は萎縮してしまいます。最初は個人的な性格の問題として見過ごされることもありますが、その状態が続くと職場の雰囲気は徐々に悪化していきます。

 このような問題社員についてよく起きるのが、異動させようとしても受入先が見つからないという状況です。高圧的な態度で周囲にストレスを与える社員だという評判が広がってしまうと、「その社員とは一緒に働きたくない」と考える部署が増えてしまいます。その結果、異動させようとしても受け入れてくれる部署が見つからないという問題が生じることがあります。

 しかし、会社経営の観点から見ると、このような状態を放置することは望ましくありません。高圧的な態度を取り続けられることも問題ですし、異動先が見つからない状態のまま組織の中に置き続けることも、組織運営の面で大きな課題になります。

 そのため会社経営者としては、このような問題社員の存在を単なる性格の問題として片付けるのではなく、職場環境や組織運営に影響を与える問題社員対応の一つとして考える必要があります。適切な対応を検討することで、職場環境の改善や組織の健全な運営につなげることが重要になります。

2. 高圧的な問題社員が職場に与える悪影響

 高圧的な態度を取る問題社員が職場にいる場合、その影響は本人と周囲の関係だけにとどまりません。職場全体の雰囲気や業務の進み方にも大きな影響を与える可能性があります。周囲の社員が日常的に威圧的な言動にさらされる状況では、安心して働くことが難しくなってしまいます。

 まず最も大きな問題は、周囲の社員に強いストレスを与えることです。常に高圧的な態度で接されると、同じ職場で働く社員は萎縮し、本来であれば自由に意見を言える場面でも発言を控えるようになってしまいます。その結果、チームとしてのコミュニケーションが円滑に進まなくなることがあります。

 また、職場の人間関係が悪化すると、仕事のパフォーマンスにも影響が出てきます。社員同士の協力が必要な業務でも連携が取りにくくなり、結果として業務効率が低下することがあります。さらに、高圧的な社員の存在が長く続くと、「この職場では働き続けられない」と感じる社員が出てくる可能性もあります。

 このような状況が広がると、問題社員の評判が社内に広まり、「あの社員とは一緒に働きたくない」という意識が生まれることがあります。その結果、異動の話が出ても受入先が見つからないという状況につながることもあります。

 会社経営者としては、高圧的な問題社員の存在が単なる人間関係の問題ではなく、職場環境や組織全体のパフォーマンスに影響する問題であることを理解することが重要です。早い段階で適切な対応を検討することで、職場環境の悪化を防ぐことにつながります。

3. なぜ異動の受入先が見つからないのか

 高圧的な態度を取る問題社員について、会社経営者がよく直面するのが異動の受入先が見つからないという問題です。一見すると人事配置の問題のようにも見えますが、その背景には職場環境や人間関係に関する事情が存在していることが多いものです。

 高圧的な社員と一緒に働くことは、多くの社員にとって大きなストレスになります。威圧的な言い方や相手の気持ちを考えない態度が続くと、周囲の社員は精神的に負担を感じやすくなります。そのため、異動の話が出たときに「その社員は受け入れたくない」と考える部署が出てくることは、決して珍しいことではありません。

 また、こうした問題社員を受け入れると、職場環境が悪化する可能性があるという懸念も生まれます。高圧的な態度が原因で人間関係のトラブルが起きたり、社員のストレスが増えたりすることが予想されるため、受入先の部署としては慎重にならざるを得ません。

 さらに重要なのは、その社員を適切に抑えることができる人物がいるかどうかという点です。高圧的な社員は、相手によって態度を変えることがあります。しっかりと注意できる上司がいる場合には問題が抑えられることもありますが、対応できる人物がいない場合には問題が拡大する可能性があります。

 このような事情が重なることで、結果として異動の受入先が見つからないという状況が生まれることがあります。会社経営者としては、この問題を単なる人事配置の問題として考えるのではなく、問題社員の行動や組織体制の問題として整理することが重要になります。

4. 問題社員を異動させる際に検討すべきポイント

 高圧的な態度を取る問題社員について異動を検討する場合、単に「別の部署へ移す」という発想だけでは問題は解決しないことが多いものです。異動の仕方を誤ると、新しい部署でも同じ問題が発生してしまう可能性があります。

 まず重要なのは、その社員の行動を適切に抑えることができる人物がいる部署かどうかを確認することです。高圧的な社員は、周囲の人が注意できない環境では同じような言動を続けてしまうことがあります。そのため、異動先には必要に応じて注意指導ができる上司や管理職がいることが望ましいでしょう。

 また、異動させる以上は、会社としてその社員に業務を担当してもらう必要があります。そのため、異動先の業務がその社員の能力や経験と大きくかけ離れている場合には、業務がうまく進まない可能性もあります。できる限り、本人の適性や能力に合った業務を担当させることが望ましいと言えます。

 一方で、高圧的な態度が極めて強く、周囲に大きな悪影響を与えている場合には、まずその態度を改めさせることを優先する必要があります。このような場合には、すぐに新しい業務で成果を上げることを期待するよりも、注意指導や教育を通じて行動を改善させることに重点を置くことも考えられます。

 会社経営者としては、異動という手段だけで問題を解決しようとするのではなく、問題社員の行動改善と組織の体制の両方を考慮しながら対応を検討することが重要になります。

5. 高圧的な態度を改善させるための注意指導

 高圧的な態度を取る problem社員について異動を検討することも一つの方法ですが、根本的な解決のためには高圧的な態度そのものを改めさせる必要があります。態度が改善されないまま異動させても、別の部署で同じ問題が発生する可能性が高いからです。

 そのため会社経営者としては、まず注意指導を通じて問題社員の行動を改善させることを検討する必要があります。高圧的な言動が周囲の社員にどのような影響を与えているのか、職場環境にとってなぜ問題なのかを具体的に説明し、行動を改めるよう求めることが重要です。

 ただし、高圧的な社員に対する注意指導は、実務上簡単ではありません。本人が自分の言動を正当化したり、強い態度で言い返してきたりするケースもあります。そのため、対応する側が精神的な負担を感じてしまうことも少なくありません。

 それでも、問題社員の行動を放置してしまえば、周囲の社員に大きなストレスを与え続けることになります。会社経営者としては、職場環境を守るためにも、必要な注意指導を行う姿勢を示すことが重要です。

 また、状況によっては口頭での注意だけでなく、厳重注意書の交付や懲戒処分などの措置を検討することもあります。こうした対応を段階的に進めていくことで、本人に問題行動を自覚させ、行動の改善につなげることが期待できます。

6. なぜ会社は高圧的な社員に対処できないのか

 高圧的な態度を取る問題社員がいるにもかかわらず、会社として十分な対応ができていないケースは決して珍しくありません。会社経営者としては困っているはずなのに、注意指導や懲戒処分などの対応が進まないことも多いものです。

 その理由の一つは、高圧的な社員に対応すること自体が大きな負担になるためです。威圧的な言動を取る社員に正面から向き合うと、対応する側が攻撃の対象になってしまう可能性もあります。そのため、関係者が関わることを避けようとしてしまい、結果として問題が先送りされることがあります。

 また、職場の立場関係も影響することがあります。例えば、問題社員が部下である場合、上司としては強く言い過ぎることでトラブルになることを懸念することがあります。逆に、同僚同士の関係であれば対処できる人でも、上下関係のある職場では対応が難しく感じられることがあります。

 さらに、会社の評価制度や組織の仕組みも関係している場合があります。問題のある社員への対応は精神的にも時間的にも大きな負担になりますが、それを行った社員が適切に評価されない会社では、積極的に対応しようとする人が現れにくくなります。結果として、誰も問題社員に向き合わない状況が生まれてしまうことがあります。

 このように、高圧的な問題社員への対応が進まない背景には、個人の問題だけでなく、組織の体制や評価の仕組みの問題が影響していることもあります。会社経営者としては、この点も踏まえて対応体制を整えることが重要になります。

7. 問題社員に対応できる管理職の配置の重要性

 高圧的な態度を取る問題社員への対応では、適切に対処できる人物を配置することが非常に重要になります。問題社員への対応は精神的な負担も大きく、対応方法を誤ると職場のトラブルがさらに拡大してしまう可能性があるためです。

 例えば、注意指導を行う立場の上司や管理職が問題社員に対して十分な指導を行えない場合、その社員の高圧的な態度は改善されにくくなります。逆に、必要な場面で「それはやめなさい」とはっきり言える人物がいる職場では、問題行動が抑えられるケースも少なくありません。

 このような人物は、単に役職が高いだけでは務まりません。相手の言い分を冷静に聞きながらも、会社として許されない行動については明確に指摘できる能力が求められます。高圧的な社員に対しても落ち着いて対応し、組織のルールを守らせることができる人物が必要になります。

 また、問題社員を異動させる場合にも、この点は非常に重要です。受入先の部署に問題社員を適切に管理できる人物がいなければ、同じ問題が繰り返される可能性が高くなります。その結果、異動先の職場環境まで悪化させてしまうことも考えられます。

 そのため会社経営者としては、問題社員への対応を個人任せにするのではなく、組織として対応できる体制を整えることが重要になります。適切な管理職を配置することで、問題社員の行動を抑制し、職場環境の悪化を防ぐことにつながります。

8. 対応できる管理職がいない場合の会社経営者の役割

 高圧的な問題社員に対応できる管理職を配置することが理想ですが、会社の規模や人員の状況によっては、そのような人物を配置することが難しい場合もあります。特に中小企業では、すべての部署に十分なマネジメント能力を持つ管理職を配置することが難しいケースも少なくありません。

 このような場合に重要になるのが、会社経営者自身が対応する覚悟を持つことです。社員を守る責任は最終的には会社経営者にあります。高圧的な社員の言動によって周囲の社員が苦しんでいる状況を放置してしまえば、職場環境は悪化し、会社全体の士気にも影響が出てしまいます。

 そのため、問題社員に対応できる人物が社内にいない場合には、会社経営者が直接注意指導を行うことも必要になります。経営者が問題に正面から向き合う姿勢を示すことで、社員は「会社は自分たちを守ってくれる」と感じるようになります。

 また、会社経営者が問題社員に対して適切に対応することで、組織全体の信頼関係が強まることもあります。周囲の社員から見れば、誰も対応できなかった問題に経営者が向き合い、状況を改善していく姿は大きな安心感につながります。

 高圧的な社員への対応は決して簡単なものではありませんが、会社経営者が主体的に関わることで、問題の改善につながるケースも少なくありません。社員が安心して働ける環境を守るという観点から、経営者としての役割を果たすことが重要になります。

9. 注意指導・懲戒処分を行う際の実務ポイント

 高圧的な態度を取る問題社員に対して注意指導を行う場合、会社としてはどのような手順で対応を進めるのかを整理しておくことが重要です。感情的に叱責するだけでは問題の改善につながらないことが多く、場合によっては職場の対立をさらに深めてしまうこともあります。

 まず基本となるのは、問題となっている言動を具体的に整理することです。どのような場面でどのような発言や態度があったのか、周囲の社員にどのような影響が出ているのかを確認したうえで、本人に説明することが必要になります。問題行動を具体的に示すことで、本人に改善すべき点を理解させやすくなります。

 次に重要なのは、口頭による注意指導をしっかり行うことです。書面による対応も重要ですが、それだけでは本人に十分な教育効果が生まれないこともあります。会議室などで面談を行い、なぜその行動が問題なのか、どのように改善すべきなのかを丁寧に伝えることが大切です。

 それでも改善が見られない場合には、厳重注意書の交付や懲戒処分などの対応を検討することになります。これらの措置を行う際には、問題となっている行動の内容や改善を求める具体的な内容を明確に記載することが重要です。どのような行動が問題であり、今後どのように改めるべきなのかを示すことで、教育的な効果も期待できます。

 注意指導や懲戒処分は、単に社員を処罰するためのものではありません。問題行動を改めさせ、職場環境を改善するための手段として位置付けることが重要です。会社経営者としては、職場全体の秩序を守るという観点から、適切な手順で対応を進めることが求められます。

10. 高圧的な問題社員の対応を弁護士に相談するメリット

 高圧的な態度を取り続ける問題社員への対応は、会社経営者にとって非常に難しい問題です。注意指導を行うべきか、異動を検討すべきか、あるいは懲戒処分を検討するべきかなど、状況によって適切な対応は大きく変わります。そのため、対応方法に迷う会社経営者も少なくありません。

 実務上よく見られるのは、社内で対応を続けているうちに問題が徐々にエスカレートし、最終的に「もう辞めさせるしかない」という段階になってから弁護士に相談するケースです。しかし、この段階ではすでに状況が深刻化していることも多く、対応の選択肢が限られてしまう場合があります。

 本来、会社経営者が目指すべきなのは、問題社員であっても適切な指導によって行動を改めさせ、会社のルールに従って働いてもらう状態にすることです。問題が大きくなる前の段階で適切な対応を行うことができれば、社員の行動が改善され、職場環境の悪化を防ぐことができる可能性があります。

 そのため、高圧的な社員への対応に悩みんでいる場合には、問題が深刻化する前に弁護士へ相談することが有効です。弁護士に相談することで、注意指導の進め方、厳重注意書の作成、懲戒処分の検討など、具体的な対応方法について実務的な助言を受けることができます。

 また、問題社員への対応では、どのタイミングでどのような措置を取るべきかを判断することが重要になります。弁護士の助言を受けながら進めることで、会社としての対応を適切に整理し、職場環境の改善につなげることができます。

 高圧的な問題社員への対応は、単なる一人の社員の問題ではありません。周囲の社員が安心して働ける職場環境を守るためにも、会社経営者として早い段階から適切な対応を検討していくことが重要です。もし対応方法に迷う場合には、問題社員対応に詳しい弁護士へ相談することも一つの有効な選択肢となります。

高圧的な問題社員対応に関するよくある質問(FAQ)

Q. 本人が「自分は正当な指導をしているだけだ」と主張して改善に応じない場合は?

A. 客観的な事実に基づき、その「指導」の態様(声の大きさ、言葉遣い、頻度)が会社として許容される範囲を超えていることを具体的に指摘する必要があります。改善が見られない場合には、就業規則に則り、段階的に懲戒処分等の措置を検討することになります。

Q. 高圧的な社員を配置転換する際、拒否された場合は強制できますか?

A. 一般的に会社には広範な人事異動の裁量が認められていますが、嫌がらせ目的や不当な動機がある場合は権利濫用とされる恐れがあります。本人の適性や、組織運営上の必要性を明確にし、適切な手続き(就業規則の根拠提示など)を踏むことが重要です。

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 /  「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

 弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

無料相談はこちら

最終更新日 2026/03/25


弁護士法人四谷麹町法律事務所

〒102-0083 東京都千代田区麹町6丁目2番6
PMO麹町2階

Copyright ©問題社員、労働審判、残業代トラブルの対応、経営労働相談|弁護士法人四谷麹町法律事務所 All Rights Reserved.
Return to Top ▲Return to Top ▲