労働契約が成立する前の段階では,原則として会社は労組法7条2項の使用者とは認められませんので団交応諾義務はありませんが,例外的に近い将来に労働契約関係が成立する可能性が現実的具体的に存在する場合には,労組法7条2項の使用者と認められますので,団交応諾義務を負うことになります。
たとえば,派遣先事業主が派遣労働者の直接雇用を決定した後に団体交渉を申し入れられた場合や,会社合併の過程で吸収会社が被吸収会社の従業員で組合を組織する労働者から合併後の労働条件について団体交渉を申し入れられた場合,会社は,近い将来に労働契約関係が成立する可能性が現実的具体的に存在する場合といえ,労組法7条2号の使用者と認められますので,団体交渉義務を負うことになります。