問題社員232 職場では体調不良なのに 週末はアクティブ。
動画解説
目次
1. 周囲の社員への配慮も忘れない——穴埋めしている社員の負担を経営者はしっかり見る
精神疾患で休職していた社員が復職したものの、3ヶ月以上経っても突然の遅刻・欠勤が多く、パフォーマンスも低いため周囲がその穴埋めをしている——このような状況では、まず穴埋めをしている社員への配慮が必要です。
経営者は往々にして「まあまあ、本人も大変なんだから」と周囲に我慢を促してしまいがちです。しかしそれをやられた側の社員からすれば、「自分たちの大変さを分かってくれない社長」として映ります。社長が対応するわけでも、サポートするわけでもないのに「なんとかしてやってよ」と言われるのは理不尽です。
あまりにも負担が重い場合は、人員の補充、手当の支給などの具体的な対応が必要になります。穴埋めしている社員たちの状況を経営者がしっかり見て、適切な手を打てるかどうかが、社長の信頼性に直結することを忘れないでください。
2. 休日の行動への干渉はしない——会社が着目すべきは所定労働時間内の行動のみ
「週末はかなりアクティブに遊んでいるようだ」という事実に対して、経営者や周囲の社員が不満を持つ気持ちは分かります。しかし休日の行動に対して会社が干渉することは基本的にすべきではありません。
休日に何をしようが本人の自由です。会社の名誉・信用を著しく傷つけるような行動であれば別ですが、仕事では休んでいるのに週末だけアクティブに過ごしているというだけでは干渉の対象にはなりません。精神疾患の回復過程において、週末に外出して活動することが治療にプラスになる場合もあります。お医者さんでなければ判断できない側面もあります。
また、周囲の社員からすれば「休日の行動に怒る」よりも「働いている時間の負担を軽くしてほしい」というのが本音のはずです。干渉するエネルギーを、所定労働時間内での対応に向けることの方が、経営者としてはるかに建設的です。
3. フォーカスすべきは「労働契約で予定された仕事ができているか」——復職3ヶ月が目安
この問題を考える上で最もフォーカスすべきは、所定労働日の所定労働時間内に、労働契約で予定されている仕事ができているかどうかです。
復職直後は多少調子が出ないことは想定の範囲内です。しかし目安として3ヶ月経っても、許容できる最低限のラインで働けるようになっていないのであれば、その復職判断が間違いだった可能性を疑う必要があります。
今回のように、復職から3ヶ月以上経っても突然の遅刻・欠勤が多く、周囲がフォローしなければ業務が回らない状態であれば、「本当にこの方は今の状態で復職すべきだったのか」という点を真剣に考えなければなりません。
4. 主治医の診断書だけで復職を判断してはいけない理由
復職の際に主治医の「復職可」診断書を取得することは最低限必要なことです。しかし診断書があるから直ちに復職させてよいわけではありません。
主治医は仕事の内容を正確には把握していないことがほとんどです。患者さんの説明を聞いて「おそらくこんな感じ」と推測した上で判断するしかない面があります。そのため主治医の診断書は、「日常生活が支障なく送れるまで回復した」レベルで書かれることもあります。しかし「日常生活に問題ない」ことと「この職場でこの仕事ができる」は別問題です。
▶ 復職判断のために行うべき確認手順
① 産業医面談:産業医がいる会社では、仕事の内容を把握している産業医に面談させ、医学的観点からの意見を聞く
② 主治医との面談(本人同意が前提):具体的な仕事内容を伝えた上で「本当にこの仕事ができますか」と確認する。本人が同意しない場合はそれ自体が判断材料になる
③ 試し出社:始業時刻に出社できるか、簡単な作業ができるかを実際に確認する。特に始業時刻への出社は精神疾患の回復状態を測る重要なポイント
以上のような確認作業を経た上で、本当に働けるかどうかを会社が判断することが重要です。次の復職では、同じ失敗を繰り返さないために、こうしたプロセスをしっかり踏んでください。
5. それでも仕事ができない場合——欠勤・休職・解雇の流れ
確認の結果、労働契約で予定されている仕事ができていないと判断された場合は、まず欠勤させることが基本対応です。働けない状態で無理に働かせれば体調がさらに悪化するリスクがあり、安全配慮義務違反の問題も生じます。不完全な労務提供を受け入れ続ける義務は会社にありません。
所定日数の欠勤が続いた後、傷病休職制度がある会社では改めて休職をスタートさせます。一度休職して復職していた経緯がある場合、就業規則の通算規定(復職後に同一・類似の疾病で再び欠勤した場合の取り扱い)に従って手続きを進めてください。
休職制度のない会社では、欠勤が一定期間続いた場合に普通解雇を検討することになります。個別の就業規則・雇用契約の内容を確認した上で、弁護士に相談しながら進めてください。
6. 労働契約の枠内で働けている場合——能力不足・パフォーマンス低下として対応する
一方で、よく調べた結果「平均より低いが、会社として許容できる最低限の枠には収まっている」という場合もありえます。その場合は欠勤させるのは適切ではなく、能力不足・パフォーマンス低下の問題として通常のマネジメントの枠組みで対応することになります。
具体的には、その方にふさわしい適正配置を行い、サポート体制を整えることが中心的な対応です。また、人事評価については実態に合わせてありのままに評価することが重要です。低い成果に対して高い評価をつけることは人事評価の信頼性を損ないます。評価を歪めずに実態通りの評価をし、その評価をどう処遇に反映するかを経営者が判断するようにしてください。
7. まとめ
① 穴埋めしている社員の負担を経営者はしっかり見て、具体的な対応を取る
「まあまあ」と放置せず、人員補充・手当などの現実的な対応が必要。周囲への配慮も経営者の責務。
② 休日の行動への干渉はしない——フォーカスは所定労働時間内に働けているかどうか
週末の行動は本人の自由。復職3ヶ月後に許容できる範囲で働けているかどうかを評価する。
③ 主治医診断書だけで復職を判断せず、産業医面談・試し出社で確認する——次の復職ではより慎重に
主治医は仕事内容を把握していないことが多い。産業医面談・試し出社・始業時刻への出勤確認などを経て判断する。
よくある質問(FAQ)
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復職判断の見直し・欠勤・休職・解雇の手続きまで、会社側の立場に特化した弁護士が具体的にアドバイスします。
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
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最終更新日 2026/04/16
