能力が極端に低い社員の人事評価・賃金の問題

 

FOR COMPANY OWNERS

能力が極端に低い社員の
人事評価・賃金の問題。
「ありのまま」に評価することの大切さ。

 能力が低いと言いながら人事評価は普通につけている。よかれと思って高めの給料を払っている。実はこうした対応が、いざやめてもらいたい場面で大きな障害になります。本ページでは、能力不足社員の人事評価と賃金設定における注意点を、会社側専門の弁護士が解説いたします。


VIDEO

本ページの基となる解説動画

 

 本ページの解説内容は、以下の藤田進太郎弁護士による解説動画を素材として、当事務所が文章化しているものです。本ページの記載と動画の内容に齟齬がある場合や、より詳しい解説をご覧になりたい場合は、動画を直接ご視聴ください。

CHAPTER 01

人事評価は「ありのまま」につける

 

能力が低いと言いながら評価は「普通」にしていませんか

 能力が低い低いと言っておきながら、人事評価は低くつけていない会社が結構あります。特にトラブルになりやすい会社に多い傾向です。ABCDEの5段階評価で本当はDやEなのに、Cの「普通」をつけてしまっている。ずっとC評価で来ていたのに、やめてくれという話をする直前だけ急に低い評価にされたら、本人はどう思うでしょうか。気分で下げられた、やめさせる目的で操作されたと感じるのが普通です。

実際より高く評価してしまう心理

 なぜこのようなことが起きるかというと、実際よりも高く評価してあげる方が気分がいいからです。なんかいいことをしてあげているような気分になりやすいのです。さらに、低くつけると「なんでこんなに低いんですか」と文句を言われることがあります。そのめんどくさい文句に付き合うぐらいだったら、高めにつけてあげた方が楽だという発想を持つ管理職が結構いらっしゃるのです。

 社長だけではなく、管理職にもこの心理が働きます。高くつけた方が褒められるし文句も言われない。放っておくと実際より高くつけたいという誘惑に負けてしまいがちです。しかし、そういった人事評価を続けていると、いざ「能力不足でやめてほしい」という場面になった時に、「ずっと普通の評価をもらっていたのに、なぜ急に能力不足と言われなければならないのか」と反論されてしまいます。人事評価の信頼性そのものが崩れてしまうのです。

ありのままの評価が会社の信頼を守る

 ひどい場合は馬鹿にされることもあります。「この会社はちゃんと物を見ていないから、適当にやっていてもこんな高い評価になるんだ」と軽く見られてしまうのです。しっかり見て、ありのまま伝えて評価していくことが、社員みんなの公平感や納得感を得るためにも大切です。実際よりも低く評価して文句を言われるのは仕方のないことかもしれませんが、実際より高く評価していたものを後から取り上げて「信用できない」と言われたら心外でしょう。しかし現実問題として、そういう評価をしていたら信用性は低くなるのです。逃げてはいけません。適正なものをありのままに評価することが、会社を守るための基本です。

CHAPTER 02

高い給料はやめてもらいにくくする

 

「高い給料を払ってるんだからやめてくれて当然」は逆

 相談にいらっしゃる経営者の方々の中に、「水準より高いお金を払っているんだから、それに満たない能力であればやめてもらうのは当然でしょう。こんなにいい会社なんですよ」とおっしゃる方がいらっしゃいます。しかしこれは逆です

 給料が高ければ高いほど、やめてもらいにくくなるのです。同業他社よりも高い給料をもらっていたら、転職したらほぼ確実に給料は下がります。そうなればやめたくないのが当然です。どうしてもやめてもらいたい場合は、それなりに高額のお金を上乗せして払わなければならなくなります。相手の立場になってみれば当たりまえのことです。

 理屈としてはシンプルなのですが、人間の心理として「実際の力よりも多くお金を払っているのだから、そのお返しとしてやめてもらう時も理解してほしい」と思ってしまうのです。しかしそんな都合のいい話は通じません。高く払っていたら、かえってやめてもらいにくくなるのだという現実を理解する必要があります。

賃金の減額はハードルが高い

 では採用時に高い給料を提示して採用してしまった場合、後から下げればいいのかというと、賃金の減額はハードルが非常に高いのです。能力が低いのだから下げるというのは、しっかり制度化していて恣意に渡らないようなものでない限り、一方的に下げることはできません。

 話し合いで同意書にサインをもらったとしても、裁判所に「同意がなかった」と言われてしまうケースすらあります。同意書にサインして判子も押しているのに同意がなかったと判断されるのですから、いかにハードルが高いかが分かります。賃金の減額を行う場合は、弁護士にコンサルティングを受けながらしっかり進めないと失敗してしまいます。

本人の能力に見合った適正な賃金を設定する

 結局のところ、人事評価も賃金設定も「ありのまま」が基本です。人事評価はありのままに本人の実際の能力を反映したものにする。賃金も、その評価に基づいて会社が適正と考える金額を設定する。昇給幅や賞与の額についても、能力に見合ったものを支払っていくことが大切です。

 高く評価してあげたい、多めに払ってあげたいという気持ちは分かります。しかしそれは逃げです。逃げてはいけないのです。適正なものをありのままに評価し、適正な賃金を設定することが、会社を守り、社員みんなの公平感と納得感を得るために本当に大事なことなのです。

CHAPTER 03

当事務所のサポート体制と監修者

 

 弁護士法人四谷麹町法律事務所は、会社側(使用者側)専門の法律事務所として、人事評価制度の運用や賃金設定に関するアドバイスも含め、能力不足社員への対応を日常的に取り扱っています。賃金の減額は法的にハードルが高い分野ですので、弁護士のコンサルティングを受けながらしっかり進めることをおすすめします。

弁護士 藤田 進太郎

監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

能力不足社員への対応でお悩みの会社経営者の皆様へ

まずは経営労働相談までご連絡ください。事務所会議室でのご相談、Zoom・Teamsでのオンライン相談、いずれも対応しています。

経営労働相談のお問い合わせ

FAQ

よくあるご質問

 

Q. 高い給料を払っているのに能力が低い場合、給料を下げることはできますか。

 賃金の減額は法的にハードルが非常に高く、一方的に下げることは原則としてできません。しっかり制度化していて恣意に渡らないものでない限り難しいですし、同意書にサインをもらっていても裁判所に「同意がなかった」と判断されるケースすらあります。弁護士に相談しながら慎重に進める必要があります。

Q. 管理職が部下に甘い評価をつけてしまいます。どうすればいいですか。

 管理職が実際よりも高い評価をつけてしまうのは、文句を言われたくない、気分がいいなど心理的な要因によるものが多いです。ありのままに評価することが会社を守るために大事なのだということを管理職にしっかり伝え、評価の信頼性を維持する必要があります。

Q. これまで高い評価をつけてきてしまいましたが、今から修正できますか。

 急に評価を下げると「操作された」と受け止められる可能性がありますので、今後の評価をありのままにつけていくことが大切です。過去の評価との整合性については、弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。

Q. 遠方の会社ですが、相談できますか。

 対応しております。事務所会議室での対面相談のほか、ZoomやTeamsによるオンライン相談を実施しており、日本全国各地の会社経営者からのご相談を承っています。

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