問題社員234 復職してすぐ休む。

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この記事の要点

復職時の確認が不十分であることが「復職してすぐ休む」問題の根本原因——主治医診断書は必要条件だが十分条件でない

主治医は業務内容を正確に把握していないことが多く、給食期間満了を避けたい患者の希望が反映されることもある。復職時に産業医面談・試し出社などでしっかり確認した会社は失敗が少ない

復職判断の主体は常に会社——産業医・弁護士は意見を述べるだけであり、最終判断は社長・人事担当者が行う

「医者が大丈夫と言ったから」「弁護士がこうしろと言ったから」という人任せの判断では失敗しやすい。専門家の意見を踏まえて、責任を持って自分で決断することが経営者の仕事

就業規則に通算規定を設けることで「復職してまた休む」を繰り返させないための制度的な対策を打てる

同一・類似疾病による再欠勤の場合に欠勤日数や休職期間を通算する規定があれば、復職時の確認が甘くても一定の歯止めになる

休職制度をどう設計するかは経営者が自分で判断すべき「会社の方針」の問題——弁護士や社労士は制度設計を手伝えるが、価値判断は自分で行う

「病気で働けなくなった社員をどれぐらい会社に置いておきたいか」「どれくらいの期間治らなければやめてもらうか」という価値判断こそが経営者の仕事

1. 「復職してすぐ休む」問題の根本——復職時の確認が不十分

「復職してすぐ休む」という問題は、多くの場合復職時の確認が不十分だったことが根本原因です。仕事の準備をして待っていた側には困惑をもたらし、周囲の社員も振り回されます。

なぜこのような事態が起きるかというと、復職を求める社員の側にも事情があります。給食期間が満了すると退職しなければならなくなるため、十分に回復していなくても「戻りたい」という気持ちで復職を申し出るケースが多いのです。主治医もそのような患者の事情を汲んで、業務遂行能力の回復より前に「復職可」と診断することがあります。

この問題を防ぐために最も有効な対策は、復職時の確認をしっかり行うことです。復職時の確認をきちんと行っている会社は、復職後すぐに休むような失敗が非常に少ないです。

2. 復職判断のための確認手順——産業医面談・主治医確認・試し出社

主治医の「復職可」診断書は最低限必要な条件ですが、それだけで判断してはいけません。主治医は業務内容を正確に把握していないことが多く、「日常生活が送れる程度に回復した」という意味で診断書を書いていることが多いからです。

▶ 復職判断のための確認手順

① 産業医面談:仕事内容を把握している産業医に意見を求める。産業医が「復職可」と判断すれば強力な根拠になる

② 主治医確認(本人同意が前提):具体的な業務内容を伝えた上で「本当にこの仕事ができますか」と確認する。本人が主治医との面談を拒否する場合はそれ自体が考慮事情になる

③ 試し出社:始業時刻に出社できるか、簡単な作業を遂行できるかを確認する。特に始業時刻への出社は回復状態を測る重要なポイント

3. 復職判断の主体は常に会社——「医者が言ったから」という人任せにしない

ここで特に強調したいのが、復職の可否を判断するのは常に会社(経営者・人事担当者)だということです。産業医は意見を述べるだけであり、弁護士もアドバイスをするだけです。「医者が大丈夫と言ったから戻した」「弁護士の言う通りにした」という人任せの判断では、責任の所在が曖昧になり、失敗したときに「誰かのせい」にしてしまいます。

専門家の意見を踏まえた上で、最終的には会社が責任を持って判断してください。「この社員を今の状態で復職させるかどうか」は、経営者の判断であり責任です。

4. 制度的な対策——就業規則に通算規定を設ける

復職時の確認に加えて、就業規則に通算規定を設けることも有効な制度的対策です。通算規定とは、同一または類似の疾病について、復職後に一定期間内に再び欠勤・休職した場合に、欠勤日数や休職期間を通算して計算する規定です。

例えば「前回の給食期間を使い切って復職したところ、すぐに再び休み始めた」という場合、通算規定があれば即座に休職スタート(または残り期間のカウント継続)となり、無制限に繰り返させる事態を防ぐことができます。

ただし、この通算規定を機械的に適用して1日でも休んだら即退職、というような厳しい運用については、弁護士の立場からはやや慎重に考えるべき面もあります。少なくとも1ヶ月程度の様子見期間を設けることが多いですが、企業規模・業種・社長の価値判断によって最適な設計は異なりますので、弁護士に相談しながら決めてください。

5. そもそも論——休職制度の方針を経営者が自分で決める

「復職してすぐ休む」という問題への対処の根本には、会社の休職制度に関する方針を経営者が自分で決めているかどうかがあります。弁護士や社労士が制度を作ってくれても、核心的な価値判断の部分を他人に委ねてしまうと、「なんでこんな制度にしたのか」と後から後悔することになります。

経営者自身が決めるべき価値判断は次のようなものです。病気で働けなくなった社員をどれぐらい会社に置いておきたいか、何ヶ月治らなければやめてもらうか、全員に統一したルールで対応するのか個別事情に応じて対応するのか——こうした判断こそが経営者の仕事です。弁護士や社労士はその判断に沿った制度設計や手続きのサポートができますが、「どんな会社を作りたいか」を決めるのは経営者だけです。

6. まとめ

① 復職時の確認をしっかりやることが最大の予防策——産業医面談・主治医確認・試し出社

主治医診断書は必要条件。十分条件ではない。複数の手段で確認した会社は失敗が少ない。

② 復職判断は常に会社が行う——「医者が大丈夫と言ったから」という人任せにしない

専門家の意見を参考にしながら、経営者が責任を持って判断する。

③ 休職制度の方針・価値判断は経営者が自分で決める——弁護士・社労士は制度設計を手伝うだけ

「どんな会社を作りたいか」「病気で働けなくなった社員をどう扱うか」は経営者の判断。通算規定などの制度設計は弁護士に相談しながら進める。

よくある質問(FAQ)

Q 休職期間満了の直前に復職し、すぐに休み始めました。また最初から休職期間が始まるのですか?
A

就業規則の通算規定の内容によって異なります。同一・類似疾病による再欠勤を通算する旨の規定があれば、即座に前回の残り休職期間のカウントが継続したり、一定の欠勤日数で即休職スタートとなる場合があります。通算規定がなければ新たな欠勤から計算し直すことになります。個別の就業規則の内容を弁護士に確認してください。

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弁護士 藤田 進太郎

監修者 弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

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弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日 2026/04/16


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