問題社員110 残業する必要がないのになかなか帰らず、残業代を請求する。

動画解説

 

1. 残業する必要がないのに帰らない社員が生む問題

 業務量としては明らかに定時内で終わるにもかかわらず、なかなか帰らずに職場に残り、結果として残業代を請求する社員がいると、会社経営者としては強い違和感を覚えるものです。本人としては「会社にいたのだから残業だ」「何かあれば対応できるよう待機していた」と考えている場合もありますが、この状態を放置することには大きな問題があります。

 まず問題になるのは、残業の必要性が曖昧なまま労働時間が延びている点です。本来、残業は業務上の必要性がある場合に限って行われるものです。やるべき仕事がなく、指示も出ていないのに職場に残り続ける行為は、労務管理の観点から見れば極めて不健全な状態と言えます。

 さらに、こうした行動が常態化すると、「会社は黙認している」「残っていれば残業代は出る」という誤った認識が社内に広がります。その結果、仕事を効率よく終わらせる意識が薄れ、だらだらとした働き方が増えていきます。会社経営者としては、残業する必要がないのに帰らない社員の存在を、単なる個人の働き方の問題として軽視するのではなく、経営管理上の重要な問題として捉える必要があります。

2. 不公平感が職場に与える悪影響

 残業する必要がないにもかかわらず帰らない社員がいる状態を放置すると、職場には確実に不公平感が生まれます。定時内に仕事を終わらせ、効率よく働いている社員ほど、「早く終わらせる意味がない」「残っていた方が得をする」と感じやすくなります。

 この不公平感は、単なる感情の問題にとどまりません。やがて、「どうせ評価は変わらない」「残業代がつく方が得だ」という意識が広がり、全体的に仕事のスピードが落ちていきます。本来であれば定時内に終わる業務まで、あえて時間をかけるようになり、職場全体がだらだらとした雰囲気に変わっていきます。

 会社経営者として見落としてはならないのは、こうした状態が続くと、真面目に働いている社員ほど不満を抱え、最悪の場合、離職につながる点です。一部の社員の行動を許容した結果、組織全体の秩序と信頼関係が崩れてしまっては、本末転倒と言えます。不公平感を生む働き方を放置すること自体が、経営上の大きなリスクであるという認識を持つことが重要です。

3. 長時間労働と安全配慮義務のリスク

 残業する必要がないにもかかわらず社員が職場に居続ける状態を放置すると、会社経営者として見逃せないのが、安全配慮義務の問題です。業務量が少ないかどうかに関係なく、労働時間が長くなれば、心身への負担は確実に蓄積していきます。

 仮に「大した仕事はしていなかった」「本人が勝手に残っていただけだ」と後から説明したとしても、長時間職場に滞在していた事実があれば、会社が労働時間を適切に管理していなかったと評価される可能性があります。体調不良やメンタル不調が生じた場合には、安全配慮義務違反や労災リスクが問題となることもあります。

 会社経営者として重要なのは、残業代の支払いだけに目を向けないことです。不要な残業を許容することは、健康管理を含めた労務管理全体の不備につながります。「忙しくないから問題ない」「本人が希望して残っている」という発想は通用しません。長時間労働そのものがリスクであるという前提に立ち、不要な残業をさせない体制を整えることが、会社経営者に求められる基本姿勢です。

4. この問題は誰の責任かという整理

 残業する必要がないのに社員が帰らない状況が続いている場合、「本人の問題だ」「本人が好きで残っているだけだ」と考えてしまいがちです。しかし、この考え方は会社経営者としては非常に危険です。なぜなら、労働時間の管理は会社の責任だからです。

 残業は、本来、会社の指示や業務上の必要性があって初めて成立するものです。にもかかわらず、不要な残業が常態化しているということは、「帰らせる仕組み」や「残業を判断するルール」が会社として十分に機能していないことを意味します。社員が帰らない状況を放置している時点で、管理の問題があると評価されかねません。

 会社経営者として重要なのは、「本人が悪いかどうか」を論じる前に、「会社として適切に管理できているか」を問い直すことです。残業の必要性を誰が判断し、どのような基準で認めているのか。その整理ができていなければ、同じ問題は何度でも繰り返されます。この問題は個人の姿勢だけでなく、会社の管理体制そのものが問われている問題であることを、まず明確に認識する必要があります。

5. 「帰るように言っている」だけでは足りない理由

 会社経営者の中には、「帰るように言っている」「早く帰れと声はかけている」と考えている方も少なくありません。しかし、それだけで不要な残業が防げていないのであれば、その対応は十分とは言えません。

 口頭で「そろそろ帰っていいよ」と伝えていても、評価や人事への影響を気にして帰れない社員は一定数存在します。また、「本当に帰っていいのか」「後から文句を言われないか」と不安を抱えたまま、形だけ声をかけられている状況では、実質的に帰れないのと同じです。

 さらに問題なのは、帰らない社員が残業代を請求し、それが事実上黙認されている場合です。この状態が続くと、「口では帰れと言うが、残っていれば残業代は出る」というメッセージを会社が発していることになります。会社経営者としては、単なる声かけではなく、「残業は原則認めない」「必要な場合のみ明確な指示を出す」というルールと運用を一致させることが不可欠です。帰るように言っているつもりでも、実態として帰らせられていないのであれば、その管理は不十分であると認識する必要があります。

6. 残業の必要性を判断する主体と基準

 不要な残業を防ぐために会社経営者が明確にしておくべきなのが、「残業の必要性を誰が判断するのか」という点です。この整理が曖昧なままでは、「本人が必要だと思ったから残った」「念のため残っていた」という主張を止めることができません。

 本来、残業の必要性を判断するのは社員本人ではありません。業務全体を把握し、優先順位や期限を管理する立場にある会社、具体的には会社経営者や指揮命令権を持つ側が判断すべきものです。本人の自己判断で残業を認めてしまうと、労働時間管理は事実上崩壊します。

 会社経営者としては、「どのような場合に残業を認めるのか」「どの範囲までが定時内業務なのか」といった基準を明確にし、それを前提に運用する必要があります。基準があいまいなままでは、後から「必要だった」「必要ではなかった」という水掛け論になり、結果として残業代請求や管理不十分の問題が生じます。残業の要否は会社が判断するものであることを、ルールとして明確にしておくことが、この問題を解決するための重要なポイントです。

7. 残業が不要な場合に取るべき具体的対応

 不要な残業を防ぐために会社経営者が明確にしておくべきなのが、「残業の必要性を誰が判断するのか」という点です。この整理が曖昧なままでは、「本人が必要だと思ったから残った」「念のため残っていた」という主張を止めることができません。

 本来、残業の必要性を判断するのは社員本人ではありません。業務全体を把握し、優先順位や期限を管理する立場にある会社、具体的には会社経営者や指揮命令権を持つ側が判断すべきものです。本人の自己判断で残業を認めてしまうと、労働時間管理は事実上崩壊します。

 会社経営者としては、「どのような場合に残業を認めるのか」「どの範囲までが定時内業務なのか」といった基準を明確にし、それを前提に運用する必要があります。基準があいまいなままでは、後から「必要だった」「必要ではなかった」という水掛け論になり、結果として残業代請求や管理不十分の問題が生じます。残業の要否は会社が判断するものであることを、ルールとして明確にしておくことが、この問題を解決するための重要なポイントです。

8. 指示に従わない社員へのマネジメント対応

 残業が不要であることを明確に伝えても、なお帰らず職場に残り続ける社員がいる場合、その行動は単なる働き方の問題ではなく、指示命令系統に従わないというマネジメント上の問題に変わります。ここを曖昧に扱うと、「会社の指示よりも本人の判断が優先される」という誤った前例を作ることになります。

 会社経営者として重要なのは、「残業を認めない」という判断を出した以上、その判断に従うことを求める姿勢を明確にすることです。業務上の必要性がないにもかかわらず居残る行為は、業務命令違反や職務専念義務違反に該当する可能性があります。単に残業代の問題として処理すべきではありません。

 この段階では、注意指導として記録を残し、なぜ帰らなかったのか、どの指示に従わなかったのかを整理して伝えることが重要です。感情的に叱責するのではなく、「残業不要と判断したにもかかわらず従わなかった」という事実に基づいて対応してください。会社経営者としては、不要な残業を「許さない」だけでなく、「指示に従わない行為として管理する」という視点に切り替えることが、再発防止につながります。

9. 残業代支払い義務と黙示の残業命令の考え方

 残業する必要がないにもかかわらず社員が居残り、その時間について残業代を請求してきた場合、会社経営者として最も悩ましいのが「支払う義務があるのか」という点です。ここで重要になるのが、黙示の残業命令という考え方です。

 会社が明確に残業を命じていなくても、実態として残業を黙認し、止める措置を取っていなかった場合、「事実上、残業を命じていた」と評価される可能性があります。例えば、不要な残業を知りながら注意せず、残業代も支払い続けていたようなケースでは、後から「勝手に残っていただけだ」と主張しても通りにくくなります。

 会社経営者として重要なのは、「命じていない」という言葉ではなく、実際にどのような管理をしていたかです。残業不要と判断したのであれば、その判断を明確に伝え、帰らせる行動を取り、記録としても残しておく必要があります。そうした管理を行って初めて、「黙示の残業命令ではない」と説明できる状態になります。残業代の支払い義務は、形式ではなく実態で判断されるという点を、しっかり押さえておく必要があります。

10. 残業問題における会社経営者の総括判断

 残業する必要がないにもかかわらず社員が居残り、その時間について残業代を請求してきた場合、会社経営者として最も悩ましいのが「支払う義務があるのか」という点です。ここで重要になるのが、黙示の残業命令という考え方です。

 会社が明確に残業を命じていなくても、実態として残業を黙認し、止める措置を取っていなかった場合、「事実上、残業を命じていた」と評価される可能性があります。例えば、不要な残業を知りながら注意せず、残業代も支払い続けていたようなケースでは、後から「勝手に残っていただけだ」と主張しても通りにくくなります。

 会社経営者として重要なのは、「命じていない」という言葉ではなく、実際にどのような管理をしていたかです。残業不要と判断したのであれば、その判断を明確に伝え、帰らせる行動を取り、記録としても残しておく必要があります。そうした管理を行って初めて、「黙示の残業命令ではない」と説明できる状態になります。残業代の支払い義務は、形式ではなく実態で判断されるという点を、しっかり押さえておく必要があります。

 

最終更新日2026/2/10


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