問題社員109 ミスしても開き直る。
目次
動画解説
1. ミスしても開き直る社員がもたらす問題
ミスをしても反省せず、「自分は悪くない」「仕方がなかった」と開き直る社員がいると、会社経営者としては強いストレスを感じるものです。単なるミスそのものよりも、その後の態度によって、職場の空気が一気に悪化することも少なくありません。
開き直る態度が問題なのは、ミスの再発防止につながらない点にあります。原因を振り返らず、改善点を考えないままでは、同じミスが繰り返される可能性が高くなります。その結果、周囲の社員がフォローに回らざるを得なくなり、不満や不信感が蓄積していきます。
さらに深刻なのは、「ミスしても反省しなくていい」という誤ったメッセージが職場に広がってしまうことです。一人の態度を放置した結果、組織全体の規律が緩み、真面目に取り組んでいる社員ほど馬鹿を見る状況になりかねません。会社経営者としては、この問題を個人の性格の問題で片付けず、組織運営上のリスクとして正面から捉える必要があります。
2. 最初に行うべきミスの原因分析
ミスをしても開き直る社員への対応を誤らないために、会社経営者が最初に行うべきなのは、態度の是非を論じる前に、ミスの原因を冷静に分析することです。感情的に「反省が足りない」と指摘しても、原因を見誤っていれば、適切な対処にはつながりません。
ミスの原因は、大きく分けると「能力や知識の不足」「業務量や体制の問題」「本人の姿勢や意識」のいずれか、または複合的な要因で生じます。原因が能力不足にあるにもかかわらず、姿勢の問題として叱責してしまうと、本人は納得できず、結果として開き直りにつながることもあります。
会社経営者として重要なのは、「なぜそのミスが起きたのか」を具体的に言語化できるかどうかです。業務内容、指示の出し方、確認体制に問題はなかったのかを整理したうえで、初めて本人の態度や対応を評価する段階に進むべきです。原因分析を丁寧に行うことが、感情的な対立を防ぎ、適切な対応につなげるための出発点になります。
3. 能力はあるが姿勢に問題があるケース
ミスをしても開き直る社員の中には、業務能力や知識そのものは一定水準に達しているにもかかわらず、姿勢や受け止め方に問題があるケースがあります。このタイプの社員は、「できている自分」という自己認識が強く、ミスを指摘されること自体を否定されたように感じやすい傾向があります。
その結果、「自分のせいではない」「指示が悪い」「環境が悪かった」と外部要因に責任を転嫁し、反省や振り返りを避ける態度が表に出やすくなります。会社経営者から見ると、能力がある分だけ余計に扱いづらく、「なぜ素直に認めないのか」と感じる場面も多いでしょう。
このようなケースで注意すべきなのは、能力があるからといって姿勢の問題を放置しないことです。ミスに対する向き合い方は、本人だけでなく周囲の社員にも影響を及ぼします。会社経営者としては、「仕事ができるかどうか」と「職場で許容される態度」は別の問題であることを明確にし、姿勢面についても組織としての基準を示していく必要があります。
4. 気づきを与える指導の考え方
能力はあるものの、ミスに対して開き直る社員に対しては、「反省しろ」と正面から叱責しても、期待した効果は得られないことが少なくありません。むしろ、防衛的になり、さらに言い訳や正当化が強まるケースもあります。このような場合に有効なのが、「気づきを与える」ことを意識した指導です。
具体的には、「今回のミスで一番困ったのは誰か」「同じことがもう一度起きたら、現場はどうなると思うか」といった問いを投げかけ、本人に考えさせる形を取ります。評価や感情をぶつけるのではなく、事実と影響に焦点を当てることで、ミスを自分事として捉えさせることが目的です。
会社経営者として重要なのは、正解を教え込むことではなく、本人が自ら振り返るきっかけを作ることです。自分で考え、気づいた内容は、他人から押し付けられた反省よりも行動につながりやすくなります。開き直る態度を是正するためには、感情的な指導ではなく、冷静で構造的な問いかけを積み重ねていく姿勢が求められます。
5. 会議室での面談が効果的な理由
ミスをしても開き直る社員への対応では、指導の場をどこに設けるかも重要なポイントになります。現場での立ち話や感情が高ぶった状態での指摘は、本人にとって「攻撃された」「恥をかかされた」という印象を残しやすく、建設的な話し合いになりにくい傾向があります。
その点、会議室などで時間と場所を区切った面談を行うことで、会社として正式に向き合っている姿勢を示すことができます。静かな環境であれば、本人も防御的になりにくく、話を聞く姿勢を取りやすくなります。また、事実関係やミスの影響についても、落ち着いて整理しながら伝えることが可能です。
会社経営者として意識すべきなのは、面談の目的は叱責ではなく、再発防止と行動改善にあるという点です。会議室での面談は、その目的を共有しやすく、感情論に流されにくいという大きな利点があります。開き直る態度に対処するためには、場の力を借りて冷静な対話を行うことが、実務上きわめて有効な手段となります。
6. 教育指導を行う際の注意点
ミスをしても開き直る社員に対して教育指導を行う場合、会社経営者が特に注意すべきなのは、「感情のぶつけ合い」にならないようにすることです。相手の態度に腹が立つのは自然な反応ですが、その感情を前面に出してしまうと、指導の目的である改善から遠ざかってしまいます。
教育指導では、「何が問題だったのか」「次に同じ状況になった場合、どう行動すべきか」という点に絞って話を進めることが重要です。過去の態度や性格そのものを責めるような言い方をすると、本人は防御的になり、聞く耳を持たなくなります。事実と行動に焦点を当てた指導を徹底してください。
また、一度の指導で劇的な変化を期待し過ぎないことも大切です。開き直る態度は長年の思考習慣であることも多く、短期間で完全に改まるとは限りません。会社経営者としては、指導内容と本人の反応を整理し、必要に応じて繰り返し確認する姿勢を持つことが、結果として再発防止につながります。
7. 懲戒処分を検討する際の基本的な考え方
ミスをしても開き直る社員に対して、「懲戒処分で締めるべきではないか」と感じる会社経営者も少なくありません。しかし、懲戒処分は感情を収めるための手段ではなく、あくまで秩序維持のための制度である点を押さえておく必要があります。
懲戒処分を検討する前提として重要なのは、そのミスや態度が、就業規則に照らしてどの程度の問題行為に該当するのかを整理することです。単なる能力不足や認識の甘さであれば、いきなり懲戒処分を選択することは適切とは言えません。まずは注意指導や教育で改善を図るべき段階です。
一方で、同じミスを繰り返し、その都度開き直る態度を取り続ける場合や、指導に従わない姿勢が明確な場合には、懲戒処分を検討する余地が出てきます。この場合でも、これまでの指導内容や経過を整理し、段階的な対応を踏んでいることが重要です。会社経営者としては、「なぜこの処分が必要なのか」を説明できる状態を作ったうえで、慎重に判断を行う必要があります。
8. 能力不足が原因の場合の向き合い方
ミスをしても開き直る態度の背景に、本人の姿勢ではなく能力不足がある場合、会社経営者としての向き合い方は大きく変わります。この場合、「反省が足りない」「態度が悪い」と責め立てても、根本的な改善にはつながりません。本人としては、できないことを指摘され続けることで防衛的になり、結果として開き直る態度に出ている可能性があります。
能力不足が原因であれば、まず確認すべきなのは、業務内容が本人の力量に見合っているかという点です。指示が高度すぎないか、前提となる知識や経験が不足していないかを整理し、必要であれば業務の難易度を調整する判断も必要になります。
会社経営者として重要なのは、「努力すれば誰でもできるようになる」という前提に固執し過ぎないことです。能力や適性には個人差があり、無理に引き上げようとすると、本人の自尊心を傷つけるだけでなく、周囲の負担も増えていきます。能力不足が原因と判断した場合には、責めるのではなく、役割や業務内容を見直す方向で対応することが、現実的でトラブルの少ない選択と言えるでしょう。
9. 教育訓練とフォロー体制の限界
能力不足が原因でミスを繰り返し、その結果として開き直る態度が見られる場合であっても、教育訓練やフォローには限界があります。会社経営者としては、「どこまで教育すれば十分なのか」「いつまでフォローを続けるのか」という線引きを意識する必要があります。
教育訓練は、本来、一定の効果が見込める場合に行うものです。何度説明しても理解が進まない、同じミスが改善されない状態が長期間続いているのであれば、それは教育の問題ではなく、業務と本人の適性が合っていない可能性が高くなります。その状態で無理に教育を続けると、本人の自尊心をさらに傷つけ、開き直りや反発を強めてしまうこともあります。
また、フォロー体制が過剰になると、周囲の社員にしわ寄せがいき、職場全体の不満が高まります。会社経営者としては、「これ以上続けると誰が困るのか」「組織として持続可能か」という視点から、教育とフォローの限界を冷静に見極めることが重要です。限界を超えてまで支え続けることが、必ずしも本人や会社のためになるとは限らない点を、意識しておく必要があります。
10. 配置転換という現実的な選択肢
ミスをしても開き直る態度が改善せず、その背景に能力不足や業務とのミスマッチがあると判断した場合、会社経営者として現実的に検討すべき選択肢が配置転換です。同じ業務を続けさせながら態度の改善だけを求めても、状況が好転しないケースは少なくありません。
業務内容を変えることで、本人が過度なプレッシャーから解放され、結果として開き直る態度が落ち着く場合もあります。特に、正確性や判断力が強く求められる業務から、比較的定型的で確認しやすい業務に移すことで、ミスそのものが減少し、指導の必要性も下がることがあります。
配置転換は、本人を甘やかすための措置ではなく、会社全体のリスクを下げるための経営判断です。会社経営者としては、「今の業務に就かせ続けることが本当に会社のためになるのか」という視点を持ち、本人の適性と業務の性質を冷静に見極めたうえで、最も安定する配置を選択することが重要です。
11. 社内で適職がない場合の判断
配置転換を検討しても、社内に本人の能力や適性に合う業務が見当たらないというケースは現実に存在します。その場合、会社経営者としては「何とか今の体制の中で我慢させる」ことが最善なのかを、改めて冷静に考える必要があります。
ミスを繰り返し、指摘されるたびに開き直る状態が続けば、本人の精神的負担は大きくなり、周囲の社員もフォローに疲弊していきます。この状況は、本人にとっても会社にとっても健全とは言えません。適職がないまま雇用を継続することは、問題を先送りしているに過ぎない場合もあります。
会社経営者として重要なのは、「雇い続けること自体が本人のためになっているのか」「組織全体の安定を損なっていないか」という視点です。社内で安全に任せられる業務がないと判断した場合には、その現実を正面から受け止め、次の段階の対応を検討する覚悟が求められます。
12. 退職勧奨を検討すべき場面
社内での配置転換も難しく、教育指導やフォローを重ねてもミスや開き直る態度が改善しない場合、会社経営者としては退職勧奨を検討すべき段階に入ります。ここまで来た場合、「もう少し様子を見る」という判断が、かえって問題を長期化させてしまうことも少なくありません。
退職勧奨は、あくまで本人の合意を前提とするものであり、感情的に「辞めてもらいたい」と伝えることは許されません。これまでにどのようなミスがあり、どのような指導を行い、それでも改善が見られなかったのかを整理したうえで、会社として雇用を継続することが難しい理由を冷静に説明する必要があります。
会社経営者として重要なのは、本人を責める姿勢ではなく、「この会社では適切な役割を用意できない」という事実を伝えることです。退職勧奨は処罰ではなく、現実的な選択肢の一つであることを意識し、丁寧かつ慎重に進めることが、トラブルを防ぐために不可欠です。
13. ミスしても開き直る社員問題の総括判断
ミスをしても反省せず開き直る社員への対応は、感情的になりやすく、会社経営者の判断力が試される場面です。しかし、「態度が気に入らない」「腹が立つ」という理由だけで対応を決めてしまうと、かえってトラブルを招く結果になりかねません。重要なのは、常に原因に立ち返り、段階を踏んで対応してきたかどうかです。
まずはミスの原因を分析し、能力の問題なのか、姿勢の問題なのかを切り分ける。そのうえで、指導や教育、配置転換といった現実的な手段を検討し、組織として無理のない対応を積み重ねていくことが求められます。それでも改善が見られない場合には、退職勧奨という判断に進むことも、会社経営者の責任の一つです。
開き直る社員の問題は、放置すれば職場の規律を崩し、真面目に働く社員の意欲を奪います。逆に、原因を見極め、冷静で一貫した対応を行えば、組織全体の安定につながります。会社経営者としては、短期的な感情ではなく、会社と社員双方の将来を見据えた判断を積み重ねていくことが、最も重要な姿勢と言えるでしょう。
最終更新日2026/2/10

