問題社員54 他県にできた新事業所への異動を希望しない。

動画解説

 

1. 他県にできた新事業所への異動を誰も希望しないのは珍しくない

 他県に新事業所を立ち上げた際、「誰か異動してくれないか」と募集をかけても、希望者が一人も出ないという状況は、決して珍しいものではありません。会社経営者としては、この事実をまず冷静に受け止める必要があります。

 新事業所への異動は、社員にとって単なる勤務地変更ではありません。住む場所、生活環境、人間関係、家族の状況など、仕事以外の要素も大きく変わる決断になります。特に他県への異動となると、心理的・現実的なハードルは一気に高くなります。

 会社側としては、「会社の成長のため」「チャンスのある仕事」と考えていても、社員一人ひとりの立場から見れば、「なぜ自分がそこまでの負担を負わなければならないのか」という疑問が生じるのは自然なことです。希望者が出ないこと自体を、社員の協力不足や意欲の低さと結びつけるのは適切とはいえません。

 また、近年は転勤や広域異動を前提としない働き方を選ぶ社員も増えています。採用時に明確な説明がなされていない場合、他県異動を当然の前提として受け止めてもらうことは難しくなっています。

 会社経営者として重要なのは、「誰も手を挙げない」という結果だけを見て嘆くのではなく、なぜそうなっているのかを構造的に理解することです。新事業所への異動が社員にとってどのような意味を持つのかを整理せずに、次の判断に進むと、不要な摩擦や離職リスクを高めることになります。

 他県への異動に希望者がいないことは、異常事態ではありません。まずはそれが「よくある現実」であることを前提に、会社経営者としてどのように向き合うべきかを考えていく必要があります。

2. 新事業所立ち上げには既存社員の異動が不可欠な理由

 新事業所を立ち上げる際、会社経営者が直面する現実の一つが、「最初から十分な人員を現地で確保することは難しい」という点です。業務内容や会社の文化を理解した人材を、短期間で外部からそろえることは容易ではありません。

 特に立ち上げ初期は、業務フローが固まっておらず、想定外のトラブルも発生しやすい時期です。この段階では、会社の考え方や判断基準を理解している既存社員の存在が不可欠になります。マニュアルだけでは対応できない場面が多く、経験や暗黙知が大きな意味を持ちます。

 会社経営者の立場から見れば、新事業所を軌道に乗せるために、一定期間でも既存社員に異動してもらう必要性は高いといえます。現場判断を任せられる人材がいなければ、経営者自身が頻繁に現地対応を行うことになり、全体の経営に支障が出ることもあります。

 また、立ち上げ期に既存社員が関与することで、業務の標準化や教育体制の整備が進みやすくなります。後から採用した社員への引き継ぎや育成を考えても、最初に中核となる人材を配置しておくことには大きな意味があります。

 一方で、この「必要性」があるからといって、社員側の負担や事情を無視してよいわけではありません。新事業所に既存社員の異動が必要であるという経営上の事情と、社員個人が抱える生活上の制約は、別の問題として整理する必要があります。

 会社経営者として重要なのは、「なぜ異動が必要なのか」を自分の中で明確にし、その前提を踏まえたうえで、どのような方法が現実的なのかを検討することです。必要性だけを強調して異動を進めようとすると、次に生じる摩擦や離職リスクを見誤ることになります。

3. 経営者がまず理解すべき「他県異動」が社員に与える負担の重さ

 他県への異動を検討する際、会社経営者としてまず理解しておくべきなのは、社員が感じる負担の重さです。他県異動は、業務内容が変わる以上に、生活そのものを大きく揺るがす決断になります。

 異動に伴い、引っ越しや住居の確保、生活環境の変化が発生します。これらは一時的な不便ではなく、日常生活に継続的な影響を与えます。慣れ親しんだ地域や人間関係から離れること自体が、精神的なストレスになる社員も少なくありません。

 会社経営者の視点では、「一定期間だけ」「仕事のため」と考えがちですが、社員側にとっては、先の見えない不安がつきまといます。異動期間が明確でなかったり、将来の扱いが見えなかったりすると、負担感はさらに大きくなります。

 また、他県異動は社員本人だけの問題ではありません。家族がいる場合には、配偶者の仕事、子どもの学校、親の介護など、本人の意思だけでは判断できない事情が絡みます。こうした事情を無視して異動を進めようとすると、強い反発や不信感を招くことになります。

 会社経営者として重要なのは、「会社にとって必要だから」という理由だけで、社員が感じる負担を軽く見ないことです。負担の重さを正しく認識しないまま判断を進めると、異動そのものは実現しても、モチベーションの低下や早期離職といった別の問題が生じるおそれがあります。

 他県異動が社員に与える影響は、想像以上に大きなものです。この前提を理解したうえで初めて、どのような説明や条件提示、判断が現実的なのかを考えることができます。会社経営者としては、負担の重さを直視することが、次の対応を誤らないための出発点になります。

4. 転居・長距離通勤による金銭的負担と生活コストの問題

 他県への異動に伴って必ず問題になるのが、金銭的な負担と生活コストの増加です。会社経営者としては、この点を「一時的な費用」として軽く捉えない姿勢が求められます。

 転居を伴う場合、引っ越し費用、敷金・礼金、家具や家電の買い替えなど、初期費用だけでも相当な負担が生じます。会社が一定の補助を行ったとしても、社員個人の持ち出しがゼロになるケースは多くありません。

 また、単身赴任や長距離通勤という選択肢を取った場合でも、住居費の二重負担や交通費の増加が発生します。特に家族を持つ社員にとっては、「生活費が増える一方で、手取りは変わらない、もしくは減る」という状況になりやすく、異動を前向きに捉えることが難しくなります。

 会社経営者側では、「給与は支払っている」「仕事として当然」という意識があっても、社員の実感としては、「実質的に生活が苦しくなる異動」と映ることがあります。この認識のズレを放置したまま異動を進めようとすると、不満や不信感が蓄積しやすくなります。

 さらに、他県での生活は、物価や生活スタイルの違いによって、想定外の出費が発生することもあります。こうした細かな負担の積み重ねが、「異動したくない」という判断につながることも少なくありません。

 会社経営者として重要なのは、異動に伴う金銭的負担を「本人の問題」として切り離さないことです。どのような費用が発生し、どこまで会社が負担できるのかを整理せずに異動を求めると、現実との乖離が大きくなります。

 転居や通勤に伴う生活コストの問題は、他県異動を検討するうえで避けて通れない要素です。この現実を踏まえたうえで条件や対応を検討することが、会社経営者としての冷静な判断につながります。

5. 配偶者の仕事・共働き世帯への影響をどう考えるべきか

 他県への異動を検討する際、会社経営者が特に慎重になるべきなのが、配偶者の仕事や共働き世帯への影響です。近年は共働きが一般的になっており、社員本人の意思だけで異動を決められるケースは減っています。

 配偶者が正社員として働いている場合、異動によって仕事を辞めざるを得なくなる可能性があります。これは単なる収入減の問題ではなく、キャリアの中断や再就職の難しさといった、長期的な影響を伴います。社員側が異動をためらうのは、決して消極的な姿勢ではありません。

 会社経営者の中には、「単身赴任すればよい」と考える方もいますが、この選択肢も簡単ではありません。家族と離れて生活することによる精神的負担や、家事・育児・介護を配偶者に一方的に背負わせる状況が生じることもあります。結果として、家庭内の不満や不安が大きくなり、仕事への集中力が下がるケースも見られます。

 また、配偶者の働き方が非正規や自営業であったとしても、地域に根ざした仕事をしている場合には、異動が大きな影響を及ぼします。「調整すれば何とかなるだろう」と安易に考えると、社員との認識のズレが広がります。

 会社経営者として重要なのは、配偶者や家庭の事情を「個人の問題」として切り離さないことです。異動を打診する際には、どのような負担が想定されるのかを理解したうえで、選択肢や条件を検討する姿勢が求められます。

 他県異動は、社員本人だけでなく、その家族の生活にも影響を与えます。この現実を踏まえずに異動を進めると、結果としてモチベーション低下や離職につながるおそれがあります。会社経営者としては、共働き世帯が増えている現状を前提に、異動の在り方を考える必要があります。

6. 育児・介護・治療など家庭事情が異動判断に与える影響

 他県への異動を検討する際、会社経営者が見落としてはならないのが、育児・介護・治療といった家庭事情です。これらは一時的な都合ではなく、継続的な関与や責任を伴うものであり、社員本人の努力だけで解決できる問題ではありません。

 たとえば、子どもが小さい場合や受験期にある場合、生活環境の変化は大きな負担になります。転校や保育環境の変更が難しいケースもあり、「仕事のためだから仕方がない」と割り切れる問題ではありません。社員が異動に消極的になるのは、責任感の表れともいえます。

 また、親の介護を担っている社員にとっては、地域を離れること自体が現実的ではない場合があります。通院の付き添いや日常的な見守りが必要な状況では、単身赴任や長距離通勤という選択肢も取りにくくなります。

 さらに、社員本人や家族が治療を受けている場合、医療機関や支援体制の変更は大きなリスクを伴います。会社側からは見えにくい事情であっても、社員にとっては生活の基盤に関わる重要な要素です。

 会社経営者として重要なのは、これらの事情を「個人的な都合」として切り捨てないことです。異動の必要性が高いからといって、家庭事情を十分に考慮せずに進めると、強い不満や不信感を生むことになります。

 他県異動の判断は、業務上の合理性だけで完結するものではありません。育児・介護・治療といった家庭事情が異動判断に大きな影響を与えることを前提に、どこまで対応できるのかを冷静に整理することが、会社経営者として求められます。

7. 地域とのつながりや生活基盤を失うリスク

 他県への異動を検討する際、会社経営者が見落としやすいのが、社員が築いてきた「地域とのつながり」や「生活基盤」を失うリスクです。これは金銭や制度では簡単に補えない要素であり、異動をためらう大きな理由になります。

 多くの社員は、住んでいる地域の中で、人間関係や生活リズム、支援体制を築いています。近所付き合い、子どもの学校や習い事、家族や親族との距離感など、日常生活を成り立たせる要素は一つひとつは小さく見えても、積み重なると大きな意味を持ちます。

 他県へ異動することで、これらを一度リセットしなければならないと感じる社員も少なくありません。特に、長年同じ地域で生活してきた社員ほど、「また一から人間関係を築くこと」への心理的な負担は大きくなります。

 会社経営者の立場では、「仕事に集中できる環境になる」「新しい刺激がある」といった前向きな側面を想定することもあります。しかし、社員側から見ると、「頼れる人がいない環境で生活する不安」「孤立するのではないか」という懸念が先に立つことも多いのが現実です。

 また、地域とのつながりは、緊急時の支えにもなっています。子どもの急病、介護のトラブル、突発的な生活上の問題が起きた際、近くに頼れる人がいるかどうかは大きな違いになります。この支えを失うことへの不安は、異動判断に強く影響します。

 会社経営者として重要なのは、こうした生活基盤を「本人の都合」として軽視しないことです。地域とのつながりを断ち切ることが、社員にとってどれほどの決断なのかを理解しないまま異動を進めると、結果として信頼関係を損なうおそれがあります。

 他県異動は、勤務地だけを変える話ではありません。社員が築いてきた生活そのものに影響を与える判断であることを前提に、次の対応を考える必要があります。

8. 「雇用維持」「成長機会」は本当に異動のメリットになっているか

 他県への異動を検討する際、会社経営者がよく挙げる理由に、「雇用を維持できる」「成長のチャンスになる」といった説明があります。しかし、これらが社員にとって本当にメリットとして受け取られているかどうかは、慎重に考える必要があります。

 会社側の視点では、新事業所での経験はスキルアップにつながり、将来的な評価やキャリア形成にプラスになると考えがちです。また、「異動することで仕事が続けられる」という点を、合理的な提案と捉えることもあります。

 一方で、社員側から見ると、「今の生活を大きく変えてまで得られるメリットなのか」という疑問が生じることも少なくありません。成長や経験といった抽象的な価値よりも、日々の生活や家族への影響の方が切実な問題として感じられる場合があります。

 特に、異動後のキャリアが明確に示されていない場合、「本当に評価されるのか」「一時的に都合よく使われるだけではないか」といった不安を抱かせることになります。この状態で「チャンスだ」「前向きに考えてほしい」と伝えても、説得力は弱くなります。

 会社経営者として重要なのは、会社が考えるメリットと、社員が感じるメリットが一致しているかを冷静に確認することです。異動によって何が得られ、何が失われるのかを整理せずにメリットだけを強調すると、社員との認識のズレは広がります。

 「雇用維持」や「成長機会」という言葉は、条件や将来像が具体化されて初めて意味を持ちます。会社経営者としては、それらが社員にとって現実的な価値になっているのかを問い直すことが、次の判断を誤らないための重要な視点になります。

9. 起きやすい離職リスク

 他県への異動に希望者が出ない背景には、個々の家庭事情だけでなく、「会社としての魅力が弱まっている」という構造的な問題が潜んでいることもあります。会社経営者としては、この可能性から目を背けないことが重要です。

 社員が異動をためらうとき、「異動そのもの」が理由に見えても、実際には「この会社のためにそこまでの負担を負う価値があるのか」という判断が行われている場合があります。会社の将来性や評価制度、働き続けるメリットが十分に感じられていなければ、異動はもちろん、在籍そのものを見直すきっかけになり得ます。

 特に、待遇や評価が不透明な状態で他県異動を求めると、「負担だけが増える」「見返りが見えない」という印象を与えやすくなります。この状況では、異動を断るだけでなく、転職を含めた選択肢を検討する社員が出てくるのも自然な流れです。

 会社経営者として注意すべきなのは、「異動を拒否した社員=協力的でない社員」と短絡的に評価してしまうことです。その判断の裏側には、会社に対する期待値の低下や、将来への不安が影響している可能性があります。

 また、他県異動をきっかけに離職が連鎖的に発生するケースもあります。一人が辞めることで、「やはり厳しい会社なのではないか」「自分も同じ状況になるのではないか」といった不安が広がり、組織全体の安定性が揺らぐことになります。

 他県異動の問題は、人員配置の話にとどまりません。社員が会社にどれだけ魅力や安心感を感じているかを測る、いわば“試金石”のような側面があります。会社経営者としては、異動の可否だけでなく、そこから見えてくる会社の現状を冷静に受け止める必要があります。

 希望者が出ないという結果を、単なる個人事情として片付けるのではなく、会社の在り方を見直す材料として捉えることが、離職リスクを抑えるための重要な視点になります。

10. 他県異動を命じる法的権限の基本的な考え方

 他県への異動に誰も手を挙げない状況になると、「会社として異動を命じることはできるのか」という点が気になる会社経営者も多いでしょう。ここで重要なのは、「法的に可能か」と「現実的に妥当か」を分けて考えることです。

 一般論として、就業規則や雇用契約に配置転換や転勤に関する定めがあり、業務上の必要性が認められる場合には、会社が異動を命じること自体は可能とされることがあります。しかし、だからといって、どのような異動命令でも無条件に有効になるわけではありません。

 異動命令が有効とされるためには、業務上の必要性があることに加え、社員に過度な不利益を与えないことが求められます。特に、他県への異動は、生活への影響が大きいため、家庭事情や健康状態などを無視した命令は問題になりやすくなります。

 会社経営者として注意すべきなのは、「規則に書いてあるから大丈夫」「命令できるから従わせればよい」と考えてしまうことです。形式的には可能であっても、実際には強い反発を招き、結果として退職や紛争につながるケースも少なくありません。

 また、異動命令を出す前に、どのような説明を行い、どの程度の調整や配慮をしてきたのかも重要な要素になります。十分な説明や検討を行わずに命令に踏み切ると、後になってその合理性を問われることになります。

 他県異動を命じる権限があるかどうかだけを見るのではなく、その行使が現実的に妥当か、会社として納得できるプロセスを踏んでいるかを冷静に検討することが、会社経営者としての重要な視点になります。

11. 配転命令が無効・濫用と判断されるケース

 他県への異動を命じることが法的に可能な場合であっても、その内容や進め方によっては、配転命令が無効、または権利濫用と判断されるリスクがあります。会社経営者としては、「命令できるかどうか」だけでなく、「どのような命令であれば問題にならないか」を理解しておく必要があります。

 まず問題になりやすいのが、業務上の必要性が乏しいケースです。新事業所の立ち上げとは直接関係のない社員を、明確な理由も示さずに異動させる場合、「なぜこの社員でなければならないのか」という点が説明できなければ、合理性を欠くと判断される可能性があります。

 また、社員に過度な不利益を与える異動も注意が必要です。育児・介護・治療といった事情を十分に把握しないまま他県異動を命じたり、転居を前提とするにもかかわらず、補助や配慮がほとんど行われなかったりする場合、命令の妥当性が問題になります。

 さらに、これまで転勤がほとんどなかった会社で、突然他県異動を強く求めるようになった場合も、トラブルに発展しやすくなります。採用時の説明内容や、これまでの運用実態と大きく異なる対応を取ると、社員側の不信感が高まります。

 会社経営者として注意すべきなのは、「従わないなら辞めてもらうしかない」といった圧力的な進め方です。このような対応は、結果として退職につながった場合でも、後から問題視されるおそれがあります。異動命令そのものだけでなく、その過程も含めて評価される点を軽視してはいけません。

 配転命令が無効や濫用と判断されるケースに共通しているのは、会社側の説明不足や配慮不足です。業務上の必要性を整理し、社員が置かれている状況を把握したうえで、どこまで対応してきたのかを説明できる状態を作ることが、会社経営者として不可欠になります。

 他県異動は、法的な正しさだけで押し切れる問題ではありません。トラブルを防ぐためには、「命令する前に何をすべきか」を慎重に検討する姿勢が求められます。

12. 経営者が覚悟すべきこと

 他県への異動について検討を進める中で、会社経営者が最終的に向き合わなければならないのが、「命令すれば辞める社員が出る可能性が高い」という現実です。これは脅しでも極端な話でもなく、現在の労働環境においてごく普通に起こり得ることです。

 かつては、「会社の命令には従うもの」「転勤は当然」という価値観が一定程度共有されていました。しかし現在は、働き方の選択肢が増え、転職に対する心理的ハードルも下がっています。そのため、生活への影響が大きい異動を命じられた場合、「辞める」という選択を取る社員がいても不思議ではありません。

 会社経営者として注意すべきなのは、この状況を「社員がわがままになった」「覚悟が足りない」と評価してしまうことです。そのように受け止めても、現実は変わりません。むしろ、強い命令によって優秀な社員ほど離職し、結果的に会社の体力を削ることになるケースもあります。

 また、異動命令を出した結果、表面的には従ったものの、モチベーションが大きく低下し、パフォーマンスが落ちるという形で影響が出ることもあります。この場合、離職という形で表面化しない分、問題が長期化しやすくなります。

 会社経営者として重要なのは、「異動を命じること自体がリスクを伴う判断である」という認識を持つことです。誰に命じるのか、辞められた場合の影響はどの程度か、代替手段はあるのか。こうした点を整理せずに命令に踏み切ると、後戻りができなくなります。

 他県異動をめぐる判断は、単なる人事配置の問題ではありません。会社として何を優先し、どのような覚悟で経営を続けていくのかが問われる場面です。命令すれば済むという発想を捨て、離職の可能性も含めて受け止めたうえで判断することが、会社経営者として求められます。

 


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