問題社員46 指導に従わない。
目次
1. 動画解説
2. 指導に従わない社員が職場に及ぼす悪影響とは
会社経営者にとって、社員が指導に従わないという状況は極めて深刻な問題です。指示に従わず、正しい手順で仕事を進めなければ、当然ながら業務そのものがうまくいきません。業務の質が低下すれば、お客様に迷惑をかけるだけでなく、社内の他の社員やパート・アルバイトにも負担がかかり、職場全体に悪影響を及ぼします。
さらに、「社長の指示に従わなくてもいい」といった空気が一部でも職場に蔓延すれば、組織の秩序が崩れ、職場の雰囲気そのものが悪化しかねません。特に、業務上のルールや安全に関わる指示を無視されれば、実害が生じる危険性すらあるのです。
このように、指導に従わない社員が職場に与える影響は、単に業務が滞るといった表面的な問題にとどまりません。企業の信用、組織の秩序、安全管理、人間関係といった、会社の基盤そのものを揺るがしかねない重大なリスクをはらんでいます。したがって、会社経営者はこの問題を放置せず、原因を冷静に見極め、的確な対処を講じる必要があります。
3. 問題の本質を見極めるために:まずは原因の切り分けを
社員が指導に従わない場合、それが「意図的に従っていない」のか、「指導の内容を理解できていない」のかで、対処法は大きく異なります。会社経営者としてまず行うべきは、原因の切り分けです。問題の本質を見誤ったまま対応を進めてしまえば、解決どころかさらに状況が悪化する可能性があります。
一見すると反抗的に見える社員でも、実際には能力不足や情報の伝達方法に原因があり、「どうしていいか分からずに従えない」ということもあります。逆に、指導の内容は十分に理解しているにもかかわらず、あえて無視するような意図的な態度であれば、それは明確に秩序を乱す行動として、厳正に対応しなければなりません。
重要なのは、「従わない」という結果だけを見て即断しないことです。なぜその社員が従わないのかを丁寧に掘り下げ、背景にある事情や本人の特性、指導の方法などを踏まえたうえで、次の対応を決める必要があります。
このように、指導に従わない社員への対応は、単なる注意や叱責ではなく、会社経営者としての判断力と観察力が問われる重要なマネジメント業務です。まずは原因を正確に把握し、それに応じた戦略を立てることが、問題解決への第一歩となります。
4. 指導内容が伝わっていない場合の対応方法
社員が指導に従わないように見える場合、その背景に「指導の内容自体が伝わっていない」というケースがあります。つまり、本人が悪意を持って従わないのではなく、そもそも何を求められているのか理解できていないのです。このような場合、会社経営者がまずすべきは、指導の伝え方を見直すことです。
特に、業務に必要な能力が十分に備わっていない社員の場合、一般的な説明では内容を正確に把握できず、「言われた通りにやっているつもりなのに間違っている」という事態が起こります。こうした能力不足による理解の欠如は、決して珍しいことではありません。
対応としては、より具体的かつ段階的に伝えることが重要です。「これをこうやってから、次にこうする」というように、一つひとつの動作を順を追って示し、可能であれば実際にやって見せることで理解を促します。ときには、視覚的な補助資料や、文字にして残すことで、耳からの情報だけでは理解できない社員にも対応できます。
また、本人が実際にできているかどうかを確認しながら、必要に応じてマイクロマネジメント的なアプローチをとることも検討すべきです。多少手間はかかりますが、意味が伝わっていないまま放置するよりも、はるかに建設的な方法です。
「これくらい理解できて当然だろう」といった思い込みは禁物です。会社経営者として必要なのは、自社にいるすべての社員が的確に業務を遂行できるよう、わかりやすく伝えるための工夫を惜しまない姿勢です。理解力に課題のある社員を前提にした指導を行うことで、全体のパフォーマンスも安定していきます。
5. 能力不足による理解不能な社員への具体的な対処
指導に従わない社員の中には、決して悪意があるわけではなく、単純に能力が不足しているがために、指導内容を理解できないというケースがあります。このような場合、会社経営者としては「言えば分かるはず」といった前提を捨て、できるだけ具体的で噛み砕いた指導を徹底する必要があります。
例えば、「自分の頭で考えて臨機応変に対応しろ」といった抽象的な指示は、能力不足の社員にとっては通じません。そのため、作業手順を順を追って説明し、目の前で見せながら「次はこれ、その次はこれ」と逐一確認していくといった、マイクロマネジメント的な対応が求められます。
また、耳からの情報処理が苦手な社員の場合は、書面やマニュアル、チェックリストなどの視覚的なツールを活用することも有効です。口頭だけでは伝わらない場合でも、文字にすることで理解が進むケースは多々あります。
それでも業務遂行が著しく困難な場合は、配置転換を検討することも一つの手です。本人の能力や適性に合ったポジションであれば、思わぬ力を発揮することもあります。反対に、どのような業務にも対応できず、職場全体に悪影響を及ぼしているようであれば、退職も選択肢として視野に入れざるを得ません。
こうした対応には手間も時間もかかりますが、適切な判断と対応によって、組織の健全性と生産性を守ることができます。放置すれば他の社員の士気や生産性にまで影響を及ぼすため、会社経営者として早期に判断し、実行に移すことが求められます。適性のない業務に無理にとどめるのではなく、企業と本人双方にとって最善の選択を模索する姿勢が重要です。
6. 指導が抽象的で伝わらない場合の改善ポイント
社員が指導に従わない原因の一つに、「指導の内容が抽象的すぎて伝わっていない」というケースがあります。会社経営者としては、自分の中では十分に伝わっているつもりでも、相手にとっては意味不明だったということは珍しくありません。このような場合、指導そのものの伝え方を見直す必要があります。
たとえば、「ちゃんとやっておいて」「臨機応変に動いて」「気を利かせて行動しろ」といった指示は、一見それらしく聞こえますが、具体的に何をどうすればいいのかは曖昧です。こうした言葉は、一定の経験や前提知識を持った社員には通じるかもしれませんが、そうでない社員には伝わらない可能性が高いのです。
改善の第一歩は、誰にでも理解できるような具体的な言葉で説明することです。外部の第三者、たとえば弁護士やコンサルタントなどの全く現場を知らない人でも理解できるように言語化できるかどうかが、一つの基準になります。それができていない場合、そもそも指導が成立していないと考えるべきです。
「相手が当然わかっているだろう」という前提は捨てて、知識や経験に関係なく、誰が聞いても理解できる日本語で指示を出すことが求められます。指導内容の明確化は、誤解や混乱を防ぎ、後々のトラブルの火種を未然に防ぐためにも不可欠です。
このように、伝え方そのものに工夫を加えることは、社員との意思疎通を円滑にし、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。もし、自社の指導がうまく伝わっていないと感じる場面があれば、それは指導する側の表現を見直すチャンスと捉え、改善に取り組むことが会社経営者としての責任でもあります。
7. 意図的に指導に従わない社員への対処法
指導内容を理解しているにもかかわらず、あえて従わない社員が存在する場合、これは明確に秩序を乱す行動として、会社経営者が毅然と対応すべき問題です。合理的な指導に対して従う意思を示さない社員は、周囲にも悪影響を与える存在となり得ます。放置すれば、他の社員にまで「指導に従わなくてもよい」という誤ったメッセージを送ることになり、組織全体の統率力が損なわれかねません。
こうした社員に対しては、まず会議室に呼び、短時間でも構いませんので、面と向かって明確に話をすることが重要です。指導に従わないという問題が起こった都度、5分〜10分程度でも面談の時間を設け、何が問題だったのか、何をどう改善すべきなのかを、具体的に伝えるようにしてください。
立ち話やその場限りの軽い注意では、社員に軽視されやすく、「この程度なら許される」と誤解される恐れがあります。会議室という正式な場で対面し、あらためて指導することで、問題の重さを伝えるとともに、会社としての方針を明確に打ち出すことができます。
常識的な範囲であれば、このような面談を繰り返すだけで問題が沈静化するケースも少なくありません。ただし、これを続けても全く態度が変わらない場合には、より踏み込んだ対応が必要になります。今後の業務への影響や、組織全体の統制を守る観点から、会社経営者としての判断力と決断が問われる局面です。
意図的に指導に従わない社員に対しては、曖昧な対応を避け、早期から一貫した姿勢で臨むことが、最終的なトラブルの防止につながります。社員一人の問題として放置せず、組織全体の秩序を守る視点で取り組んでいくことが肝要です。
8. 面談による初期対応の重要性と効果
指導に従わない社員に対して、最初の対応として最も効果的なのが、都度の「面談」です。会社経営者としては、社員が問題行動を起こした直後に、会議室などの落ち着いた場所で短時間でも直接話す時間を設けることが大切です。この「都度の面談」を徹底するだけで、状況が大きく好転することもあります。
指導が守られていない場面でその都度丁寧に話し合うことで、本人にとって「これは見過ごされない行動なのだ」と認識させることができます。立ち話や軽い注意では相手に本気度が伝わらず、「別に問題ないだろう」と軽視されがちです。会議室という「場の重み」を活かし、真剣に向き合うことで、相手の態度にも変化が生まれやすくなります。
また、面談の中では、何が問題で、どう改善すべきなのかを具体的に伝えることがポイントです。形式ばった叱責ではなく、冷静に事実を伝え、今後の改善の方向性を明確にすることで、相手に考え直す機会を与えることができます。
このような面談を繰り返しても改善が見られない場合は、厳重注意書や懲戒処分など、次の段階に進むべきかを判断するタイミングです。しかし、初期の段階で面談を行わず、いきなり処分に踏み切ると、「なぜ何も言われなかったのに処分されたのか」といった反発を招きかねません。
つまり、面談による初期対応は、社員の意識改革を促すだけでなく、後の段階でより強い措置を講じる際の正当性を確保するうえでも、重要なステップとなります。会社経営者としては、「注意はしているつもり」ではなく、「記録に残る面談を行っているか」を意識して、問題社員への対応にあたるべきです。
9. 面談でも改善が見られない場合の段階的対応
面談を重ねてもなお、社員の態度や行動に改善が見られない場合、会社経営者としては次の段階に進む判断が求められます。この段階で重要なのは、感情的に対応するのではなく、手順と証拠を整えながら、冷静に措置を進めることです。
まず行うべきは、文書による「厳重注意書」の交付です。口頭での注意に続いて、明確な文書で「この行動は問題であり、改善を求めている」という意思を伝えることで、問題行動が見過ごされていないことを本人に理解させます。また、今後の懲戒処分に備えて、客観的な証拠としても機能します。
それでも改善が見られない場合は、「懲戒処分通知書」の交付を検討すべきです。就業規則に基づいた正式な懲戒手続きにより、会社としての方針と組織の秩序を明確に示します。処分の程度は、問題の内容と頻度に応じて決定する必要がありますが、いずれにしても通知書には具体的な行動内容と処分理由を明記し、本人に交付することが重要です。
これらの文書作成や手続きに慣れていない場合は、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。誤った手続きや曖昧な表現がトラブルを招く恐れがあるため、専門家と連携しながら正確かつ適正に対応を進めることが、会社経営者にとってのリスク回避につながります。
また、懲戒処分を何度重ねても改善が見られない、あるいは初めから著しく問題のある行動が見受けられる場合には、退職勧奨や最終的には解雇も選択肢に含めて検討せざるを得ません。もちろん、これらの対応は高いリスクを伴いますので、実行前に十分な準備と法的確認が必要です。
このように、面談後も改善が見られない場合には、段階的かつ計画的な対応が不可欠です。すべての行動において記録を残し、根拠を明確にしながら進めることで、組織の秩序を守り、会社としての正当性を確保することができます。
10. 指導内容の合理性を再確認する視点
社員が指導に従わない場合、会社経営者として一度立ち止まり、「その指導自体に問題がなかったか」を客観的に見直すことも必要です。本人が従わない理由が、実は指導内容の不合理さにあるという可能性もゼロではありません。マネジメントにおいては、相手の言動だけでなく、こちらの指導の妥当性にも目を向ける姿勢が求められます。
指導内容の合理性を判断する際の一つの目安は、「この内容を外部に公開しても恥ずかしくないかどうか」です。例えば、「この指導がSNS上に出回っても問題ない」と胸を張って言えるものであれば、内容に一定の合理性があると考えてよいでしょう。逆に、「これはちょっと他人には見られたくない」と感じる内容であれば、何らかの改善が必要かもしれません。
合理性を欠いた指導は、社員の反発や混乱を招くだけでなく、社内外からの信頼を損なうリスクも伴います。どれだけ強い姿勢で指導しても、その中身に正当性がなければ、組織としての説得力を失うことになりかねません。
ただし、指導内容を見直すというのは、決して社員の言い分を全面的に受け入れるということではありません。会社の方針や業務遂行に必要な基準を保ちつつも、伝え方や表現、タイミングを工夫することで、より理解と納得を得られる指導が可能になります。
合理的で納得のいく指導を行うことは、単に問題社員への対応にとどまらず、組織全体のマネジメント力の底上げにもつながります。会社経営者として、常に自らの指導が「第三者の目から見ても適切か」という視点を持ち続けることが、長期的な企業成長にも直結します。
11. 指導に従わない社員への対応は「会社経営者のマネジメント力」が問われる
社員が指導に従わないという問題は、単なる「個人の性格や姿勢の問題」として片付けてしまうのではなく、会社経営者としてのマネジメント力が問われる場面です。なぜ従わないのか、背景にどのような要因があるのかを丁寧に見極め、その原因に即した対応を行うことこそが、経営者の役割です。
一つには、指導内容を理解できない社員への対応があります。能力や認知の特性により、指示の意味が伝わっていない場合、より具体的で噛み砕いた説明が必要になります。また、口頭だけでなく、視覚的な手段や文書を組み合わせて伝える工夫も求められます。
一方で、指導を理解していながら従わない、いわば「意図的な抵抗」を示す社員に対しては、毅然とした態度で段階的に対応することが必要です。都度の面談から始まり、改善が見られない場合は厳重注意、懲戒処分、さらには退職勧奨や解雇といった手続きも視野に入れていかなければなりません。
このような対応において重要なのは、「一貫性」と「記録の蓄積」です。感情的な対応や場当たり的な措置ではなく、冷静かつ段階的に進める姿勢が、社員本人への説得力を持ち、外部とのトラブルを未然に防ぐ力にもなります。
そして、必要に応じて弁護士などの専門家と連携しながら進めることで、法的なリスクを回避しつつ、経営者自身の判断や対応にも自信が持てるようになります。現場任せではなく、最終的には経営者自身の視点で全体を把握し、適切な意思決定を行う姿勢が、会社の健全な成長を支える基盤となります。
指導に従わない社員への対応は、経営者の資質が最も問われる局面の一つです。表面的な対処ではなく、根本的な原因を見極め、組織全体を前向きに導くマネジメント力が求められています。

