Q57 有期契約の期間が満了したにも関わらず,雇い止めに応じない社員がいる。

1 原則
 有期契約の期間が満了したら,原則,当該有期契約は終了します。
 しかし,例えば,過去に何回か契約が更新されており,当該社員が契約が更新されると期待することについて合理的な理由がある場合には,労働契約法19条の問題となり,例外的に,従前と同一の契約が成立したと判断される可能性があります。

2 労働契約法19条(雇止め法理)
 
労働契約法19条は,有期労働契約の更新について,次のとおり定めています。

第19条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
 1 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
 2 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

 労働契約法19条1項,2項に該当するか否かについては,次の事項を基に判断します。
①業務の性格・内容
②更新の有無(更新の回数,勤続年数)
③更新の判断基準
④更新手続の有無・時期・方法(形式的か否か)
⑤更新上限特約の有無
⑥不更新特約の有無
⑦採用時などにおける使用者の継続雇用を期待させる言動の有無
⑧就業規則や作業内容・労働時間に正社員と相違があるのか

3 今後の対応策 
①更新手続を厳格に行うこと
 更新手続が形骸化している場合には,実質的無期契約関係が存在するのではないかと認定される可能性がありますので,更新手続きは厳格に行うことをお勧めします。
②必要以上に更新を期待させるような言動を行わないこと
 雇入れ時や更新時に上司が更新を期待させる言動を行うと,更新されるものと期待させたと判断される可能性がありますので,必要以上に更新を期待させるような言動は行わないようにしましょう。
③更新上限特約
 労働契約書に更新回数の上限を盛り込む(更新上限特約)場合は,労働者への説明と了承を得ることの他に,更新上限の例外を作らない運用も重要です。
④不更新特約
 有期労働契約の締結時や更新時に,「次回は更新しません」や「更新は今回限りとする」等といった文言を盛り込む(不更新特約)場合は,労働者への説明と了承が重要であり,労働者への説明と了承を得ることの他に,更新上限の例外を作らない運用も重要です。

文責:飯島 潤

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