労働問題814 退職後の従業員による引き抜き行為が違法と評価されるのはどのようなケースですか?

 退職後の従業員による引き抜き行為の法的責任について、フレックスジャパン対アドバンテック事件(東京地裁平成14年9月11日判決)は、「従業員が勤務先の会社を退職した後に当該会社の従業員に対して引き抜き行為を行うことは原則として違法性を有しないが、その引き抜き行為が社会的相当性を著しく欠くような方法・態様で行われた場合には、違法な行為と評価されるのであって、引き抜き行為を行った元従業員は、当該会社に対して不法行為責任を負うと解すべきである。」としています。
 違法な引き抜きと評価された例として、取締役かつ中心的な役割を果たしていた幹部従業員が、会社に知られないよう内密にセールスマンらの移籍の計画・準備をし、移籍後直ちに営業を行うことができるように準備した上で、慰安旅行を装って事情を知らないセールスマンをまとめて連れ出し、ホテル内の一室で移籍の説得を行う等し、大量に競業他社に移籍させたことについて、引き抜きの態様が計画的かつ極めて背信的であるとし、社会的相当性を逸脱した違法な評価とした裁判例(ラクソン事件東京地裁平成3年2月25日判決)があります。
 また、別の事案では、従業員らが大量移籍を計画的に進め、会社の顧客情報を持ち出し、会社から顧客を奪う意図があったとうかがわれること等から、引き抜き行為が契約上の義務違反に当たると評価しました(アイメックス事件東京地裁平成17年9月27日判決)。
 なお、これらの裁判例はいずれも大量引き抜きについてですが、大量引き抜きが直ちに違法と結論付けられているわけではありません。引き抜きに至る経緯が詳細に認定され、その上で、引き抜きの規模も含めて、首謀者が使用者に殊更に打撃を与えようとしているか否かが様々な角度から検討されているものと考えます。

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