問題社員92 あまり働かない。
目次
動画解説
1. あまり働かない社員の存在が職場に与える影響
職場に「あまり働かない社員」が一定数存在すること自体は、どの会社でも起こり得る現象です。しかし、その影響を軽視していると、会社全体に想像以上の悪影響が及ぶことがあります。特に問題となるのは、真面目に、熱心に働いている社員への影響です。
熱心に働く社員ほど、周囲の状況をよく見ています。「同じ給料なのに、なぜあの人はあれで許されているのか」「自分ばかりが負担を背負っているのではないか」といった不満は、声に出されなくても、確実に蓄積していきます。会社経営者が気付いたときには、すでにモチベーションが大きく低下していることも少なくありません。
また、あまり働かない社員の存在は、職場の基準そのものを引き下げるおそれがあります。「頑張らなくても何も言われない」「最低限やっていれば問題にならない」という空気が広がると、全体として仕事の質やスピードが落ち、組織としての競争力にも影響が出てきます。
会社経営者として注意すべきなのは、この問題が必ずしも表面化しない点です。大きなトラブルが起きていなくても、水面下では不満や諦めが広がっていることがあります。その結果、優秀で意欲の高い社員ほど、静かに転職を考え始めるという事態にもつながりかねません。
あまり働かない社員の問題は、その本人だけの問題ではなく、職場全体の士気と将来に関わる経営課題です。次項では、この問題に対して、人事制度を簡単に変えられない会社経営者が抱えがちな悩みについて、もう一歩踏み込んで整理していきます。
2. 人事制度を変えられない会社経営者の悩み
職場に「あまり働かない社員」が一定数存在すること自体は、どの会社でも起こり得る現象です。しかし、その影響を軽視していると、会社全体に想像以上の悪影響が及ぶことがあります。特に問題となるのは、真面目に、熱心に働いている社員への影響です。
熱心に働く社員ほど、周囲の状況をよく見ています。「同じ給料なのに、なぜあの人はあれで許されているのか」「自分ばかりが負担を背負っているのではないか」といった不満は、声に出されなくても、確実に蓄積していきます。会社経営者が気付いたときには、すでにモチベーションが大きく低下していることも少なくありません。
また、あまり働かない社員の存在は、職場の基準そのものを引き下げるおそれがあります。「頑張らなくても何も言われない」「最低限やっていれば問題にならない」という空気が広がると、全体として仕事の質やスピードが落ち、組織としての競争力にも影響が出てきます。
会社経営者として注意すべきなのは、この問題が必ずしも表面化しない点です。大きなトラブルが起きていなくても、水面下では不満や諦めが広がっていることがあります。その結果、優秀で意欲の高い社員ほど、静かに転職を考え始めるという事態にもつながりかねません。
あまり働かない社員の問題は、その本人だけの問題ではなく、職場全体の士気と将来に関わる経営課題です。次項では、この問題に対して、人事制度を簡単に変えられない会社経営者が抱えがちな悩みについて、もう一歩踏み込んで整理していきます。
3. 「頑張っても報われない」と感じさせるリスク
あまり働かない社員と、熱心に働く社員が同じ評価・同じ待遇のままで放置されている状況が続くと、真面目に働く社員の中に「頑張っても報われない」という感覚が徐々に広がっていきます。この感覚は、会社経営者が思っている以上に、社員の行動や意識に大きな影響を与えます。
多くの場合、社員は最初から露骨に不満を口にするわけではありません。「仕方がない」「会社はこういうものだ」と自分を納得させながら働き続けます。しかし、その内面では、仕事への意欲や会社への期待が少しずつ削られていきます。表面上は問題なく業務をこなしているように見えても、主体性や工夫、踏み込んだ貢献が失われていくのが実情です。
特に注意すべきなのは、優秀で選択肢のある社員ほど、この状況に早く見切りをつける点です。「この会社では努力しても評価されない」と感じた社員は、ある日突然退職を申し出ることがあります。会社経営者にとっては寝耳に水であっても、本人の中では長い時間をかけて結論が固まっているケースが少なくありません。
また、「頑張っても報われない」という空気は、周囲にも伝播します。若手社員や中堅社員が、先輩の姿を見て「無理に頑張らなくてもいいのだ」と学習してしまえば、職場全体の基準が下がり、結果として組織の力が弱まっていきます。
会社経営者としては、このリスクを放置することが、将来的にどれほど大きな損失につながるのかを正しく認識する必要があります。次項では、人事制度を変えられない前提の中でも、モチベーション維持のために経営者ができる具体的な対応について整理していきます。
4. モチベーション維持において人事制度以外でできること
人事制度をすぐに変えられない状況であっても、会社経営者が何もできないわけではありません。むしろ、制度が固定されているからこそ、制度以外の部分でどのようなメッセージを発信するかが、社員のモチベーションに大きく影響します。
まず重要なのは、仕事の「結果」だけでなく、「プロセス」や「姿勢」に目を向けることです。熱心に働いている社員は、目に見える成果だけでなく、日々の工夫や責任感をもって業務に取り組んでいます。そうした点を会社経営者が認識し、言葉として伝えるだけでも、「見てもらえている」という実感につながります。
また、評価や処遇に直結しない場面であっても、役割や期待を明確に伝えることは効果的です。「この業務は君に任せたい」「この部分は会社として非常に助かっている」といった具体的な言葉は、制度以上に社員の意欲を支えることがあります。逆に、何も言われない状態が続くことこそが、最もモチベーションを下げる要因になり得ます。
さらに、会議や打合せの場で、熱心に取り組んでいる社員の意見や工夫を取り上げることも有効です。特別な表彰制度を設けなくても、公の場での言及は、本人だけでなく周囲の社員にも、「会社が何を重視しているのか」を伝える強いメッセージになります。
会社経営者としては、「制度が変えられないから仕方がない」と考えるのではなく、制度の外側で発信できるメッセージを意識的に増やすことが重要です。次項では、その中でも特に効果の大きい、モデルケースとなる先輩社員の存在について整理していきます。
5. モデルケースとなる先輩社員の重要性
人事制度を大きく変えられない状況において、熱心に働く社員のモチベーションを維持するうえで、モデルケースとなる先輩社員の存在は非常に重要です。社員は制度だけで動いているのではなく、「この会社で、どのように働いている人が評価されているのか」を日常的に観察しています。
特に若手社員は、経営者や制度よりも、身近な先輩社員の姿を基準に行動を決める傾向があります。努力を続けている先輩が、責任ある仕事を任され、信頼されている様子を見れば、「この会社では頑張る意味がある」と感じやすくなります。逆に、真面目に働く社員が報われていないように見えると、早い段階で意欲を失ってしまいます。
会社経営者として意識すべきなのは、誰を前に出しているかという点です。会議で発言の機会を与える社員、重要な案件を任せる社員、周囲に紹介する社員が、結果として「会社が評価している人物像」を体現することになります。これは制度以上に強いメッセージになります。
また、モデルケースとなる先輩社員に対しては、「なぜその人に任せているのか」「どの点を評価しているのか」を、できるだけ言葉にして伝えることが重要です。評価理由が見えることで、周囲の社員も「何を目指せばよいのか」を理解しやすくなります。
会社経営者としては、特定の社員をえこひいきしていると受け取られないよう配慮しつつも、会社として望ましい働き方を体現している社員を、意識的にモデルとして示すことが求められます。次項では、その前提となる、熱心に働く社員の仕事ぶりを「正確に把握する」ことの重要性について整理していきます。
6. 熱心に働く社員の仕事ぶりを「正確に把握する」意味
熱心に働く社員のモチベーションを維持するためには、その仕事ぶりを正確に把握していることが大前提となります。会社経営者が「頑張っているつもり」「何となく評価している」という感覚にとどまっている限り、その努力は社員本人に十分伝わりません。
実務上、問題になりやすいのは、「成果が数字として見えにくい仕事」が評価されにくい点です。裏方業務や調整業務、トラブル対応などは、会社の運営に不可欠であるにもかかわらず、当たり前のものとして扱われがちです。その結果、最も負担を背負っている社員ほど、評価されていないと感じてしまうことがあります。
会社経営者としては、「何をしているのか分からないから評価できない」という姿勢を取るのではなく、把握する努力をすること自体が重要です。定期的に話を聞く、業務内容を具体的に説明してもらう、現場の声を拾うといった行動を通じて、仕事の中身を理解しようとする姿勢が、社員の信頼につながります。
また、仕事ぶりを正確に把握することは、あまり働かない社員との違いを見極めるためにも不可欠です。誰がどの業務を担い、どのような負担を引き受けているのかが見えていなければ、職場内の不公平感を是正することはできません。
会社経営者としては、熱心に働く社員の努力を「当然のもの」として流さず、具体的に理解し、言葉にできる状態を目指すことが重要です。次項では、その把握した認識を、どのように社員に伝えるべきかという点について整理していきます。
7. 経営者・管理職が認識を伝えることの効果と注意点
熱心に働く社員の仕事ぶりを正確に把握できているのであれば、その認識をきちんと本人に伝えることが重要です。どれだけ評価しているつもりでいても、それが言葉や態度として伝わっていなければ、社員にとっては「評価されていない」のと同じだからです。
会社経営者や管理職が、「この点は会社として助かっている」「この対応は非常に評価している」と具体的に伝えることで、社員は自分の努力が無駄ではなかったと実感できます。人事制度による評価がすぐに変わらなくても、こうした直接的な認識の共有は、モチベーションを支える大きな要素になります。
一方で、伝え方には注意が必要です。抽象的な褒め言葉や、誰にでも当てはまるような表現では、かえって白々しく受け取られてしまうことがあります。「頑張っているね」ではなく、「この業務を引き受けてくれたことで現場が助かった」といったように、具体性を持たせることが不可欠です。
また、特定の社員だけを過度に持ち上げるような伝え方をすると、周囲との軋轢を生むおそれもあります。そのため、公の場で伝える場合と、個別に伝える場合とを使い分けることが重要です。評価の意図や理由が周囲にも理解できる形であれば、不公平感を抑えることにもつながります。
会社経営者としては、「評価は制度で示すもの」という考え方にとらわれ過ぎず、日常のコミュニケーションの中で認識を伝えることの効果を見直す必要があります。次項では、人事制度を変えないと決めた以上、会社経営者に求められる覚悟について整理し、本記事をまとめます。
8. 人事制度を変えないと決めた以上、経営者に求められる覚悟(まとめ)
あまり働かない社員がいる一方で、熱心に働く社員のモチベーションを維持したいと考えるのであれば、会社経営者には一定の覚悟が求められます。人事制度を変えないという判断は、現実的な経営判断である一方、その分、経営者自身の関与がより重要になるからです。
制度を変えない以上、評価や処遇で明確な差をつけることには限界があります。その中で、何も手を打たなければ、「頑張っても変わらない会社だ」という空気が広がり、意欲の高い社員から順に離れていくおそれがあります。この結果は、制度の問題というより、経営姿勢の問題として受け取られがちです。
これまで見てきたように、人事制度を変えなくても、経営者が仕事ぶりを把握し、認識を言葉にして伝え、モデルとなる社員を前に出すことで、職場に発信できるメッセージは確実に変わります。ただし、それらは一度きりの対応では足りず、継続的に行う必要があるという点を理解しておかなければなりません。
また、「制度を変えない」という判断は、裏を返せば、「制度以外の部分で経営者が責任を負う」という選択でもあります。忙しさを理由に現場から距離を置いたり、問題を見て見ぬふりをしたりすれば、その影響は必ず熱心に働く社員にしわ寄せされます。
会社経営者として重要なのは、「制度を変えられないから仕方がない」と諦めることではなく、その前提の中で何をするのかを自ら引き受ける姿勢です。人事制度を変えないと決めた以上、その判断に伴う責任を自覚し、社員に向き合い続けることが、職場の士気と会社の将来を守ることにつながるといえるでしょう。
最終更新日2026/2/8

