問題社員88 頻繁に休む派遣社員。
目次
動画解説
1. 頻繁に休む派遣社員がいる場合に会社経営者が直面する問題
病気などを理由に派遣社員が頻繁に休み、計画どおりに業務が進まない。このような状況に直面すると、会社経営者としては非常に悩ましい問題だと感じるはずです。派遣社員が来ることを前提に業務計画を立てている以上、突然の欠勤が続けば、現場は混乱し、他の社員への負担も大きくなります。
派遣社員の方が来てもらえることを当てにしていたにもかかわらず、安定して勤務してもらえない場合、派遣先としては「困る」というのが率直な本音でしょう。しかし一方で、病気を理由に休んでいる以上、強く言いづらいという事情もあります。この板挟みの状態が、会社経営者をさらに悩ませます。
現実問題として、派遣社員が頻繁に休むケースについて、絶対的な正解があるわけではありません。どの対応を選ぶかは、会社の状況や人員体制、事業の方向性によって変わってきます。重要なのは、「こうすれば必ず解決する」という答えを探すのではなく、いくつかの選択肢を比較し、経営判断として決めていくことです。
会社経営者は、目の前の対処療法だけでなく、「今後も派遣社員を使い続けるのか」「別の形で人手を確保するのか」といった視点も含めて考える必要があります。頻繁に休む派遣社員の問題は、人手不足時代における経営判断そのものだといえるでしょう。
2. 病気を理由に休む派遣社員に強く言えない理由
頻繁に休む派遣社員に対して、「何とかならないのか」「もう少し安定して来てもらえないのか」と思っていても、病気を理由にされると、派遣先としては強く言いづらいのが現実です。会社経営者としても、「体調不良なら仕方がない」「無理をさせるわけにはいかない」と感じるのは自然なことです。
特に派遣社員の場合、直接雇用しているわけではないため、なおさら慎重にならざるを得ません。派遣社員本人に対して踏み込んだ話をしようとしても、「どこまで言っていいのか」「行き過ぎた対応にならないか」と迷ってしまうことも多いでしょう。
また、病気を理由とした欠勤については、派遣先が安易に問題視すると、後になってトラブルに発展するリスクもあります。そのため、「仕方がない」と自分に言い聞かせながら、我慢してしまっている会社経営者も少なくありません。
しかし一方で、頻繁な欠勤が続けば、業務が計画どおりに進まないという現実的な問題が生じます。現場の社員に負担がかかり、不満が溜まっていくこともあります。このように、派遣社員の体調への配慮と、事業運営上の支障との間で、会社経営者が板挟みになる構図が生まれます。
重要なのは、「強く言えないから何もしない」という選択を取らないことです。派遣社員本人に無理をさせる必要はありませんが、だからといって派遣先が黙って耐え続ける必要もありません。次の段階として、誰と、どのように話をすべきかを整理することが求められます。
3. 派遣社員本人ではなく派遣会社と話すべき理由
頻繁に休む派遣社員への対応として、まず意識しておきたいのは、「派遣社員本人といくら話しても、根本的な解決につながらないことが多い」という点です。もちろん、状況を聞いたり、意思疎通を図ったりすること自体は無意味ではありませんが、それだけで問題が解消するケースは多くありません。
そもそも、派遣社員を受け入れている契約の相手方は、派遣社員本人ではなく派遣会社です。派遣先は派遣会社と労働者派遣契約を結び、その契約に基づいて人材を派遣してもらっています。特定の「この人」を雇っているわけではなく、「業務を担える人材」を派遣してもらっている、という関係にあります。
そのため、「安定的に勤務できない派遣社員では業務に支障が出る」という問題については、派遣社員本人ではなく、派遣会社と話をするのが筋です。派遣会社に対して、「頻繁な欠勤が続いており、業務計画に影響が出ている」という事実を伝え、どう対応できるのかを協議することが重要になります。
派遣社員本人に直接強く言えないからといって、派遣先が我慢し続ける必要はありません。契約関係に基づき、派遣会社に対して状況を説明し、改善策を求めることは、正当な行為です。
頻繁に休む派遣社員の問題は、感情の問題ではなく、契約と業務運営の問題です。誰と話すべきかを正しく整理することが、次の対応につながる重要なポイントとなります。
4. 派遣会社に相談する際の基本的な考え方
頻繁に休む派遣社員の問題については、まず派遣会社に相談することが基本となります。ただし、このときの考え方を誤ると、「話したけれど何も変わらなかった」という結果になりがちです。
派遣会社に伝えるべきなのは、感情論ではなく事実です。「病気を理由に欠勤が多く、計画どおりに業務が進まず困っている」「安定的に勤務できる人材を前提に業務を組んでいる」といった、派遣先としての率直な状況を整理して伝えることが重要です。派遣社員本人への不満をぶつける場ではなく、業務運営上の問題として話をする意識が必要です。
一方で、派遣会社に相談すれば必ず理想的な人材をすぐに用意してもらえる、と期待し過ぎないことも大切です。現実には、派遣会社が安定的に勤務できる人材を十分に抱えていないケースも多く、「代わりの人を出したくても出せない」という状況もあり得ます。
この点を理解せずに、「いい人を派遣してほしい」「欠勤の少ない人に替えてほしい」と強く要求し続けても、問題が解決しないこともあります。派遣会社を非難し続けても、状況が好転しない場合がある、という現実も踏まえておく必要があります。
派遣会社への相談は、問題解決の第一歩ではありますが、それだけで全てが解決するとは限りません。話し合いの結果を見ながら、次の選択肢も視野に入れていくことが、会社経営者としての冷静な判断につながります。
5. 派遣会社を変えるという選択肢を検討すべき場面
派遣会社に相談し、状況を共有したとしても、必ずしも問題が解決するとは限りません。安定的に勤務できる派遣社員を派遣してもらえれば理想ですが、派遣会社側にそのような人材がいないという現実もあります。
このような場合に注意したいのは、「もっといい人を派遣してほしい」「欠勤の少ない人に替えてほしい」と派遣会社を責め続けても、状況が大きく改善しないことが多いという点です。派遣会社にできることにも限界があり、要求を繰り返すだけでは、時間だけが過ぎてしまう可能性があります。
もし、派遣社員の安定的な勤務が事業運営上どうしても重要なのであれば、別の派遣会社と契約できないかを検討することも、一つの選択肢です。派遣会社ごとに、得意とする分野や抱えている人材層は異なります。結果として、より安定して勤務できる派遣社員を紹介してもらえる可能性もあります。
もっとも、「良い派遣会社」であれば必ず問題が解決するとは限りません。仮に安定して勤務できる人材を派遣できる派遣会社が見つかったとしても、料金が高く、コスト面で折り合いがつかないこともあります。この点も含めて、現実的に検討する必要があります。
派遣会社を変えるかどうかは、感情的に判断すべき問題ではありません。事業の内容、コスト、人員体制を踏まえたうえで、「今の派遣会社との関係を続けるのか」「別の派遣会社を探すのか」を冷静に検討することが、会社経営者として求められる判断です。
6. 派遣社員に多くを求めすぎていないかを見直す視点
頻繁に休む派遣社員の問題を考える際、会社経営者として一度立ち止まって確認しておきたいのが、「派遣社員に求めている役割が大きくなり過ぎていないか」という点です。派遣社員が来ることを前提に業務を回していると、いつの間にか重要な戦力として期待してしまっているケースも少なくありません。
しかし、派遣社員はあくまで外部の労働力であり、メインの労働力を担う存在ではありません。本来は、自社の社員を中心に業務体制を組み、その不足分を補う形で派遣社員を活用するのが基本です。派遣社員が頻繁に休むことで業務が成り立たなくなるのであれば、体制そのものに無理がある可能性があります。
「派遣社員なのに、これだけの安定性や責任感を求めるのはどうなのか」という視点を持つことも重要です。派遣社員に多くを求め過ぎてしまうと、期待どおりにいかなかった場合に、派遣先として強いストレスを抱えることになります。
もちろん、派遣社員が安定して勤務してくれるに越したことはありません。ただし、それを前提に事業計画を組んでしまうと、今回のような欠勤が続いたときに、対応の選択肢が極端に狭まってしまいます。
頻繁に休む派遣社員の問題は、派遣社員個人の問題だけでなく、会社経営者側の人員配置や業務設計の問題でもあります。派遣社員にどこまでを期待するのか、その前提を一度見直すことが、次の対応を考えるうえで重要な視点となります。
7. 直接雇用を検討するという現実的な選択肢
派遣社員が頻繁に休み、業務が安定しない状況が続くのであれば、派遣という形態そのものを見直し、直接雇用を検討することも一つの選択肢です。派遣社員に多くを求めるのが難しい以上、自社で人材を確保する方向に舵を切る判断も、十分に現実的です。
派遣社員の場合、どうしても勤務の安定性や長期的な戦力化には限界があります。病気や家庭の事情など、派遣先ではコントロールできない理由で欠勤が続くこともあり、そのたびに業務計画が崩れてしまいます。直接雇用であれば、少なくとも自社の人員として、長期的な前提で業務体制を組むことが可能になります。
もっとも、現在の採用難の状況を考えると、「直接雇用すればすぐに人が集まる」というわけではありません。思ったような人材が来ない、必要な人数を確保できないといった問題に直面することもあります。そのため、直接雇用を検討する場合には、理想像にこだわり過ぎない姿勢も重要になります。
派遣社員の欠勤に振り回され続けるよりも、時間はかかっても自社で人を育てる方が、結果的に安定するケースもあります。派遣を使い続けるのか、直接雇用に切り替えるのかは、コストや事業内容、将来の方向性を踏まえた経営判断です。
頻繁に休む派遣社員の問題は、「誰が悪いか」ではなく、「どの雇用形態が今の会社に合っているか」を見直すきっかけでもあります。派遣に固執せず、直接雇用という選択肢も含めて検討することが、次の一手につながります。
8. 採用難の時代に合わせた仕事の仕組みの見直し
派遣社員が頻繁に休む問題や、直接雇用でも人が集まらない状況に直面した場合、会社経営者として検討すべきなのが、仕事の仕組みそのものの見直しです。人手不足が常態化している中で、従来と同じ採用基準や働き方を前提にし続けることが、現実的でなくなっているケースもあります。
「一定の気遣いができる人でなければならない」「この程度の判断力は当然必要だ」といった前提が、知らないうちに採用のハードルを上げてしまっていることも少なくありません。しかし、必要な人数を確保できない状況であれば、その前提を一度疑ってみる必要があります。
具体的には、仕事の難易度自体を下げる工夫が考えられます。作業手順を細分化する、判断を必要とする場面を減らす、チェックリストやマニュアルを整備するなど、気が利かなくても、空気が読めなくても仕事が回る仕組みを作るという発想です。
「うちの仕事はクオリティが大事だから、そんな簡単にはできない」と感じる会社経営者も多いでしょう。しかし、現実として人が集まらず、業務が回らないのであれば、理想論だけでは立ち行きません。事業を維持・発展させたいのであれば、仕事の設計そのものを見直す覚悟が求められる場面もあります。
採用基準を下げることは、質を下げることとイコールではありません。仕事の仕組みを変えることで、より多くの人が対応できる状態を作ることができれば、結果として安定した人員確保につながる可能性があります。人が集まらない時代だからこそ、仕組みでカバーする発想が重要になります。
9. 人に頼らない企業経営という発想
派遣社員が頻繁に休み、直接雇用も思うように進まない。このような状況が続く場合、会社経営者としては、「人を確保する」という発想そのものを一度見直す必要が出てくることがあります。その一つが、「人に頼らない企業経営」という考え方です。
人の能力ややる気に大きく依存した業務体制は、人手不足の時代においては非常に不安定です。どれだけ丁寧に採用しても、体調不良や家庭の事情で欠勤が続くことは避けられません。そのたびに業務が止まるような体制では、経営の安定性は確保しにくくなります。
そこで検討したいのが、機械化や自動化、ITやAIの活用など、人に頼らずに業務を回せる仕組みづくりです。例えば、飲食店であれば券売機やセルフオーダー、決済の自動化などによって、接客スキルに依存しない運営が可能になります。業種によっては、業務そのもののやり方を大きく変えることも選択肢になります。
もちろん、こうした取り組みは簡単なものではありません。初期投資が必要だったり、これまでの仕事のやり方を大きく変えたりする必要があり、不安を感じる会社経営者も多いでしょう。しかし、これは現場レベルではなく、会社経営者でなければ決断できない領域の話です。
人に頼らない企業経営は、すぐに結果が出る万能策ではありません。ただ、人手不足が常態化している現代においては、検討する価値のある重要な選択肢の一つです。頻繁に休む派遣社員の問題をきっかけに、将来の経営のあり方そのものを見直してみることも、会社経営者の大切な役割だといえるでしょう。
10. 人手不足時代に会社経営者が取るべき判断とは
頻繁に休む派遣社員への対応は、単なる現場トラブルではなく、人手不足時代における会社経営者の判断力そのものが問われる問題です。派遣会社に相談する、派遣会社を変える、直接雇用を検討する、仕事の仕組みを見直す、人に頼らない経営を考える。どれか一つが正解というわけではなく、会社の状況に応じて選び取っていく必要があります。
当面は従来どおりのやり方で何とか回るかもしれません。しかし、人手不足がさらに進み、今の方法では身動きが取れなくなったとき、初めて別の選択肢を考えるのでは遅いケースもあります。うまくいっているうちから、視野を広げて検討しておくことが重要です。
会社経営者は、目の前の対処療法だけをしていればよい立場ではありません。人が集まらない、安定しないという現実を前提に、事業をどう続け、どう発展させていくのかを考え続ける役割があります。それは大変なことですが、同時に会社経営者ならではの判断領域でもあります。
頻繁に休む派遣社員の問題は、確かに厄介な問題です。しかし、この問題をきっかけに、人員体制や仕事のやり方、経営の方向性を見直すことができれば、長期的には会社を強くするチャンスにもなり得ます。さまざまな選択肢を検討し、自社にとって何が最善かを決めていくことこそが、今の時代の会社経営者に求められている判断だといえるでしょう。
最終更新日2026/2/6

