就労拒否

接客を拒否する。

 新型コロナに感染する恐れがあることを理由に接客を拒否している場合は,ドアを開けたまま店舗を営業するとか,マスクを付けたまま接客させるなどの配慮をした上で接客させるのが原則です。新型コロナ感染のリスクが高くないにもかかわらず社員が接客を拒否して仕事をしない場合は,不就労時間に対し給料を支払う義務はありません。接客拒否を理由とした懲戒処分は,新型コロナ感染の危険性等を考慮して対応を決めて下さい。新型コロナが大流行している時期の接客拒否に対する懲戒処分は,通常より抑制した方がいいと思います。
 できるだけの配慮をしても新型コロナ感染のリスクが高い場合は,接客を続けさせるわけにはいきませんので,休業させるのが基本的対応になると思います。

出社しない。

 新型コロナに感染する恐れがあることを理由に出社を拒否している場合は,新型コロナに感染するリスクを下げられるよう職場環境を整えた上で仕事をさせるのが原則です。新型コロナ感染のリスクが高くないにもかかわらず社員が出社を拒否する場合は,欠勤として処理して下さい。給料や休業手当を支払う義務はありません。在宅勤務させる義務はありませんが,在宅勤務できるような仕事であれば,在宅勤務させても構いません。
 いくら職場環境を整えても新型コロナ感染のリスクが高い場合には,休業させるのが原則です。在宅勤務でもできるような仕事があるのであれば,必要な限度で在宅勤務させるとよいでしょう。

残業しない。

 まずは社員から残業しない理由を聴いて下さい。新型コロナが怖いので早く帰りたいといった程度のもののときは,残業させる必要性が高いのであれば残業させるのが原則ですが,残業させる必要性がそれほど高くないのであれば,残業させずに帰宅させてもいいかもしれません。体調不良のため残業できない場合は,残業させずに定時で帰宅させたり会社を休ませたりするなどの対応をするのが基本的対応です。
 労基法で定められた労働時間を超えて働かせるためには,36協定の締結・届出が必要です。36協定締結が締結・届出がされていなかったり,労働者代表選出手続に不備があるため36協定が無効となり残業させられないことがあります。残業させる前提として,36協定の締結・届出がさえれているか,労働者代表が労働者により選出されているか等について,確認しておいて下さい。

まとめて年休を取得する。

 仕事が忙しい時期に年休を取得されると人員配置が本当に大変ですよね。しかし,労基法の定める年次有給休暇取得は労基法で認められた「権利」ですから,原則として社員が取得したい日に取得させなければならないと考えざるを得ません。別の日に年休を取得してもらいたい場合は,社員との話合いで年休を取得する別の日を決めるのが基本的対応です。退職直前の年休取得であれば,退職した時点で残っている年休の買取りを約束して,出勤してもらえないか,交渉することもあります。
 労基法では,使用者に「時季変更権」が認められていることをご存じの方もいらっしゃると思います。たしかに,社員から請求された日に年次有給休暇を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」には,他の日に年休を取得させることができます。しかし,「事業の正常な運営を妨げる場合」という要件は,多くの会社経営者が考えているよりも厳しいものです。たまたま,特定の日に年休を取得させることができない理由があって,その翌週に取得して欲しいというくらいであれば時季変更権の行使が認められるかもしれません。しかし,ここ最近ずっと忙しいから当面は年休を取得させるわけにはいかない,2~3か月後に状況が落ち着いたら年休を取得させるからそれまで待って欲しい,といったものは認められません。

一方的に退職する。

 正社員等の無期社員は,辞職を申し出た日から2週間を経過すれば退職したことになってしまいます。雇い主の承諾は不要です。労働条件通知書や就業規則に「退職する場合は1か月前に申し出ること。」などと記載されていたとしても,結論は変わりません。
 有期社員であれば,理論的には期間満了日か契約で定めた日まで雇用契約が続くのが原則です。しかし,有期社員が会社を辞めたと主張して出社してくれなければ,どうにもなりません。出社しないことを理由として有期社員に対して損害賠償請求をしても,認められるケースほとんどないと思います。
 社員が本気で退職したいと考えている場合,退職それ自体を止めることは困難です。退職時の年休買上げ等の上乗せ条件を提示するなどしながら,退職日について話し合うのが基本的対応です。


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