1か月における時間外労働,休日労働及び深夜労働の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に,30分未満の端数を切り捨て,それ以上を1時間に切り上げる処理をしても,常に労働者の不利になるものではなく,事務簡便を目的としたものと認められるから,労基法24条及び37条違反としては取り扱わないとする通達が存在します。したがって,1か月の残業時間の合計に1時間未満の端数がある場合に,30分未満の端数を切り捨て,それ以上を1時間に切り上げる処理をしても,労基署の運用が変更されない限り,是正勧告を受ける可能性は低いといえます(30分以上を1時間に切り上げずに,30分未満の端数切り捨てのみを行うことは,この通達が許容する取扱いではありません。)。
 もっとも,1か月の残業時間数の合計から30分未満の時間を切り捨てることには,労基法上の根拠がありません。30分未満の端数についても残業時間に応じた残業代を支払うのが正しい処理です。端数処理をしない残業時間をもとに残業代を算定することは難しいことではないのですから,そのような端数処理は行わずに,ありのままの残業時間をもとに残業代を算定することをお勧めします。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎

 


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