残業代の計算

未払残業代の計算式

 未払残業代額は,
 残業代の時間単価×残業時間数+遅延損害金-既払いの残業代
で計算します。

残業代の種類

 労基法37条が定める残業代には,
 ① 時間外割増賃金
 ② 休日割増賃金
 ③ 深夜割増賃金
の3種類があります。

 労基法37条で支払が義務付けられていない時間,例えば,法定内時間外労働時間についても残業代を支払うこととされている場合には,当該規定等に基づき残業代を支払う必要があることになります。

残業代の計算式

 残業代の計算式は,
 ①通常の労働時間・労働日の賃金の時間単価×②時間外・休日・深夜労働時間数×③所定の割増率
残業代の時間単価(①③)×時間外・休日・深夜労働時間数(②)
です。

 残業代の時間単価は,
 ①通常の労働時間・労働日の賃金の時間単価×③所定の割増率
で計算します。

通常の労働時間・労働日の賃金の時間単価の計算

時給制のアルバイトの場合
 通常の労働時間・労働日の賃金の時間単価=時給です。
 時給1000円であれば,通常の労働時間・労働日の賃金の時間単価=1000円/時となります。

日給制の場合 
 通常の労働時間・労働日の賃金の時間単価=日給÷一日の所定労働時間数で算定されます。
 日給1万円で所定労働時間数が8時間の場合は,1万円÷8時間=1250円/時となります。

月給制の正社員の場合 
 通常の労働時間・労働日の賃金の時間単価=月給÷一年間における一月平均所定労働時間数で算定されます。
 例えば,月給26万円で除外賃金がなく,一年間における一月平均所定労働時間数が160時間であれば,26万円÷160時間=1625円/時が通常の労働時間・労働日の賃金となります。

一年間における一月平均所定労働時間数の計算

 月給制の通常の労働時間・労働日の賃金の時間単価を計算する場合,「月における所定労働時間数」を算出する必要があります。月によって所定労働時間数が異なる場合には,「一年間における一月平均所定労働時間数」を算出する必要があります。

 一年間における一月平均所定労働時間数は,次のように計算します。

①年間所定労働日数の計算
 1年の日数(365日または366日)-年間所定休日数
②年間所定労働時間数の計算
 1日の所定労働時間数×年間所定労働日数(①)
③一年間における一月平均所定労働時間数の計算
 年間所定労働時間数(②)÷12か月

 たとえば,1年の日数が365日,年間所定休日数125日であれば,一年間における一月平均所定労働時間数は次のように計算します。
 年間所定労働日数=365日-125日=240日
 年間所定労働時間数=8時間×240日=1920時間
 一年間における一月平均所定労働時間数=1920時間÷12か月=160時間/月

除外賃金とは

 除外賃金とは,家族手当,通勤手当,別居手当,子女教育手当,住宅手当,臨時に支払われた賃金,1か月を超える期間ごとに支払われる賃金など,労働の内容や量と無関係な労働者の個人的事情で変わってくる賃金手当のことをいいます。

 残業代を計算する際の基礎賃金には,「除外賃金」は含まれません。
 たとえば月給26万円のうち,4万円が除外賃金に該当する家族手当・通勤手当等の場合,一年間における一月平均所定労働時間数が160時間であれば,通常の労働時間・労働日の賃金の時間単価は,(26万円-4万円)÷160時間=22万円÷160時間=1375円/時となります。

 除外賃金に該当するかどうかは実質的に判断されるため,「家族手当」とか「通勤手当」といった名目で支給されていたとしても,除外賃金にあたるとは限りません。
 扶養家族数に応じて支給される家族手当,通勤に必要な実費に対応して支給される通勤手当等であれば,除外賃金に該当しますが,扶養家族数とは関係なく一律に支給される家族手当,通勤距離や通勤に要する実費等とは関係なく一律に支給される通勤手当等は,除外賃金には該当せず,割増賃金(残業代)の基礎となる賃金に算入します。

 労基法37条5項,労規則21条の除外賃金は限定列挙と考えられており,「残業代(割増賃金)」は除外賃金として規定されていませんが,残業代(時間外・休日・深夜労働の対価)の実質を有する賃金については,これを残業代計算の基礎に算入すると趣旨が重複するため,残業代の基礎賃金から除外します
 労基法37条5項,労規則21条に「残業代(割増賃金)」が掲げられていないせいか,残業代の趣旨で支給する手当についてまで基礎賃金に含めて残業代を計算したり,基準内賃金扱いにしたりしている賃金規程が散見されますが,お勧めできません。残業代の趣旨で支給する賃金を残業代計算の基礎に算入して残業代を計算したり,基準内賃金扱いにすること自体は,直ちに労基法37条に違反するものではありません。しかし,当該賃金が残業代請求対策のために形式的に残業代として支払う旨規定しているだけであって,残業代(時間外・休日・深夜労働の対価)の実質を有していないと評価されるリスクが高くなってしまいます。当該賃金が残業代の実質を有していないと評価された場合,残業代計算の基礎賃金に算入されるだけでなく,残業代の支払として認められなくなってしまいます。

残業代の支給名目

 残業代(時間外・休日・深夜労働の対価)の実質を有する賃金については,これを残業代計算の基礎賃金に算入すると趣旨が重複してしまうため,残業代計算の基礎賃金には算入しませんが,一見して残業代と分からない支給名目で残業代を支給すると,残業代の支払とは認められないリスクを高める(マイナスポイントとなる)ことになります。
 「時間外勤務手当」「休日勤務手当」「深夜勤務手当」等の残業代の趣旨で支払われたと推認できる名目で支払われた賃金については,通常は残業代として取り扱われ,残業代計算の基礎賃金には算入されません。定額残業代(固定残業代)について,残業代(時間外・休日・深夜労働の対価)としての実質を有しているかどうかが問題となることがある程度です。
 他方,「営業手当」等,その名目から残業代であるとは推認できないものについては,賃金規程に当該手当が残業代である旨明記して周知させたり,労働契約書にその旨明示して合意したりしておかなければ,残業代として取り扱われず,基礎賃金に算入されるリスクが生じます。就業規則や労働契約書に明記していた場合であっても,残業代(残業の対価)としての実質を有しないと判断された場合には,基礎賃金に算入されることになります。また,残業代の支払の趣旨が含まれることまでは認めてもらえたとしても,営業社員等の職務に対して報いる等,残業代以外の趣旨と混在している場合には,残業代と通常の賃金を判別することができないとして,残業代の支払とは認められないことはよくあります。
 したがって,残業代の名目は,「時間外勤務手当」「休日勤務手当」「深夜勤務手当」等,名称自体から残業代(時間外・休日・深夜労働の対価)であることを推認することができる名目とすることが望ましいところです。

割増率

 通常の労働時間・労働日の賃金の時間単価を算定した後,「割増率」を乗じて残業代の時間単価を算定することになります。
 法定時間外労働時間      25%増し(1月60時間超の場合は中小事業主を除き50%増し)
 法定休日労働時間       35%増し
 深夜労働時間(22時~5時) 25%増し

 平成22年4月1日の労働基準法の改正により,1か月に60時間を超える法定時間外労働を行わせた場合,その超えた部分については,通常の賃金の時間単価の50%増し以上の割増率で計算した残業代を支払わなければならないと規定されましたが,中小事業主(資本金の額が3億円以下である事業主及び常時使用する労働者の数が300人以下である事業主等)については,この規定は猶予されています。
 法定休日労働については,休日労働における時間外労働という概念が無いため,時間外労働に関する規制が及ばず,休日に8時間を超えて労働した場合でも,深夜にわたらない限り,割増率は,通常の労働時間の賃金の35%増しでよいとされています。

残業時間数

1.残業時間の種類と基本的な考え方
 残業時間には,①時間外労働時間,②休日労働時間,③深夜労働時間の3種類があります。
 時間外労働時間は,労基法32条の規制を超えて労働させた時間のことをいい,週40時間,1日8時間を超えて労働させた時間は,原則として時間外労働時間に該当します。時間外労働時間数をカウントする場合,1日8時間超の時間外労働時間としてカウントした時間については,週40時間超の時間外労働時間をカウントする際には重複してカウントしません
 例えば,日曜日が法定休日の企業において,月曜日~土曜日に毎日9時間ずつ労働させた場合,月~木に9時間×4日=36時間労働させているから金曜日に4時間を超えて労働した時間から週40時間超の時間外労働になると考えるのではなく,月~金に1時間×5日=5時間の時間外労働のほか8時間×5日=40時間労働させているから土曜日の勤務を開始した時点から週40時間超の時間外労働となると考えることになります。
 日曜日 法定休日
 月曜日 労働時間9時間(時間外労働1時間)←1日8時間超
 火曜日 労働時間9時間(時間外労働1時間)←1日8時間超
 水曜日 労働時間9時間(時間外労働1時間)←1日8時間超
 木曜日 労働時間9時間(時間外労働1時間)←1日8時間超
 金曜日 労働時間9時間(時間外労働1時間)←1日8時間超
 土曜日 労働時間9時間(時間外労働9時間)←週40時間超

2.特例措置対象事業場 
 次の事業場のうち,常時10人未満の労働者を使用するもの(特例措置対象事業場)については,1週間については44時間,1日については8時間まで労働させることができます。特例措置対象事業場についても,1日8時間を超えて労働させた場合には時間外労働となりますが,1週間については44時間を超えて労働させて初めて時間外労働となります。
 例えば,日曜日を法定休日として,月~土に1日9時間ずつ労働させた場合,土曜日に4時間を超えて労働し始めた時点から週44時間超の時間外労働時間となります。
 日曜日 法定休日
 月曜日 労働時間9時間(時間外労働1時間)←1日8時間超
 火曜日 労働時間9時間(時間外労働1時間)←1日8時間超
 水曜日 労働時間9時間(時間外労働1時間)←1日8時間超
 木曜日 労働時間9時間(時間外労働1時間)←1日8時間超
 金曜日 労働時間9時間(時間外労働1時間)←1日8時間超
 土曜日 労働時間9時間(時間外労働5時間)←週44時間超

3.所定労働時間が1日8時間未満の場合
 所定労働時間が1日8時間未満(例えば,7時間)の場合に1日8時間ちょうど働いたような場合,労基法上の時間外労働はしていなくても,所定時間外労働はしていることになります。所定時間外労働ではあっても労基法上の時間外労働ではない時間について賃金を支払うかどうかは労基法37条の規制外であり,賃金規程や個別合意で決めることができます。ただし,労働契約は労務の提供と賃金の支払が対価関係に立つ双務契約ですので,特段の定めがない場合は,割増ししない通常の時間単価の賃金を支払うこととされる可能性が高いと思います。就業規則等で法内残業についても割増しした賃金を払う旨定めている場合には,それによることになります。

4.休日労働時間
 休日労働時間とは,労基法35条の法定休日(原則として1週1休以上)に労働させた時間のことをいいます。土日が休日の週休二日制の会社において,日曜日が法定休日の場合,休日である土曜日に労働させた場合であっても,ここでいう休日労働には該当せず,週40時間を超えて労働させた結果,時間外労働に該当する可能性があるにとどまります。

5.深夜労働時間 
深夜労働時間とは,深夜(22時~5時)に労働させた時間のことをいいます。昼間の仕事の場合には,深夜労働時間は,時間外労働時間でもあるのが通常です。夜勤の場合は,深夜労働ではあっても,時間外労働ではないことがあります。

残業時間数の計算例

 モデルケース(始業午前9時,終業午後6時,休憩時間1時間,法定休日は日曜日)を使って時間外労働時間(残業時間)の計算すると,次のようになります。

1.時間外労働時間数の計算
 通常の労働日に,午前9時に労働を開始し,午後8時まで働いた場合,休憩時間が1時間であれば,時間外労働時間数は2時間となります。計算1

2.深夜労働時間数の計算
 通常の労働日に,午前9時に労働を開始し,深夜1時まで働いた場合,休憩時間が2時間であれば,時間外労働時間数は6時間,深夜労働時間数は3時間になります。

計算2

3.週40時間超の計算

 月曜日から土曜日まで,毎日,午前9時に労働を開始し,午後8時まで働いた場合,休憩時間が1時間であれば,月曜日から土曜日までの時間外労働時間数の合計は15時間になります。

計算3

 なお,1日8時間超の時間外労働時間としてカウントした時間については,週40時間超の時間外労働時間をカウントする際には重複してカウントしませんので,3月5日(金)からではなく6日(土)から週40時間超の労働時間をカウントすることになります。

4.所定労働時間が7時間30分の場合の計算
 始業午前9時,終業午後5時30分,休憩時間1時間(1日の所定労働時間7時間30分),法定休日が日曜日の会社において,月曜日から金曜日まで毎日午前9時から午後8時まで働き,土曜日は午前9時から午後3時まで働いた場合,月曜日から土曜日までの法内時間外労働時間数の合計は2時間30分(30分×5日),法外時間外労働時間数の合計は15時間((2時間×5日)+5時間)となります。
 時間外労働時間数をカウントする場合,1日8時間超の時間外労働時間としてカウントした時間については,週40時間超の時間外労働時間をカウントする際には重複してカウントしませんが,1日8時間以内であれば所定時間外労働時間であってもカウントします1日7時間30分を超えて8時間までの30分については,週40時間超の時間外労働時間数をカウントするにあたり,「週40時間」にカウントすることになります。

計算4

 

残業代の時間単価

時給1000円のアルバイトの場合
 時給制のアルバイトの残業代の時間単価は,時給単価に割増率を乗じて計算します。
 時間外割増賃金=時給1000円×1.25=1250円/時
 休日割増賃金=時給1000円×1.35=1350円/時
 深夜(22時~5時)の労働時間については,
 深夜割増賃金=1000円/時×0.25=250円/時
を加算します。したがって,
 深夜の時間外労働の時間単価=1250円/時+250円/時=1500円/時
 深夜の休日労働の時間単価=1350円/時+250円/時=1600円/時
となります。

通常の労働時間・労働日の賃金が1500円/時の正社員の場合
 通常の労働時間・労働日の賃金の時間単価が1500円/時の正社員の場合,残業代の時間単価の計算は次のようになります。
 時間外割増賃金=1500円/時×1.25=1875円/時
 休日割増賃金=1500円/時×1.35=2025円/時
 深夜(22時~5時)の労働時間については,
 深夜割増賃金=1500円/時×0.25=375円/時
を加算します。
 したがって,
 深夜の時間外労働の時間単価=1875円/時+375円/時=2250円/時
 深夜の休日労働の時間単価=2025円/時+375円/時=2400円/時
となります。

月給制の正社員の残業代計算のモデルケース

 これまでの残業時間の計算方法に従って,実際に月給制の労働者の残業代を計算してみましょう。

 [モデルケース]
 1日の所定労働時間:8時間
 1年の日数365日
 年間所定休日数:131日
 月給:基本給25万円(他の手当等無し)
 残業時間数:時間外労働時間数35時間(うち深夜労働時間数15時間),休日労働時間数20時間

1 通常の労働時間・労働日の賃金の時間単価
 通常の労働時間・労働日の賃金の時間単価は,「月によって定められた賃金(基礎賃金)÷一月平均所定労働時間数」で求められますので,除外賃金がない今回のモデルケースでは次のように計算します。
 年間所定労働日数=365日-所定休日数131日=234日
 年間所定労働時間数=1日の所定労働時間数8時間×年間所定労働日数234日=1872時間
 一月平均所定労働時間数=1872時間÷12か月=156時間/月
 通常の労働時間・労働日の賃金の時間単価=月給25万円÷156時間=1602円/時(小数点以下切り捨て)

2 残業代の時間単価の計算
 通常の労働時間・労働日の賃金の時間単価に割増率を乗じ,残業代の時間単価を計算します(小数点以下切り捨て)。
 時間外割増賃金の時間単価=1602円/時×1.25=2002円/時
 休日割増賃金の時間単価 =1602円/時×1.35=2162円/時
 深夜割増賃金の時間単価 =1602円/時×0.25= 400円/時

3 残業代の計算 
 残業代は,上記で算定した残業代の時間単価に,残業時間数を乗じて計算します。
 時間外割増賃金=2002円/時×35時間=7万0070円
 休日割増賃金 =2162円/時×20時間=4万3240円
 深夜割増賃金 =400円/時×15時間 =  6000円
                   合計11万9310円

歩合給制の残業代計算のモデルケース

 歩合給(出来高払)制の残業代は,以下の計算式で計算します。
 歩合給÷総労働時間数×割増率×時間外・休日・深夜労働時間数
で計算します。

 歩合給を「総労働時間数」で割るのは,歩合給の対象となる成果は実労働時間全体によって生じているという考え方に基づくものです。

 歩合給に関しては,残業時間に対する時間当たりの賃金(1.0の部分)は支払済みであり,残業代として支払うのは割増部分のみで足ります。つまり,固定給では通常の労働時間・労働日の時間単価に1.25を乗じて時間外割増賃金の時間単価を算出するのに対し,歩合給については通常の労働時間・労働日の賃金の時間単価に0.25を乗じて時間外割増賃金の時間単価を算出するということになります。

 それでは,この計算方法に従って,実際に歩合給制の労働者の残業代を計算してみましょう。

 [モデルケース]
 歩合給:30万円
 総労働時間数:200時間
 残業時間:時間外労働時間数30時間,休日労働時間数10時間

1 残業代の時間単価の計算
 時間外労働の時間単価=(歩合給30万円÷総労働時間数200時間)×0.25=375円/時
 休日労働の時間単価 =(歩合給30万円÷総労働時間数200時間)×0.35=525円/時

2 残業代の計算
 時間外割増賃金=375円/時×30時間=1万1250円
 休日割増賃金 =525円/時×10時間=  5250円
                  合計 1万6500円

固定給と歩合給の両方がある場合のモデルケース

 固定給と歩合給の両方を支払っている場合は,固定給部分と歩合給部分を分けて計算します。

  [モデルケース]
 固定給:基本給25万円
 歩合給:5万円
 一月平均所定労働時間数:156時間
 総労働時間数:206時間
 残業時間:時間外労働時間数30時間,休日労働時間数20時間

固定給部分の残業代の計算

1.通常の労働時間における賃金の時間単価の計算(小数点以下切捨て)
 通常の労働時間における賃金の時間単価=固定給25万÷一月平均所定労働時間数156時間=1602円/時

2.残業代の時間単価の計算(小数点以下切捨て)
 時間外労働の時間単価=1602円/時×1.25=2002円/時
 休日労働の時間単価=1602円/時×1.35=2162円/時

3.残業代の計算
 時間外割増賃金=2002円/時×30時間=6万0060円/時
 休日割増賃金=2162円/時×20時間=4万3240円/時

4.固定給部分の残業代の計算
 固定給部分の残業代=6万0060円+4万3240円=10万3300円

歩合給部分の残業代の計算

1.残業代の時間単価の計算(小数点以下切捨て)
 時間外労働の時間単価=(歩合給5万円÷206時間)×0.25=60円/時
 休日労働の時間単価=歩合給5万円÷206時間×0.35=84円/時

2.残業代の計算
 時間外割増賃金=60円/時×30時間=1800円
 休日割増賃金=84円/時×20時間=1680円

3.歩合給部分の残業代の計算
 歩合給部分の残業代=1800円+1680円=3480円

残業代合計(固定給部分+歩合給部分)
 残業代合計=固定給部分の残業代10万3300円+歩合給部分の残業代3480円
      =10万6780円

所定労働時間が7時間30分の場合のモデルケース

 所定労働時間が,労基法32条で1日8時間,週40時間と規定している労働時間よりも短い場合,当該所定労働時間を超えて1日8時間,週40時間を超えない範囲の労働時間を「法内時間外労働時間(法内残業)」といいます。法内残業について残業代を支払うかどうかは労基法37条の規制外であり,支払わない扱いとしたとしても労基法37条に違反するものではありません。
 しかし,労働契約が労務の提供に対し賃金を支払うことを内容とする双務契約であることから,特別な定めがない場合は通常の労働時間・労働日の賃金の時間単価で計算した賃金を支払うこととされていることも珍しくありません。また,法内時間外労働時間について,就業規則で割増率が定められている場合には,その割増率で計算することになります。本モデルケースでは,法内残業については,通常の賃金の時間単価で計算された賃金を支払うものとして,計算しています。

[モデルケース]
1日の所定労働時間:7時間30分
一月平均所定労働時間数:156時間
月給:基本給30万円(他の手当等なし)
残業時間:法内時間外労働時間10時間,時間外労働時間数35時間(内深夜労働時間数15時間),休日労働時間数20時間

1 通常の労働時間・労働日における賃金の時間単価の計算(小数点以下切捨て)
 通常の労働時間・労働日における賃金の時間単価=固定給30万÷一月平均所定労働時間数156時間
                       =1923円/時

2 残業代単価(小数点以下切捨て)
 時間外割増賃金の時間単価=1923円/時×1.25=2403円/時
 休日割増賃金の時間単価 =1923円/時×1.35=2596円/時
 深夜割増賃金の時間単価 =1923円/時×0.25=480円/時

3 残業代の計算
 法定内時間外賃金=1923円/時×10時間=1万9230円
 時間外割増賃金 =2403円/時×35時間=8万4105円
 休日割増賃金  =2596円/時×20時間=5万1920円
 深夜割増賃金  =480円/時×15時間 =  7200円
                     合計16万2455円

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