Q63 勤務形態を定年前と特に変更することなく,定年後切れ目なく嘱託社員として再雇用した社員が6ヵ月を経過しない段階で年休の申請をしてきた。

1 年次有給休暇の発生要件  

 年次有給休暇の権利は,労働者が6カ月間継続勤務し,全労働日の8割以上出勤することによって法律上当然に発生します。  

 「継続勤務」とは,一見すると出勤を意味すると理解されがちですが,労働契約の存続期間すなわち事業場における在職期間を意味します。  

 ご質問のケースは,定年後に嘱託社員として労働者を再雇用した場合に,当該労働者が定年前から「継続」して「勤務」していることになるかが問題になります。

2 継続勤務にあたるかどうかは,勤務実態に即して実質的に判断すること

 行政通達によると,継続勤務にあたるかどうかは,勤務の実態に即し実質的に判断すべきとしています。すなわち,実質的に退職と再採用との間で労働関係が継続している場合には継続勤務していることになりますが,退職と再採用との間に相当期間が存し,客観的に労働関係が継続していない場合は継続勤務ではないことになります。  

 継続勤務にあたるかどうかについて,肯定・否定した裁判例があります。  

 国際協力事業団(年休)事件(東京地裁平成9年12月1日)は,毎年,雇用期間一年の契約を繰り返し締結していた労働者について,途中中断することなく引き続き雇用されていることを理由に,継続勤務を肯定しています。  

 東京芝浦職人事業公社事件(東京地裁平成2年9月25日)は,労働者が定年退職し,非常勤の嘱託職員となった場合,所定勤務日数が大幅に減少するなど,勤務の態様が著しく軽くなるような場合には,勤務関係は実質的には別個であり,両者の間には勤務の継続はなく,勤務年数の通算もないというべきであると判断基準を示した上で,当該事案について,当該労働者は,常勤の正規職員を定年退職した後、月18日間(週4日相当)のみ勤務する非常勤の嘱託職員となったことを理由に,継続勤務を否定しています。

3 ご質問のケース

 ご質問のケースでは,当該労働者を定年前と定年後の嘱託とで,途中中断することなく引き続いて再雇用しており,勤務形態も特に変更していないとのことですので,継続勤務と判断され,当該労働者に年次有給休暇が発生していると判断される可能性が高いと言えます。

文責:飯島 潤

Return to Top ▲Return to Top ▲