問題社員81 仕事時間中にスマホゲームをする。

動画解説

 

1. 仕事時間中のスマホゲームが経営問題になる理由

 社員が仕事時間中にスマホゲームをしている場面を目にしたとき、「そこまで大きな問題だろうか」「少し息抜きしているだけではないか」と感じる会社経営者もいるかもしれません。しかし、この問題を軽く考えることは、経営上のリスクを見落とすことにつながります。

 まず押さえておくべきなのは、仕事時間中のスマホゲームは、単なる勤務態度の問題ではなく、労務管理そのものに直結する問題だという点です。業務時間中に私的行為を行っているということは、労務提供がなされていない状態であり、会社がその時間の賃金を支払っている以上、無視できない問題になります。

 また、この行為を放置すると、「仕事時間の使い方にルールはない」「多少サボっても問題にならない」というメッセージを社内に発信することになります。一人の問題行動を見逃した結果、同様の行動が広がり、組織全体の規律が緩むケースは少なくありません。

 さらに、スマホゲームは集中力の低下を招きやすく、業務ミスや生産性低下の原因になります。特に、事務処理や顧客対応、安全配慮が求められる業務においては、軽視できないリスクです。後になってトラブルが発生した場合、「なぜ事前に是正しなかったのか」と会社の管理体制が問われる可能性もあります。

 会社経営者として注意すべきなのは、「成果は出ているから問題ない」「忙しい時期ではないから大丈夫」という理由で、この行為を容認してしまうことです。成果や業務量と、勤務態度の問題は切り分けて考える必要があります。

 仕事時間中のスマホゲームは、早い段階で線引きをしなければ、注意・指導、さらには懲戒処分といった対応が必要になったときに、「今さらなぜ問題にするのか」という反発を招きやすくなります。

 この問題を正しく扱うためには、まず「どこからが経営問題なのか」を理解することが重要です。そのために、次に考えるべきなのが、「少しくらいなら見逃す」という判断が、どのようなリスクを生むのかという点です。

2. 「少しくらいなら見逃す」が招く重大なリスク

 仕事時間中にスマホゲームをしている社員を見かけても、「一時的なものだろう」「忙しくない時間帯だから構わない」と判断し、見て見ぬふりをしてしまう会社経営者は少なくありません。しかし、この「少しくらいなら見逃す」という判断こそが、後々大きな経営リスクに発展する出発点になります。

 最も大きな問題は、会社としてのルールが曖昧になることです。一度でも黙認してしまうと、「この程度なら許される」「注意されなければ問題ない」という認識が社員の中に定着します。その結果、スマホゲームの頻度や時間が徐々に増え、注意したときにはすでに常態化している、というケースは珍しくありません。

 また、見逃しが続いた後に注意や指導を行うと、「今までは何も言われなかった」「なぜ急に問題になるのか」と反発されやすくなります。この段階では、会社側の指導が後出しのように受け取られ、正当な注意であっても受け入れられにくくなります。

 さらに深刻なのは、他の社員への影響です。真面目に業務に取り組んでいる社員ほど、「なぜあの人だけ許されているのか」「真面目にやるのが損ではないか」と不公平感を抱きやすくなります。この不満が積み重なると、職場全体の規律や士気が低下し、組織としての統制が崩れていきます。

 会社経営者として注意すべきなのは、「結果が出ているから問題ない」という考え方です。勤務態度の問題を成果で相殺する発想は、後に労務トラブルを招きやすくなります。勤務時間中の私的行為を容認していた事実は、残業代請求や懲戒処分の正当性を争われた際に、会社側に不利に働く可能性があります。

 また、「注意しづらい」「関係が悪くなるのが嫌だ」という理由で見逃し続けると、会社経営者自身が判断のタイミングを失っていきます。結果として、問題が大きくなった段階でしか動けず、より厳しい対応を選ばざるを得なくなることもあります。

 「少しくらいなら見逃す」という判断は、一見すると穏便で合理的に見えるかもしれません。しかし実務上は、最もリスクの高い選択です。問題が小さいうちに線を引くことこそが、会社経営者に求められる管理判断です。

 このリスクを避けるためには、次に考えるべき「最初に何を確認すべきか」、つまり事実確認の進め方が重要になります。次は、迅速かつ適切な事実確認について整理します。

3. まず最初に行うべき迅速な事実確認

 仕事時間中のスマホゲームが疑われる場合、会社経営者がまず行うべきなのは、注意や指導ではなく、事実確認です。この順序を誤ると、その後の対応すべてが不安定になります。

 重要なのは、「見た」「聞いた」という印象だけで判断しないことです。たまたま休憩時間だった可能性、業務連絡や調べ物をしていた可能性もゼロではありません。事実関係が曖昧なまま注意をすると、「事実誤認だ」「決めつけだ」と反発され、問題がこじれやすくなります。

 事実確認で押さえるべきポイントは、いつ、どこで、どの程度の頻度で、どのくらいの時間スマホゲームをしていたのかという点です。単発なのか、繰り返されているのかによって、対応の重さは大きく変わります。

 また、確認方法にも注意が必要です。本人をいきなり問い詰めるのではなく、まずは客観的な状況を整理します。勤務時間帯、業務量、周囲の目撃状況などを冷静に確認し、事実の輪郭を固めることが重要です。

 会社経営者として特に避けるべきなのは、「どうせやっているだろう」という先入観です。先入観に基づいた確認は、本人に伝わりやすく、不信感を生みます。事実確認はあくまで中立的に行い、「確認している段階である」という姿勢を崩してはいけません。

 また、この段階では証拠の扱いにも慎重さが求められます。スマホの中身を無断で確認する、過度に監視するような対応は、別の法的リスクを生む可能性があります。確認できるのは、あくまで業務上正当な範囲に限られます。

 迅速な事実確認の目的は、処分のための材料集めではありません。会社として、どの段階の対応が適切なのかを判断するための前提を整えることにあります。この前提が曖昧なままでは、どの選択肢を取っても後悔が残ります。

 事実関係が整理できて初めて、次に進むべき「口頭注意で足りるのか、それとも別の対応が必要なのか」という判断が可能になります。

4. 口頭注意で改善するケースと改善しないケースの分かれ目

 仕事時間中のスマホゲームについて事実確認を行った後、多くの会社経営者がまず考えるのが、「口頭で注意すれば足りるのか」という点です。実務上、口頭注意で改善するケースもあれば、全く効果がないケースもあり、その分かれ目を見誤ると対応が長期化します。

 口頭注意で改善する典型例は、本人に悪気がなく、ルール認識が甘かっただけのケースです。「業務中に私的利用は問題になる」という認識が不足していただけで、注意を受けて初めて自覚し、その後の行動がすぐに改まる場合には、口頭注意で十分なこともあります。

 この場合のポイントは、注意の内容が具体的であることです。「ダメだよ」「気を付けて」といった曖昧な表現ではなく、「業務時間中にスマホゲームをすることは、勤務態度として認められない」という線引きを明確に伝える必要があります。

 一方で、口頭注意では改善しないケースも少なくありません。その代表例が、「少しぐらい問題ないと思っていた」「他の人もやっている」といった自己正当化が強い場合です。このタイプの社員は、注意を受けても行動を改めず、水面下で同じ行為を続ける傾向があります。

 また、「成果は出している」「忙しくない時間帯だった」といった理由で正当化するケースも、改善が見込めにくい傾向があります。この場合、本人の中ではすでに「会社のルールより自分の判断が優先されている」状態にあり、口頭注意は軽く受け止められがちです。

 会社経営者として注意すべきなのは、口頭注意をしたという事実だけで安心してしまうことです。注意後の行動を一定期間観察し、実際に改善が見られているかを確認しなければ、「注意したつもり」になってしまいます。

 改善が見られないにもかかわらず、「もう一度言えば分かるだろう」と口頭注意を繰り返すと、会社としての対応が弱く見えます。その結果、本人だけでなく周囲の社員にも、「本気では止める気がない」というメッセージが伝わってしまいます。

 口頭注意は、あくまで初期対応の一つにすぎません。改善するかどうかの分かれ目を見極め、早めに次の段階を検討することが、問題を長引かせないための重要な判断になります。

 この分かれ目を見極めたうえで、次に会社経営者が悩むのが、「スマホ使用そのものを禁止したり、預かったりする対応はどこまで許されるのか」という点です。次は、この点を整理します。

5. スマホ使用禁止・預かり対応はどこまで許されるのか

 仕事時間中のスマホゲームが改善されない場合、「業務中のスマホ使用を全面的に禁止したい」「勤務時間中はスマホを預かる対応は可能か」と考える会社経営者もいるでしょう。しかし、この対応は慎重に考える必要があります。

 まず前提として、会社は業務時間中の行動について一定のルールを設ける権限を持っています。業務に無関係なスマホ使用を禁止すること自体は、業務命令として合理性がある場合が多く、直ちに違法になるものではありません。

 一方で、「スマホを強制的に没収する」「終業まで預かることを一律に強制する」といった対応は、やり方を誤ると問題になります。私物であるスマホを本人の意思に反して預かる行為は、管理方法や理由によっては不当と評価されるリスクがあります。

 実務上、比較的リスクが低いのは、「業務時間中は私的利用を禁止する」「業務上必要な場合のみ使用を認める」といったルールを明確にし、就業規則や社内ルールとして周知する方法です。この形であれば、指導や処分の前提としても説明しやすくなります。

 スマホの「預かり対応」を検討する場合には、本人の同意があるかどうかが重要なポイントになります。あくまで一時的・例外的措置として、本人の同意を得たうえで行うのであれば、トラブルになりにくい傾向があります。

 会社経営者として注意すべきなのは、スマホ使用の問題を「物理的に取り上げれば解決する」と考えてしまうことです。行動の背景にある意識や勤務態度が改善されなければ、別の形で問題が再発する可能性があります。

 また、特定の社員だけに過度な制限を課す場合には、「嫌がらせだ」「不当な扱いだ」と主張されるリスクもあります。なぜその対応が必要なのか、どのような事実に基づくのかを整理せずに実施することは危険です。

 スマホ使用禁止や預かり対応は、あくまで手段の一つにすぎません。重要なのは、業務時間中の私的行為を許さないという会社としての一線を、合理的かつ説明可能な形で示すことです。

 この整理ができて初めて、次に検討すべき「厳重注意や懲戒処分をどの段階で考えるべきか」という判断に進むことができます。

6. 厳重注意や懲戒処分を検討すべきタイミング

 仕事時間中のスマホゲームについて、口頭注意やルール周知を行っても改善が見られない場合、会社経営者として次に検討すべきなのが、厳重注意や懲戒処分といった対応です。ただし、この判断は「我慢の限界」ではなく、一定の基準に基づいて行う必要があります。

 まず、厳重注意を検討すべきタイミングは、口頭注意後も同様の行為が繰り返されている場合です。特に、注意内容を理解しているにもかかわらず改善が見られない場合には、「うっかり」や「認識不足」の段階を超えています。この時点では、会社として明確な警告を発する必要があります。

 厳重注意では、問題となっている行為を具体的に示し、「なぜ許されないのか」「今後同じ行為があった場合にどうなるのか」を明確に伝えることが重要です。ここを曖昧にすると、本人にとっては単なる再注意にしかならず、行動改善につながりません。

 懲戒処分を検討すべきかどうかの判断軸は、その行為が就業規則上の服務規律違反に該当するか、そして会社の業務にどの程度の影響を与えているかです。業務時間中に私的なゲームを繰り返し行い、注意後も改善しない場合には、懲戒処分の検討対象になり得ます。

 ただし、ここで注意すべきなのは、「注意しても直らないから懲戒にする」という短絡的な発想です。懲戒処分は、あくまで最終手段であり、これまでの指導経過や改善機会の有無が重視されます。段階を踏まずに処分を行えば、その処分自体が争われるリスクがあります。

 会社経営者として特に意識すべきなのは、対応の一貫性です。同様の行為に対して、ある社員は注意、別の社員は放置という対応をしていると、処分の正当性が揺らぎます。なぜこの社員について厳重注意や懲戒を検討するのか、その理由を説明できる状態を作る必要があります。

 また、厳重注意や懲戒処分を検討する際には、「処分すること」自体を目的にしないことが重要です。あくまで目的は、業務規律を回復し、同様の行為を防止することにあります。この目的を見失うと、処分後も問題が再燃しやすくなります。

 この段階まで進んだ場合、会社経営者は一度立ち止まり、「本当に処分だけで解決する問題なのか」という視点を持つ必要があります。スマホゲームの問題の背景に、マネジメントや業務設計の問題が潜んでいることも少なくありません。

 だからこそ、次に考えるべきなのが、「処分に進む前に見直すべきマネジメント上の問題」です。次は、この点を整理します。

7. 処分より先に考えるべきマネジメント上の問題

 仕事時間中のスマホゲームが繰り返されると、会社経営者としては「勤務態度が悪い」「もう処分を考えるべきではないか」と感じるのは自然なことです。しかし、懲戒処分に進む前に、必ず立ち止まって確認すべきなのが、マネジメント上の問題です。

 まず整理すべきなのは、その社員の業務内容と業務量です。業務が極端に少ない、あるいは待ち時間が多い業務設計になっていないかを確認する必要があります。暇な時間が常態化していれば、私的行為が入り込む余地が生まれやすくなります。この場合、問題は個人の資質だけではなく、業務設計にもあります。

 次に確認すべきなのは、日常的な管理とコミュニケーションの有無です。業務の進捗確認や時間の使い方について、定期的に確認する仕組みがない場合、社員は「見られていない」「何をしていても分からない」と感じやすくなります。この環境では、注意や処分だけで行動を改めさせることは困難です。

 また、「成果が出ていれば細かいことは言わない」という姿勢を取っていなかったかも振り返る必要があります。成果主義を重視するあまり、勤務態度に関する線引きが曖昧になっていると、社員は「結果さえ出せば何をしてもよい」と誤解します。

 会社経営者として注意すべきなのは、マネジメントの不十分さを、個人の問題として処理してしまうことです。管理が緩い状態で問題行動が発生し、その後いきなり厳しい処分に進めば、「今まで許されていたのに突然処分された」と反発されやすくなります。

 もちろん、マネジメント上の課題があったとしても、業務時間中のスマホゲームが正当化されるわけではありません。しかし、処分に進む前に、「会社として改善すべき点はなかったか」を整理しておくことが、後に対応の正当性を説明するうえで極めて重要になります。

 処分より先にマネジメントを見直すことは、社員を甘やかすことではありません。会社としての管理責任を果たしたうえで、初めて厳しい判断に進むための前提です。

 この整理ができたうえで、次に考えるべきなのが、スマホゲーム問題が他の勤務態度の問題、特に残業拒否や集中力低下とどのように結びつくのかという点です。

8. スマホゲームと残業拒否・集中力低下の関係

 仕事時間中のスマホゲームの問題は、それ単体で終わることは少なく、他の勤務態度の問題と連動して表面化することが多くあります。特に注意すべきなのが、残業拒否や集中力低下との関係です。

 一見すると、「ゲームをしているのに残業は拒否する」「集中力が続かない」といった行動は矛盾しているように見えます。しかし実務上は、この組み合わせは珍しくありません。スマホゲームによって業務中の集中が分断され、結果として仕事が終わらず、本人は「時間内に終わらないのだから残業はしたくない」と主張する構図が生まれやすくなります。

 会社経営者として重要なのは、残業拒否そのものを単独で評価しないことです。問題の本質は、業務時間中の時間管理と集中の欠如にあります。スマホゲームで業務効率が落ちているにもかかわらず、残業だけを拒否されると、業務は滞り、周囲の社員にしわ寄せが及びます。

 また、スマホゲームは集中力の回復を妨げる性質があります。短時間のつもりでも、頻繁にスマホに手を伸ばすことで、業務への没入が断ち切られ、ミスや作業のやり直しが増えます。その結果、本人は「忙しい」「疲れている」と感じやすくなり、さらに勤務態度が悪化する悪循環に陥ります。

 この状態が続くと、会社としては「業務命令としての残業指示に従わない」という別の問題にも直面します。ただし、ここで注意すべきなのは、いきなり残業拒否を懲戒の問題として処理することです。背景にある勤務態度や時間の使い方を整理せずに処分に進めば、争いになりやすくなります。

 会社経営者として取るべき姿勢は、スマホゲーム、集中力低下、残業拒否を一連の問題として捉えることです。どれか一つだけを切り取って注意しても、根本的な改善にはつながりません。

 この整理を踏まえたうえで、次に検討すべきなのが、遅刻・欠勤・早退といった別の勤務態度の問題が絡んだ場合の対応です。複数の問題が重なったときこそ、会社としての判断軸が問われます。

9. 遅刻・欠勤・早退が絡んだ場合の考え方

 仕事時間中のスマホゲームに加えて、遅刻や欠勤、早退が目立つようになった場合、問題は単なる勤務態度の一部ではなく、より深刻な経営課題に発展します。会社経営者としては、これらを個別の問題として切り分けるのではなく、全体像として捉える必要があります。

 まず重要なのは、偶発的な遅刻や体調不良による欠勤と、常態化している遅刻・欠勤・早退を区別することです。たまたま起きた事象であれば、注意や確認で足りる場合もありますが、頻度が高まっている場合には、勤務態度全体が崩れているサインと考えるべきです。

 特に注意すべきなのは、スマホゲームなどの私的行為が業務時間中に見られる一方で、「体調が悪い」「私用がある」といった理由で遅刻・早退を繰り返すケースです。この場合、本人の中で勤務時間の重みが低下しており、会社の労務管理に対する意識そのものが緩んでいる可能性があります。

 会社経営者としてやってはいけないのは、「今日は遅刻だけ」「今日はゲームだけ」と問題を小分けにして対応することです。個々の行為は軽微に見えても、重なり合うことで、職務遂行義務違反としての評価が現実味を帯びてきます。

 また、遅刻や欠勤が増えると、周囲の社員への影響も無視できません。フォローや引き継ぎの負担が増え、不公平感が強まれば、職場全体の士気が低下します。この段階では、もはや本人と会社だけの問題ではありません。

 対応として重要なのは、事実を整理したうえで、勤務態度全体について一度まとめて指摘することです。スマホゲーム、遅刻、欠勤、早退といった行動をバラバラに注意するのではなく、「勤務時間を守り、業務に集中する義務が果たされていない」という軸で整理します。

 この際、「なぜ問題なのか」「この状態が続くとどうなるのか」を具体的に伝えることが不可欠です。感情的な叱責ではなく、業務運営への支障という観点から説明することで、後の対応の正当性を確保しやすくなります。

 遅刻・欠勤・早退が絡んだ場合、対応を先送りにすると、改善の余地は急速に狭まります。早い段階で全体像を整理し、会社としての一線を明確に示すことが、次に取るべき最終的な線引きを誤らないための前提になります。

10. 「仕事時間中はゲーム禁止」という一線をどう守るか

 仕事時間中のスマホゲーム問題において、会社経営者が最終的に示さなければならないのが、「仕事時間中はゲームをしてはいけない」という明確な一線です。この一線を曖昧にしたままでは、どれほど注意や指導を重ねても、問題は繰り返されます。

 重要なのは、この一線を「感覚」ではなく「ルール」として示すことです。「常識的に考えてダメ」「社会人としてどうか」といった表現は、人によって受け取り方が異なります。業務時間中は私的なゲームをしない、という点を、就業規則や社内ルール、指示として明確に位置付ける必要があります。

 また、この一線は、特定の社員だけに向けたものではなく、会社全体に共通する基準でなければなりません。一部の社員だけを厳しく取り締まると、「狙い撃ちだ」「不公平だ」という反発を招きやすくなります。誰に対しても同じ基準が適用される体制を整えることが重要です。

 会社経営者として注意すべきなのは、「ルールを作れば終わり」と考えてしまうことです。ルールは、守られて初めて意味を持ちます。そのためには、日常的に勤務態度を確認し、軽微な段階で是正する運用が欠かせません。小さな違反を見逃さないことが、一線を守るうえで最も重要です。

 さらに、この一線を守る姿勢は、注意や処分の場面だけで示すものではありません。普段から、業務時間の使い方や集中を重視する姿勢を経営者自身が示すことで、ルールは形骸化しにくくなります。

 「仕事時間中はゲーム禁止」という一線は、社員を縛るためのものではなく、業務に集中できる環境を守るためのものです。この趣旨を明確に伝えたうえで運用すれば、不要な対立を避けつつ、勤務規律を維持することが可能になります。

 仕事時間中のスマホゲーム問題は、放置すれば小さなほころびから大きな労務トラブルへと発展します。一方で、早い段階で一線を示し、段階的に対応していけば、経営リスクとして十分にコントロール可能な問題です。

 会社経営者としては、感情や場当たり的判断に流されず、「どこまでが許され、どこからが許されないのか」を明確にしたうえで、説明できる対応を積み重ねることが求められます。それが、最終的に会社と組織を守る判断になります。

 


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