問題社員80 昇格した同僚を妬む
目次
動画解説
1. 昇格した同僚を妬む社員が経営問題に発展する瞬間
同じ部署で働いていた社員の一人が昇格し、もう一人が昇格しなかった。このような場面自体は、どの会社でも起こり得る出来事です。しかし、昇格しなかった社員が強い不満や妬みを抱き始めたとき、この問題は単なる感情の問題では済まなくなります。
会社経営者として注意すべきなのは、不満そのものではありません。「なぜ自分ではなかったのか」と感じること自体は、人として自然な反応です。問題が経営問題に発展するのは、その感情が態度や行動として表に出始めた瞬間です。
例えば、上司や昇格した同僚への露骨な反発、指示に対する消極的な対応、業務の質やスピードの低下、職場の空気を悪化させる言動などが見られるようになると、もはや個人の感情の問題とは言えません。組織全体に影響を及ぼす段階に入っています。
特に厄介なのは、本人が「正当な不満を持っている」と強く思い込んでいるケースです。この場合、注意や指導をしても、「評価が不公平だった」「会社が自分を正しく見ていない」といった主張にすり替わりやすく、話が噛み合わなくなります。
この状態を放置すると、周囲の社員にも悪影響が広がります。「頑張っても評価されない」「昇格しても足を引っ張られる」という空気が生まれれば、組織の士気は確実に低下します。結果として、会社経営者が想定していなかった形で、生産性や人材定着に悪影響が出てきます。
会社経営者として重要なのは、「感情の問題だから時間が解決するだろう」と楽観視しないことです。昇格をきっかけに表面化した態度の変化は、放置すれば自然に収まるものではありません。むしろ、早い段階で整理すべき経営課題です。
昇格した同僚を妬む社員の問題は、評価制度や人事判断そのものへの不信感と結びつきやすく、対応を誤ると長期化します。この問題がどのようにズレていくのかを理解するためには、次に「不満を持つこと」と「業務上許されない行動」の違いを整理する必要があります。
2. 「不満を抱く気持ち」と「業務を放棄する行動」は別物
昇格しなかったことに対して不満を抱く社員に接するとき、会社経営者が最初に整理すべきなのは、「感情」と「行動」を明確に切り分ける視点です。この二つを混同すると、対応の軸がぶれてしまいます。
不満や落胆、悔しさといった感情を持つこと自体は、社員として許されないものではありません。評価結果に納得できない気持ちが生じるのは、人として自然な反応です。会社は、社員の内心の感情まで統制することはできませんし、すべきでもありません。
しかし、その感情が業務態度や行動に表れた時点で、話は別になります。指示に従わない、露骨にやる気を失った態度を取る、周囲の士気を下げる発言を繰り返すといった行動は、業務上許されるものではありません。ここから先は、感情の問題ではなく、職務遂行上の問題です。
会社経営者として注意すべきなのは、「気持ちは分かるから」と行動面まで曖昧に扱ってしまうことです。同情が先行し、業務上の問題を放置すると、「不満を示せば態度が許される」という誤ったメッセージを組織に与えてしまいます。
また、本人が「評価に不満があるのだから、今の態度は仕方がない」と自己正当化している場合には、より慎重な対応が必要です。この状態では、注意や指導をしても、「原因は会社にある」という主張にすり替えられやすく、問題が長期化します。
重要なのは、会社として一貫した線引きを示すことです。不満を抱くこと自体は否定しないが、業務を放棄したり、職場秩序を乱す行動は許容しない。この線引きを、早い段階で明確に伝える必要があります。
この整理ができていれば、感情面のケアと、業務上の指導を同時に進めることが可能になります。逆に、この切り分けが曖昧なままでは、次に行うべき評価説明や指導の場面で、話が噛み合わなくなります。
昇格に対する不満を抱く社員への対応は、共感と是正のバランスが問われる問題です。そのためにはまず、「どこまでが許され、どこからが許されないのか」を、会社経営者自身が明確に理解しておく必要があります。
3. 昇格しなかった社員が誤解しやすい評価の落とし穴
昇格しなかった社員が強い不満を示す背景には、多くの場合、「評価」に対する誤解があります。会社経営者としては、この誤解を放置したまま態度や行動だけを是正しようとしても、問題は根本的に解決しません。
最も典型的なのは、「自分は成果を出していた」「あの同僚と比べて劣っていたとは思えない」という認識です。本人にとっては事実であり、努力してきたという自負もあるため、「なぜ昇格できなかったのか」が感情的に受け入れられなくなります。
しかし、昇格判断は、単なる成果の多寡だけで決まるものではありません。将来的に担わせたい役割、他の社員への影響、判断力や安定性など、複数の要素を総合して行われるのが通常です。この点が十分に伝わっていないと、社員は「評価=今までの頑張りへの点数」と誤解してしまいます。
特に注意すべきなのは、「自分は今の仕事を問題なくこなしている」という理由で、昇格できなかったことに納得できないケースです。現職を無難にこなせることと、上位職として組織を引っ張れるかどうかは、必ずしも一致しません。しかし、この違いは、説明されなければ理解されにくいポイントです。
また、「昇格した同僚より自分の方が年上だ」「勤続年数が長い」という意識も、誤解を強める要因になります。本人の中では、年次や経験が昇格と直結しているつもりでも、会社としてはそう考えていない場合、そのギャップが強い不満につながります。
会社経営者として重要なのは、「評価は公正だった」と主張することではありません。評価の仕組みや昇格判断の考え方が、本人にどう受け取られているかを一度立ち止まって確認することです。この確認を怠ると、「会社は説明責任を果たしていない」という不信感が、態度の悪化を正当化する材料になってしまいます。
誤解が積み重なった状態では、注意や指導をしても、「評価が不公平だった」という話にすり替えられやすくなります。だからこそ、次に考えるべきなのは、「未熟な態度を理由に、すぐ切り捨ててよいのか」という問題です。
4. 未熟な態度を理由に即切り捨ててはいけない理由
昇格しなかったことへの不満から、態度が悪化している社員を見ると、「社会人として未熟だ」「この程度で拗ねるなら不要ではないか」と感じる会社経営者も少なくありません。しかし、その感覚のまま結論を急ぐことには、大きなリスクがあります。
まず理解しておくべきなのは、未熟な態度と、法的に問題社員として切り離せるかどうかは、全く別の問題だという点です。態度が幼稚に見える、感情的になっているという事情だけでは、直ちに厳しい人事判断を正当化することはできません。
特に昇格をきっかけに態度が崩れた場合、その背景には「評価に対する理解不足」や「将来への不安」が潜んでいることが多くあります。この段階で会社が即座に距離を置いたり、冷たい対応を取ったりすると、社員側は「やはり会社は自分を切り捨てるつもりだった」と受け取り、対立構造が固定化します。
また、未熟な態度を理由に強い措置を取ろうとすると、後になって「評価に不満を持っただけで不利益な扱いを受けた」「感情的な対応だった」と主張されるリスクがあります。昇格・評価というセンシティブなテーマが絡む以上、会社の対応姿勢は厳しく見られがちです。
会社経営者として重要なのは、「態度が悪い」という評価を、そのまま人事判断の理由にしないことです。問題にすべきなのは、具体的にどの行動が業務に支障を与えているのか、どの点が職務上許容できないのかという客観的な事実です。
未熟な態度が見られる段階は、見方を変えれば、まだ修正可能な段階でもあります。この時点で適切な説明や整理を行えば、態度が改善するケースも少なくありません。ここで打つべき手は、「切り捨て」ではなく、「立て直し」です。
もちろん、すべてのケースで改善が見込めるわけではありません。しかし、早い段階で見切りをつけてしまうと、「本来は是正できた問題だったのではないか」という疑念が、後になって会社自身を縛ることになります。
だからこそ、次に会社経営者が考えるべきなのは、「では、最初に何を優先して対応すべきなのか」という点です。昇格しなかった社員への対応では、感情論でも処分論でもなく、まずモチベーション低下への向き合い方を整理する必要があります。
5. まず最優先で行うべきモチベーション低下のケア
昇格しなかった社員の態度が悪化している場合、会社経営者としてまず最優先で行うべきなのは、注意や処分ではなく、モチベーション低下へのケアです。ここを飛ばしてしまうと、その後どのような対応を取っても、問題はこじれやすくなります。
重要なのは、モチベーション低下の原因が「評価そのもの」なのか、「評価の理由が理解できていないこと」なのかを切り分けることです。多くのケースでは、昇格しなかった事実そのものよりも、「なぜ自分が選ばれなかったのかが分からない」という点が、不満や反発の根源になっています。
この段階で会社経営者がやるべきことは、慰めることでも、納得させることでもありません。昇格判断の考え方、求めている役割、今後に期待している点を、できる限り具体的に言語化して伝えることです。「今回は縁がなかった」「次は頑張ってほしい」といった抽象的な説明では、かえって不信感を強めます。
また、本人の話を聞く姿勢も重要です。評価に対する不満や将来への不安を口にする機会を設け、「聞いた」という事実を作ること自体が、感情の沈静化につながる場合があります。ただし、この場で評価を覆したり、安易な約束をしたりすることは避けなければなりません。
会社経営者として注意すべきなのは、「時間が経てば落ち着くだろう」と放置することです。モチベーションが大きく下がった状態で業務を続けさせると、態度悪化や業務品質の低下が常態化し、それが後の指導や処分を難しくします。
一方で、ここで一定のケアを行っても、態度や行動が改善しないケースはあります。その場合でも、「会社として説明と配慮は尽くした」という事実が残ります。この事実は、次の段階に進む際の重要な前提になります。
モチベーション低下へのケアは、問題社員を甘やかすことではありません。後に厳しい判断をする可能性があるからこそ、最初にやるべき最低限の対応です。このステップを踏んで初めて、次に考えるべき「期待している社員ほど説明を尽くす必要性」が見えてきます。
6. 期待している社員ほど説明を尽くす必要がある
昇格しなかった社員への対応で、会社経営者が見落としがちなのが、「本来、期待している社員ほど、丁寧な説明が必要になる」という点です。期待が大きかった社員ほど、昇格しなかったことによる落差も大きく、その理由が不明確なままだと、態度や行動に強く表れやすくなります。
会社経営者としては、「期待していない社員ではないからこそ、今回は昇格させなかった」という判断をしていることも多いでしょう。しかし、この意図は、説明しなければ本人には伝わりません。説明がないままでは、「評価されていない」「見限られた」という受け止め方に変わってしまいます。
特に注意すべきなのは、「言わなくても分かるだろう」「大人なのだから理解するはずだ」という思い込みです。昇格という結果だけが示され、理由や背景が語られなければ、社員は自分なりの解釈で空白を埋めます。その多くは、会社にとって不利な解釈になります。
説明の際に重要なのは、「できていない点」だけを伝えることではありません。今後どのような役割を期待しているのか、どの点が評価されているのかを、具体的に伝える必要があります。ここが曖昧だと、「どう頑張ればよいのか分からない」という状態に陥り、モチベーション低下が固定化します。
また、期待している社員ほど、「今回は見送ったが、将来的な可能性はある」といった含みを持たせた説明をしたくなるかもしれません。しかし、具体性のない期待表現は、後になって「約束していた」「話が違う」という主張につながりやすいため注意が必要です。あくまで現時点での判断と、今後の方向性を切り分けて説明することが重要です。
会社経営者として意識すべきなのは、説明は「説得」ではないという点です。納得させようとするほど、議論が感情的になりがちです。説明の目的は、会社としての判断基準と考え方を伝え、理解可能な形にすることにあります。
この説明を尽くしたうえで、それでも態度や行動が改善しない場合、問題は評価への不満ではなく、業務姿勢そのものに移っていきます。そのとき初めて、配置転換や距離の取り方といった、次の対応を検討する段階に入ります。
だからこそ、期待している社員ほど、「説明は十分だったか」「曖昧な期待を持たせていなかったか」を振り返ることが重要です。このプロセスを経て初めて、次に考えるべき「当事者を引き離す配置転換」という選択肢が、現実的なものとして浮かび上がってきます。
7. 当事者を引き離す配置転換という選択肢の使い方
昇格を巡る不満や妬みが、特定の同僚や上司との関係に強く結び付いている場合、会社経営者として検討すべき選択肢の一つが、当事者を引き離す配置転換です。ただし、この判断は使い方を誤ると、問題を悪化させる危険があります。
まず押さえておくべきなのは、配置転換は「問題社員への制裁」ではないという点です。配置転換の目的は、対立関係を物理的に切り離し、業務に集中できる環境を整えることにあります。この位置付けを誤ると、本人に「不満を言ったから飛ばされた」「評価に抗議したから外された」と受け取られかねません。
会社経営者として重要なのは、「誰を異動させるか」よりも、「なぜ引き離す必要があるのか」を明確にすることです。業務上の支障、職場の雰囲気への悪影響、当事者同士の緊張関係など、配置転換の合理的な理由を整理しておかなければなりません。
また、配置転換は万能な解決策ではありません。引き離した結果、態度や業務姿勢が改善する場合もあれば、「会社に不満を持っている」という根本原因が解消されず、別の場所で同じ問題が再燃するケースもあります。そのため、配置転換は「様子を見るための手段」であるという認識が必要です。
実務上は、配置転換と併せて、業務上の期待や行動基準を改めて明確に伝えることが重要です。「場所を変えたのだから、次はどう働いてほしいのか」「どの点が問題で、どの点は期待しているのか」を整理せずに異動させると、本人は「理由の分からない異動」と感じ、反発を強めます。
会社経営者として注意すべきなのは、配置転換が本人にとって著しい不利益になっていないかという点です。勤務地、職務内容、キャリアへの影響が大きい場合には、その合理性が問われます。「問題を起こしたのだから仕方がない」という説明では、後になって不当な扱いだと主張されるリスクがあります。
一方で、配置転換をためらい続け、対立関係を放置することも危険です。職場の空気が悪化し、周囲の社員に悪影響が広がれば、会社としては「なぜ早く手を打たなかったのか」と問われる立場になります。
当事者を引き離す配置転換は、あくまで経営判断として冷静に使うべき手段です。その効果と限界を理解したうえで実施することが、次に考えるべき「配置転換しても態度が改善しない場合の対応」を誤らないための前提になります。
8. 配置転換しても態度が改善しない場合の考え方
当事者を引き離す配置転換を行っても、なお態度や業務姿勢が改善しないケースは少なくありません。この段階に至ると、会社経営者としては「これ以上、何をすればよいのか」と判断に迷うことになります。
まず重要なのは、配置転換をしたという事実だけで、「会社としてやるべきことは尽くした」と早合点しないことです。配置転換は環境調整にすぎず、問題の本質が本人の業務姿勢や考え方にある場合、場所を変えただけでは改善しないことも多くあります。
この段階で会社経営者が整理すべきなのは、態度が改善していない理由です。新しい環境での業務内容が適切だったのか、期待される役割や行動基準を明確に伝えていたのか、一定期間を区切って振り返りを行っていたのか。これらが曖昧なままでは、「改善しなかった」とは言い切れません。
一方で、配置転換後も不満を周囲に漏らす、消極的な態度を続ける、業務指示に従わないといった行動が続いているのであれば、問題はもはや昇格への不満ではなく、職務遂行上の問題として捉える必要があります。この切り替えができないと、対応はいつまでも感情論のままになります。
会社経営者として注意すべきなのは、「もう少し様子を見よう」という判断を繰り返し、対応を先送りにしてしまうことです。改善が見られない状態を放置すると、「結局、何をしても許される」という誤ったメッセージを本人だけでなく周囲にも与えてしまいます。
この段階では、行動に対する注意や指導を、より明確な形で行う必要があります。何が問題で、どの行動が許容されず、今後どう改善すべきなのかを、業務上の基準として整理して伝えることが重要です。感情や評価への不満には踏み込まず、あくまで業務の話に軸足を戻します。
配置転換しても態度が改善しない場合、会社としての対応は次の段階に進みます。ただし、それは直ちに処分や切り離しを意味するものではありません。まずは、注意指導や懲戒を検討するための土台を整える段階です。
この整理を踏まえたうえで、次に考えるべきなのが、「注意指導・厳重注意・懲戒処分をどう使い分けるか」という判断軸になります。
9. 注意指導・厳重注意・懲戒処分を検討する判断軸
配置転換を行い、説明やケアも尽くしたにもかかわらず、なお態度や業務姿勢が改善しない場合、会社経営者として次に検討すべきなのが、注意指導や厳重注意、さらには懲戒処分といった段階的対応です。ただし、この判断には明確な軸が必要です。
まず重要なのは、注意指導・厳重注意・懲戒処分は、感情の強さに応じて選ぶものではないという点です。「腹に据えかねた」「いい加減にしてほしい」という感情を基準にすると、判断は必ずぶれます。基準にすべきなのは、業務上どのような支障が生じているかという客観的事実です。
注意指導の段階では、問題となっている行動を具体的に指摘し、業務上求められる行動とのズレを明確にします。この段階では、「改善の余地がある」「まだ修正可能である」という前提が重要です。抽象的な注意ではなく、行動ベースで整理することが欠かせません。
それでも改善が見られない場合、厳重注意を検討する段階に入ります。厳重注意は、「この行動は会社として看過できない」という明確な警告です。ここでは、同じ行動が繰り返された場合の結果についても、あらかじめ示しておく必要があります。
懲戒処分を検討すべきかどうかの判断軸は、問題行動が就業規則上の服務規律違反に該当するかどうかです。単に態度が悪い、やる気が感じられないという理由だけでは、懲戒処分の正当化は困難です。どの規定に違反し、どの程度の影響が出ているのかを整理しなければなりません。
会社経営者として特に注意すべきなのは、注意や指導を十分に行わないまま、いきなり懲戒処分に進むことです。この場合、「改善の機会を与えていない」「段階を踏んでいない」と評価されるリスクが高まります。
逆に、注意や指導を漫然と繰り返し続けることも問題です。いつまでも結論が出ない状態は、本人だけでなく周囲の社員にも悪影響を与えます。段階ごとに、「ここまでで何が改善され、何が改善さていないのか」を整理する必要があります。
注意指導・厳重注意・懲戒処分は、一直線に進むものではありません。状況に応じて立ち止まり、見直しながら進めるべきものです。そのためにも、会社として「どこまで来たのか」を常に把握しておくことが、経営判断として重要になります。
この判断軸を持てたとき、最後に会社経営者が向き合うべき「最終的な結論」が見えてきます。次に考えるべきは、「ベストを尽くした後に下すべき経営判断とは何か」という点です。
10. ベストを尽くした後に会社経営者が下すべき結論
昇格を巡る不満への対応として、説明、ケア、配置転換、注意指導といった手を尽くしてきたにもかかわらず、なお態度や業務姿勢が改善しない場合、会社経営者は最終的な結論と向き合う必要があります。この局面を避け続けることは、経営判断としてもリスクが高まります。
まず確認すべきなのは、「会社としてやるべきことは本当に尽くしたか」という点です。評価の考え方を説明したか、感情と行動を切り分けて指導したか、改善の機会を具体的に与えたか。これらを振り返り、説明可能な対応を積み重ねてきたのであれば、会社としての土台は整っています。
この段階で重要なのは、「かわいそうだから」「期待していた社員だから」という理由だけで判断を先送りにしないことです。個人への期待と、組織運営上の判断は切り分ける必要があります。態度不良や業務上の支障が続いているにもかかわらず放置すれば、周囲の社員に対して不公平なメッセージを発することになります。
会社経営者として下すべき結論は、「この社員を今後どのような位置付けで雇用し続けるのか」という整理です。配置や役割を限定して継続するのか、より厳格な指導や処分を前提にするのか、それとも雇用関係の見直しを視野に入れるのか。いずれにしても、曖昧な状態を続けることが最も危険です。
ここでの結論は、必ずしも「排除」や「切り捨て」である必要はありません。しかし、「これ以上は許容できないライン」を明確に示さない限り、問題は収束しません。結論を出すこと自体が、会社としての責任でもあります。
また、この最終判断は、感情的に下すものではありません。これまでの経過、具体的な行動、業務への影響を踏まえ、「第三者に説明できるか」という視点で整理することが重要です。この視点を欠くと、どの結論を選んでも後悔が残ります。
昇格を巡る不満をきっかけにした問題は、誰にでも起こり得ます。しかし、問題をどう収束させるかは、会社経営者の判断に委ねられています。
ベストを尽くした後に結論を出すことは、冷たさではありません。組織を守り、他の社員を守り、会社経営者自身を守るために必要な、責任ある経営判断です。本記事で整理した考え方が、その判断を下す際の指針になれば幸いです。

