ワード:「解雇」

作業の準備や後片付けの時間が労働時間に該当するかどうかは,どのように判断されるのですか?

 労働者が業務を行う前段階の入門後職場到着までの歩行や,作業服,作業靴への着替え等の準備行為は,厳密には労務提供の債務履行行為ではありませんので,それが使用者の命令下に置かれていると評価できるものでない限り,準備行為の時間を労働時間とすることはできないと考えます。しかし,準備行為等の時間が,マニュアルによる作成及び従業員に対する周知,教育指導,履践するように求める注意などが存在することによって,終……

どのような手当が除外賃金に当たるのか具体的に教えて下さい。

1.除外賃金とは
 除外賃金とは,家族手当,通勤手当,別居手当,子女教育手当,住宅手当,臨時に支払われた賃金,1か月を超える期間ごとに支払われる賃金など,労働の内容や量と無関係な労働者の個人的事情で変わってくる賃金手当のことをいいます。
  残業代を計算する際の基礎賃金には,「除外賃金」は含まれません。  2.家族手当
 扶養家族のある者に対し,扶……

希望退職者を募集する際の注意点を教えてください。

 希望退職者募集にあたっては,募集時期,募集人員,募集対象者,退職上積金等の条件を労働者に提示します。条件は,退職金が自己都合退職の場合より明らかに低い等の不合理な内容でなければ,使用者が自由に決定することができます。
 ここでよく問題となるのが,募集対象者の限定です。希望退職者募集は,使用者が早期の退職希望を募っているものであって,労働者の退職の意思表示を誘引しているに過ぎず強制力……

整理解雇する場合に検討すべき事項を教えてください。

 整理解雇とは,使用者が経営上必要とされる人員削減のために行う解雇です。
 整理解雇の有効性は,①人員削減の必要性,②解雇回避努力義務の履行,③人選の合理性,④手続の相当性の4点及びその他の諸事情を総合考慮して具体的に判断されますので,少なくとも①~④については検討する必要があります。
 「①人員削減の必要性」については,整理解雇による人員削減が,不況や経営不振等,使用……

降格にはどのようなものがありますか?

 降格は,降格の根拠がどのようなものかという観点から,懲戒処分としての降格と,業務命令としての降格に分けられます。
 懲戒処分としての降格は,懲戒処分に対する法規制を受け,その要件と効果について就業規則で定められていることが必要です。
 業務命令としての降格は,人事権の行使として行われるものですから,就業規則の根拠は必ずしも必要とせず,使用者が業務命令や人事に関して有す……

割増賃金の割増率はどのようになっているのか教えて下さい。

1 時間外労働
 時間外労働させた場合は,通常の労働時間の賃金の2割5分以上の割増賃金を支払う必要があります。時間外労働に該当する時間は,1日当たりの法定労働時間である8時間の時間制限を超える時間外労働,1週当たりの法定労働時間である40時間の時間制限を超える時間外労働が対象となります。
 1日とは,午前0時から午後12時までのいわゆる暦日をいいますが,継続勤務が2暦日……

就業規則に「懲戒解雇の場合,退職金は不支給とする。」と規定していますので,懲戒解雇する労働者には退職金を支給しなくてもいいですよね?

 退職金には,在職期間中の労務提供の対価(賃金)を後払いするという側面があります。賃金の後払いである以上,懲戒解雇の場合に退職金を不支給とすると就業規則で規定しても,労働者が退職時までに積み上げてきた労務提供に対する対価が否定されるような事情がなければ退職金不支給にはできません。
 たとえば,裁判例では,「当該労働者の永年の勤続の功を抹消してしまうほどの重大な不信行為があることが必要……

労働者が「退職届」という件名で退職する内容のメールを送信してきて以来無断欠勤している場合,労働契約は終了すると考えていいですか?

 労働者からの労働契約の一方的解約(辞職)の要件は,期間の定めの有無によって異なります。
 契約社員等の期間の定めのある労働者の場合,期間途中の解約は認められず,労働者が病気,事故等によって長期間就労できない等の「やむを得ない事由」がなければ辞職の意思表示の効果は生じません(民法628条)。他方,期間の定めのない労働者は,いつでも労働契約を解約でき,辞職の意思表示後2週間の経過をもっ……

労基法上の「賃金」とはどのようなものをいいますか?

 労基法上の「賃金」とは,「賃金,給料,手当,賞与その他名称の如何を問わず,労働の対価として使用者が労働者に支払うすべてのもの」をいいます(労基法11条)。
 死亡弔慰金,結婚祝金,災害見舞金,病気見舞金等の労働社の慶弔禍福に際して使用者が労働者に支払う給付のうち,使用者が任意的に支払う給付は,労基法上の「賃金」に該当しません。他方,その支給条件が労働協約,就業規則または労働契約等に……

就業規則で普通解雇事由を定めている場合,定めた事由以外の解雇は認められないのですか?

 就業規則で普通解雇事由を定めている場合,①就業規則に解雇事由を定めた以上,それ以外の事由による解雇は制限されるべきだとする説と,②解雇権の行使は民法の規定により原則として自由であり,就業規則の解雇事由は例示的な定めと考えるべきという説が対立しており,一概には言えません。
 このような問題が生じないよう,就業規則の普通解雇事由の最後に,「その他前各号に掲げる事由に準ずる事由があるとき……

解雇理由を後で追加することはできますか?

 解雇当時に存在していた普通解雇理由ならば,追加することができます。普通解雇は,濫用が規制されているものの,本来は労働契約の当事者である使用者の権利であるため,その権利行使の理由に該当する事実があるならば,権利行使することができます。また,普通解雇当時に存在していた解雇理由ならば,労働者にとっても不意打ちにはなりません。
 他方,懲戒解雇は,後になって懲戒解雇理由を追加することはで……

突然行方不明になった労働者との労働契約を終了させるためには,どのような方法が考えられますか。

 労働者が突然行方不明になった場合,労働契約を終了する方法は,次の3つが考えられます。 ① 就業規則の当然退職規定により退職させる
② 長期無断欠勤により懲戒解雇する
③ 親族等から退職に関する誓約書等を提出させる  ①は,就業規則において,長期間連絡が取れず行方不明となった者を退職とする規定を設けておく方法です。①のメリットは,労働者が当然退職の扱いになるため,使……

普通解雇する際,なぜ労働者に弁明の機会を与えた方がよいのですか?

 普通解雇の有効性は,労働者に弁明の機会を与えたかどうかも考慮した上で判断されます。
 確かに,法律上,弁明の手続を行うよう規定されているわけではありません。裁判例でも,弁明の手続がなくとも普通解雇が有効となった事案もあります(湯川胃腸病院事件・大阪地裁平成6年11月8日判決)。
 しかし,弁明の機会を与えれば,使用者が普通解雇するべきと考えている事実関係の有無等につ……

解雇予告手当はどのような場合に支払わなくてよく,どのような場合に支払わなければならないのです?

解雇予告手当を支払わなくてよい場合
 労働者を解雇しようとする際に30日前にその予告をした場合,すなわち使用者が解雇を通知する際に解雇予告期間として30日以上置いた場合には,解雇予告手当の支払は不要となります。
 30日の具体的な計算方法について,労基法では定められていません。通常は,解雇予告通知の日の翌日から期間の末日の経過までが30日以上あるかで考えます。続きを見る

退職勧奨により労働者が退職届を提出したにもかかわらず,退職の意思表示が取り消されることはありますか。取り消されないために,どのような点に配慮するべきですか。

 退職勧奨の結果,労働者が自ら署名押印のある退職届を提出した場合であっても,一般原則である民法に基づいて,労働者の退職の意思表示が詐欺や強迫を理由に後で取り消されるおそれがあります(民法96条1項)。
 退職の意思表示が強迫を理由に取り消されないようにするためには,何らかの無理強いをしたり,労働者に恐怖を抱かせるような状況を作り出したりして退職勧奨しないように配慮する必要があります。……

多重債務を抱える従業員がいる。

1 金融業者から会社に電話がかかってきた後の当該従業員への対応
 金融業者から会社に対して当該社員宛の電話がかかってくることで,多重債務の事実が判明することがあります。
 この場合,まずは当該社員から事情を聞くことになりますが,本人が話したくないのにもかかわらず,長時間,根掘り葉掘り聴取することは,プライバシー侵害のおそれがありますので,常識的な範囲内で事情を聞くよ……

有期労働契約における不更新条項や更新限度特約について,最近の裁判例ではどのような判断がなされていますか?

 雇止めの有効性に関連して,その有効性が問題となっているのが,不更新条項や更新限度特約です。不更新条項とは,有期労働契約について当該契約期間満了した場合には更新しないことをあらかじめ合意しておくことをいいます。更新限度特約とは,有期労働契約を結ぶ際に,更新の回数の限度についてあらかじめ合意しておくことをいいます。最近の裁判例では,ある程度の更新がなされている場合でも,更新限度特約などから解雇権濫用……

雇止め法理とはどういうものですか?

 民法上の原則では,有期労働契約は定められた期間が満了すれば,契約を更新しない限り契約関係が終了し,使用者は更新しないことについて特段の理由を必要としていません。しかし,裁判では,有期労働契約であっても,一定の場合には解雇権濫用法理が類推適用され,合理的理由のない雇止めが無効と判断されてきました。この判例法理を「雇止め法理」といい,法改正により,労働契約法19条として,以下のとおり条文化されました……

有期労働契約における期間途中の解雇・解除ついてのポイントを教えてください。

使用者側からの期間途中の解雇について  使用者は,有期労働契約について,やむを得ない事由がある場合でなければ,労働者を期間途中で解雇することはできません(労働契約法17条1項)。この「やむを得ない事由」は,期間の定めのない労働契約における解雇に必要とされる「客観的に合理的で,社会通念上相当と認められる場合」よりもさらに限定的・制限的な事由であると考えられます。   労働者側からの期……

高年法について知っておくべきポイントを教えてください。

 平成24年の高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下「高年法」という)の改正により,65歳未満の定めをしている事業主は,雇用する65歳までの安定した雇用を確保するため,①定年の引き上げ,②継続雇用制度の導入,③定年の定めの廃止のいずれかの措置を講じなければならないとされました。中小企業では定年制を設けていない会社も少なくありませんが,大企業では,65歳までの定年制延長は賃金に見合った高齢者の能……

在職中及び退職後の秘密保持義務についての留意点を教えてください。

 労働者は,在職中は,労働契約の付随義務として,使用者の営業上の秘密を保持すべき義務を負っています。この秘密保持義務については,多くの会社が修行規則で定めており,また,誓約書や秘密保持契約書等もなされていますが,就業規則や個別合意がなくても発生すると考えられています(メリルリンチ・インベストメント・マネージャーズ事件:東京地裁平成15年9月17日判決)。  労働者が秘密保持義務に違反した場合には……

退職勧奨をした際に退職を強要したとして慰謝料請求が認められた事例には,どのようなものがありますか?

 使用者が,労働者の自由意思を侵害するような手段・態様で対象勧奨を行った場合,労働者の人格権を侵害する不法行為となります。 自発的な退職意思の形成を促す限度を超え,心理的圧力を加えて退職を強要したとして慰謝料請求を認めた事例として,次のものがあります。 ・暴行を含む嫌がらせによる退職強要行為について使用者と実行者の双方に損害賠償責任を認めた事例(エール・フランス事件:東京高裁平成8年3月27日……

退職勧奨とはどういうものですか?

 退職勧奨とは,使用者が労働者に対して辞職や労働契約の合意解約の承諾を促すことをいいます。厳格な解雇規制を回避するために,使用者が経営上の理由によるリストラを行うに際して,希望退職募集制度を実施しながらも目標退職者数を確保する目的で,あるいは,希望退職募集制度実施後の事業方針に適合しない労働者等の特定の労働者の退職を促す目的で,労働者との個別面談を通じて行われるのが通常です。また,目標退職者数が少……

合意退職(合意解約)とはどういうものなのかについて教えてください。

 合意退職(合意解約)とは,使用者と労働者との合意により労働契約を将来に向けて解約することをいいます。この場合,使用者は解雇予告手当を支払う必要はありません。合意退職(合意解約)の典型は,希望退職募集制度に基づく退職や,退職勧奨に基づく退職ですが,労働者が合意退職(合意解約)を申し込み,使用者がこれを承諾することで,退職が成立する場合もあります。  合意退職(合意解約)は,使用者の承諾の意思表示……

無期契約における辞職と,有期契約における辞職は,どのように違いますか?

 辞職とは,労働者の一方的な意思に基づく労働契約の解約をいいます。  無期契約においては,労働者は2週間の予告期間をおけば,いつでも辞職が可能となっています。予告期間の延長合意の有効性については争いがありますが,就業規則で予告期間を30日に指定して運用している会社もあります。しかし,過度に長期の予告期間を設けることは,労働者の辞職の自由を制限することになり,公序良俗に反し無効と判断されるおそれが……

会社の解散・倒産に伴う整理解雇についても4要素を充たさなければなりませんか?

 会社解散及び清算型倒産手続に伴って整理解雇を行う場合,必ずしも,整理解雇の法理(①整理解雇の必要性,②解雇回避努力,③人選の合理性,④手続の相当性)が適用されるわけではありません。このような解雇の有効性をめぐっては,職業選択の自由や財産権の保障を根拠とする企業廃止の自由を理由として,解散が適法・有効に行われる限り,解散を理由とする解雇は有効とする裁判例(大陸運事件:大阪高裁平成15年11月13日……

整理解雇をするに当たっては,どのようなことを検討しなければなりませんか?

 整理解雇は,使用者の経営上の理由による解雇であることから,解雇権濫用法理が適用されます。  裁判所は,①整理解雇の必要性があるか,②解雇を回避する努力をしたか,③解雇者の人選基準や人選に合理性があるか,④解雇手続きに妥当性があるかという4つの要件を定立し,この4要件すべてが満たされない限り整理解雇は無効と判断しています。   ①整理解雇の必要性  整理解雇は,経営上の十分な必要……

解雇の規制にはどのようなものがありますか?

労働契約上の規制  解雇権は,労働契約に当然に付随する権利と理解されており,普通解雇をするに当たり,就業規則の定めなどは必要ありません。しかし,常時10人以上の労働者を雇用する場合は,就業規則を定め,労働基準監督署に届け出なければならず,解雇事由は就業規則の絶対的必要事項であり,労働契約時に書面により明示しなければなりません(労基法15条1項,労規則5条1項4号)。  他方,懲戒解雇は企業秩序……

労働者から解雇理由証明書の発行を請求された場合,どのように対応すればいいですか?

 労基法では,労働者から解雇理由証明書の発行を請求された場合,使用者は遅滞なく交付しなければならないと定めています。  解雇理由証明書に記載する解雇の理由は具体的に示さなければならず,就業規則の該当条項の内容及び当該条項に該当するに至った事実関係を記入しなければなりません。ただし,解雇理由証明書には,労働者が請求していない内容については書いてはなりませんので,例えば,労働者が解雇事実についてのみ……

労基法では,解雇予告義務・解雇予告手当についてどのように定められていますか?

 労基法では,使用者が労働者を解雇しようとする場合,少なくとも30日前に予告しなければならないとされており,予告しない場合には,解雇予告手当として,30日分以上の平均賃金を支払わなければならいと定められています。  予告期間を置かずに解雇手当も支払わなかった場合の解雇は,使用者が即時解雇に拘らない限り,解雇通知後30日を経過するか,解雇通知後に予告手当の支払があれば,そのいずれか先の時点で解雇の……

情報漏洩,兼業,競業行為を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

情報漏洩  企業情報等の漏洩は,企業秩序を現実に侵害する場合は懲戒事由となります。例えば,新聞記者が個人用ホームページに業務上知り得た事実や体験談を掲載したことが,新聞社における職務と密接に関連し,取材源秘匿との会社方針に反する行為であった等として,出勤停止処分が有効とされた裁判例があります(日本経済新聞社事件:東京地裁平成14年3月25日判決)。近年では,SNSに企業情報の漏洩などを行い,これ……

勤務時間外における企業外での犯罪行為を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

 勤務時間外における企業外での行動は,本来は労働者の私生活上の行為であり,使用者が懲戒をもって臨むことはできないはずです。しかし,労働者は信義則上,使用者の業務利益や信用・名誉を毀損しない業務を負っていますので,原則として企業外での行動を規制することはできないものの,それが「企業の円滑な運営に支障を来すおそれがあるときなど企業秩序に関係を有する」場合は,懲戒事由となると判断されています(関西電力事……

経歴詐称を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

 経歴詐称とは,採用時に,学歴や職歴,犯罪歴などの経歴を偽ることをいいます。このような経歴詐称は,一般には,使用者と労働者間の信頼関係を壊し,労働力の評価を誤らせ,人事異動等に関する秩序を乱すものであることから,裁判例(スーパーバッグ事件:最一小平成3年9月19日判決)は,詐称された経歴が最終学歴や職歴など,重要なものであることを前提として,経歴詐称の懲戒事由該当性を肯定しています。経歴を詐称した……

職務懈怠を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

 職務懈怠とは,労働の遂行が不適切なことをいい,無断欠勤,遅刻,早退,職場離脱,勤務不良,業務命令違反等が含まれます。
 労働者による職務懈怠が客観的に認められるとしても,その原因や使用者の対応によっては,懲戒処分が無効になる場合があります。
 裁判例では,精神的な不調のために欠勤を続けている社員について,使用者としては精神科医による健康診断を実施するなどした上で,その……

懲戒処分が法的に有効とされるために必要な手続の相当性について,具体的に教えてください。

 懲戒処分が法的に有効とされるためには,本人への弁明機会,賞罰委員会の開催,労働組合等の手続的保障がどこまで求められているのかが問題となります。 本人への弁明の機会は,規定の有無を問わず必要なものであり,実質的に行われる必要があります。裁判例(ホンダエンジニアリング事件:宇都宮地平成27年6月24日判決)では,就業規則上,懲戒解雇に際して労働者に弁明の機会を与える旨の規定がない場合には,会社が規定……

懲戒処分が法的に有効とされるために必要な処分の相当性について,具体的に教えてください。

 懲戒処分が法的に有効とされるためには,懲戒事由の他に,懲戒処分を就業規則に明確に定める必要があります。就業規則に記載されていない懲戒処分を行うことはできず,判例(立川バス事件:東京高平成13年9月12日判決)でも,就業規則において経歴詐称を理由とする懲戒処分の種類を懲戒解雇・出勤停止・減給・格下げにとどめるものと規定している場合には,懲戒の手段はこれらに限定されてしまい,より軽い譴責処分などであ……

懲戒処分が法的に有効とされるために必要な懲戒処分事由該当性について,具体的に教えてください。

 懲戒処分が法的に有効とされるためには,まず,懲戒事由を就業規則に明確に定める必要があります。ただし,懲戒事由が就業規則に定められた場合であっても,当該行為が懲戒事由に該当するか否かの判断において合理的な限定解釈を加えることは多くあります。また,一般の就業規則には,列記された懲戒事由の末尾に「その他,これに準ずる場合」という条項が置かれていることが多いですが,このような規定についても,合理的な限定……

懲戒処分とはどういうものですか?

 懲戒処分とは,使用者が,従業員の企業秩序違反行為に対して加える制裁罰です。懲戒処分には,懲戒解雇,諭旨解雇,降職,降格,懲戒休職,出勤停止,減給,戒告,譴責等があります。 労働契約法15条は,「使用者が労働者を懲戒することができる場合において,当該懲戒が,当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利……

退職勧奨をしたところ,解雇にしてほしいと言う社員がいる。

 退職勧奨とは,使用者が労働者に対して辞職や労働契約の合意解約の承諾を促すことをいいます。これに対して,解雇とは,使用者の一方的な意思表示により労働契約を終了させることをいいます。
 退職勧奨によって,労働者が退職の意思表示をした場合,その合意の意思形成に錯誤等がない限り,退職は有効となります。
 退職勧奨の際。労働者から「退職することには納得するが,退職届は出した……

出向先の会社が出向してきた社員を解雇することはできますか。

 出向とは,社員が自己の雇用先の会社に在籍したまま,他の会社の従業員となって長期間にわたって業務に従事することをいいます。
 労働者と雇用契約を締結しているのは出向元ですから,出向先の会社は出向してきた社員に問題があったとしても解雇することはできません。
 出向してきた社員が出向元の会社の解雇事由に該当するような行動を取った場合,出向先は,出向元と出向先との間の出向……

転勤命令拒否者を即座に懲戒解雇するのではなく,まず譴責処分をして,それでも拒否した場合に懲戒解雇するという方法に問題点はありますか。

 懲戒処分における一事不再理原則違反になり,当該懲戒解雇処分が無効となるおそれがあります。
 一事不再理原則とは,一つの犯罪について二重に処罰することができないという原則です(憲法39条)。懲戒処分は労働者の行動に対する制裁の意味合いを持ちますので,刑事処分に関する一事不再理原則の趣旨が妥当します。そして,転勤命令拒否はその行為が継続する1個の行為ですから,その行為に対して譴責処分……

転勤命令に反して従前の職場で働こうとする社員がいます。転勤命令拒否者を懲戒処分する場合,どの処分を選択するべきでしょうか。

 転勤命令拒否者に対する懲戒処分としては,懲戒解雇若しくは諭旨解雇を選択せざるを得ません。これらの処分は労働契約の解消を意味するものであり,社員にとって非常に重い処分です。しかしながら,転勤して社員自身の私生活が大きく変化することよりも,当該社員が出勤停止,減給,譴責等の一時的な懲戒処分を受けつつも今まで働いてきた職場に残ることの方が不利益の程度は小さいと考えることもでき,そのように考えて正当な理……

試用期間中の解雇(ないし本採用拒否)について,中途採用者と新卒採用者でどのような点が異なりますか。

 試用期間中の中途採用者の解雇(ないし本採用拒否)は,新卒採用者の場合と同じく,解約権留保の趣旨,目的に照らして,客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当といえるかどうかが問題となります。 
 もっとも,新卒採用者と異なり,中途採用者はそれまでの経歴・職歴や職務経験に着目し即戦力となることを期待されていることが多いので,その期待に反するような業務遂行能力や勤務成績である等の事情があ……

残業代の消滅時効の起算点を教えて下さい。

 労基法は,賃金の消滅時効を2年と定めているのみで,これ以外には何も規定していないことから,消滅時効の起算点は,民法の一般原則によることになります。
 民法では,「消滅時効は,権利を行使することができる時から進行する。」と定められています。労働者が残業代を受け取る権利を行使できる時,つまり,一般的には給料日がこれに当たり,残業代の消滅時効は,給料日の翌日からカウントすることになりま……

賃金の時効について,民法では1年,労基法では2年と定められているようですが,どちらが適用されますか?

 賃金の時効について,民法174条では,「月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係る債権」は,1年間これを行使しないことにより時効により消滅すると規定されています。しかし,労基法は,労働者の賃金の消滅時効が1年では労働者保護に欠けるとして,賃金の消滅時効期間を2年とました(労基法115条)。
 労基法の規定は民法の規定の特別規程に該当しますので,この場合,労基法の時効が優……

60歳の定年後,再雇用を拒否したい社員がいる。

1 継続雇用を拒否できる場合
 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年法)は,平成24年の高年法改正により,65歳未満の定年の定めをしている事業主は,①定年の引き上げ,②継続雇用制度の導入(再雇用制度を含む),③定年の定めの廃止のいずれかの雇用確保措置を講じるよう義務付けました(高年法9条)。
 継続雇用(再雇用)の拒否は,解雇事由と同様の事情がある場合にできる……

有期契約の期間が満了したにも関わらず,雇い止めに納得しない社員がいる。

1 有期契約の期間満了時の原則と例外
 有期契約の期間が満了したら,原則,当該有期契約は終了します。
 しかし,例えば,契約が何度か更新されており,社員が契約更新されると期待することについて合理的な理由がある場合には,労働契約法19条の問題となり,例外的に,従前と同一の契約が成立したと判断される可能性があります。 2 労働契約法19条(雇止め法理)
……

会社の企業秘密を競業他社に売り渡している社員がいる。

1 労働者の秘密保持義務
 労働者は,労働契約に付随する義務として,会社の業務上の秘密を守る義務(秘密保持義務)を負うと解されています。
 労働契約上の秘密保持義務の対象となる「秘密」の範囲は,当事者間の合意に委ねられているところがあり,一般的には不正競争防止法にいう「営業秘密」よりも広いと解されていますが,必ずしも社員が職務上知り得た全ての情報が「秘密」になるわけ……

精神的疾患が疑われる社員がいる。

1 医師の診察を受けてもらう
(1) 自発的に受診するよう促す
 精神疾患の場合,身体的な疾患とは異なり,病気の自覚がなかったり,精神的疾患を理由に職場で不利な扱いを受けるではないかと考えたりして,医師の診療を受けないことがあります。
 医師の診療を拒む労働者には,まずは,上司が当該社員と面談して医師の診察を受けるよう助言したり,上司が当該社員の家族……

同僚に嫌がらせをしたり暴言をはいたりする社員がいる。

1 事実関係の把握
 まずは事実関係を把握することが重要です。
 その際には,嫌がらせ等をした日時,場所,内容を記録に残しておくこと,嫌がらせを受けた者だけでなく,周囲の者からも聴取すること,当該社員の言い分も聴取することが重要です。記録をする際は客観的な証拠を残しておくことが望ましいです。例えば,嫌がらせを受けた者が上司に対して,報告書やメールという形式をとり,日……

労働審判手続において解決を求めるのに適した紛争とはどういうものですか?

 労働審判手続は,原則として,3回以内の期日において審理を終結しなければならないものと定められています。したがって,労働審判手続において解決を求めるのに適した紛争とは,権利関係について争いがあり,争点について3回以内の期日で審理を行うことが可能と思われる事件であり,具体的には,争点が比較的単純な解雇事件,未払賃金(残業代等),退職金,解雇予告手当等の支払を求める事件などが考えられます。
……

労働審判手続の対象となる「個別労働関係民事紛争」とはどういうものですか?

 個別労働関係民事紛争とは,労働者個人と事業主との間の解雇や雇止めの効力に関する紛争,賃金や退職金に関する紛争,安全配慮義務違反による損害の賠償を求める紛争等をいいます。
 個別労働関係民事紛争に該当するためには,個々の労働者と事業主との間の紛争であることが必要であるから,労働組合と事業主との間に生じた集団的労使紛争は,労働審判手続の対象にはなりません。
 もっとも,不……

企画業務型裁量労働制を導入するにあたり,労使委員会で決議すべき対象労働者の同意及び厚生労働省で定める事項の具体的内容を教えてください。

1.対象労働者の同意等
 対象労働者の同意等の具体的内容は,対象労働者を対象業務に就かせたときは対象労働者の労働時間として算定される時間労働したものとみなすことについて対象労働者の同意を得なければならないこと及び当該同意をしなかった対象労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならないことです。
 「労働基準法第38条の4第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労……

無断欠勤が長期間続いている社員がいる。

1 連絡を試みる
 長期間,無断欠勤をしている社員がいる場合,まずは本人と連絡がとるために様々な手段を試みることが重要です。
 例えば,電話,メール,自宅への訪問,両親等保証人へ連絡し本人と連絡を取れるよう依頼することが考えられます。
 このような方法を試みたものの長期間連絡が取れず,退職として処理したい場合には,以下の2つ方法が考えられます。 2……

チェーン店の小売業,飲食業における管理監督者の範囲を教えてください。

 東京地裁の平成20年1月28日の日本マクドナルド事件の判決後,労基法41条1号に該当する管理監督者について,企業は対応に苦慮することになりました。これまで,日本企業の多くが管理職を管理監督者として取り扱う傾向がありましたが,大きな労働問題になったことはありませんでした。しかし,管理監督者の問題は,サービス残業問題も絡んでいることから,行政が厳しく対応するようになり,社会的にも重大な問題になりまし……

遅刻・欠勤をする社員がいる。

1 遅刻・欠勤に対する対応策
 所定労働日に所定労働時間の労務を提供することは労働者の義務ですので,遅刻・欠勤は,労働契約上の義務違反になります。
 会社側が執りうる手段は,注意・指導をすること,遅刻,欠勤した時間・日の賃金を差し引くこと,懲戒処分が考えられます。 2 注意・指導をすること
 当該社員と面談することによって,遅刻・欠勤の理由を確認し……

試用期間中の社員が経歴詐称していたことが判明した。

1 経歴詐称が判明した場合の対応
 経歴を詐称していたことが分かる証拠を確保した上で,本人から事情を聞くことが必要です。事情聴取の後,本人が自主的に退職する意思があるかどうかを確認し,退職意思がある場合には退職届を提出してもらい,退職の手続をとることになります。
 本人に退職する意思がない場合には,普通解雇(本採用拒否),懲戒解雇(諭旨解雇)を検討していくことになり……

企画業務型裁量労働制の就業規則規定例及び労使委員会の決議例を教えてください。

1.企画業務型裁量労働制の就業規則規定例 第○条 企業業務型裁量労働制の対象社員は,労使委員会の決議(決議)において定められ,本人の同意を得たものとする。
2 前項の規定に関わらず,会社が対象社員に企画業務型裁量労働制を適用することが適当でない事情があると認めた場合は,当該社員を対象社員から外し,企画業務型裁量労働制を適用しないことがある。
3 対象社員が所定……

内々定の取り消しを不服とする者からの請求は何が考えられますか。内定取消しの場合と違いはありますか?

1 内々定・内々定取消し
(1) 内々定とは
 内々定に法的な定義があるわけではありませんが,一般的に,内々定とは正式な内定を出す前に,学生に対して内定の見込みであることを口頭などで伝えている状態をいいます。あくまで正式な内定までの間,学生が他の企業に流れることを防ごうとする事実上の活動に過ぎず,内々定の段階では労働契約は成立していません。したがって,内々定を取消し……

残業代請求の訴訟において,付加金の制度があるようなのですが,それはどのような制度ですか?

 使用者が次の①~④の支払義務に違反した場合,裁判所は,労働者の請求により,使用者が支払うべき未払金のほか,これと同一額の付加金の支払を命ずることができます(労基法114条1項本文)。
 ①解雇予告手当(労基法20条)
 ②休業手当(労基法26条)
 ③時間外・休日・深夜労働の割増賃金(残業代)(労基法37条)
 ④年次有給休暇中の賃金(労基……

試用期間を定めて採用したものの,本採用拒否をしたい社員がいる。

1 本採用拒否
(1)新規採用の段階と本採用拒否の段階での違い
 新規採用の段階では当事者に契約締結の自由があることから,使用者は採用申込者との間で雇用契約を締結するか否かを自由に決めることができます。したがって,使用者が雇用契約を締結しなかったとしても,その理由や証拠は不要です。ただし,男女雇用機会均等法などに違反した場合には,不法行為責任が生じる可能性があります……

休職事由が消滅したか否かを判断する際の注意点を教えて下さい。

 休職事由の消滅とは,業務を十分に行うことができる健康状態が回復したことをいい,労働者が休職前の職務を支障なく行い得る程度に健康状態が回復している場合には,休職事由は消滅しているといえます。
 問題となるのは,職種が限定されていない社員について,休職前の職務を支障なく行い得る程度に健康状態が回復してはいないが,現実に配置可能性のある他の業務があり,その業務であれば職務を支障なく行い得……

私傷病休職期間中は,賃金を支払わなければならないのでしょうか?

 私傷病休職期間中の賃金の発生の有無は,就業規則等の定めによるのが通常ですから,就業規則等で私傷病休職期間中に賃金を支払うと定めている場合には,支払う必要があります。
 私傷病休職期間中の賃金の有無の定め方について,大企業では,有給期間と無給期間を併用している会社が多いですが,一般的には,私傷病休職は労働者側の事情による欠勤として無給とし,私傷病手当金等を活用することが多いです。……

労働基準監督署は,何を基準に精神疾患の労災を認定しているのですか?

 労働基準監督署は,平成23年12月23日に厚生労働省が定めた「心理的負荷による精神障害の認定基準」に沿って,うつ病などの精神疾患の労災認定を行っています。
 「心理的負荷による精神障害の認定基準」は,労災認定の要件として,次のものを挙げています。
①認定基準の対象となる精神障害を発病していること
②認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に……

労働者が10人未満であれば就業規則を作成する義務はないのですか。

 たしかに,労基法上,就業規則の作成義務,労基署への届出義務が課されているは,労働者が10人以上の場合ですので,労働者が10人未満であれば作成義務等は課されていません。
 しかし,労働者を懲戒解雇する場合や出向させる場合などの企業の人事権を有効に行使するためには,就業規則で根拠となる規定を定めておく必要があるため,労働者が10人未満の場合であっても,就業規則を作成することをお勧めしま……

就業規則を作成する際の留意点を教えてください。

 常時10人以上の労働者を使用する場合には,労基法89条各号が掲げる事項を定めた就業規則の作成義務,及び,これを労基署へ届け出る義務があります。  就業規則に必ず定めなければいけない事項(絶対的記載事項)は,次のとおりです。
・始業,終業時刻
・休憩時間
・休日,休暇
・賃金の決定,計算,支払の方法
・賃金の締め切り……

労働者を雇い入れる際に,どのような事項を通知する必要がありますか。

 使用者は,労基法施行規則5条1項1号から4号までに定められた労働条件について書面を交付する方法又は,これらが記載された就業規則を交付する方法で通知する必要があります(労基法15条1項後段,労基法施行規則5条2項,3項)。
 労基法施行規則5条1項1号から4号までに定められた労働条件とは,次のとおりです。
①労働契約期間
②更新の基準
……

付加金について教えて下さい。

 使用者が時間外・深夜・休日割増賃金,解雇予告手当,休業手当,有給休暇取得日の賃金の支払義務に違反した場合に,裁判所は,使用者が支払うべき未払金のほか,これと同額の付加金の支払を命じることができます。
 付加金の支払義務は労基法違反によって当然に発生するものではなく,裁判所の命令があって初めて発生します。
 例えば,未払の残業代(割増賃金)の額が300万円の場合,最大3……

労働組合から解雇後に加入した労働者に関する団交の申し入れがあった場合,会社は応じるべきですか。

 ここでは,解雇後に組合に加入した労働者の労働条件等に関する事項が組合員である労働者の労働条件その他の待遇に該当し,義務的団交事項となるかが問題となります。
 既に解雇しているのであるから会社の労働者ではないようにも思われますが,無効な解雇をしている場合は,今なお労働者の地位にあることになりますので,潜在的に労働者であるといえますし,団体交渉の申し入れがなされているということは解雇の……

就業規則に定年の定めがない場合,60歳で辞めてもらうにはどうしたら良いですか。

 ①労働者と個別に定年の合意をすること(労契法8条),②労働者と就業規則に定年制を定めることの同意を得ること(労契法9条),③労働者の同意なく就業規則に定年制を定めること(労契法10条)が考えられます。
 ③の場合は変更後の就業規則を周知させ,かつ,就業規則の変更が合理的なものである必要があります。合理性の有無は,労働者の受ける不利益の程度,変更後の就業規則の内容の相当性,労働条件の……

解雇が無効の場合,解雇期間中,労働者が当社で働いていなくても賃金を支払う必要がありますか。解雇期間中,労働者が他社で働いていた場合でも同じですか。

 解雇が無効の場合,原則として解雇期間中の賃金を支払わなければなりません。労働者が貴社では働けなかった責任は,無効な解雇をした会社側にあるとされるからです。
 ただし,解雇期間中に労働者が他社で収入を得ていた(中間収入)場合は,特段の事情を除いて,支払うべき賃金から40%まで控除することができます。ただし,控除しうる中間収入は,その発生期間が賃金の支給対象期間と時期的に対応しているこ……

職務限定の合意がある労働者を配転することはできますか。

 当該労働者の合意が得られた場合には配転することできます。合意が得られなかった場合には原則として配転することはできませんが,例外的に配転をする正当な理由があるとの特段の事情が認められる場合には,配転することができます。
 正当な理由があるかどうかは①採用経緯と当該職種の内容,②職種変更の必要性及びその程度が高度であること,③変更後の業務内容の相当性,④他職種への配転による不利益に対す……

労働者が「解雇をされても異議を申し出ない」旨の書面を提出している場合,懲戒解雇は有効ですよね?

 労働者が「懲戒解雇をされても異議を申し出ない」旨の書面を提出したとしても,これは懲戒解雇を有効とする要素にはならないと考えます。
 裁判例でも,情報漏洩を疑われていた労働者が,「解雇されても異議がない」旨の書面を提出していた事案について,「(当該書面は)被告会社から懲戒解雇に至らない寛大な処置を受けられるようにと期待したものであって,真意にでたものとは認めがたい」とし,懲戒解雇を無……

退職勧奨と希望退職者の募集の共通点と相違点を教えてください。

 退職勧奨は,労働者の自発的な退職意思の形成を促そうとする事実行為をいいます。
 希望退職者の募集は,多くの場合,使用者が上積み条件を提示して,労働者の自発的な退職の意思表示を待つことをいいます。
 両者の共通点は労働者の意思に基づくもの(合意退職)である点にあります。
 両者の相違点は,退職勧奨が会社から労働者に働きかけるのに対して,希望退職者の募集は労……

試用期間中であれば自由に本採用拒否できますか。

 試用期間を設けていたとしても,使用者と労働者の間では,労働契約が成立している以上,その契約の一方的解消は解雇の一形態ですから,本採用拒否の有効性は,解雇権濫用法理に基づいて検討することになりますので,自由に本採用拒否することはできません。
 本採用拒否は,通常の解雇よりも広い範囲で行使することが可能とされていますが,必ずしも通常の解雇よりも緩やかに判断されているわけではありません。……

懲戒解雇する場合には,退職金を支給しなくても良いですか。

 有効に懲戒解雇できるからといって,当然に退職金を不支給にできるわけではありません。
 退職金を不支給とするためには,就業規則に退職金を不支給とする規定を定めることが必要ですし,規定があったとしても退職金を不支給とするためには,労働者のそれまでの勤続の功績を抹消する程の著しく信義に反する行為があったと認められる必要があります。
 裁判例には,鉄道会社の職員が電車内で3度……

私傷病休職と業務上の傷病による休職の違いを教えてください。

 私傷病休職は,業務外の傷病による欠勤又は不完全な労務提供が一定期間に及んだときに行われる休職措置ですので,業務上の傷病による休職とは異なる制度です。
 私傷病休職の場合,休職期間満了時までに復職できなければ自動退職となるのが一般的です。
 これに対し,業務上の傷病による休職の場合は,その休業中及び復帰後30日間は,解雇が原則として制限され,また,労災保険の療養補償・休……

懲戒解雇するかを検討するために一旦出勤停止の懲戒処分をした上で,懲戒解雇することはできますか?

 一つの非違行為に対して2回懲戒処分することはできませんので,懲戒解雇するかを検討するために一旦出勤停止の懲戒処分をした上で,懲戒解雇することはできません。
 しかし,懲戒処分としての出勤停止とは別に,業務命令として出勤停止や自宅待機を命じることができます。これは処分するかの調査または審議決定をするまでの間,就業を禁止する前置措置としての意味を持ちます。
 もっとも,業……

裁判で懲戒解雇の理由に懲戒解雇当時に認識していなかった非違行為を追加して主張できますか。

 懲戒処分の有効性は懲戒処分時に理由とした具体的な非違行為について判断すべきものですので,特段の事情のない限り,使用者が懲戒解雇時には認識していなかった事実を主張することはできません。
 懲戒処分の理由とされた非違行為と密接に関連した同種の非違行為等の場合には「特段の事情」に該当するので主張できます。
 たとえば,一連の横領行為の一部のみの調査が先行し,これのみで労働者……

懲戒処分の有効要件を教えてください。

 懲戒処分の有効要件は,①就業規則に懲戒処分の規定を定めこれを労働者に周知していることを前提に懲戒処分事由に該当すること,②処分が相当であること,③手続の相当であることです。  ①の懲戒事由には経歴詐称,業務命令違反,職場規律違反,無断欠勤,会社物品の私用,私生活上の非行,二重就職・兼業規制などがあります。 懲戒処分時に使用者が認識していなかった非違行為は,原則として,当該懲戒処分が有効であるこ……

整理解雇する際に検討すべき要素を教えてください。

 整理解雇は,企業が経営上,人員削減するために行う解雇です。整理解雇は労働者に帰責事由がない点が特徴ですので,労働者側に帰責事由がある場合の普通解雇よりも厳しく有効性が判断されることになります。  整理解雇の有効性については,次の4つの要素を検討すべきことになります。
① 人員整理の必要性
 企業経営上の必要性に基づいていること,またはやむを得ない措置と認められること……

能力不足を理由に解雇したい場合,どのような点に着目して検討すればいいですか。

 勤務成績・態度が不良で,職務を行う能力や適格性を欠いているという場合,
①使用者と当該労働者との労働契約上,その労働者に要求される職務の能力・勤務態度がどの程度のものか。
②勤務成績,勤務態度の不良はどの程度か。
③指導による改善の余地はあるのか。
④他の労働者のとの取扱いに不均衡はないか
という点に着目して検討していくことに……

就業規則を定めていなくても懲戒解雇できますか。

 懲戒解雇といった懲戒処分をするためには就業規則に懲戒事由を定め,かつ,これを周知していなければいけませんので,常時10人以上を雇用していなく,労基法上,就業規則の作成・届出義務が課せられていない会社であっても,就業規則に懲戒事由を定めていなければ,懲戒処分はできません。
 なお,普通解雇は就業規則に解雇事由を定めていなくても可能ですが,当該解雇に客観的合理的な理由があり,社会通念上……

解雇が有効となるかの判断要素を教えてください。

 使用者が労働者を解雇するためには,解雇事由に客観的に合理的な理由があり,社会通念上相当であると認められなければなりません。
 解雇権濫用となるか否かの判断は,以下の要素が挙げられます。
①労働者の服務規律違反や能力不足の内容・程度,改善可能性
 ・解雇事由が労働契約の継続を期待し難いほど重大なものか
 ・労働契約で求められた能力,資質との乖……

解雇が個別の法令によって制限されるのは,どのような場合ですか?

 法令により解雇が制限されているのは,次のとおりです。
①業務上災害による療養中・産前産後の休業中の解雇の禁止
②労働組合の組合員であること,労働組合への加入・結成,正当な組合活動を行ったことなどを理由とする解雇の禁止
③公益通報したことを理由とする解雇の禁止
④労働基準監督署などに対して,労働基準法違反の事実について申告や通報等を行ったこと……

雇入れから14日以内の試用期間中の労働者は解雇予告義務等の適用がないのですから,自由に解雇できますよね。

 たしかに,試用期間中の労働者で雇い入れから14日以内であれば解雇予告義務及び解雇予告手当支払義務は生じません。
 しかし,この規定は,あくまでも解雇予告義務及び解雇予告手当支払義務が生じないというだけで,解雇権濫用法理(客観的に合理的な理由を有し社会通念上相当であること)及び個別法令による解雇制限,当事者自治による規制(労働協約,就業規則等)が適用されなくなるわけではありませんので……

解雇予告制度とその例外について教えてください。

1 解雇予告制度
 期間の定めのない労働契約の場合,労働者からは2週間の予告期間を置けばいつでも解約できますが,使用者からは労働者を解雇しようとする場合,少なくとも30日前に予告をしなければならず,予告しない場合には30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません(解雇予告義務等)。 2 解雇予告制度の例外
 ①日々雇い入れられる労働者,②2か月以内の期間を定めて使用……

一般的に,労働契約が終了する原因にはどのようなものがありますか?

 労働契約が終了する原因には以下のものがあります。
① 解雇
 (1) 普通解雇
  ア 労働者側の事情に基づく解雇
  イ 整理解雇
  ウ 試用期間解雇
 (2) 懲戒解雇
② 辞職
③ 合意退職
④ 雇止め
⑤ 休職期間の満了による自動退職続きを見る

退職勧奨の際に「本来であれば懲戒解雇だが,退職願を提出してもらえれば自主退職として処理する」と言うことに問題はありますか。

 懲戒解雇事由に該当していることが客観的証拠から認定できるのであれば問題ありませんが,客観的証拠がない場合は懲戒解雇や解雇といった言葉を使うべきではありません。
 懲戒解雇事由がないにもかかわらず,あるかのように退職勧奨をして退職の意思表示をさせた場合には,労働者が当該意思表示は取消・無効であると争い,労働者であることの地位確認及び賃金請求をしてくる可能性があります。 弁護士法人四……

就業規則には,懲戒処分として行う出勤停止の日数として,どれくらいの日数を定めておくのがお勧めですか。

 国家公務員の懲戒について規定している「人事院規則一二―〇(職員の懲戒)」は,第2条において,「停職の期間は、一日以上一年以下とする。」と定めています。
 これを参考に考えると,出勤停止の日数としては,「1日以上1年以下」が穏当と思われます。  出勤停止の日数として,最長7日程度までの規定となっている就業規則をよく見かけます。
 しかし,それでは,出勤停止よりも重い懲戒処……

派遣元と派遣先との間の派遣契約が中途解約された場合,派遣元は直ちに労働者を解雇できますか?

 派遣元と派遣先との間の派遣契約と,派遣元と労働者との間の雇用契約は別個の契約であるから,派遣契約が中途解約されても,派遣元と労働者との雇用契約は継続していますので,派遣元は,直ちに労働者を解雇することはできません。
 有期雇用契約の労働者を契約期間途中で解雇する場合に必要な「やむを得ない事由」は,期間の定めのない労働者の解雇に必要な客観的合理的理由及び社会通念上の相当性よりも厳格……

私傷病休職の休職事由が消滅したかどうかは,どのように判断すれば良いですか。

 私傷病休職の休職事由が消滅したかどうかは,当該労働者に職務限定の特約の有無を前提として,原則として従前の職務を通常の程度に行える健康状態に回復したかどうかを検討し,例外的に他の現実に配置可能な業務の有無を検討することによって判断します。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
弁護士 飯島 潤
平成29年9月25日改訂
PDF……

採用面接の際,「うちの会社は年休がないけど,それでもいいですか?」との質問に対し,「年休なしでも構いません。ぜひ雇って下さい。お願いします。」と回答したこともあって採用した社員が,年休の取得を求めてきました。労基法上,年休取得の要件を満たしている場合は,年休取得に応じざるを得ないのでしょうか。

 労基法に定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は,その部分については無効となり,無効となった部分は,労基法で定める基準によることになります(労基法13条)。労基法39条で定められている年次有給休暇を取得できない旨の合意は無効となり,労基法39条の年休取得の要件を満たしている場合は,貴社は年休取得に応じざるを得ないことになります。仮に,年休がない旨,「書面」で合意され,社員の署名押印があ……

退職間近で業務の引継ぎをしてもらわなければ困る社員が退職日までの全ての所定労働日について年休取得申請をしてきた場合,年休取得を拒んで業務の引継ぎをさせることはできますか。

  年休取得に使用者の承認は不要であり,労働者がその有する休暇日数の範囲内で,具体的な休暇の始期と終期を特定して時季指定をしたときは,適法な時季変更権の行使がない限り,年次有給休暇が成立し,当該労働日における就労義務が消滅します。
 使用者が,社員の年休取得を拒むことができるというためには,時季変更権(労基法39条5項)を行使できる場面でなければなりませんが,時季変更権の行使は,「……

社内の多数組合を脱退して社外の合同労組に加入した社員を,ユニオン・ショップ協定に基づいて解雇することはできますか。

 ユニオン・ショップ協定は,労働者が労働組合の組合員たる資格を取得せず又はこれを失った場合に,使用者に当該労働者との雇用関係を終了させることにより間接的に労働組合の組織の拡大強化を図ろうとするものですが,他方,労働者には,自らの団結権を行使するため労働組合を選択する自由があります。また,ユニオン・ショップ協定を締結している労働組合(締結組合)の団結権と同様,同協定を締結していない他の労働組合の……

不当労働行為(労組法7条)の種類には,どのようなものがありますか。

 不当労働行為(労組法7条)の種類には,以下のようなものがあります。
 ① 組合員であることを理由とする解雇その他の不利益取扱い(1号)
 ② 正当な理由のない団体交渉の拒否(2号)
 ③ 労働組合の運営等に対する支配介入及び経費援助(3号)
 ④ 労働委員会への申立て等を理由とする不利益取扱い(4号)

労働事件における仮処分の概要を教えて下さい。

 仮処分とは,訴訟における本案判決を待てない保全の必要性がある事案において,被保全権利の疎明がある場合に認められる裁判所の暫定的な処分をいいます。仮処分が認められるためには,
 ① 被保全権利の存在
 ② 保全の必要性
が必要となります。
 労働事件における仮処分の代表例は,解雇事案における賃金仮払仮処分です。これが認められると,訴訟で決着がついていな……

労働審判の第1回期日の出頭を弁護士に任せ,会社関係者は出頭しないことにすることはできますか。

 労働審判の第1回期日おける審理では,事実関係について説明する必要がありますが,事情をよく知る会社関係者が事実関係を説明しないことにはリアリティーがありません。例えば,解雇した際の言葉のやり取り等の重要な事実関係を,解雇の現場にいたわけでもない代理人弁護士が説明したのでは,今ひとつ説得力がないということは,ご理解いただけることと思います。
 労働審判の第1回期日の出頭を代理人弁護士……

労働審判の答弁書には「答弁を基礎付ける具体的な事実」(労働審判規則16条1項3号)の記載が求められていますが,この項目には具体的に何を書けばいいのですか。

 労働審判の答弁書の「答弁を基礎付ける具体的な事実」(労働審判規則16条1項3号)の項目には,解雇,弁済等の抗弁事実を記載することになります(『労働事件審理ノート』)。

労働審判手続の特徴として,迅速な解決が予定されていることが重要と考えているのはなぜですか。

 労働者の大部分は,解雇されたことなどを不満に思ったとしても,自分を解雇するような会社に本気で戻りたいとは思わないことが多く,従来は,転職活動や転職後の仕事の支障になりかねないことなどを懸念して,余程の事情がなければ,時間のかかる訴訟手続を利用してまで解雇の効力を争うようなことは多くありませんでした。
 しかし,労働審判手続は,原則として3回以内の期日で審理を終結させることが予定され……

紛争調整委員会が労働局長の委任を受けて行うあっせんには,どのような特徴がありますか。

 東京労働局によると,紛争調整委員会が労働局長の委任を受けて行うあっせんには,以下のような特徴があるとされています。
 ① 労働問題に関するあらゆる分野の紛争(募集・採用に関するものを除く。)がその対象となります。
  (例)解雇,雇止め,配置転換・出向,降格,労働条件の不利益変更等労働条件に関する紛争,いじめ・嫌がらせ等,職場の環境に関する紛争,労働契約の承継,同業他社へ……

③合意退職の錯誤無効・強迫取消等を理由とした地位確認請求には,どのようなものがありますか。

 懲戒解雇できるような事案でないにもかかわらず,懲戒解雇すると脅されるなどのパワハラにより退職届を提出させられたなどとして,合意退職の効力が争われることがあります。

②解雇,休職期間満了退職無効を理由とした地位確認請求の内容はどのようなものですか。

 精神疾患発症の原因が職場のパワハラ・セクハラの場合は,療養のための休業期間及びその後30日間は,原則として解雇したり,休職期間満了退職扱いにしたりすることができません(労基法19条,同条類推)。 (解雇制限)
労基法19条 使用者は,労働者が業務上負傷し,又は疾病にかかり療養のため休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30……

パワハラ・セクハラ紛争の類型には,どのようなものがありますか。

 パワハラ・セクハラ紛争の類型には,以下のようなものがあります。
 ① 安全配慮義務違反や不法行為(使用者)責任を理由とした損害賠償請求
 ② 解雇,休職期間満了退職無効を理由とした地位確認請求
 ③ 合意退職の錯誤無効・強迫取消等を理由とした地位確認請求
 ④ 労災認定の問題

パワハラ・セクハラを巡る紛争の実態は,どのようなものですか。

 パワハラ・セクハラを巡る紛争の実態には,以下のような傾向があります。
 ① パワハラ・セクハラを不満に思い,公的機関などに相談している労働者の数は多いが,パワハラ・セクハラを理由とした損害賠償請求がメインの訴訟,労働審判はあまり多くなく,解雇無効を理由とした地位確認請求,残業代請求等に付随して,損害賠償請求がなされることが多い。
 ② 解雇無効を理由とした地位確認請求,残……

残業代(割増賃金)込みの賃金ということで社員全員が納得しており,誰からも文句が出ていないのですから,別途残業代(割増賃金)を支払わなくてもいいのではないですか。

 残業代(割増賃金)込みで月給30万円とか,日当1万6000円と約束しており,それで文句が全く出ていないのだから,残業代(割増賃金)に相当する金額を特定していなくても,未払残業代(割増賃金)の請求を受けるはずはない,少なくともうちは大丈夫,と思い込んでいる会社経営者がいらっしゃいますが,甘い考えと言わざるを得ません。現実には,解雇などによる退職を契機に,未払残業代(割増賃金)を請求するたくさん……

平成20年9月9日基発第0909001号『多店舗展開する小売業,飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について』は,「職務内容,責任と権限」についての判断要素に関し,どのように述べていますか。

 平成20年9月9日基発第0909001号『多店舗展開する小売業,飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について』は,「職務内容,責任と権限」についての判断要素に関し,以下のように述べています。
 店舗に所属する労働者に係る採用,解雇,人事考課及び労働時間の管理は,店舗における労務管理に関する重要な職務であることから,これらの「職務内容,責任と権限」については,次のように判……

判決で付加金(労基法114条)の支払が命じられる可能性があるのは,どのような場合ですか。

 使用者が,
 ① 解雇予告手当(労基法20条)
 ② 休業手当(労基法26条)
 ③ 残業代(割増賃金)(労基法37条)
 ④ 年次有給休暇取得時の賃金(労基法39条7項)
のいずれかの支払を怠り,労働者から訴訟を提起された場合に,裁判所はこれらの未払金に加え,これと同一額の付加金の支払を命じることができるとされています(労基法11……

不採用通知に抗議する。

1 採用の自由
 憲法22条,29条は,財産権の行使,営業その他広く経済活動の自由を基本的人権として保障しており,使用者は経済活動の一環として契約締結の自由を有していますので,自己の営業のために労働者を雇用するにあたり,いかなる者を雇い入れるか,いかなる条件でこれを雇うかについて,法律その他による特別の制限がない限り,原則として自由に決定することができます(三菱樹脂事件最高裁昭和48年……

自律的な判断ができず指示された仕事しかしない。

1 「指示待ち人間」とは
 今から30年以上前の1981年にも,言われたことはこなすが言われるまでは何もしない新入社員を表現する造語として,「指示待ち世代」「指示待ち族」といった言葉が流行したことがあります。当時から30年以上経った現在においても,命令したことしかしない,あるいはしようとしない若者の対応に頭を悩ませる管理職は多く,そういった若者は「指示待ち人間」等と呼ばれることがあるよ……

解雇していないのに出社しなくなった社員が解雇されたと主張する。

1 退職届を提出させることの重要性
 社員が口頭で会社を辞めると言って出て行ってしまったような場合,退職届等の客観的証拠がないと口頭での合意退職が成立したと会社が主張しても認められず,解雇したと認定されたり,合意退職も成立しておらず解雇もされていないから労働契約は存続していると認定されたりすることがあります。
 退職の申出があった場合は口頭で退職を承諾するだけでなく,退職届……

飲み会で部下に飲酒を強要する。

1 飲酒強要の問題点
 上司と部下が酒食を共にすることは,普段の仕事とは違った打ち解けた雰囲気での親密なコミュニケーションを促し,円滑な人間関係の形成に資する面がありますが,体質上,お酒を全く飲めない人もいますし,お酒が弱いだけである程度は飲める人であっても,体調や気分次第では飲酒したくないこともあり,一緒にお酒を飲みさえすれば人間関係が良くなるというものではありません。お酒の最低限の……

部下に過大なノルマを課したり仕事を干したりする。

1 過大なノルマの問題点
 部下に対し一定のノルマを課すこと自体は合理的なことであり,上司にしてみれば,ノルマを達成できるだけの高い能力とやる気のある社員だけ残ればいいという発想なのかもしれません。  しかし,とても達成できないような過大なノルマを部下に課すことに経営上の合理性はなく,部下のモチベーションが上がらず営業成績を高めることができない結果となったり,せっかく費用をかけて採用し……

ソーシャルメディアに問題映像を投稿する。

1 ソーシャルメディアへの問題映像の投稿を防止するための事前対応
 ソーシャルメディア上の情報は拡散しやすいため,元の問題映像の投稿を削除しても,ソーシャルメディア上の情報を完全に消去することはできなくなることがあります。ソーシャルメディアには文字だけでなく映像を公開することができるものも多く,映像が極めて強いインパクトをもたらすことがあります。強いインパクトをもたらした映像に関し,後か……

ホウレンソウ(報・連・相)ができない。

1 ホウレンソウ(報・連・相)の重要性
 いわゆるホウレンソウ(報・連・相)は,「報告・連絡・相談」の略語です。一般的には,部下が仕事を遂行する上で上司との間で取る必要のあるコミュニケーションの手段を表す言葉として,ホウレンソウ(報・連・相)が用いられることが多いようです。
 報・連・相が適切に行われれば,仕事の進捗状況や会社の問題点についての情報を共有することができるよう……

退職勧奨しても退職しない。

 退職勧奨の法的性格は,通常は,使用者が労働者に対し合意退職の申込みを促す行為(申込みの誘引)と評価することができます。
 労働者が退職勧奨に応じて退職を申し込み,使用者が労働者の退職を承諾した時点で退職の合意が成立することになります。 退職勧奨を行うにあたっては,担当者の選定が極めて重要となります。
 退職勧奨が紛争の契機となることが多いこともあり,相手の気持ちを理解する能力……

管理職なのに部下を管理できない。

 まずは,自分で仕事をこなす能力と,部下を管理する能力は,別の能力であることをよく理解した上で,人員の配置を行うことが重要です。
 自分で仕事をこなす能力が高い社員であっても,部下を管理する能力は低いということは,珍しくありません。 部下を管理できない理由が,単なる経験不足によるものである場合は,部下の管理方法について指導しながら経験を積ませたり,研修を受けさせたりして教育することにより……

ソーシャルメディアに社内情報を書き込む。

 ソーシャルメディアへの不適切な社内情報の書き込みを防止するための事前対応としては,ソーシャルメディアの利用に関するガイドラインを作成し,ガイドラインの遵守義務を就業規則で定めて周知させ,繰り返しガイドライン遵守の重要性を伝えること等が考えられます。 就業時間内は,社員は職務専念義務を負っているため,書き込みの内容にかかわらず,就業時間内にソーシャルメディアへの書き込みを行わないよう命じることがで……

解雇した社員が合同労組に加入し,団体交渉を求めてきたり,会社オフィス前や社長自宅前で街宣活動をしたりする。

 解雇された社員であっても,解雇そのものまたはそれに関連する退職条件等が団体交渉の対象となっている場合には,労働組合法第7条第2号の「雇用する労働者」に含まれるため,解雇された社員が加入した労働組合からの団体交渉を拒絶した場合,他の要件を満たせば不当労働行為となります。 多数組合との間でユニオン・ショップ協定(雇われた以上は特定の組合に加入せねばならず,加入しないときは使用者においてこれを解雇する……

トラブルの多い社員が定年退職後の再雇用を求めてくる。

1 高年齢者雇用確保措置の概要  高年法9条1項は,65歳未満の定年の定めをしている事業主に対し,その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため,
 ① 定年の引上げ
 ② 継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは,当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度)の導入
 ③ 定年の定めの廃止
のいずれ……

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