ワード:「残業代」

労働者に「課長」「店長」等の肩書きを付ければ,残業代を支払わなくてもいいのですか。

 通達上,管理監督者にあたるか否かは,資格及び職位の名称にとらわれず,実態に即して判断するべきとされています(昭和63年3月14日・基発第150号)。
 管理監督者にあたるか否かの具体的な判断要素は,次のとおりです。
① 労働時間,休憩,休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有しているか
② 労働時間,休憩,休日等に関する規……

始業時刻よりも1時間早く出社した時間は労働時間であると主張して1日1時間の残業代を2年分請求してきた元社員がいる。

 労基法上の労働時間とは,労働者が使用者の明示的または黙示的な指揮命令下に置かれている時間をいい,客観的に定まるものです。
 当該時間が労基法上の労働時間と評価されるかのポイントは,始業時刻前に出社して業務を行う必要性があったのかどうか,使用者が始業時刻前に出社するよう明示または黙示に指揮命令していたのかどうかにあります。
 この1時間が労働時間であると認定された場……

所定労働時間後の研修は労働時間であると主張して,残業代を請求する社員がいる。

 労基法上の労働時間とは,労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい,客観的に定まるものです。
 したがって,客観的にみて労働者が使用者の指揮命令下に置かれた状態で研修をしている場合には当該時間は労働時間になり,法定労働時間を超えている場合は残業代を支払う必要があります。
 研修をした時間が労働時間に該当するかについて,平成29年1月20日付けで厚生労働省が……

定額残業代の最近の裁判例を教えてください。

1.定額残業代(固定残業代)が適法とされるためには
 定額残業代制が適法とされるためには,通常賃金部分と残業代部分の明確区分性が必要と考えられますが,具体的にどの程度明確であればよいのかという点については,考え方が分かれています。また,最近の裁判例では,後述のとおり,36協定の延長限度額に関する基準において上限とされる月45時間を大幅に超えた時間の残業に対する手当であることを理由とし……

定額残業代が適法となる要件について教えてください。

 「定額残業代制」とは,法律に明文規定はありませんが,法定時間外労働,法定休日労働,深夜労働に対する割増賃金を,あらかじめ定額の手当等の名目で支給する制度で,「固定残業代」,「みなし割増賃金」ということもあります。 労働基準法上,使用者が義務付けられているのは,法定時間外労働・法定休日労働・深夜労働に対し,一定額以上の割増賃金を支払うことなので,一定額に相当する割増賃金が支払われる限りは,法所定の……

労基法は残業代の割増率についてどのように定めていますか?

 労基法の定める割増率は,次のとおりです。この割増率は労基法が定める最低基準ですから,労働契約や就業規則等でこれを超える割増率を定めている場合には,その定めに従った割増賃金(残業代)を支払わなければなりません。 1 時間外労働時間①1か月の合計が60時間以下の時間:25%以上②1か月の合計が60時間超の時間:50%以上 ②は,当分の間,中小事業主は適用されません。中小企業とは,資本金の額……

残業代(割増賃金)の支払の対象となる労働時間とはどのような時間ですか?

 使用者は,労働者に法定時間外労働時間,法定休日労働時間,深夜労働時間に働かせた場合には,残業代(割増賃金)を支払わなければなりません(労基法37条)。 1.法定時間外労働時間
①法定時間外労働時間
 1日8時間又は1週40時間(映画制作事業を除く映画・演劇業,保健衛生業,接客娯楽業の事業であって常時10人未満の労働者を使用する場合は1週44時間)を超える時間外労働は……

だらだらと不必要な残業をする社員がいる。

1 不必要な残業をしているかの確認
 まずは,当該社員の業務量を調べ,不必要な残業をしているのか,それとも業務量が多いために長時間労働せざるを得ない事情があるのかを確認します。
 社員が不必要な残業をしているにもかかわらずこれを使用者が放置していると,仮に当該社員が過重労働で健康を害したとき又は当該社員が残業代請求をしてきた際に,不必要な残業時間も労働時間と認定され……

労働審判手続において解決を求めるのに適した紛争とはどういうものですか?

 労働審判手続は,原則として,3回以内の期日において審理を終結しなければならないものと定められています。したがって,労働審判手続において解決を求めるのに適した紛争とは,権利関係について争いがあり,争点について3回以内の期日で審理を行うことが可能と思われる事件であり,具体的には,争点が比較的単純な解雇事件,未払賃金(残業代等),退職金,解雇予告手当等の支払を求める事件などが考えられます。
……

企画業務型裁量労働制の概要を教えてください。

 企画業務型裁量労働制とは,賃金,労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し,事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする労使委員会が設置された事業場において,当該労使委員会がその委員の5分の4以上の多数による議決により,事業の運営に関する事項についての企画,立案,調査及び分析の業務であって,当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に当該業務……

チェーン店の小売業,飲食業における管理監督者の範囲を教えてください。

 東京地裁の平成20年1月28日の日本マクドナルド事件の判決後,労基法41条1号に該当する管理監督者について,企業は対応に苦慮することになりました。これまで,日本企業の多くが管理職を管理監督者として取り扱う傾向がありましたが,大きな労働問題になったことはありませんでした。しかし,管理監督者の問題は,サービス残業問題も絡んでいることから,行政が厳しく対応するようになり,社会的にも重大な問題になりまし……

労働時間規制の適用が除外される「監視または断続的労働に従事する者」とはどのような労働者ですか?

 労基法では,法定労働時間や休憩・休日に関し,最低限の基準が定められており,それを超えて働かせた場合,割増賃金(残業代)を支払わなければならないとされています。その一方で,労基法41条では,次の3種類の労働者について,法定労働時間や休憩・休日の規制の適用除外を認めています。
① 農業,畜産業,養蚕業,水産業に従事する者(林業は含まれません)
② 管理監督者の地位にある者……

サービス残業について厚生労働省が策定した労働時間適正把握の基準とはどういうものですか?

 サービス残業は,時間外労働(法内残業を含む)を行っているにも関わらずそれを労働時間として取り扱わず,その結果として賃金が支払われていないものをいいます。
 たとえば,36協定の締結・届出をしていないものや,36協定の締結・届出はしているがその36協定に定める時間を超えた時間外労働を行っているものもありますし,労働時間の管理を全くしていないものさえあります。
 近年のサ……

時給制,日給制,週給制,月給制,請負給制における割増賃金(残業代)算定のための1時間あたりの賃金単価の計算式を教えてください。

① 時給制
 その1時間あたりの金額 ②日給制
 日給÷1日の所定労働時間数(日によって所定労働時間数が異なるときは1週間における1日平均所定労働時間数) ③ 週給制
 週給÷週の所定労働時間数(週によって所定労働時間数が異なるときは4週間における1週平均所定労働時間数) ④ 月給制
 月給÷月の所定労働時間数(月によって所定労働時間数……

労働時間の管理について労基法では何も定めてられていないにも関わらず,なぜ使用者が労働時間を管理しなければいけないのですか?

 使用者には,法定の労働時間を遵守する義務があり,時間外労働・休日労働を行わせる場合には,36協定を締結し,所轄労働基準監督署長に提出しなければならず,時間外労働・休日労働・深夜労働をさせた場合には,使用者は,割増賃金(残業代)を支払わなければなりません。
 さらに,労基法108条では,使用者は「各事業場ごとに賃金台帳を調製し,賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他命令で定める事……

実労働時間主義とはどういうものですか?

 実労働時間主義とは,時間外労働の取扱いの基準を,実際の労働時間に置く考え方のことをいいます。
 労基法は,1週40時間,1日8時間の法定労働時間制を定めていますが,これは,労働者が実際に使用者に労務を提供した時間である「実労働時間」を意味しています。
 したがって,始業時刻に遅刻したり,早退したりした場合には,その時間は労働時間と評価できないことになります。たとえば始……

事業場外労働のみなし労働時間制を適用するにあたっての注意点を教えてください。

 事業場外労働のみなし労働時間制を適用したとしても,時間外・休日・深夜に労働させれば,時間外・休日・深夜割増賃金(残業代)の支払が必要なことに変わりありません。
 所定労働時間内に事業場外労働が終わらない場合は,当該業務の遂行に通常必要とされる時間(例えば10時間といった時間)労働したものとみなされ,使用者には,みなされた労働時間に基づき算定された時間外割増賃金(残業代)を支払う義務……

定額残業制とはどのような制度ですか?

 定額残業制とは,一定の金額により残業代(時間外労働割増賃金,休日労働割増賃金,深夜労働割増賃金)を支払うことをいいます。定額残業制は固定残業代制とも呼ばれ,実際の時間外労働の有無を問わずに支払うのが一般的です。
 定額残業制が認められるためには,①賃金の中に割増賃金(残業代)に代わる定額残業代が含まれていることを,合意書または就業規則等により明確にしておくこと,②定額残業代と他の賃……

労働時間規制の適用除外について,どのようなことが問題になりやすいですか?

 労働基準法41条では,次の3種類の労働者について,法定労働時間や休憩・休日の規制の適用除外を認めています。
①農業,畜産業,養蚕業,水産業に従事する者(林業は含まれません)
②管理監督者の地位にある者または機密の事務を取り扱う者
③監視または断続的労働に従事する者で,使用者が行政官庁の許可を受けた者
 ところが,②の管理監督者の意味を誤解し……

労基法上の労働時間規制の適用除外者とは,どのような社員のことをいうのですか?

1.労働時間規制の適用除外者とは
 労基法では,法定労働時間や休憩・休日に関し,最低限の基準が定められており,それを超えて働かせた場合,割増賃金(残業代)を支払わなければならないとされています。その一方で,労基法41条では,次の3種類の労働者について,法定労働時間や休憩・休日の規制の適用除外を認めています。
①農業,畜産業,養蚕業,水産業に従事する者(林業は含まれません……

事業場外労働のみなし労働時間制とはどういうものですか?

 事業場外労働のみなし労働時間制(労基法38条の2)とは,常態的な事業場外労働や出張などの臨時的な事業場外労働に労働者が従事する場合,使用者の具体的な指揮命令が及ばず,労働時間の把握が困難となることが多いため,所定労働時間または当該業務の遂行に必要とされる時間労働したものとみなす制度です。なお,事業場外労働のみなし労働時間制は,労働時間をみなす制度であるため,時間外・休日・深夜に労働させた場合は,……

専門業務型裁量労働制の就業規則規定例及び労使協定例を教えてください。

1.専門業務型裁量労働制の就業規則規定例
第○条 労使協定において,専門業務型裁量労働制の対象とされた業務に就いている社員については,専門型裁量労働制を適用する。
2 専門業務型裁量労働制の適用社員が所定労働日に対象業務に従事した場合は,労使協定で定める時間労働したものとみなす。
3 専門業務型裁量労働制の適用社員には,賃金規程○条のとおり,○……

裁量労働のみなし時間制とはどういうものですか?

 裁量労働のみなし時間制とは,労働遂行や労働時間の配分に関して裁量性が高く,労働の量よりも労働の質,つまり内容や成果に着目して報酬を支払われる労働者に関して,労使協定等で定めれば,実際の労働時間にかかわらず,それだけの時間労働したとみなす制度のことです。つまり,使用者は具体的な仕事のやり方や働く時間について,大幅に労働者の判断に委ね,具体的な指示命令を行いません。
 使用者は,労働者……

フレックスタイム制を採用している事業場において,清算期間中の総労働時間に過不足が生じた場合,賃金についてどのように考えればいいですか?

 フレックスタイム制では,各従業員の労働時間は清算期間中の実際の総労働時間によって示されるため,労使協定で定めた清算期間中における労働すべき総労働時間と比べ,過不足が生じることがあります。この場合,超過または不足した時間分を,次の清算期間へ貸借することができます。ただし,超過した時間分が法定時間外労働に該当する場合は,超過時間分を翌月に繰り越すことは割増賃金(残業代)の不払いになるため,時間外割増……

フレックスタイム制の就業規則規定例及び労使協定例を教えてください。

 フレックスタイム制を導入する場合,就業規則に,始業・終業時刻の両方を労働者の決定に委ねる旨,規定する必要があります。始業・終業時刻のどちらか一方だけを委ねるという規定では足りず,また,出勤時間は何時でも良いが1日8時間は働くよう命じることについても,終業時刻の選択を労働者の事由に委ねていないことになるため,認めらません。ただし,1日ごとに時間管理をし,割増賃金も法律どおり支払っている場合は,フレ……

1か月単位の変形労働時間制とはどのようなものですか?

1.1か月単位の変形労働時間制の利点
 1か月単位の変形労働時間制は,1か月以内の一定期間を単位とするもので,この一定期間を平均して1週間の労働時間が40時間(特例措置対象事業場は44時間)以内であれば,1日8時間以上,あるいは1週40時間(特例措置対象事業場は44時間)以上の所定労働時間を就業規則で定めて行うことが可能になる制度です。
 1年単位の変形労働時間制は,1……

変形労働時間制とはどのような制度ですか?

1.変形労働時間制とは
 変形労働時間制は,業務に繁閑がある場合,労働時間の弾力的な設計を認め,労働時間の短縮と経営の効率的運用等を図る制度です。
 労働基準法では,法定労働時間を原則1日8時間,1週間40時間と定められており,企業では,通常1日の所定労働時間を一定し,1週間単位で同じ労働時間が規則的に繰り返されることになります。この場合,各日,各週の法定労働時間を超え……

残業代請求の訴訟において,付加金の制度があるようなのですが,それはどのような制度ですか?

 使用者が次の①~④の支払義務に違反した場合,裁判所は,労働者の請求により,使用者が支払うべき未払金のほか,これと同一額の付加金の支払を命ずることができます(労基法114条1項本文)。
 ①解雇予告手当(労基法20条)
 ②休業手当(労基法26条)
 ③時間外・休日・深夜労働の割増賃金(残業代)(労基法37条)
 ④年次有給休暇中の賃金(労基……

残業代計算において,「通常の労働時間又は労働日の賃金」とはどのような賃金のことをいうのか教えてください。

 労基法では,法定労働時間を超えて労働させた場合(時間外労働),法定休日に労働させた場合(休日労働),深夜(午後10時から午前5時)に労働させた場合(深夜労働),一定の割増率以上の割増賃金(残業代)を支払わなければならないこととされています(労基法37条1項,4項)。
 この割増賃金(残業代)は,「通常の労働時間又は労働日の賃金」(割増賃金(残業代)の基礎となる賃金)に一定の割増率を……

所定労働時間7時間30分で,固定給,歩合給両方を支払っている場合の残業代は,どのように計算すればいいですか?

 就業規則上の所定労働時間が7時間30分の企業において,7時間30分を超えて残業させた場合,8時間までの30分間は法内時間外労働となり,8時間を超えた部分は法定時間外労働となります。
 法定時間外労働は,労基法37条1項において,一定の割増率以上の割増賃金(残業代)を支払わなければならないとされています。
 法内時間外労働については,労基法では特段の定めを設けていな……

所定労働時間が7時間30分の場合の残業代計算方法を教えて下さい。

 就業規則上の所定労働時間が7時間30分の企業において,7時間30分を超えて残業させた場合,8時間までの30分間は法内時間外労働となり,8時間を超えた部分は法定時間外労働となります。
 法定時間外労働の賃金は,労基法37条1項において,一定の割増率以上の割増賃金(残業代)を支払わなければならないとされています。
 法内時間外労働の賃金は,就業規則等で定めがある場合に……

固定給と歩合給,両方を支払っている場合の残業代は,どのように計算すればいいですか?

 固定給と歩合給制の両方がある場合,固定給部分の計算と歩合給部分の計算を別々に行わなければなりません。
 固定給の場合,時間外労働分の時間単価は固定給に含まれていないため,時間単価に相当する部分も支払う必要があり,時間外労働をさせた場合,通常の労働時間の時間単価に1.25を掛けて時間外労働の賃金の時間単価を算出していました。
 これに対して,歩合給の場合は,時間を延……

月給制の労働者の残業代は,どのように計算すればいいですか?

 月給制の労働者A氏の残業代について,具体的な例は以下のとおりです。   月給:25万円(他の手当等無し)
1日の所定労働時間:8時間
所定休日:土,日,祝日,年末年始12月28日~1月4日,夏季休暇3日
A氏の当月の残業時間:時間外労働時間数30時間,深夜労働時間数15時間(全て時間外労働時間),休日労働時間数20時間 1 通常の労働時間の賃金……

歩合給制の労働者の残業代は,どのように計算すればいいですか?

 歩合給制の労働者の「通常の労働時間又は労働日の賃金」をどのように算出するかについては,労基法施行規則19条1項6号において,「賃金算定期間において出来高払制その他請負制によって計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における総労働時間数で除した金額」と定められており,要するに,「歩合給部分の金額÷総労働時間数」が時間単価になります。
 月給制の場合,時間外労働分の時間単価は月給に含……

月給制社員の,時間外割増賃金,休日割増賃金,深夜割増賃金の時間単価の具体的計算方法を教えてください。

モデルケース
 月給:基本給25万円
 1日の所定労働時間:8時間
 年間休日数:130日
 割増率の適用猶予対象ではない 1.通常の賃金の時間単価
 年間所定労働日数=365日(閏年の場合は366日)-休日130日=235日
 年間所定労働時間数=1日の所定労働時間8時間×235日=1880時間
……

残業代を計算する際の割増率を教えてください。

 労基法では,割増率について,以下のとおり定められています。
・1か月の合計が60時間までの時間外労働:2割5分以上
・1か月の合計が60時間までの深夜(午後10時~午前5時)の時間外労働:5割以上
・1か月の合計が60時間を超えた場合の60時間を超える時間外労働:5割以上
・1か月の合計が60時間を超えた場合の60時間を超える深夜(午後10……

残業代計算において,日給,月給制,歩合給制,年俸制の通常の賃金の時間単価はどのように計算しますか?

1.通常の賃金の時間単価の計算方法
 割増賃金(残業代)は,「通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額」(以下,通常の賃金の時間単価という)に割増率を乗じて計算します(労基法37条1項)。
 通常の賃金の時間単価については,労基則19条に定めがあり,時間給の場合はその額,日給の場合は日給を所定労働時間数で除した額,月給制の場合は月給を所定労働時間数で除した額,歩合給制の場……

当社では,36協定で定めた限度時間を超えて労働させることがありますが,問題ないでしょうか?

1 36協定の限度時間
 36協定には,延長することができる労働時間数を定める必要があります(労基法施行規則16条1項)。
 労働時間数に関しては,労基法36条2項において,「厚生労働大臣は、労働時間の延長を適正なものとするため、前項の協定で定める労働時間の延長の限度その他の必要な事項について、労働者の福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して基準を定めることができる……

午前0時を過ぎて2暦日にわたって残業した場合の残業代の計算方法を教えてください。

1 通常の労働日に2暦日にわたって残業した場合
 通常の労働日に2暦日にわたって残業した場合,午前0時をもって労働時間を分断するのではなく,前日の労働として通算して計算します。
 例えば,所定労働時間8時間,始業時刻午前9時,終業時刻午後6時,休憩1時間の会社において,午前8時から翌日の午前6時まで(休憩2時間)働いた場合の時間外労働時間は11時間(=30時(翌午前6時……

法定休日と法定外休日の違いについて教えてください。

 法定休日とは,労基法35条に規定する週1回または4週4休の休日をいい,労基法37条の割増賃金の支払義務が生じます。
 法定外休日とは,法定休日に該当しない労働契約上の休日をいい,労基法37条の割増賃金の支払義務は生じません。
 時間外割増賃金を算定するにあたって法定休日と法定外休日を区別することは重要であり,週休2日制の場合,1日は法定休日,1日は法定外休日になります……

所定労働時間が7時間45分の会社における残業時間の計算方法を教えて下さい。

 所定労働時間が7時間45分の企業において,7時間45分を超えて残業させた場合,8時間までの15分は法内時間外労働時間(以下法内残業)であり,8時間を超えた法定時間外労働時間とは区別して残業時間を計算する必要があります。 例1)月曜日から金曜日までの実労働時間が10時間,土曜日の実労働時間が9時間の場合の法内残業及び時間外労働時間(所定休日:土曜・日曜日,法定休日:日曜日)  月 実労働時間1……

当社の所定労働時間は8時間です。始業時刻に30分遅刻した労働者が終業時刻後30分労働した場合,残業代を支払う必要はありますか。

 残業代を支払う必要があるのは,法定労働時間(1日8時間,1週40時間)を超えて労働をした場合,又は就業規則で定めがある場合です。
 このケースの場合,就業規則において,所定終業時刻後に残業した場合には法定労働時間内であっても残業代を支払うというような定めを設けていない限り,残業代を支払う必要はありません。

所定労働時間が7時間の会社で8時間働いた場合,1時間分の割増賃金を支払う必要がありますか。

 割増賃金を支払う必要があるのは,1日8時間,1週40時間を超えて労働させた場合です。
 質問の1時間の労働は8時間以内の労働のため,当該時間が1週40時間を超えていない限り,割増賃金を支払う必要はありません。 
 しかし,貴社の場合,労働契約に基づく賃金支払対象は7時間ですので,賃金支払対象となっていない1時間(法内残業)については,就業規則等により定めがある場合には……

年俸制の労働者に対して割増賃金を支払う必要はありますか?

 年俸制の労働者であっても,管理監督者や裁量労働者でない限り,割増賃金(残業代)を支払う必要があります。
 年俸制労働者の残業代の計算方法は,例えば,以下のものがあります。 [モデルケース]
・年俸480万円(月額30万円,賞与年1回120万円で契約。)
・一月平均所定労働時間数160時間
・当月の時間外労働時間22時間  固定さ……

残業代(割増賃金)は何年分の請求がなされるのですか?

 割増賃金請求権は,当該割増賃金の支払われるべき賃金支払日から起算して2年で消滅時効にかかりますので,2年以上勤務していた労働者からの残業代請求は,通常,直近2年分の残業代が請求されます。
 また,不法行為による損害賠償請求権として未払賃金相当額が請求される場合があります。不法行為の時効は3年ですので,3年以上勤務していた労働者から3年分の未払賃金の請求がなされることが考えられます。……

1か月における残業時間の合計に1時間未満の端数がある場合には,30分未満を切り捨てた上で,当該時間分の残業代を支払わなくて良いのですか。

 残業時間の端数を切り捨てて当該時間分の残業代を支払わなくて良いことにはならず,残業代は1分単位で支払わなければなりません。
 通達には,1か月における残業時間の合計に1時間未満の端数がある場合には,30分未満を切り捨て,それ以上を1時間に切り上げる処理をしても,労基法違反としては取り扱わないというものがありますが,使用者のなかには,この通達について30分未満を切り捨てた時間分は残業……

部長には残業代を支払わなくて良いのですか。

 部長という肩書きであってもそれだけで残業代を支払わなくて良いことにはならず,時間外割増賃金と休日割増賃金の支払を免れるためには労基法41条2号にいう「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)に該当しなければなりません。管理監督者に該当したとしても,深夜に労働させた場合には深夜割増賃金を支払う必要があります。  管理監督者といえるかどうかは,
① 職務内容,権限および責任の……

定額残業代を支払う場合,どのようにすれば良いですか。

 定額残業代が割増賃金の支払として有効と認められるためには,
①定額残業代とそうでない部分とが明確に区分されていること(明確区分性)
②割増賃金の対価という趣旨で支払われていること(対価性)
が認められる必要があります。  明確区分性の有無について,割増賃金の種類及び時間数を決めた上で,当該時間数の対価がいくらになるのか(通常1円単位になるはずです。)……

パワハラ・セクハラを巡る紛争の実態は,どのようなものですか。

 パワハラ・セクハラを巡る紛争の実態には,以下のような傾向があります。
 ① パワハラ・セクハラを不満に思い,公的機関などに相談している労働者の数は多いが,パワハラ・セクハラを理由とした損害賠償請求がメインの訴訟,労働審判はあまり多くなく,解雇無効を理由とした地位確認請求,残業代請求等に付随して,損害賠償請求がなされることが多い。
 ② 解雇無効を理由とした地位確認請求,残……

飲食店において,接客担当のスタッフに対し,お客さんがいなかったり自分の担当業務が終わったりしたら休憩していて構わないが,お客さんが入店してきたら自分の担当業務に従事するよう指示している場合,実際に仕事をしていない時間は「休憩時間」(労基法34条)として扱い,実際に担当業務に従事している時間だけを労基法に基づく残業代(割増賃金)計算の基礎となる労働時間として扱うことはできますか。

 飲食店において,接客担当のスタッフに対し,お客さんがいなかったり自分の担当業務が終わったりしたら休憩していて構わないが,お客さんが入店してきたら自分の担当業務に従事するよう指示している場合は,実際に仕事をしていない時間も使用者から就労の要求があれば直ちに就労しうる態勢で待機している時間(手待時間)であり,労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間とはいえませんので,「休憩時間」……

飲食業で残業代(割増賃金)請求を受けるリスクが特に高いのはどうしてだと思いますか。

 飲食業で残業代(割増賃金)請求を受けるリスクが特に高い一番の理由は,飲食業では会社経営者が残業代(割増賃金)を支払わなければならないという意識が低いことにあると考えています。飲食業の経営者に残業代(割増賃金)を支払わない理由を聞いてみると,
 「飲食業だから。」
 「昔からそういうやり方でやってきて,問題になったことはない。」
 「飲食業で残業代なんて支払……

運送業を営む会社を経営していますが,給料日まで生活費がもたないからお金を貸して欲しいと言ってくる運転手にはどのように対応すればいいでしょうか。

 運送業を営む会社においては,給料日まで生活費がもたないからお金を貸して欲しいと言ってくる運転手は珍しくありません。従来,こういった運転手にお金を貸し付けて給料から天引きして返してもらうことが多かったようですが,会社経営者のために労働問題を扱っている弁護士の目から見てあまりお勧めできません。
 一般論として,「友達にはお金を貸してはいけない。」「友達にお金を貸したら,友達ではなくな……

運送業を営む会社を経営していますが,休日なしで長時間働いてお金を稼ぎたいと言ってくる運転手にはどのように対応すればいいでしょうか。

 運送業を営む会社を経営していると,休まずにもっと働いてお金を稼ぎたい,働かせてくれなければ辞めて他の会社に転職する,などと言って来る運転手がいることに気づくことと思います。
 たくさん働きたいという意欲は素晴らしいのかもしれませんが,使用者には運転手の健康に配慮する義務(労契法5条)がありますので,本人が望んでいるからといって,恒常的な長時間労働を容認するわけにはいきません。ある……

運送業を営む会社における労働時間管理のポイントを教えて下さい。

 運送業を営む会社の特徴は,トラック運転手が事業場を離れて運転業務に従事する時間が長いため,出社時刻と退社時刻の確認を除けば,現認による勤務状況の確認が事実上不可能な点にあります。したがって,出社時刻と退社時刻の確認をして運転日報等に記録させるのは当然ですが,経営者の目の届かない客先や路上での勤務状況,労働時間の把握が重要となってきます。
 特に問題となりやすいのは休憩時間の把握で……

運送業を営む会社において見逃しがちな残業代(割増賃金)の趣旨を有する賃金を教えて下さい。

 運送業を営む会社においては,基本給は1日当たりいくらといった日当の形で支払われるのが通常です。
 休日労働の対価として「日当」が支払われた場合には,「日当」は通常の労働日の賃金ではありませんので,これを控除して未払残業代(割増賃金)額を算定する必要があります。
 「月給25万円」といった通常の月給制を念頭に置いていると見逃しがちな点ですので,ご注意下さい。 ……

運送業を営む会社において,配送手当,長距離手当,業務手当,特別手当等の手当の支払は,残業代(割増賃金)の支払として認められますか。

 運送業を営む会社においては,日当のほか,配送手当,長距離手当,業務手当,特別手当等の手当が支払われていることがあります。これらの手当の支払は,残業代(割増賃金)の支払として認められるのでしょうか。
 まず,配送手当,長距離手当,業務手当,特別手当といった名称の手当は,その日本語の意味を考えた場合,直ちに残業代の支払と評価することはできません。これらの手当が残業代の支払と評価される……

運送業を営む会社において,残業代(割増賃金)の趣旨を有する手当を支給する際の注意点を教えて下さい。

 運送業を営む会社において,残業代(割増賃金)の趣旨を有する手当を支給する際の注意点は,大きく分けて
 ① 残業代(割増賃金)の趣旨を有する手当であることを明確にすること
 ② 残業代(割増賃金)とそれ以外の賃金とを明確に判別できるようにすること
の2つです。
 まず,①についてですが,当該手当が残業代(割増賃金)の趣旨を有することが明確でない名……

運送業を営む会社が残業代(割増賃金)請求を受けるリスクが特に高いのはどうしてだと思いますか。

 運送業の運転手は従来,自営業者意識が濃厚な傾向があり,運転手のそういった傾向に対応して,運送業の会社経営者は残業代(割増賃金)を支払わなければならないという意識が希薄な傾向にありました。運送業では,給料が「1日現場に行って来たら1万○○○○円」といった形で定められている会社が多く,労働者というよりは個人事業主に近い形で労務管理がなされている傾向にあります。昔からそのやり方で問題なくやってきた……

定額(固定)残業代制度導入の手順を教えて下さい。

 定額(固定)残業代制度導入の手順は,以下のとおりです。
 ① 当該業務に通常必要とされる時間外・休日・深夜労働時間等の勤務実態を調査し,調査の経過及び結果を記録に残す。
 ② 調査結果に基づき,何時間分の時間外・休日・深夜労働に対する時間外・休日・深夜割増賃金を定額(固定)残業代として支払う必要があるのかについて協議決定し,記録に残す。
 ③ 「時間外勤務……

使用者と社員が合意することにより,日当を1日12時間勤務したことの対価とすることはできますか。

 所定労働時間を1日12時間とすることはできませんが,「1日12時間勤務したことの対価」の意味が,「1日8時間の所定労働時間内の労働と4時間の時間外労働をしたことの対価」という趣旨であると解釈でき,残業代(割増賃金)に相当する金額が特定されていると評価できるような場合であれば,このような合意も原則として有効と考えられます。ただし,このような合意の仕方は,何時間分の対価として賃金額が定められたの……

残業代(割増賃金)を基本給とは別に支払うよりも,残業代込みということで基本給を支払った方が,基本給の金額が高く見えて,社員募集の際に体裁がいいのではないでしょうか。

 それはそうかもしれませんが,残業代は,残業代以外の賃金とは別に支払うべきものであり,残業代と残業代以外の賃金との内訳が判別できないと残業代の支払があったとは認められませんので,残業代不払を理由とした残業代請求を受けないようにするためには,残業代の金額と残業代以外の賃金の内訳を明らかにする必要があります。残業代の金額と残業代以外の賃金の金額を明らかにしてしまえば,結局,残業代を除いた基本給の金……

定額(固定)残業代の支給名目はどのようなものがいいでしょうか。

 定額(固定)残業代を支給する場合は,基本給の中に一定の金額・時間分の残業代が含まれる扱いにしたり,営業手当等の名目で一定額を支給する扱いにしたりするよりも,「残業手当」「時間外勤務手当」「深夜勤務手当」「休日勤務手当」等,それが残業代であることが給与明細書の記載から直ちに分かるよう記載しておくといいと思います。残業代であることが明白な名目で支給することにより,労働者の納得も得られやすくなり,……

月例賃金に占める定額(固定)残業代の比率は,どれくらいまでなら許されますか。

 月例賃金に占める定額(固定)残業代の比率と定額(固定)残業代の有効性との間には,論理必然の関係はありません。
 もっとも,脳・心臓疾患や精神疾患を発症した場合に,長時間労働を理由として労災認定がなされる可能性が高い時間外労働を予定するような定額(固定)残業代制度を採用すべきではなく,月80時間分の時間外割増賃金額を下回る定額(固定)残業代額にすべきと考えます。個人的見解としては,……

定額(固定)残業代の有効性を判断する際のイメージを一言で教えて下さい。

 定額(固定)残業代の支払は,一定金額の時間外・休日・深夜割増賃金の支払がなされていることが明確であればあるほど,時間外・休日・深夜割増賃金の支払があったと認められやすくなり,時間外・休日・深夜割増賃金の支払がなされていることが分かりにくくなればなるほど,時間外・休日・深夜割増賃金の支払がなかったと認定されやすくなります。
 会社経営者は,普段は時間外・休日・深夜割増賃金とは分から……

定額(固定)残業代を採用した場合に追加で支払わなければならない残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)の金額を教えて下さい。

 定額(固定)残業代の支払により使用者が時間外・休日・深夜割増賃金を支払ったと認められた場合は,当該定額(固定)残業代を含む除外賃金を除外した賃金を基礎賃金として労基法37条及び同法施行規則19条の計算方法で残業代(割増賃金)の金額を計算した結果,定額(固定)残業代の金額で不足する場合は,その「不足額」を当該賃金の支払期に支払う法的義務が生じることになります。
 定額(固定)残業代……

基本給や他の手当等の通常の賃金とは金額を明確に分けた手当の形式で時間外・休日・深夜割増賃金を支払う場合の定額(固定)残業代は,どのような場合に有効となりますか。

1 賃金規程等の定め
 「時間外勤務手当」「休日勤務手当」「深夜勤務手当」等,時間外・休日・深夜割増賃金の支払であることが明白な名目で金額を明示して支給した場合は,通常は時間外・休日・深夜割増賃金の支払があったと認められます。
 他方,「営業手当」「管理職手当」「配送手当」「長距離手当」「特殊手当」等の一見,時間外・休日・深夜割増賃金の趣旨で支払われる手当とは分からない名……

基本給や手当等に時間外・休日・深夜割増賃金を組み込んで支払う定額(固定)残業代は,どのような場合に有効となりますか。

1 賃金規程等の定め
 基本給や手当等に時間外・休日・深夜割増賃金を組み込んで支払ったといえるためには,基本給や手当等に時間外・休日・深夜割増賃金を組み込んで支払う旨の合意や賃金規程等の定めは最低限必要となります。「契約書の記載も賃金規程の定めも存在しないが,口頭で説明した。」では,基本給や手当等に時間外・休日・深夜割増賃金を組み込んで支払うことが労働契約の内容になっているとは認め……

残業代(割増賃金)込みの賃金ということで社員全員が納得しており,誰からも文句が出ていないのですから,別途残業代(割増賃金)を支払わなくてもいいのではないですか。

 残業代(割増賃金)込みで月給30万円とか,日当1万6000円と約束しており,それで文句が全く出ていないのだから,残業代(割増賃金)に相当する金額を特定していなくても,未払残業代(割増賃金)の請求を受けるはずはない,少なくともうちは大丈夫,と思い込んでいる会社経営者がいらっしゃいますが,甘い考えと言わざるを得ません。現実には,解雇などによる退職を契機に,未払残業代(割増賃金)を請求するたくさん……

残業代(割増賃金)に当たる部分を特定せずに月例賃金には残業代が含まれている旨の合意は有効ですか。

 残業代(割増賃金)に当たる部分を特定せずに月例賃金には残業代が含まれている旨合意し,合意書に署名押印させていたとしても,時間外・休日・深夜割増賃金に当たる部分の額が労基法及び労基法施行規則19条所定の計算方法で計算された金額以上となっているかどうか(不足する場合はその不足額)を計算(検証)することができず,残業代(割増賃金)を支払わないのと変わらない結果となるので,労基法37条の規定する時間……

当社は,同業他社よりも高額の基本給・手当・賞与を社員に支給し,毎年,昇給もさせるなどして社員の残業に対して十分に報いていますから,残業代(割増賃金)を別途支払う必要はないですよね。

 それなりに高額の基本給・手当・賞与を社員に支給し,昇給までさせているにもかかわらず,残業代(割増賃金)は全く支給しない会社が散見されます。社員の努力に対しては,基本給・手当・賞与の金額で応えているのだから,それで十分と,経営者が考えているからだと思われます。
 しかし,高額の基本給・手当・賞与の支給は残業代の支払の代わりにはなりませんし,毎月の基本給等の金額が上がれば残業代の単価……

年俸制の社員に残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払う必要がありますか。

 年俸制の社員も労基法上の労働者であり,労基法上,年俸制社員について残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)の支払義務を免除する規定はありません。また,時間外・休日・深夜に労働させた場合でも労基法37条に定める残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払わない旨の合意は就業規則の定めは無効となります。
 したがって,労働契約や就業規則の定め如何にかかわらず,年俸制社員を時間外・休日・深夜……

時間外・休日・深夜に労働させた場合でも残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払わない旨の就業規則の定めは有効ですか。

 就業規則は労基法に違反してはならず(労基法92条1項),労基法違反の就業規則はその部分に関しては無効となり(労契法13条)労基法が適用されます。
 したがって,就業規則で時間外・休日・深夜に労働させた場合であっても労基法37条に定める残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払わない旨の就業規則の定めは無効となります。

時間外・休日・深夜に労働させた場合でも残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払わなくても異存はない旨の誓約書に署名押印させている場合であっても,時間外・休日・深夜に労働させた場合には残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払わなければなりませんか。

 時間外・休日・深夜に労働させた場合であっても労基法37条に定める残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払わない旨の合意は無効となりますので,時間外・休日・深夜に労働させた場合でも残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払わなくても異存はない旨の誓約書に署名押印させている場合であっても,時間外・休日・深夜に労働させた場合には残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払わなければなりません。

時間外・休日・深夜に労働させた場合でも残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払わない旨の合意は有効ですか。

 労基法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は,労基法で定める基準に達しない労働条件を定める部分についてのみ無効となり,無効となった部分は労基法で定める労働基準となります(労基法13条)。
 時間外・休日・深夜に労働させた場合の残業代(割増賃金)の支払は労基法37条で義務付けられていますので,時間外・休日・深夜に労働させた場合であっても労基法37条に定める残業代(時間外・……

残業代(割増賃金)込みだった月給の内訳を明確にするため,既存の社員に関し,通常の労働時間・労働日の賃金と残業代(割増賃金)に当たる部分とを判別できるようにするために賃金の内訳を変更する場合の注意点を教えて下さい。

 残業代(割増賃金)込みだった月給の内訳を明確にするため,既存の社員に関し,通常の労働時間・労働日の賃金と残業代(割増賃金)に当たる部分とを判別できるようにするために賃金の内訳を変更する場合は,労働条件の不利益変更と判断される可能性が高いと思われます。基本的には使用者が一方的に社員の賃金の内訳を社員に不利益に変更することはできませんので,社員から賃金内訳変更に関する同意書,賃金規定変更に関する同意……

残業代(割増賃金)を支払済みにするための賃金原資はどのように確保すればいいでしょうか。

 残業代(割増賃金)を支払えなくなる一番大きな原因は,本来,残業代(割増賃金)の支払に充てるべき金額を基本給,諸手当,賞与等に充ててしまっていることにあります。つまり,賃金の内訳を間違えているわけです。
 残業代(割増賃金)の支払は労基法で義務付けられているわけですから,残業代(割増賃金)は必ず支払わなければならないことを前提として,基本給,諸手当,賞与等の金額を逆算して決定して下……

自己申告制を採用して自己申告された労働時間をチェックし,自己申告された労働時間に基づいて残業代(割増賃金)を支払えば,不必要な残業時間の抑制,想定外の残業代(割増賃金)請求対策になりますか。

 自己申告された労働時間が実際の労働時間と合致しているのであれば,自己申告された労働時間をチェックすることで不必要な残業時間の抑制につなげることができますし,自己申告された労働時間に基づいて残業代(割増賃金)を支払えば,想定外の残業代(割増賃金)請求対策になります。
 しかし,自己申告された労働時間が実際の労働時間に満たない場合は,自己申告された労働時間をチェックしても不必要な残業……

タイムカードの打刻時間が実際の労働時間の始期や終期と食い違っている場合,どのように対応すればよろしいでしょうか。

 タイムカードにより労働時間又は勤怠を管理している場合,タイムカードに打刻された出社時刻と退社時刻との間の時間から休憩時間を差し引いた時間が,その日の実労働時間と認定されることが多いところです。
 タイムカードの打刻時間が実際の労働時間の始期や終期と食い違っている場合は,それを敢えて容認してタイムカードに基づいて残業代を支払うか,働き始める直前,働き終わった直後にタイムカードを打刻……

残業の事前許可制を採用すれば,不必要な残業時間の抑制,想定外の残業代(割増賃金)請求対策になりますか。

 残業の事前許可制は,残業する場合には上司に申告してその決裁を受けなければならない旨就業規則等に定めるだけでなく,実際に残業の事前許可なく残業することを許さない運用がなされているのであれば,不必要な残業の抑制や想定外の残業代(割増賃金)請求対策になります。
 しかし,就業規則に残業の事前許可制を定めて周知させたとしても,実際には事前許可なく残業しているのを上司が知りつつ放置している……

残業するように指示していないのに残業した時間についてまで労働時間として取り扱い,残業代(割増賃金)を支払う必要がありますか。

 明示の残業命令を出していなくても,部下が残業していることを上司が知りながら放置していた場合は,残業していることが想定することができる時間帯については,黙示の残業命令があったと認定されるのが通常です。
 具体的に何時まで残業していたのかは分からなくても,残業していること自体は上司が認識しつつ放置していることが多い印象です。部下が残業していることに気付いたら,上司は,残業を止めさせて……

本人の能力が低いことや所定労働時間内に真面目に仕事をしていなかったことが残業の原因の場合でも,残業代(割増賃金)を支払わなければなりませんか。

 本人の能力が低いことや所定労働時間内に真面目に仕事をしていなかったことが残業の原因の場合であっても,現実に残業している場合は,残業時間として残業代(割増賃金)の支払義務が生じます。
 本人の能力が低いことや,所定労働時間内に真面目に仕事をしていなかったことは,注意,指導,教育して改善させるとともに,人事考課で考慮すべき問題であって,残業時間に対し残業代(割増賃金)を支払わなくても……

不必要な残業を止めて帰宅するよう口頭で注意しても社員が帰宅しない場合の対応を教えて下さい。

 不必要な残業を止めて帰宅するよう口頭で注意しても社員が帰宅しない場合は,社内の仕事をするスペースから現実に外に出すようにして下さい。終業時刻後も社員が社内の仕事をするスペースに残っている場合,事実上,使用者の指揮命令下に置かれているものと推定され,有効な反証ができない限り,残業していると評価される可能性が高いところです。近時の裁判例の中にも,「一般論としては,労働者が事業場にいる時間は,特段……

残業時間を抑制するための基本的発想を教えて下さい。

 部下に残業させて残業代を支払うのか,残業させずに帰すのかを決めるのは上司の責任であり,上司の管理能力が問われる問題です。その日のうちに終わらせる必要がないような仕事については,翌日以降の所定労働時間内にさせるといった対応が必要となります。

基礎賃金を抑制する際の注意点を教えて下さい。

 単に基礎賃金を抑制しただけでは,能力や貢献度に見合った賃金が支給できなくなってしまい,適正な賃金制度とはいえません。適正水準の賃金を支給し,優秀な人材を確保することができるようにするためには,基礎賃金を抑制する一方で,能力や貢献度に応じた賃金を支給できるようにする必要があります。
 基礎賃金を抑制しつつ能力や貢献度に応じた賃金を支給できるようにする方法としては,以下のようなものが考え……

未払残業代(割増賃金)請求対策としては,どのようなものが考えられますか。

 未払残業代(割増賃金)額=残業代(割増賃金)単価×残業時間-支払済み残業代(割増賃金)ですので,未払残業代(割増賃金)請求対策としては,以下のものが考えられます。
 ① 基礎賃金を抑制して残業代(割増賃金)単価を抑制する。
 ② 残業時間を抑制する。
 ③ 残業代(割増賃金)を支払済みにしておく。

残業代(割増賃金)請求対策の基本的発想として,何が重要と考えていますか。

 残業代(割増賃金)請求対策の基本的発想としては,以下のものが重要と考えています。
 ① 時間外・休日・深夜に労働させた場合に残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払うことは,全ての労働者に共通する基本原則であること
 ② 発生した残業代(割増賃金)は,「支払済み」にしなければ,残業代(割増賃金)請求を受けるリスクはなくならないこと
 ③ 変形労働時間制の……

管理職にも残業代(時間外・休日割増賃金)を支払う場合の賃金原資は,どこから調達すればよろしいでしょうか。

 管理職にも残業代(時間外・休日割増賃金)を支払う場合の賃金原資は,基本給や諸手当,場合によっては賞与を抑制することによって調達することができます。
 適正な対価が残業代込みで月額35万円の管理職については,基本給25万円,管理職手当10万円を支給して管理監督者として扱うのではなく,例えば,月額5万円程度の残業代(時間外・休日割増賃金)の発生が見込まれる場合には,基本給25万円,管……

管理職からの残業代(時間外・休日割増賃金)請求を予防する方法を教えて下さい。

 管理職からの残業代(時間外・休日割増賃金)請求を予防する方法としては,
 ① 管理監督者とする管理職の範囲を狭く捉えて上級管理職に限定し
 ② 大部分の管理職は最初から管理監督者としては取り扱わずに残業代(時間外・休日割増賃金)を満額支給する
ことをお勧めします。

就業規則において管理職は管理監督者として扱い残業代(割増賃金)を支給しない旨規定し周知させた場合であっても,管理職に残業代(割増賃金)を支払う必要がありますか。

 就業規則が労基法に反する場合には,当該反する部分については,労働条件になりませんので(労契法13条),就業規則において管理職は管理監督者として扱い残業代(割増賃金)を支給しない旨規定し周知させた場合であっても,管理監督者に当たらない場合は,管理職に対し,労基法37条1項に基づき残業代(時間外・休日割増賃金)を支払う必要があります。
 深夜(22時~5時)に労働させた場合には,管理……

個別労働契約において管理職は管理監督者として扱い残業代(割増賃金)を支給しない旨規定し労働者に署名押印させるなどしてその同意を得ていた場合であっても,管理職に残業代(割増賃金)を支払う必要がありますか。

 労基法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は無効となり,無効となった部分については労基法で定める基準が適用されますので(労基法13条),個別労働契約において管理職は管理監督者として扱い残業代(割増賃金)を支給しない旨規定し労働者に署名押印させるなどしてその同意を得ていた場合であっても,管理監督者に当たらない場合は,管理職に対し,労基法37条1項に基づき残業代(時間外・休日割増賃金)……

管理職に残業代(時間外・休日割増賃金)を支払う必要があるかどうかの判断が難しい理由を教えて下さい。

 労基法も労基法施行規則も,労基法41条2号にいう「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)の具体的内容について明確に定めていません。また,管理監督者性の具体的判断基準について判断した最高裁判例も存在しません。このため,現状では,管理監督者に関する行政解釈の内容を理解するとともに,管理監督者性について判断した多数の下級審裁判例を分析して裁判所の判断の傾向を分析するほかないことになります。続きを見る

管理職にも残業代(割増賃金)を支払う必要がありますか。

 管理職も労基法上の労働者ですから,原則として労基法37条の適用があり,週40時間,1日8時間を超えて労働させた場合,法定休日に労働させた場合,深夜に労働させた場合は,時間外労働時間,休日労働,深夜労働に応じた残業代(割増賃金)を支払う必要があります。
 管理職が労基法41条2号にいう「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)に該当する場合には,労働時間,休憩,時間外・休日割……

企画業務型裁量労働制の対象社員に対し,残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払う必要がありますか。

 企画業務型裁量労働制とは,賃金,労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し,事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする委員会(労使委員会)が設置された事業場において,当該労使委員会がその委員の5分の4以上の多数による議決により,事業の運営に関する事項についての企画,立案,調査及び分析の業務であって,当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を……

専門業務型裁量労働制の対象社員に対し,残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払う必要がありますか。

 専門業務型裁量労働制とは,業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため,当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務のうち,労働者に就かせることとする業務(対象業務)として労使協定で定めた業務に労働者を就かせたときは,実労働時間と関係なく,労使協定で定めた時間労働したものとみ……

営業社員に対し具体的な指揮命令をしたり,営業社員が営業中に仕事をサボっていないかチェックしたりしたいのですが,事業場外労働のみなし労働時間制を採用すべきでしょうか。

 事業場外労働のみなし労働時間制は,営業社員に対し具体的な指揮命令をすることを予定する制度ではなく,営業社員が営業中に仕事をサボっていないかチェックすることも困難です。
 このような要望が強い場合は事業場外労働のみなし労働時間制を適用せず,営業日報等により実労働時間を把握して残業代(割増賃金)を支払うことを前提とした賃金制度を採用する方が合理的と思われます。 ……

営業社員からの残業代(割増賃金)請求対策で最も重要なことは何だと思いますか。

 事業場外労働のみなし労働時間制の適用がない場合に,実労働時間に応じた残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払う必要があるのは当然ですが,事業場外労働のみなし労働時間制を適用できたとしても,当該業務を遂行するために通常所定労働時間を超えて労働させる必要がある場合には,「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」労働したものとみなされ,みなし労働時間に基づき算定された時間外労働時間に対応する残業代……

事業場外労働のみなし労働時間制を適用している営業社員からの残業代(割増賃金)請求のリスクが高いのは,どのような場合でしょうか。

 業務を遂行するために通常所定労働時間を超えて労働させる必要があるにもかかわらず所定労働時間労働したものとみなしているような場合は,事業場外労働のみなし労働時間制を適用している営業社員からの残業代(割増賃金)請求のリスクが高いと言わざるを得ません。
 所定労働時間労働したものとみなしていますので,当然,残業代(時間外割増賃金)は支払っていません。他方,業務を遂行するために通常所定労……

営業社員に営業手当さえ支払っていれば,残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払わなくてもいいのですよね。

 営業手当を支払っていても,時間外・休日・深夜労働をさせれば残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払う必要があることに変わりありません。
 営業手当の支払により残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)の支払がなされていると認めてもらえることができれば,当該金額で不足する残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を追加で支払えば足りることになりますが,営業手当の支払を残業代(時間外・休日・深……

営業社員であれば残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払わなくてもいいのですよね。

 営業社員も労基法上の労働者ですから,週40時間(小規模事業場の特例が適用される場合には週44時間)又は1日8時間を超えて労働させた場合,1週1休の法定休日(労基法35条)に労働させた場合,深夜(22時~5時)に労働させた場合には,原則として労基法37条所定の残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払う必要があります。当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要とならな……

営業社員の残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を「営業手当」といった一見して残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)の趣旨で支払われる手当とは分からない名目で支給したい場合は,どうすればいいですか。

 「営業手当」といった一見して残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)の趣旨で支払われる手当とは分からない名目での支払を希望する場合は,最低限,営業の精神的負担や被服・靴などの消耗品に対する金銭的負担を補填する趣旨の手当(通常の労働時間・労働日の賃金)に当たる部分と残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)に当たる部分が判別できるよう金額を明示するようにして下さい。両者が判別できない場合は,残業代(時間……

残業代(割増賃金)の支払名目はどういったものがお勧めですか。

 営業社員に対しては残業代(割増賃金)を「営業手当」等の名目で支払われていることが多いようですが,「営業手当」では,実質的に残業代(割増賃金)の支払と評価できるのかどうか争いが生じる可能性があります。したがって,残業代(割増賃金)の支払名目は,「時間外勤務手当」「休日勤務手当」「深夜勤務手当」といった残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)の趣旨で支払われる手当であることが一見明白な名目とすること……

事業場外みなしの適用がある営業社員について,当該業務を遂行するために通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合(通常は所定労働時間内に仕事が終わらない場合)は,どのように残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払えばよろしいでしょうか。

 当該業務を遂行するために通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合(通常は所定労働時間内に仕事が終わらない場合)は,「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」のうちの時間外労働時間に対する残業代(時間外割増賃金)を支払う必要があります。「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」が何時間かは認定が難しく,事前に決めておかないと後から争いになりますので,労働者代表等との間で労使協定を締結し……

事業場外労働のみなし労働時間制と残業代(割増賃金)支払義務との関係を教えて下さい。

 事業場外労働のみなし労働時間制は,労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において,労働時間を算定し難いときに,所定労働時間又は当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす制度であり,残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)の支払義務を免除するものではありません。当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要とならない事案(通常は所定労……

変形労働時間制を採用すれば,残業代(割増賃金)請求対策になりますか。

 変形労働時間制は,一定の期間を単位として,週当たりの平均労働時間が週40時間を超えないことを条件に,所定労働時間が週40時間又は1日8時間の労働時間を超えて労働させることを許容する制度に過ぎず,残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)の支払義務を免除する制度ではありません。週40時間又は1日8時間を超える所定労働時間が定められた場合,週40時間又は1日8時間を超える部分は残業代(時間外割増賃金)……

残業代(割増賃金)の支払を命じる判決を放置していたところ,強制執行されてしまいました。強制執行のため源泉所得税を源泉徴収できなかったのですから,源泉所得税を納付しなくても構いませんよね。

 最高裁判所平成23年3月22日第三小法廷判決は, 所得税法28条1項に規定する給与等の支払をする者が,その支払を命ずる判決に基づく強制執行により賃金の回収を受ける場合であっても,源泉所得税の源泉徴収義務を負うと判断していますので,使用者は,強制執行のため源泉所得税を源泉徴収できなかった場合であっても,源泉所得税の源泉徴収義務を負い,源泉所得税を納付する必要があります。
 強制執行……

残業代(割増賃金)の支払を命じる判決が出たので,所得税等を源泉徴収して支払おうとしたところ,労働者側代理人から,「債務名義があるのだから,源泉徴収せずに全額払って欲しい。」と言われました。債務名義があるかどうかと源泉徴収義務の有無は関係あるのでしょうか。

 使用者は,強制執行により賃金の回収を受ける場合であっても,源泉所得税の源泉徴収義務を負うとするのが最高裁判所平成23年3月22日第三小法廷判決なのですから,使用者が判決に従い任意に賃金を支払う場合は,当然,源泉徴収義務を負い,源泉所得税を納付しなければならないことになります。したがって,使用者は,債務名義の有無にかかわらず,源泉徴収した上で賃金を支払う必要があります。
 もっとも……

過去2年分の未払残業代(割増賃金)を支払う場合,現実に支払った日の属する月の給与所得として源泉所得税の計算をすればいいのか,本来支給すべきであった給料日の属するそれぞれの年分の給与所得として処理すればいいのか,教えて下さい。

 過去2年分の未払残業代(割増賃金)を支払った場合,本来の給料日に支払っておくべきだった残業代(割増賃金)が一括して支払われたことになりますので,本来支給すべきであった給料日の属するそれぞれの年分の給与所得となります。国税庁ウェブサイトの「No.2509 給与所得の収入金額の収入すべき時期」をご確認下さい。
 現実に支払った日の属する月の給与所得として源泉所得税の計算をしてしまうと……

残業代(割増賃金)の請求を受けている労働審判事件で付加金の支払を命じられることがありますか。

 労働審判は判決ではありませんので,労働審判で付加金の支払を命じられることはありません。
 労働審判手続申立書において付加金の請求がなされていることは珍しくありませんが,これは,労働審判手続において調停が成立せず,労働審判に対して異議が出されて訴訟に移行した場合に備え,2年の除斥期間を遵守するためのものに過ぎません。

第一審判決で残業代(割増賃金)と付加金の支払を命じられてしまいました。付加金の支払を免れる方法はありませんか。

 裁判所は,未払残業代(割増賃金)がなければ,付加金の支払を命じることができません。
 したがって,第一審判決に対して控訴し,未払残業代(割増賃金)の全額について弁済した上で控訴審において未払残業代(割増賃金)弁済の事実を主張立証すれば,未払残業代(割増賃金)の請求も付加金の請求も棄却されますので,付加金の支払を免れることができます。

残業代請求訴訟において,原告代理人が,「和解額は付加金の金額を加算した金額とすべき。」と主張していますが,応じる必要がありますか。

 裁判所は,未払割増賃金がなければ,付加金の支払を命じることができません。仮に,和解が成立しなかったとしても,未払割増賃金相当額を原告本人の給与振込口座に源泉徴収した上で振り込んで支払ってしまえば,未払割増賃金請求が棄却されるのは勿論,裁判所は付加金の支払を命じることもできなくなります。
 したがって,残業代請求訴訟における和解額に付加金の金額を考慮するのは筋違いですので,応じる必……

付加金の請求に期間制限はありますか。

 付加金の請求は,違反のあったときから2年以内にしなければならないとされていますが(労基法114条ただし書),この期間はいわゆる除斥期間であって時効期間ではないと考えられており,労働者が付加金の支払を受けるためには,2年以内に請求の「訴え」を提起する必要があります。
 残業代(割増賃金)は内容証明郵便で請求すれば6か月消滅時効期間を延ばすことができますが,内容証明郵便で請求しただけ……

残業代(割増賃金)請求訴訟において,支払が命じられる可能性がある付加金の額を教えて下さい。

 残業代(割増賃金)請求訴訟では,付加金の請求もなされるのが通常で,例えば,未払の残業代(割増賃金)の額が300万円の場合,さらに最大300万円の付加金の支払(合計600万円の支払)が判決で命じられる可能性があります。
 使用者が残業代(割増賃金)の支払を怠っている場合,残業代(割増賃金)と同額の付加金の支払が命じられることが多くなっていますが,付加金の支払を命じるかどうかは裁判所……

判決で付加金(労基法114条)の支払が命じられる可能性があるのは,どのような場合ですか。

 使用者が,
 ① 解雇予告手当(労基法20条)
 ② 休業手当(労基法26条)
 ③ 残業代(割増賃金)(労基法37条)
 ④ 年次有給休暇取得時の賃金(労基法39条7項)
のいずれかの支払を怠り,労働者から訴訟を提起された場合に,裁判所はこれらの未払金に加え,これと同一額の付加金の支払を命じることができるとされています(労基法11……

残業代(割増賃金)の消滅時効期間を教えて下さい。

 残業代(割増賃金)の消滅時効期間は,2年です(労基法115条)。ただし,内容証明郵便等による残業代(割増賃金)の請求があり,6か月以内に訴訟提起等がなされた場合には,消滅時効が中断します(民法147条1号,153条)。
 2年以上勤務していた労働者からの残業代(割増賃金)請求においては,通常は,直近2年分の残業代(割増賃金)について請求がなされることになります。理屈の上では,最後……

残業代(割増賃金)の遅延損害金の利率を教えて下さい。

 株式会社,有限会社等の営利を目的とした法人の場合,残業代(割増賃金)の遅延損害金の利率は,賃金支払日の翌日から年6%です。
 社会福祉法人,信用金庫等の営利を目的としない法人の場合,残業代(割増賃金)の遅延損害金の利率は,賃金支払日の翌日から年5%です。
 ただし,退職後の期間の遅延損害金については,年14.6%という高い利率になる可能性があります(民法419条1項・……

36協定を締結して労基署に届け出ていない場合にも,使用者は残業代(割増賃金)を支払う義務がありますか。

 36協定を締結して労基署に届け出ていない場合にも,使用者は残業代(割増賃金)を支払う義務があります。

36協定を締結して労基署に届け出れば,時間外・休日労働(残業)を命じることができますか。

 36協定の締結・届出がなされていない場合には,原則として時間外・休日労働(残業)を命じることができませんが,36協定の締結・届出をすれば,直ちに時間外・休日労働(残業)を命じることができるというわけではなく,時間外・休日労働(残業)を命じることができるというためには,労働契約上の根拠が必要となります。
 就業規則や労働条件通知書に時間外・休日労働(残業)を命じることがある旨規定さ……

労基法に基づく残業代(深夜割増賃金)計算の基礎となる深夜労働時間とは,どのような時間のことをいいますか。

 労基法に基づく残業代(深夜割増賃金)計算の基礎となる深夜労働時間とは,深夜(22時~5時)に労働させた時間のことをいいます。
 昼間の仕事の場合には,深夜労働は,時間外労働でもあるのが通常ですが,夜勤の場合には,深夜労働ではあっても時間外労働ではないこともあります。

弁護士法人四谷麹町法律事務所

〒102-0083 東京都千代田区麹町5丁目2番地 
K-WINGビル7階 TEL:03-3221-7137

Copyright ©弁護士法人四谷麹町法律事務所(東京)|解雇,残業代請求,労働審判,団体交渉,問題社員などの労働問題の対応,相談 All Rights Reserved.
Return to Top ▲Return to Top ▲