ワード:「労働審判」

専門業務型裁量労働制が適用されている場合の残業代の計算方法を教えて下さい。

 専門業務型裁量労働制の適用が認められた場合,定めたみなし時間が法定労働時間を超える場合に限り,当該時間分の残業代が発生します。
 専門業務型裁量労働制の残業代を計算する際の基礎賃金は,「月額賃金÷当該月のみなし労働時間数」で計算します。あらかじめ法定労働時間を超えたみなし労働時間数を定めていることからすれば,その法定労働時間を超える時間に対して乗ずる率は125%ではなく25%で足り……

労働審判手続の管轄はどこですか?

 労働審判事件の管轄は,次のとおりです。
① 相手方の住所,居所,営業所若しくは事務所の所在地を管轄する地方裁判所
② 個別労働関係民事紛争が生じた労働者と事業主との間の労働関係に基づいて当該労働者が現に就業し若しくは最後に就業した当該事業主の事業所の所在地を管轄する地方裁判所
③ 当事者が合意で定める地方裁判所
④ 日本国内に相手方(法人そ……

労働審判手続の答弁書に記載する事項について,具体的に教えてください。

 労働審判手続において必ず提出されることが予定されている主張書面は,申立人(主に労働者側)の申立書と,相手方(主に会社側)の答弁書のみであり,相手方が準備する答弁書は,労働審判手続において,申立人の申立書と同様に,極めて重要なものです。
 労働審判規則16条では,答弁書に記載すべき事項を次のように定めています。
①申立ての趣旨に対する答弁
②労働審判手続の……

労働審判手続における第1回期日の呼出しと,第1回期日までに必要な準備について教えてください。

 労働審判手続は,原則として,3回以内の期日において審理を終結しなければならないとされており,当事者は,その実現のために必要な主張,立証を行い,計画的かつ迅速な手続進行に努める責務を負っています。第1回労働審判期日において争点及び証拠の整理を行うためには,第1回労働審判期日の前に,申立人(主に労働者側)及び労働審判委員会が答弁書の内容を検討する必要があることから,労働審判規則15条2項では,労働審……

労働審判手続において,申立書の写し等を相手方に送付するのはなぜですか?

 裁判所は,労働審判法6条の規定により,労働審判手続の申立てを却下する場合を除き,申立書の写し及び証拠書類の写し等を相手方に送付しなければならないと定められています(労働審判規則10条)。典型的な非訟事件は,裁判所は,申立書等の副本を相手方に送付する必要はありませんが,労働審判事件は非訟事件ではあるものの争訟性が強いことから,労働審判手続において相手方が十分な主張ができるようにするために,このよう……

労働審判手続における代理人の許可の申立てについて,具体的に教えてください。

 労働審判法4条は,労働審判手続における代理人について,弁護士を原則と定めた上で,ただし書きにおいて,一定の要件(裁判所が,当事者の権利利益の保護及び労働審判手続の円滑な進行のために必要かつ相当と認めるとき。)を満たす場合に,例外的に弁護士でない者を代理人とすることを認めています。そして,裁判所が本条の判断を適切に行うために,労働審判法5条は,代理人の許可の申立てについて,①代理人となるべき者の氏……

労働審判手続において,管轄の合意は書面で行わなければなりませんか?

 労働審判規則3条は,管轄の合意の方法について,書面でしなければならないと規定しています。仮に,口頭で管轄の合意をしたとすると,当該合意の成否や内容をめぐって後々疑義が生じたりする可能性があり,そうなった場合,労働審判手続の目的の一つである紛争の迅速な解決の実現が難しくなります。そこで,裁判所は,合意の際の当事者の意思の確認や,合意の成立及び内容についての証拠の確保をするために,本条で,管轄の合意……

労働審判に対する異議申し立てはどのように行えばいいですか?

 労働審判手続の結果として行われる労働審判について,当事者は,労働審判に不服があるときは,審判書の送達を受けた日又は労働審判期日において労働審判の口頭告知を受けた日から2週間以内に,裁判所に対して異議を申し立てることができます(労働審判法21条1項)。
 労働審判に対する異議の申立ては,書面でしなければならないとされており,この書面をもって訴訟手続きを開始させることから,裁判所にファ……

労働審判の内容に誤りがあった場合はどうなるのですか?

 労働審判手続の結果として行われる「労働審判」の内容に,計算違いや誤記などの誤りがあった場合,裁判所は,申立て又は職権により,いつでも更正決定をすることができます(労働審判法29条1項)。これは,審判書に代わる調書や調停成立調書においても,同様に考えることができます。
 なお,更正決定は,裁判書を作成していなければならないとされており(労働審判法29条1項),更正決定に対しては,更正……

労働審判が取り消されるのはどのような場合ですか?

 労働審判手続の結果として行われる「労働審判」は,審判書の送達を受けた日又は労働審判手続の期日において労働審判の口頭告知を受けた日から2週間以内に裁判所に対して異議の申立てがないときは,その効力が確定することになります(労働審判法21条1項,4項)。労働審判の公示送達については,当事者が労働審判の内容を実際に了知できることは期待できず,適法な異議の申立てが無いからといって労働審判を確定させると当事……

労働審判にはどのような効力がありますか?

 労働審判手続の結果として行われる「労働審判」に対し不服があるときは,当事者は,審判書の送達を受けた日又は労働審判期日において労働審判の口頭告知を受けた日から2週間以内に裁判所に対して異議の申立てをすることができます(労働審判法21条1項)。ただし,この期間に異議の申立てが無い場合は,労働審判は確定し,裁判上の和解と同一の効力を有することになります(労働審判法21条4項)。裁判上の和解は,調書に記……

労働審判規則2条で規定されている当事者の責務とはどういうものですか?

 労働審判規則2条は,当事者の責務として,①早期に主張及び証拠を提出し,②労働審判手続の計画的かつ迅速な進行に努め,③信義に従い誠実に労働審判手続を追行しなければならないと規定しています。
 ①早期の主張及び証拠の提出義務については,労働審判委員会が速やかに争点及び証拠の整理を行うために規定されたもので,労働審判規則9条,16条,27条では,申立書や答弁書の記載事項,証拠書類の提出等……

労働審判の「主文」及び「理由の要旨」について教えてください。

 労働審判委員会は,労働審判の主文において,当事者間の権利関係を確認し,金銭の支払,物の引渡しその他の財産上の給付を命じ,その他個別労働関係民事紛争の解決をするために相当と認める事項を定めることができると規定しています(労働審判法20条1項,2項)。
 労働審判の主文は,「○○万円を支払え。」というような労働審判委員会が当事者に命じる判決主文型と,「○○万円を支払う。」というような当……

労働審判に対する異議申立てを取り下げることはできますか?

 労働審判手続の結果として行われる労働審判に異議が申し立てられた場合,労働審判はその効力を失い,労働審判手続の申立て時に訴え提起がなされたものとみなされます(労働審判法21条3項,労働審判法23条1項)。
 労働審判に対する異議申し立ては,申立人,相手方いずれからもできます。しかし,申立人から労働審判に対し異議が申し立てられた場合,労働審判は訴訟へ移行し,その旨の通知が相手方にいくこ……

労働審判手続の結果として行われる「労働審判」とはどういうものですか?

 労働審判とは,個別労働関係民事紛争について当事者間の権利関係を踏まえつつ,事案の事実に即した解決をするために必要な審判をいいます(労働審判法1条)。
 たとえば,労働審判では,当事者間の権利関係を確認し,金銭の支払,物の引渡し,その他財産上の給付を命じたり,紛争解決のために相当と認める事項を定めることができます(労働審判法20条2項)。
 労働審判法20条では,「審理……

労働審判手続に参加した利害関係人は,当事者とどう違うのですか?

 労働審判手続の結果に利害関係を有する者は,労働審判委員会の許可を受けて,労働審判手続に参加することができ,また,労働審判委員会は,相当であると認めるときは,労働審判の結果について利害関係を有する者を労働審判手続に参加させることができます(労働審判法29条2項)。
 労働審判手続に参加した利害関係人は,基本的には,当事者と同様の権限を有することになります。しかし,利害関係人は,参加……

労働審判委員会が労働審判法24条により労働審判事件を終了させるのは,どのような場合ですか?

 労働審判手続は,個別労働関係民事紛争を迅速かつ適正に解決するため,原則として3回以内の期日において審理を終了し,労働審判又は民事調停による解決を行う手続です。事案の性質が,迅速かつ適正な解決を目的とする労働審判手続に適当でない場合には,労働審判委員会は,当該労働審判事件を終了させることができます(労働審判法24条)。
 労働審判手続を行うことが適当でない事件とは,3回以内の期日で審……

労働審判手続の申立ての取り下げについて教えてください。

 労働審判手続の申立ての取下げは,申立人が,労働審判期日で行うか,取下書を裁判所に提出する方法で行わなければなりません。
 労働審判手続の申立ての取下げが,労働審判期日で行われた場合,労働審判官(裁判官)が裁判所書記官に調書の作成を命じ,裁判所書記官が,申立ての取下げがあったことを調書に記載します。
 申立人が労働審判手続の申立てを取り下げた場合の効力は,裁判所に取下書……

労働審判手続に利害関係人は参加できますか?

 労働審判手続の結果に利害関係を有する者は,労働審判委員会の許可を受けて,労働審判手続に参加することができ,また,労働審判委員会は,相当であると認めるときは,労働審判の結果について利害関係を有する者を労働審判手続に参加させることができます(労働審判法29条2項)。利害関係人が労働審判手続へ参加を申立てて,労働審判委員会の許可を受けて労働審判手続に参加する場合を「任意参加」,労働審判委員会が利害関係……

労働審判事件が訴訟に移行した時の手続の流れを教えてください。

 労働審判事件が訴訟に移行すると,立件や記録の編成などの手続を経て,受訴裁判所に労働審判事件記録が引き継がれます。そして,裁判長が,訴状とみなされた労働審判手続の申立書等(申立の趣旨又は理由の変更申立書及び労働審判手続の期日において口頭で申立ての趣旨又は理由の変更がされた場合におけるその労働審判期日の調書を含む。以下同じ。)の書面について審査を行い,不備があれば原告に補正を命じます。この際,原告が……

労働審判事件が訴訟に移行した場合には,どのようなものが訴状とみなされるのですか?

 労働審判法22条3項は,「訴えの提起があったものとみなされたときは,民事訴訟法第137条 、第138条及び第158条の規定の適用については,第5条第2項の申立書を訴状とみなす。」と規定しています。
 また,労働審判規則32条では,「法第22条第1項(法第23条第2項及び24条第2項において準用する場合を含む。)の規定により訴えの提起があったものとみなされたときは,民事訴訟規則第56……

労働審判事件が訴訟に移行するのはどのような場合ですか?

 労働審判事件が訴訟に移行するのは,①労働審判に対する異議の申立て,②労働審判の取消決定,③労働審判事件の終了の3つのケースです。 ① 労働審判に対する異議の申立てによる訴え提起
 労働審判について当事者から適法な異議の申立てがなされた場合,労働審判は失効し,労働審判事件が係属していた地方裁判所に訴えの提起があったものとみなされます。 ② 労働審判の取消決定による訴え提起続きを見る

労働審判手続の期日は傍聴できますか?

 労働審判手続は非公開とされていますが,労働審判委員会が相当と認める場合には,労働審判期日の傍聴を許可することができます(労働審判法16条)。
 一般的には,事情をよく知る会社の担当者等,労働審判手続において参考人となるような場合に傍聴が許可されることが多い印象です。他にも,新任の労働審判員や司法修習生等の研さんのため必要がある場合にも,傍聴が許可されるであろうと考えます。続きを見る

労働審判員にはどのような人が任命されるのですか?

 労働審判員は,労働関係に関する専門的な知識経験を有する者のうちから,最高裁判所が任命します(労働審判法9条2項,労働審判員規則1条)。この「労働関係に関する専門的な知識経験」とは,労働者又は使用者の立場で個別紛争の処理等に実際に携わった経験及びその経験等を通じて身に付けた個別労働紛争についての実情や慣行,制度等の知識をいいます。
 労働審判員は,労働審判事件ごとに,当該事件が係属す……

労働審判員は,労働審判事件においてどのようなことをするのですか?

 労働審判員は,労働審判期日に出席し,労働審判委員会の一員として,当事者の陳述を聴き,争点整理や証拠調べを行い,調停成立による解決の見込みがある場合にはこれを試み,調停成立に至らないときは労働審判を行うなど,労働審判事件の審理全般に関与します。
 また,労働審判員は,労働審判委員会の意思決定をする必要が生じたときは,その構成員として評議に参加し,決議に加わります。労働審判委員会の決……

労働審判手続における申立ての趣旨又は理由の変更について教えてください。

 労働審判手続では,申立人は,申立ての基礎に変更が無い限り,申立ての趣旨又は理由を変更することができます(労働審判法29条1項)。
 労働審判手続の申立ての趣旨又は理由の変更は,労働審判期日で行う場合を除き,書面でしなければなりません(労働審判法29条1項)。
 労働審判委員会は,申立ての趣旨又は理由を変更することにより,3回以内の労働審判期日で審理を終結するのが困難な……

労働審判手続において,労働審判員に支障が生じたときはどうなるのですか?

 労働審判手続は,労働審判官と労働審判員2名で組織する労働審判委員会で行う必要があるから,労働審判員の一方に支障が生じたときに,労働審判官と他方の労働審判員だけで労働審判手続を行うことはできません(労働審判法7条)。労働審判員の支障が一時的なものであれば,労働審判期日を変更して対応することも考えられますが,長期的なものの場合は,労働審判員の指定を取り消した上で,新たな労働審判員を指定することになり……

労働審判事件において,費用負担の裁判はどのような場合に行いますか?

 裁判所又は労働審判委員会は,労働審判を含む事件を完結する裁判において,職権で,費用負担の裁判をしなければならないと定められています(労働審判法29条1項)。
 労働審判事件が裁判によらないで終了する場合においては,裁判所が必要と認めるときは,申立てにより又は職権で労働審判手続の費用の負担を命ずる決定をすることになります(労働審判法25条)。この「裁判所が必要と認めるとき」とは,手続……

労働審判手続における調停又は労働審判前の措置とはどういうものですか?

 労働審判委員会は,調停又は労働審判のために特に必要であると認める場合には,当事者の申立てにより,調停又は労働審判前の措置として,相手方その他事件関係人に対し,現状の変更又は物の処分の禁止その他調停又は労働審判の内容である事項の実現を不能にし又は著しく困難にさせる行為の排除を命じることができるとされています(労働審判法29条2項)。
 この措置をとるためには,次の4つの要件が必要と……

労働審判事件の記録について,当事者以外の者が閲覧又は謄写の請求をすることはできますか?

 労働審判事件において,当事者及び利害関係を疎明した第三者は,裁判所書記官に対し,労働審判事件の記録を閲覧又は謄写,その正本,謄写若しくは抄本の交付又は労働審判事件に関する事項の証明書の交付を請求することができるとされています(労働審判法26条1項)。労働審判手続は,原則として非公開ですが,訴訟的性格が強く,当事者のみならず利害関係のある第三者も,労働審判事件の記録の内容を把握する必要性があること……

労働審判手続において,当事者の死亡等により当事者が手続を続行することができない場合はどうなりますか?

 労働審判手続では,当事者の死亡等により当事者が手続を続行することができない場合でも,手続を中断することはありません。当事者に承継人があれば,当然に手続が承継され,承継人は実質的には当事者の地位に就くことになりますが,受継すべき者を確認し,手続の円滑な進行を図るために,承継人は書面による受継の申立てを行い,手続を受継しなければならないとされています(労働審判法29条1項等)。
 しか……

労働審判手続における「審理の終結」とはどういうものですか?

 労働審判手続における審理の終結は,労働審判委員会がその裁量によって行うものであり,これを宣言することにより,当事者に対し労働審判の資料を提出する最終時期及び労働審判の資料を伝えるとともに,労働審判委員が迅速に労働審判を行うことを可能にしたりします。
 また,労働審判委員会は,必要があるときは,終結した審理を再開することもできます。ただし,審理の終結を宣言した後に,新たな資料が提出さ……

労働審判手続の分離や合併は,どのような場合に行われるのですか?

 労働審判委員会は,労働審判手続の分離若しくは合併を命じ,又はその命令を取り消すことができ(労働審判法29条1項),これは労働審判員会の裁量によるものであるから,他の手続における分離,合併と同様,当事者はこれに対して不服を申し立てることはできないとされています。
 労働審判事件の分離とは,1つの労働審判事件において複数の申立てが併合されている場合に,申立てごとに個別の手続に分けること……

労働審判手続の期日に当事者が欠席した場合,手続の進行はどうなるのでしょうか?

 労働審判手続は,労働審判期日に当事者双方が出頭し,労働審判委員会が双方の主張を聴取しながら真実に迫っていく手続であり,原則,3回以内の期日で審理を終了しなければならないため,当事者は,期日を無駄にすることのないよう,必ず出頭することが求められています。
 しかし,実際に当事者の一方が労働審判期日に欠席した場合には,出頭している当事者の方から主張等を聴いて審理を進めることが可能なこと……

労働審判手続における補充書面は,どのような場合に提出するのですか?

 労働審判手続では,答弁書に記載された相手方の主張に対する反論や,これに対する再反論の主張は,原則として労働審判期日において口頭でするものとされており,例外的に,これを補充する書面(補充書面)を提出することが認められています(労働審判規則17条1項)。
 これは,書面審理に慣れていない労働審判員の便宜や,迅速性の確保を考慮しており,労働審判期日で当事者が口頭で主張を行い,これを聴いた……

労働審判手続において,労働審判委員会はどのように資料を収集しますか?

 労働審判委員会の資料の収集の方法は,①職権で事実の調査をする方法と,②申立てにより又は職権で必要と認める証拠調べをする方法があります。
 「事実の調査」とは,民事訴訟の証拠調べとは異なり,特別の方式に寄らず,かつ,強制力を伴わないで資料を収集することをいい,具体的には,当事者から言い分を聴いて実情を把握すること,参考人その他の関係人に事情を聴くこと,陳述書や契約書等の書類を点検する……

労働審判手続を迅速に行うために設けられている規定とはどういうものですか?

 労働審判法は,労働審判手続を迅速に行うために,労働審判委員会に対し速やかに争点及び証拠の整理を行うこと,3回以内の労働審判期日で審理を終結させることを,責務として課しています。また,労働審判法及び労働審判規則では,これ以外にも,迅速な手続きを行うための規定が設けられており,具体的には次のとおりです。
① 弁護士代理の原則(労働審判法4条1項)
② 周辺的な紛争を防止す……

労働審判事件の審理の流れを教えてください。

 労働審判手続は迅速に審理を行う必要があることから,主張書面である労働審判手続の申立書及び答弁書の記載等を充実させる規定が置かれているほか,当事者が本音を率直に発言し早期に紛争の実情が確認できるように,労働審判期日では,当事者が労働審判委員会に対し,口頭で主張をすることが原則となっています(労働審判規則17条1項)。
 労働審判手続は,審理の結果認められる当事者間の権利関係等を踏まえ……

労働審判手続の期日が変更されるのはどのような場合ですか?

 労働審判期日の変更は,顕著な事由がある場合に限り許されるとされていますが,第1回労働審判期日については,当事者の合意がある場合にも許されるものと解されます。
 労働審判期日の変更を行う際,当事者双方の他に,労働審判員2名との間でも日程調整をする必要があり,他の手続と比べて日程調整が困難なことから,期日変更の運用には厳格性が求められていると考えます。
 しかし,当事者や……

労働審判手続の答弁書には,どのような事項を記載すればいいのですか?

 労働審判手続の答弁書には,実質的な記載事項として,次のものを記載しなければならないとされています(労働審判規則16条1項)。
 ① 申立書の趣旨に対する答弁
 ② 労働審判手続の申立書に記載された事実に対する認否
 ③ 答弁を理由づける具体的な事実
 ④ 予想される争点及び当該争点に関連する重要な事実
 ⑤ 予想される争点ごと……

労働審判手続の第1回期日の呼出しは,どのような方法で行われますか?

 労働審判手続における期日の呼出方法は,民訴法の規定が準用されるので,次のいずれかを選択することになります。
 ① 呼出状の送達による方法
 ② 当該事件について出頭した者に対する期日の告知による方法
 ③ その他相当と認める方法
 第1回労働審判期日の呼出方法は,申立人には電話等で期日の呼出しを行い,相手方には期日の呼出状を普通郵便……

労働審判手続の第1回期日は,なぜ40日以内に指定されるのですか?

 労働審判規則13条は,労働審判官は,特別の事由がある場合を除き,労働審判手続の申立てがされた日から40日以内の日に第1回労働審判期日を指定しなければならないとしています。
 労働審判手続は,第1回労働審判期日で当事者双方の主張や立証計画が明らかになっている必要があり,同期日では,それを前提に争点及び証拠の整理を行うことが予定されています。つまり,第1回労働審判期日までに,相手方は労……

労働審判手続と訴訟等の紛争解決手続を重ねて申立てることはできますか?

 法令上,複数の紛争解決手続を同時に利用することは禁止されておらず,紛争解決のためにどの手続を選択するかは当事者の自由な意思に委ねられているため,同一の紛争について,労働審判手続と訴訟等の紛争解決手続を重ねて申立てることは可能です。
 労働審判手続の申立てがあった事件について訴訟が係属するときは、受訴裁判所は、労働審判事件が終了するまで訴訟手続を中止することができます(労働審判法27……

労働審判手続の申立てが却下されるのはどのような場合ですか?

 裁判所は,労働審判手続の申立てが不適法であると認めるとき,決定でその申立てを却下しなければならないとされています。その際の決定の主体は,労働審判委員会ではなく,裁判所になります。
 労働審判手続の申立てが不適法と認められる典型的な例としては,その申立に係る紛争が個別労働関係民事紛争に当たらない場合,当事者に当事者能力又は労働審判手続に係る行為能力が無い場合などが考えられます。続きを見る

労働審判手続の申立手数料はどのように算出されますか?

 労働審判手続の申立てには,申立手数料の納付が必要です。申立手数料の算出と基礎の算出の方法は,民事費用法3条1項,別表1の14の項に定められています。
 申立手数料の算出の基礎となるのは,「労働審判を求める事項の価額」であるところ,この価額はいわゆる訴額の算定と同様,労働審判手続の申立てをもって主張する利益によって算定するものとされています。
 また,労働審判を求め……

労働審判手続の調書は,どのような場合にどのようなことが書かれるのですか?

 労働審判手続の期日は,原則として調書の作成が義務付けられておらず,調書を作成するのは,①法令上調書の作成が必要とされる場合や,②労働審判官が作成を命じた場合に限られます。
 ①法令上調書の作成が必要とされる場合とは,次のとおりです。
(1)期日において労働審判の口頭告知をした場合(労働審判法20条7項)
(2)調停において当事者間において合意が成立した場……

労働審判手続において4回目の期日が行われるのはどのような場合ですか?

 労働審判手続は,特別の事情がある場合を除き,3回以内の期日で審理を終了しなければならないと定められています(労働審判法15条2項)。 民事訴訟において,期日と期日の間は1か月程度とする運用が定着してきたことから,労働審判法は期日を3回以内に制限することで,労働審判申立てから,長くても3~4か月程度で審理を終結するよう,審理期間の短縮化を図ったものと解されます。 4回目の期日が行われる「特別の事情……

労働審判事件の代理人は,なぜ,原則,弁護士でなければならないのですか?

 労働審判手続は,権利関係を踏まえて労働審判を行うとされており,権利関係の審理を行うことが前提となっています。そして,原則として3回以内の期日において審理を終結しなければならず,かつ,その手続の中で争点の整理や証拠調べ等を行う必要があることから,当事者には,手続の早い段階から事実関係や法律論について十分な主張を行い,必要と考える立証を行うことが求められます。短期間にこれらを適切かつ効率的に行うため……

どのような場合に労働審判事件を移送することになりますか?

 労働審判事件の移送については,管轄違いを理由とする移送及び裁量移送の規定が置かれています。 1.管轄違いを理由とする移送
 裁判所に労働審判手続の申立てがされた場合において,その裁判所が労働審判事件の全部又は一部について管轄を有しないときであっても,同裁判所は,その申立てを却下することができず,これを管轄裁判所に移送しなければならないとされています。なお,労働審判手続における管轄……

労働審判手続において解決を求めるのに適した紛争とはどういうものですか?

 労働審判手続は,原則として,3回以内の期日において審理を終結しなければならないものと定められています。したがって,労働審判手続において解決を求めるのに適した紛争とは,権利関係について争いがあり,争点について3回以内の期日で審理を行うことが可能と思われる事件であり,具体的には,争点が比較的単純な解雇事件,未払賃金(残業代等),退職金,解雇予告手当等の支払を求める事件などが考えられます。
……

労働者の採用に関する紛争や,派遣労働者と派遣先の事業主との間に生じた紛争は,労働審判手続の対象になりますか?

 労働審判法では,労働審判手続の対象を「労働契約の存否その他の労働関係に関する事項について個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争」としており,「労働関係に関する事項」として「労働契約の存否」が挙げられています。ここでいう「労働関係」とは,労働契約に基づく関係に限られず,事実上の使用従属関係から生じる労働者と事業主との関係も含むと解されます。労働者と事業主との間の紛争であっても,たとえば……

労働審判手続の対象となる「個別労働関係民事紛争」とはどういうものですか?

 個別労働関係民事紛争とは,労働者個人と事業主との間の解雇や雇止めの効力に関する紛争,賃金や退職金に関する紛争,安全配慮義務違反による損害の賠償を求める紛争等をいいます。
 個別労働関係民事紛争に該当するためには,個々の労働者と事業主との間の紛争であることが必要であるから,労働組合と事業主との間に生じた集団的労使紛争は,労働審判手続の対象にはなりません。
 もっとも,不……

労働審判手続は,弁護士以外にどのような人を代理人にすることができますか?

 労働審判法は,労働審判手続の代理人について,「法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか,弁護士でなければ代理人となることができない。ただし,裁判所は,当事者の権利利益の保護及び労働審判手続の円滑な進行のために必要かつ相当と認めるときは,弁護士でない者を代理人とすることを許可することができる。」と定めています。
 「法令により裁判上の行為をすることができる代理人」とは,……

労働審判制度の目的と対象を教えてください。

1.労働審判制度の目的
 近年,個々の労働者と事業主との間における労働関係に関する民事紛争が増加しており,その迅速かつ適正な解決を図ることが求められています。
 労働審判法は,このような状況に鑑み,個別の労働関係に関する民事紛争について,地方裁判所における手続として労働審判制度を設けることにより,紛争の実情に即した迅速・適正かつ実効的な解決を図ることを目的としています。……

残業代請求の訴訟において,付加金の制度があるようなのですが,それはどのような制度ですか?

 使用者が次の①~④の支払義務に違反した場合,裁判所は,労働者の請求により,使用者が支払うべき未払金のほか,これと同一額の付加金の支払を命ずることができます(労基法114条1項本文)。
 ①解雇予告手当(労基法20条)
 ②休業手当(労基法26条)
 ③時間外・休日・深夜労働の割増賃金(残業代)(労基法37条)
 ④年次有給休暇中の賃金(労基……

性差別が問題となる紛争を解決するための制度としては,どのようなものがありますか。

 性差別により労使の権利義務に関する紛争が生じた場合,労働審判を申し立てられたり,訴訟を提起されたりするリスクがあることは,通常の労使紛争と同様です。
 それに加え,性差別が問題となる紛争に関しては,事業主は均等法により苦情の自主的解決が求められていますし,都道府県労働局長による紛争解決の援助(助言,指導,勧告),機会均等調停会議による調停といった制度もあります。

弁護士を訴訟代理人に立てて労働訴訟を提起してきた事案の特徴を教えて下さい。

 近年では,早期に解決金を取得して労使紛争を解決することを希望する労働者は,労働審判を利用するのが通常です。本人訴訟であれば,労働審判がどのようなものかよく分からないため,訴訟を提起してきた可能性がありますが,弁護士が訴訟代理人についている場合は,労働審判ではなく訴訟を選択したことにそれなりの意味がある可能性が高いものと思われます。
 弁護士を訴訟代理人に立てて労働訴訟を提起してきた……

労働審判に異議が申し立てられて訴訟に移行した場合,最初から訴訟が提起された場合と比べて,解決までの時間が長くなってしまうのでしょうか。

 労働審判から訴訟に移行した場合,労働審判手続において既に争点の整理ができているケースが多いことから,和解交渉のため期日を重ねたというような事案でない限り,異議申立て後,判決までの期間は短くなっており,労働審判を経ずに訴訟が提起された場合と比較して,解決までの時間が長くなってしまうということは多くないようです。
 ただし,「訴状に代わる準備書面」の記載内容が労働審判手続を踏まえた内容……

労働審判に異議を申し立てて訴訟に移行した場合,どのような流れで訴訟手続が開始しますか。

 労働審判に異議を申し立てて訴訟手続に移行した場合,労働審判の代理人が引き続き訴訟を受任する場合であっても,新たに訴訟委任状を追完する必要があります。
 原告(労働審判手続における申立人)に対しては,異議申立てから2~3週間程度の間に,労働審判手続を踏まえた,「訴状に代わる準備書面」及び書証の提出,提訴手数料の追納及び郵便切手の予納が指示されることになります。
 これに対し……

労働審判に対し異議を申し立てるかどうかは,どのように判断すればよろしいでしょうか。

 労働審判手続で解決しておくべきか,労働審判に対し異議を申し立てて訴訟で戦うべきかの判断は,当該労働審判の内容自体の妥当性のほか,他の労働者への波及効果等をも考慮して決定すべきものです。労働審判の内容に若干の疑問があっても,問題の程度が大きくない場合や,他の労働者への波及効果が低い場合については,労働審判に異議を申し立てる必要性が低いと考えられます。
 実際の労働審判事件では,代理人……

労働審判手続で調停が成立しなかった場合はどうなりますか。

 労働審判委員会から示された調停案を当事者のいずれかが最後まで受け入れなかった場合は,24条終了するような場合を除き審理の終結が宣言され,概ね調停案に沿った内容の労働審判が当事者双方に告知されるか,審判書が送達されることになります。
 労働審判に対しては,告知・送達から2週間以内に異議を申し立てることができますが,当事者いずれも異議を申し立てなかった場合は,労働審判は裁判上の和解と同……

労働審判手続の第2回以降の期日は,どれくらいの時間がかかりますか。

 労働審判手続は,第1回期日で事実審理が終了していることが多いため,第2回以降の期日は調停をまとめるための期日になるのが通常であり,第1回期日よりも短時間で終わる傾向にあります。第1回期日で既に労働審判委員会から調停案が示されていたような場合には,解決金の金額を中心とした調停内容についての調整がなされることになり,当事者双方が調停案を直ちに受け入れたような場合は,期日は30分足らずで終了するこ……

労働審判手続の第1回期日にかかる時間はどれくらいですか。

 労働審判手続の第1回期日は,通常,2時間程度かかります。私がこれまで現実に経験した労働審判事件の第1回期日は,最短1時間20分~最長3時間30分かかっています。
 最低2時間,できれば3時間30分程度の時間を取られても不都合が生じないよう,スケジュール調整しておくべきでしょう。
 なお,第1回期日にかかる時間は,事案の複雑さの程度にもよりますが,同程度の事案であれば,申……

労働審判の第1回期日の出頭を弁護士に任せ,会社関係者は出頭しないことにすることはできますか。

 労働審判の第1回期日おける審理では,事実関係について説明する必要がありますが,事情をよく知る会社関係者が事実関係を説明しないことにはリアリティーがありません。例えば,解雇した際の言葉のやり取り等の重要な事実関係を,解雇の現場にいたわけでもない代理人弁護士が説明したのでは,今ひとつ説得力がないということは,ご理解いただけることと思います。
 労働審判の第1回期日の出頭を代理人弁護士……

紛争の実情をよく知っている担当社員が第1回期日に出頭できない場合はどうすればよろしいでしょうか。

 紛争の実情をよく知っている担当社員が,第1回期日には出頭できない場合であっても,第2回期日なら何とか出頭できそうだという場合は,その旨,答弁書に記載して事情を説明するなどして,労働審判委員会と進行の調整をするべきでしょう。
 当該社員が退職するなどして第2回期日にも出頭できないような場合は,今残っている社員でベストを尽くすほかありません。このような事態になっても,書面等の客観的な……

労働審判期日には会社の誰が出頭する必要がありますか。

 労働審判期日では双方の主張を基礎付ける事実関係について質問されますので,問題となる事実関係について直接体験した人物が出頭する必要があります。問題となる事実を体験した本人ではなく,報告を受けただけの人物しか出頭できないと,伝聞での証言しかできないため証言の証拠価値が下がり,事実認定の上で会社に不利益となることがあります。
 また,調停に応じるかどうかその場で判断できる立場の人物が同……

労働審判の答弁書において申立人の主張を否認する場合,否認の理由を記載する必要がありますか。

 民事訴訟では,答弁書その他の準備書面において,相手方の主張する事実を否認する場合には,その理由を記載しなければならないとされています(民訴規則79条3項)。
 審理充実の観点から否認の理由を答弁書に記載すべき要請は労働審判においても変わりませんので,労働審判の答弁書においても否認の理由を記載すべきでしょう。少なくとも,重要な事実の否認については,それなりの理由を記載すべきです。 ……

労働審判の答弁書には「答弁を基礎付ける具体的な事実」(労働審判規則16条1項3号)の記載が求められていますが,この項目には具体的に何を書けばいいのですか。

 労働審判の答弁書の「答弁を基礎付ける具体的な事実」(労働審判規則16条1項3号)の項目には,解雇,弁済等の抗弁事実を記載することになります(『労働事件審理ノート』)。

労働審判の答弁書を作成する上での注意点を教えて下さい。

 労働審判手続の当事者は,裁判所(労働審判委員会)に対し,主張書面だけでなく,自己の主張を基礎づける証拠の写しも提出するのが通常ですが,東京地裁の運用では,労働審判委員には,申立書,答弁書等の主張書面のみが事前に送付され,証拠の写しについては送付されない扱いとなっています。労働審判員は,他の担当事件のために裁判所に来た際などに,証拠を閲覧し,詳細な手控えを取ったりして対応しているようですが,自……

労働審判の答弁書を作成する十分な時間が取れない場合は,どうすればいいでしょうか。

 労働審判の第1回期日は,原則として申立てから40日以内の日に指定されます(労働審判規則13条)。相手方(主に使用者側)としては,答弁書作成の準備をする時間が足りないから第1回期日を変更したい,あるいは,主張立証を第2回期日までさせて欲しいということになりがちですが,労働審判は第1回期日までが勝負であり,第1回期日の変更は原則として認められませんから,たとえ不十分であっても,第1回期日までに全……

労働審判期日では緊張して,言いたいことが言えなくなりそうです。どうすればいいでしょうか。

  労働審判期日に出頭する会社関係者は,労働審判に不慣れなことが多いため,労働審判期日では,緊張して事実を正確に伝えることができなくなりがちです。
 言いたいことが言えないまま終わってしまうことがないようにするためには,事前に提出する答弁書に言いたいことをしっかり盛り込んでおいて,労働審判の期日に話さなければならないことをできるだけ減らしておくのが,最も効果的だと思います。 ……

労働審判を申し立てられたので,弁護士に労働審判の代理を依頼しようと考えているのですが,まずは何をする必要がありますか。

 弁護士は随分先までスケジュールが入りますから,申立書が会社に届いてからのんびりしていると,第1回期日の日時に別の予定が入ってしまいます。労働審判を申し立てられて,弁護士に労働審判の代理を依頼しようとする場合,まずは弁護士に労働審判期日のスケジュールを確保してもらう必要があります。
 複数の弁護士がいる法律事務所に労働審判の代理を依頼する場合で,所属弁護士の誰かが期日に出頭してもら……

労働審判の第1回期日は変更してもらえますか。

 労働審判手続においては,当事者双方及び裁判所の都合のみならず,忙しい労働審判員2名のスケジュール調整が必要なこともあり,第1回期日の変更は原則として認められないことに十分な注意が必要です。準備不足のまま第1回期日が間近に迫っているような場合や,依頼した代理人弁護士の都合がつかない場合であっても,第1回期日の変更は原則として認めてもらえません。
 第1回期日の変更が例外的に認められ……

労働審判の勝負のポイントを一言で言うと,どうなりますか。

 労働審判の勝負のポイントを一言で言うと,「第1回期日までが勝負。」となります。
 答弁書の提出期限までに,どれだけ有効な証拠を集められるか,充実した答弁書を作成することができるかで,9割方勝負は決まります。第1回期日で心証の確認作業がなされ,即日結論が出るのが通常です。
 労働審判手続内で当初の遅れを取り戻すのは困難で,これを本気でひっくり返そうと思ったら,訴訟でひっ……

労働審判を申し立てられた場合における使用者側の対応として,何が一番大事だと思いますか。

 労働審判手続においては,申立書及び答弁書の記載内容から一応の心証が形成され,第1回期日でその確認作業が行われて最終的な心証が形成された後は,その心証に基づいて調停が試みられ,調停が成立しない場合は労働審判が出されることになります。
 原則として第1回期日終了時までに最終的な心証が形成されてしまい,その後の修正は困難であることから,私は,
 ① 充実した答弁書の作成続きを見る

労働審判手続での解決率はどれくらいですか。

 平成24年~平成28年の統計では,労働審判手続において,約70%の事件で調停が成立し,解決しています。
 その他,労働審判(全体の約17%)に対し異議が申し立てられないケースが約41%ありますし(17%×41%=約7%),労働審判手続が取り下げられるケース(約8%)には手続外で和解が成立したため取り下げがなされたものも含まれると考えられますので,全体の解決率は約80%程度となるものと……

労働審判手続は第1回期日で事実審理を終えることがありますか。

 労働審判手続では,第1回期日で事実審理を終えるのがむしろ通常です。
 第2回期日に事実審理をするのは例外であり,第2回期日は調停をまとめるために開催される期日と考えた方がいいと思います。

労働審判手続の期日は何回くらい開催されますか。

 平成24年~平成28年の統計では,労働審判手続の開催期日の回数は以下のとおりです。
0回   962件  5.4%
1回  4956件 27.7%
2回  6993件 39.0%
3回  4698件 26.2%
4回以上 306件  1.7%
  労働審判は原則3回以内の期日で結論が出ることとされていますが,期日が3回以上開催された事……

労働審判手続の平均審理日数を教えて下さい。

 労働審判手続「申立て」からの平均審理日数は78.1日程度です。(統計期間平成24年~平成28年)
  申立書が会社に届いてから2か月程度といったところだと思います。

労働審判手続の全体像を把握するのに便利な資料を教えて下さい。

 労働審判手続の全体像を把握するのに便利な資料としては,裁判所ウェブサイトの労働審判手続に関するページがお勧めです。
 私は,依頼者に労働審判の全体像を説明する際,このページに掲載されている「~労働審判手続の流れ~」をプリントアウトして使用することが多くあります。 ……

労働審判委員会は何人で構成されますか。

 労働審判委員会は
 ① 労働審判官(裁判官) 1名
 ② 労働審判員(労働者側)1名
 ③ 労働審判員(使用者側)1名
の合計3名により構成されます。  

労働審判手続の結果に対する満足度はどうなっていますか。

 東京大学社会研究所の意識調査によると,労働者側は,「とても満足している」と「少し満足している」を合わせて約60%が満足していると回答しているのに対し,使用者側は,「全く満足していない」と「余り満足していない」を合わせて半分以上が満足していないと回答しています。
 労働審判は,労働者の方が,使用者よりも,満足度が高い傾向があるようです。

労働審判利用の理由としては,どのようなものが多いのでしょうか。

 東京大学社会科学研究所の意識調査によると,労働者が労働審判を利用した理由としては,
 ① 公正な解決
 ② 経済的利益
 ③ 社会的名誉や自尊心
 ④ 強制力のある解決
 ⑤ 自分の権利
等が多くなっています。
 これに対し,使用者側が労働審判を利用した理由としては,
 ① 公正な解決
 ② 申し立てら……

調停がまとまらない場合には労働審判が行われ,労働審判に対して異議を申し立てた場合には,自動的に訴訟に移行することが重要なのはどうしてですか。

 この点も,労働審判を民事調停と比較して考えると分かりやすいでしょう。
 民事調停で調停不成立の場合には何らの判断もなされないまま調停手続が終了してしまいます。民事調停が不成立になった場合,自動的には訴訟に移行しませんので,訴訟で争う場合には別途訴訟提起が必要となります。何らの判断もなされていない状態で別途訴訟を提起する負担は重いこともあり,そのまま紛争が立ち消えになることも珍しくあ……

裁判官(労働審判官)1名と労働関係に関する専門的な知識経験を有する労働審判員2名により権利義務関係を踏まえた調停が試みられることが重要なのはどうしてですか。

 この点は,労働審判を民事調停と比較して考えると分かりやすいでしょう。
 民事調停を利用した場合,裁判官が調停期日の全ての時間に同席するとは限らず,ほとんどの時間は裁判官は調停の場に同席せず,調停が成立することになったとき等,わずかな時間しか調停の場に現れないということも珍しくありません。必ずしも労働問題の専門的な知識経験を有するとはいえない調停委員が,調停をまとめることばかりに熱心……

労働審判手続の特徴として,迅速な解決が予定されていることが重要と考えているのはなぜですか。

 労働者の大部分は,解雇されたことなどを不満に思ったとしても,自分を解雇するような会社に本気で戻りたいとは思わないことが多く,従来は,転職活動や転職後の仕事の支障になりかねないことなどを懸念して,余程の事情がなければ,時間のかかる訴訟手続を利用してまで解雇の効力を争うようなことは多くありませんでした。
 しかし,労働審判手続は,原則として3回以内の期日で審理を終結させることが予定され……

労働審判手続の特徴として,どのような点が特に重要と考えていますか。

 労働審判手続の特徴はどれも重要なものですが,私が特に注目しているのは,
 ① 迅速な解決が予定されていること
 ② 裁判官(労働審判官)1名と労働関係に関する専門的な知識経験を有する労働審判員2名により権利義務関係を踏まえた調停が試みられること
 ③ 調停がまとまらない場合には労働審判が行われ,労働審判に対して異議を申し立てた場合には,自動的に訴訟に移行すること……

労働審判法の目的を教えて下さい。

 労働審判法は,
 ① 労働契約の存否その他の労働関係に関する事項について個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争(個別労働関係民事紛争)に関し,
 ② 裁判所において,裁判官(労働審判官)及び労働関係に関する専門的な知識経験を有する者(労使双方から1名ずつ選任される労働審判員合計2名)で組織する委員会が,当事者の申立てにより事件を審理し,
 ③ ……

労働局のあっせんへの参加は義務ですか。

 労働局のあっせんへの参加は義務ではありません。
 ただ,労働審判や訴訟になった場合と比較して解決金の相場が低めですので,直ちに参加を拒絶するのではなく,有効利用すべきと考えています。

紛争調整委員会から,「あっせん開始通知書」が会社に届きました。どのように対応すればいいでしょうか。

 労働者の請求に全く理由がないため,会社側は1円も解決金を支払う意思がないなど,全く譲歩の余地がない場合は,あっせんに参加しない旨記載した連絡票を紛争調整委員会宛,郵送又はFAXすることになります。あっせんに参加しない理由が客観的にもっともな内容で,労働者の納得を得ることができる可能性がある場合は,その理由を会社意見欄に記入した上で,「会社意見等について申請人(労働者)に知らせることについて」……

会社を辞めた社員の代理人弁護士から内容証明郵便が届き,7日以内に回答するよう要求されていますが,今が会社の繁忙期ということもあり,間に合いそうもありません。2週間後の回答では遅過ぎますか。

 一概には言えませんが,相手方から示された回答期限は必ずしも守る必要はないケースがほとんどです。一般論としては,しっかり準備して合理的期間内に回答すれば十分です。
 もっとも,合理的間を超えて回答が遅れると訴訟や労働審判を申し立てられてしまう可能性が高まりますので,合理的期間内に回答する必要はあります。回答の準備に時間がかかるようでしたら,その旨事前に連絡してから回答を準備することが……

パワハラ・セクハラを巡る紛争の実態は,どのようなものですか。

 パワハラ・セクハラを巡る紛争の実態には,以下のような傾向があります。
 ① パワハラ・セクハラを不満に思い,公的機関などに相談している労働者の数は多いが,パワハラ・セクハラを理由とした損害賠償請求がメインの訴訟,労働審判はあまり多くなく,解雇無効を理由とした地位確認請求,残業代請求等に付随して,損害賠償請求がなされることが多い。
 ② 解雇無効を理由とした地位確認請求,残……

飲食業で残業代(割増賃金)請求を受けるリスクが特に高いのはどうしてだと思いますか。

 飲食業で残業代(割増賃金)請求を受けるリスクが特に高い一番の理由は,飲食業では会社経営者が残業代(割増賃金)を支払わなければならないという意識が低いことにあると考えています。飲食業の経営者に残業代(割増賃金)を支払わない理由を聞いてみると,
 「飲食業だから。」
 「昔からそういうやり方でやってきて,問題になったことはない。」
 「飲食業で残業代なんて支払……

運送業を営む会社において,残業代(割増賃金)の趣旨を有する手当を支給する際の注意点を教えて下さい。

 運送業を営む会社において,残業代(割増賃金)の趣旨を有する手当を支給する際の注意点は,大きく分けて
 ① 残業代(割増賃金)の趣旨を有する手当であることを明確にすること
 ② 残業代(割増賃金)とそれ以外の賃金とを明確に判別できるようにすること
の2つです。
 まず,①についてですが,当該手当が残業代(割増賃金)の趣旨を有することが明確でない名……

定額(固定)残業代の支給名目はどのようなものがいいでしょうか。

 定額(固定)残業代を支給する場合は,基本給の中に一定の金額・時間分の残業代が含まれる扱いにしたり,営業手当等の名目で一定額を支給する扱いにしたりするよりも,「残業手当」「時間外勤務手当」「深夜勤務手当」「休日勤務手当」等,それが残業代であることが給与明細書の記載から直ちに分かるよう記載しておくといいと思います。残業代であることが明白な名目で支給することにより,労働者の納得も得られやすくなり,……

残業代(割増賃金)込みの賃金ということで社員全員が納得しており,誰からも文句が出ていないのですから,別途残業代(割増賃金)を支払わなくてもいいのではないですか。

 残業代(割増賃金)込みで月給30万円とか,日当1万6000円と約束しており,それで文句が全く出ていないのだから,残業代(割増賃金)に相当する金額を特定していなくても,未払残業代(割増賃金)の請求を受けるはずはない,少なくともうちは大丈夫,と思い込んでいる会社経営者がいらっしゃいますが,甘い考えと言わざるを得ません。現実には,解雇などによる退職を契機に,未払残業代(割増賃金)を請求するたくさん……

残業代(割増賃金)の請求を受けている労働審判事件で付加金の支払を命じられることがありますか。

 労働審判は判決ではありませんので,労働審判で付加金の支払を命じられることはありません。
 労働審判手続申立書において付加金の請求がなされていることは珍しくありませんが,これは,労働審判手続において調停が成立せず,労働審判に対して異議が出されて訴訟に移行した場合に備え,2年の除斥期間を遵守するためのものに過ぎません。

有期契約労働者が正社員と同じ待遇を要求する。

1 問題の所在
 有期契約労働者の労働条件は個別労働契約,就業規則等により決定されるべきものですので,正社員と同じ待遇を要求することは認められないのが原則です。
 しかし,有期契約労働者が正社員と同じ仕事に従事し,同じ責任を負担しているにもかかわらず,単に有期契約というだけの理由で労働条件が低くなっているような場合には,「期間の定めがあることによる不合理な労働条件の……

精神疾患を発症したのは長時間労働や上司のパワハラ・セクハラのせいだと主張して損害賠償請求してくる。

 長時間労働や上司のパワハラ・セクハラが原因となって労働者が精神疾患を発症した場合,使用者は安全配慮義務違反(労契法5条,民法415条)又は使用者責任(民法715条)を問われ,損害賠償義務を負うことがあります。
 過去の裁判例,心理的負荷による精神障害の労災請求事案において労業務上外を判断する際に用いられる「心理的負荷による精神障害の認定基準(平成23年12月26日基発1226第1号)」……

注意するとパワハラだなどと言って,上司の指導を聞こうとしない。

1 パワハラとは
 パワーハラスメントは法律上の用語ではなく,統一的な定義はありません。
 平成22年1月8日付け人事院の通知では,パワーハラスメントは,一般に「職権などのパワーを背景にして,本来の業務の範疇を超えて,継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い,それを受けた就業者の働く環境を悪化させ,あるいは雇用について不安を与えること」を指すとされています。続きを見る

勤務態度が悪い。

1 注意指導
  勤務態度が悪い社員は,注意指導してそのような勤務態度は許されないのだということを理解させる必要があります。訴訟や労働審判になって弁護士に相談するような事例では,当然行うべき注意指導がなされていないことが多い印象があります。
 勤務態度が悪い社員を放置することにより,他の社員のやる気がそがれたり,新入社員がいじめられたり,仕事を十分に教えてもらえなか……

遅刻や無断欠勤が多い。

1 原因の調査
 遅刻や無断欠勤が多い社員は,まず,どうして遅刻や無断欠勤が多いのかを調査する必要があります。なぜなら,単に社員がだらしなくて遅刻や無断欠勤が多いとは限らず,体調不良のため遅刻や無断欠勤が多くなっているかもしれないからです。
 遅刻や無断欠勤が多い原因が社員の体調不良の場合は,残業を禁止したり,医師の受診を促したり,休職命令を検討したり,傷病手当金の……

「仕事を休みます。」とだけ連絡してきて,勝手に何日も休んで周りに迷惑をかけている問題社員を解雇する際の注意点を教えて下さい。

 勝手に何日も休んで周りに迷惑をかけている社員を解雇する場合は,正当な理由なく欠勤を続けていることを解雇理由とするのが通常です。
 したがって,この解雇の有効性を判断するにあたっては「欠勤」の有無,日数,欠勤の理由等が問題となります。
 ここで最初に問題となるのが,「仕事を休みます。」との連絡が,年次有給休暇の取得申請なのか,欠勤の届出なのかという点です。
……

協調性がない。

1 「協調性がない。」の具体的意味の確認
 「協調性がない。」といっても程度問題です。通常許される個性の範囲内に収まっているのか,それとも,社員や管理職としての適格性が問われたり,企業秩序を阻害したりする程度にまで至っているものなのかを見極める必要があります。
 周囲の社員に問題があることもありますので,周囲の社員の言うことを鵜呑みにして,裏付けを取らずに協調性がな……

中小企業の労働問題にはどのようなものが多く,労働審判を申し立てられたり訴訟を提起されたりしないようにするためには,特にどのようなことに注意する必要がありますか。

 中小企業の労働問題としては,解雇,退職,残業代請求,賃金減額を中心とした労働条件の不利益変更,セクハラ・パワハラ・マタハラ等のハラスメントの問題が多いですが,労働審判や訴訟にまで至るのは,解雇,退職,残業代請求がメインとなるものがほとんどです。
 セクハラ・パワハラ・マタハラ等のハラスメントは,相談件数自体は多いようですが,セクハラ・パワハラ・マタハラ等のハラスメントだけで労働審……

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 弁護士法人四谷麹町法律事務所(東京)は,健全な労使関係を構築して労働問題のストレスから会社経営者を解放したいという強い想いを持っており,会社経営者側専門の法律事務所として,解雇,退職勧奨,残業代,試用期間,精神疾患,団体交渉,労働審判,問題社員,パワハラ等の労働問題の予防解決に力を入れています。
 健全な労使関係を構築して労働問題のストレスから会社経営者を解放したいという強い想い……

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