Q64 休憩時間に電話応対した時間は労働時間であると主張して,その時間分の賃金を請求する社員がいる。

1 労働時間とは
 労基法上の労働時間とは,労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい,客観的に定まるものです。
 つまり,労働契約等で休憩時間と定めていたとしても,客観的にみて労働者が使用者の指揮命令下に置かれていると判断された場合には,当該時間は労働時間になります。

2 休憩時間か否かの判断
 休憩時間とは,労働者が労働時間の途中において休息のために労働から完全に解放されることを保障されており,労働者が自由に利用することができる時間をいいます。
 具体的には,使用者の明示または黙示の指示の有無,労働者が当該時間に自由に外出できるようになっていたのか,また,電話が掛かってくる頻度やその対応について考慮し,個別に判断していくことになります。
 ご質問のケースでは,休憩時間中,使用者が客観的にみて労働者に来客当番として待機させていたと評価されるかが問題になります。労働者が事業場内での在室を義務付けられており,電話が鳴った場合には使用者の指示を待たずに即時これに対応することが要求されていた場合は,労働者が労働から離れることが保障されているとはいえず,電話対応した時間は労働時間に該当すると考えます。

3 裁判例
 休憩時間を労働時間と判断した裁判例として,飲食店店員が休憩時間中にあっても来客があった場合には対応をすることを義務付けていたすし処「杉」事件(大阪地裁昭和56年3月24日判決),観光バス運転手の目的地到着後の待機時間中に利用客との打ち合わせ等が義務付けていた大阪淡路交通事件(昭和57年3月29日判決)があります。
 一方で,顧客の来訪や電話対応があったとしても,休憩時間の自由利用が保障されていなかったとは言い難いとして,労働時間性を否定した京都銀行事件(大阪高裁平成13年6月28日判決)があります。

文責:飯島 潤

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