労働問題932 どのような行為が不当労働行為として禁止されている支配介入に当たりますか?

 支配介入には、次の場合があります。
(1) 労働者が労働組合を結成したり運営したりすることに、介入すること
(2) 労働組合に対して経費援助すること
 支配介入行為には、直接組合を対象にしたものと、所属組合員を対象にしたものがあります。また、団体交渉の拒否も、状況によっては組合の団結力を弱体化させる支配介入と評価される場合があります。

 経営者側の意見を伝える行為が支配介入となる場合があります。例えば、裁判例①日本アイ・ビーエム事件(東京地裁平成15年10月1日判決)、②日本航空事件(東京高裁平成27年6月18日判決)、③JR東日本事件(東京高裁平成26年9月25日判決)では、①と②は支配介入が認められ、③は否定されました。いずれの裁判例も、自己の認識を述べることの正当性と、組合活動に与える効果と微妙な関係をどのように捉えるかが争点となりました。②は、航空会社の更生管財人であった企業再生支援機構ディレクターらが、航空会社の従業員で組織する労働組合との事務折衝の場での発言が、支配介入の不当労働行為に当たるとされた事案ですが、第一審判決は、更正管財人の組合に対する善管注意義務の履行として適法であること、情報伝達の時期や方法が労働組合の利益に反しないものであることが必要であるとした上で、ディレクターらの発言内容は、機構の組織としての見解を正確に伝えるものであったとはいえず、また、伝達時期も争議権の確立の最中であったたため、組合の利益を害しない時期だったとはいえないことから、不適法と判示し、控訴審判決もこれを指示しました。

 また、意見を伝えるのが経営者ではなく、管理監督者、一般従業員、別組合員といった者により行われた場合、どの限度で使用者の支配介入となるかが問題となることがあります。
 結論としては、「意を通じて」いなくても、使用者の「意を体しての行為」と評価されるときは、個人的な発言と考えられる特段の事情がない限り、支配介入になる場合があります。
 ②日本航空事件では、再生機構のディレクターらの発言が、事務折衝で「機構としての見解を述べる」等の断りをした上でのもので、内容も機構の更生会社に対する出資予定者としての判断を伝えるものでしたが、裁判所は、機構の更生管財人に対する出資予定者としての立場は、更正会社の更生支援という一つの目的の下で密接に関連しており、発言したディレクターらは使用者としての団体交渉の場でも機構による原告に対する出資の可否について言及することがあったこと等から、更生管財人としての立場を捨象してなされたものとは認められないとしました。

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