労働問題893 皆勤手当や無事故手当は、除外賃金である「臨時に支払われた賃金」(労基則21条4号)に該当しますか。

 通達(昭和22年9月13日基発第17号)では、「臨時に支払われた賃金とは、臨時的、突発的事由にもとづいて支払われたもの、及び結婚手当等支給条件は予め確定されているが、支給事由の発生が不確定であり、且つ非常に稀に発生するものをいうこと。名称の如何にかかわらず、右に該当しないものは、臨時に支払われた賃金とはみなさないこと。」とされています。
 皆勤手当や無事故手当は、通常、賃金計算期間の労働日に全て出勤し遅刻日数も少ない場合、無事故であった場合に支給されるものです。臨時的、突発的事由に基づいて支払われるものとはいえません。多くの会社では、皆勤手当や無事故手当の支給事由が非常に希に発生するものであるともいえないでしょう。通達を前提とすると、皆勤手当や無事故手当は「臨時に支払われた賃金」には該当しないケースが多いと思います。
 もっとも、支給事由の発生が不確定であれば、非常に希に発生するものである必要はないという解釈も十分あり得ます。デイリートランス事件大阪地裁令和元年11月21日判決(2019WLJPCA11218001、2020年版要旨集75頁)では、「被告の賃金規定において、精勤手当が、当月、欠勤(有給休暇を除く)及び3回以上の遅刻のない者に月額1万円を支給する旨定められていること、現に原告についても欠勤のある平成29年6月分の精勤手当が支給されていないこと」を理由として、精勤手当が「臨時に支払われた賃金」(労基則21条4号)に当たると認定されています。

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