労働問題822 有期労働契約における不更新条項や更新限度特約について,裁判例ではどのような判断がなされていますか?

 雇止めの有効性に関連して問題となっているのが、不更新条項や更新限度特約です。不更新条項とは、有期労働契約について当該契約期間が満了した場合には更新しないことをあらかじめ合意しておくことをいいます。更新限度特約とは、有期労働契約を結ぶ際に、更新の回数の限度についてあらかじめ合意しておくことをいいます。裁判例では、ある程度の更新がなされている場合でも、更新限度特約などから解雇権濫用法理の類推適用が行われないケースがあります。

 近畿コカ・コーラボトリング事件(大阪地裁平成17年1月13日判決)や本田技研工事事件(東京地裁平成24年2月17日判決、東京高裁平成24年9月20日判決)は、次回を不更新とすること等について、「事前に説明会を聞いて了承した上で、不更新条項の記載のある本件各契約書を原告らに交付し、原告らはこれに署名押印した上、確認印も押印しているのであるから、その意思表示は明確かつ客観的なものというべき」として、会社と労働者との契約は合意により終了していると判示しました。
 一方、京都新聞COM事件(京都地裁平成22年5月18日判決)は、更新限度が3年であることについて説明会を実施したものの、その説明が曖昧であるとして、その有効性を認めませんでした。
 報徳学園事件(最高裁第一小法廷平成22年9月9日決定)は、更新回数限度特約の有効性を認めた上で、専任教諭への登用の期待も合理性が貧しいとして雇止めを認めた原審を支持しています。
 ダイキン工業事件(大阪地裁平成24年11月1日判決)は、有期労働契約の更新について、会社が明確な意思をもって2年6か月を更新の限度とすることとしていたことや、就業規則にもその旨の規定を設けていたこと、その代わりに無期の正社員として登用するための試験を実施していたことなどを指摘した上で、労働契約が2年6か月を超えて更新されることに対する合理的期待を有する余地はなかったと判示しました。

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