労働問題785 降格にはどのような種類がありますか?

 降格に関する法律上の定義はなく、その意味内容は多義的ではありますが、一般的には、労働契約上の根拠の違いに着目して、人事上の措置としての降格、懲戒処分としての降格に分類され、さらに、人事上の措置としての降格の中でも、職位や役職の引下げを指す場合、職能資格制度上の等級の引下げを指す場合、職務等級制度上の職務等級を引き下げる場合等があります。
 職位や役職の引下げについては、例えば、課長職から係長職へ役職を引き下げる場合のように、降格が一定の職位や役職を解くことを指す場合があります。
 また、職能資格制度上の資格を上級職から中級職に引き下げる場合のように、降格が職能資格制度上の資格や等級を引き下げることを指す場合もあります。
 ちなみに職能資格制度とは、従業員が持つ能力に応じて資格・等級を定める制度をいいます。ここでいう「能力」とは、当該企業内で職務を遂行するために蓄積された能力を指しますが、勤続年数、学歴、年齢といった属人的な要素も考慮して格付けされる場合が多いです。そして、一般職・中級職・上級職といった資格の他、1級・2級・3級…といった等級が定められ、基本給の全部又は相当部分がこれらの資格と等級に応じて定められたりします。この資格・等級はあくまで「能力」であり、「成果」ではないため、資格等級が下がることは予定されていません。また、資格・等級と職位は、必ずしも厳密な対応関係があるとは限りません。そのため、職位のみ引き下げる場合や、資格・等級を引き下げる場合も考えられます。
 降格は、職務等級制度上、営業次長職に位置付けていた者を、営業課長職に位置付ける場合のように、降格が職務等級制度上の等級を引き下げることを指す場合もあります。
 また、職務等級制度と類似する制度として、役割等級制度があります。役割等級制度とは、特定の職務ではなく、従業員が果たすべき役割を設定し、その役割を担う労働者に同一の処遇を行う制度です。職務の厳密な定義付け、職務価値の評価という煩雑さを避けることができるとされており、ここでも等級の引下げという場面が考えられます。
 職能や職務とは無関係に、給与等級に従って賃金が定められているケースで、この給与等級を引き下げて賃金を下げる場合もありますが、これは賃金の変動の問題であり、賃金減額が有効か否かという視点で考えるべきと考えます。

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