労働問題771 残業代(割増賃金)の支払の対象となる労働時間とはどのような時間ですか?

 使用者は、労働者に法定時間外労働時間、法定休日労働時間、深夜労働時間に働かせた場合には、残業代(割増賃金)を支払わなければなりません(労基法37条)。

1.法定時間外労働時間
①法定時間外労働時間
 1日8時間又は1週40時間(映画制作事業を除く映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業の事業であって常時10人未満の労働者を使用する場合は1週44時間)を超える時間外労働は、残業代(割増賃金)の支払対象となります。
 法定時間外労働が適法となるのは、災害等による臨時の必要性がある場合と、時間外及び休日労働に関する労使協定(36協定)を締結し行政官庁に届け出た場合に限ります。もっとも、これによらない場合であっても、法定時間外労働に働かせた場合には、残業代(割増賃金)の支払対象となります。
②法定時間内労働時間
 所定労働時間が1日8時間未満の会社において、当該所定労働時間を超えて1日8時間までの時間における労働時間は、法定時間外労働時間ではないため、1週40時間を超えない限り、残業代(割増賃金)の支払対象とはなりません。
 所定労働時間とは、所定の始業時刻から終業時刻までの所定就業時間から休憩時間を差し引いた時間のことをいい、法定労働時間の範囲内で定めなければなりません。
 法定時間内労働時間に働かせた場合、就業規則又は個別の労働契約により支払額が定められている場合は当該賃金が支払額となりますが、定めがない場合は、通常の労働時間の1時間当たりの賃金を支払わなければなりません。

2.法定休日労働時間
 1週1日又は4週4日の法定休日における労働は、残業代(割増賃金)の支払対象となります。
 法定休日を事前に別の日に振り替えた場合、振替前は法定休日であった日における労働は、法定休日労働ではなくなりますので、残業代(割増賃金)の支払義務は生じません。しかし、事後に振り替えた代休の場合は、法定休日に労働させたことに変わりはありませんので、残業代(割増賃金)の支払義務が生じます。
 なお、週休2日制などで、週に2日以上の休日がある場合、休日のうち1日は法定休日になり、それ以外の休日は法定外休日となります。法定外休日労働は、法定休日労働と違い残業代(割増賃金)の支払義務は生じませんが、1日8時間又は1週40時間を超える時間外労働をさせた場合には、法定時間外労働の残業代(割増賃金)を支払わなければなりません。

3.深夜労働時間
 午後10時から午前5時までの深夜の労働時間は、残業代(割増賃金)の支払対象となります。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
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