労働問題683 法定年次有給休暇と会社有給休暇の違いを教えてください。

 法定年次有給休暇と会社有給休暇は、以下のとおり、発生要件、法的性質、効力等に違いがあります。

1.法定年次有給休暇
① 労働者の希望する時季に与えなければならない
② 労働者が希望する日を特定し、会社に通知することにより年休が確定するため、使用者の承認は必要としない。ただし、労働者が希望する日に法定年次有給休暇を与えることにより事業の正常な運営が妨げられる場合には、使用者は時季変更をすることができる。
③ 「1週間前までに文書で所属長に申し出ること」等、取得手続きを守らない場合には法定年次有給休暇を認めないという取扱いはできないが、「なるべくそのようにしてもらいたい」という訓示程度のものなら差し支えない。また、当日以降になっての申し出に対する制限はできる。
④ 法定年次有給休暇の利用目的を申し出なければ与えないとする取扱いはできない。
⑤ 単に、繁忙期だから他の日にしてほしいという理由で法定年次有給休暇の取得を認めないという取扱いはできず、あくまで、事業の正常な運営が妨げられるという客観的な理由がある場合のみ時季変更をすることができる。ただし、労働者に対して変更の申込みをすることはできるが、労働者がこれに応じるか否かは労働者の自由。
⑥ 年休の買上げについては、法定年次有給休暇は2年間の有効期限があり、この期間中の買上げはできない。ただし、例外的に、2年間経過後において時効によって消滅した有給休暇や、退職勧奨をして労働者を退職させる場合などに退職パッケージとして退職時に未消化の有給休暇を買上げることは認められている。
⑦ 法定年次有給休暇の有効期間を1年とし、年度中に取得しない場合は消滅させ繰り越しを認めないという取扱いはできない。労基法115条により2年間の消滅時効が認められており、2年間有効なことから、このような繰越制度は違法となる。

2.法定外有給休暇
① 請求の時季や請求の手続について、制限を設けることができる。
② 労働者が希望する日を特定し会社に通知した場合に、使用者の承認によってはじめて休暇が成立する旨定めても差し支えない。
③ 「1週間前までに文書で所属長に申し出ること」等、取得手続きを守らない場合には会社有給休暇を認めないという取扱いをすることができる。
④ 会社有給休暇の利用目的を申し出なければ与えないとする取扱いをすることができる。
⑤ 単に、繁忙期だから他の日にしてほしいという理由で会社有給休暇の取得を認めないという取扱いは、就業規則に明白にその旨を定めていればできる。
⑥ 未取得の休暇分を買上げることができ、制限もない。
⑦ 年度中に取得しなかった休暇を消滅させ、繰越を禁止することができる。

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