労働問題680 労働時間規制の適用が除外される「監視または断続的労働に従事する者」とはどのような労働者ですか?

 労基法では、法定労働時間や休憩・休日に関し、最低限の基準が定められており、それを超えて働かせた場合、割増賃金(残業代)を支払わなければならないとされています。その一方で、労基法41条では、次の3種類の労働者について、法定労働時間や休憩・休日の規制の適用除外を認めています。
① 農業、畜産業、養蚕業、水産業に従事する者(林業は含まれません)
② 管理監督者の地位にある者または機密の事務を取り扱う者
③ 監視または断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けた者
 ③の「監視または断続的労働に従事する者」は、原則として身体または精神の緊張が少なく労働密度が薄いこと、または作業が間欠的であり手待ち時間が多いことから、労働時間規制の適用が除外されています。
 ここで注意すべきことは、労働時間、休日の規制の適用がないことから、たとえば、1日20時間労働、年間休日無しで働かせても構わないという考え方をする企業が出てくるという点です。
 大手印刷会社において、ロッカー室管理人を隔日24時間、休日なしで働かせ、当該管理人が脳内出血を発症した事件について、業務上災害と認めた新宿労基署長事件では、労基署長の許可を得ていなかったことが問題となりました(東京高裁平成3年5月27日判決)。許可を取っていれば、隔日24時間、休日なしの勤務体制に対して許可がなされることはありえないと考えられるからです。

 通達では、監視労働及び断続労働について、次のとおり定めています。

監視に従事する者(昭和22年9月13日基発17号、昭和63年3月14日基発150号)
 監視に従事する者は、原則として一定部署にあって監視するのを本来の業務とし、常態として身体又は精神的緊張の少ないものについて許可すること。したがって、次のようなものは許可しないこと。
① 交通関係の監視、車両誘導を行う駐車場等の監視等精神的緊張感の高い業務
② プラント等における計器類を常態として監視する業務
③ 危険又は有害な場所における業務

断続的労働に従事する者(昭和22年9月13日基発17号、昭和23年4月5日基発535号、昭和63年3月14日基発150号)
 断続的労働に従事する者とは、休憩時間は少ないが手待時間が多い者の意であり、その許可は概ね次の基準によって取り扱うこと。
① 修繕係等通常は業務閑散であるが、事故発生に備えて待機するものは許可すること。
② 寄宿舎の賄人等については、その者の勤務時間を基礎として作業時間と手待ち時間折半の程度まで許可すること。ただし、実労働時間の合計が8時間を超えるときは許可すべき限りではない。
③ 鉄道踏切番等については、1日交通量10往復程度まで許可すること。
④ その他、特に危険な業務に従事する者については許可しないこと。

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