労働問題677 時間外労働を命じるために必要な要件を教えてください。

 時間外労働の命令権は、裁判(静内郵便局事件最高裁昭和59年3月27日判決、日立製作所武蔵工場事件最高裁平成3年11月28日判決)において、①労働者個人の同意を必要とする立場、②企業の命じ得る旨の労働協約、就業規則、労働契約などの根拠規定がある場合は足りるという立場、③36協定の締結と届出があれば足りるという立場等がありましたが、③の支持者はいなかったため、①と②が対立していました。そして、労働者個人の同意は必要ないということで、②で決着がつきました。
 日立製作所武蔵工場事件の最高裁判決では、次のように述べており、36協定の締結と届出、その協定に定めている時間外労働の業務上の必要性に相当すること、労働協約、就業規則等に時間外労働を命じる旨の根拠規定があることを、時間外労働の要件としています。

日立製作所武蔵工場事件(最高裁平成3年11月28日判決)
 思うに、労働基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの)32条の労働時間を延長して労働させることにつき、使用者が、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等と書面による協定(いわゆる36協定)を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該36協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めているときは、当該就業規則の規定の内容が合理的なものである限り、それが具体的労働契約の内容をなすから、右就業規則の規定の適用を受ける労働者は、その定めるところに従い、労働契約に定める労働時間を超えて労働をする義務を負うものと解するを相当とする(最高裁昭和43年12月25日大法廷判決(秋北バス事件)、最高裁昭和61年3月13日第一小法廷判決(電電公社帯広局事件))。

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