労働問題657 労基法上の労働時間規制の適用除外者とは、どのような社員のことをいうのですか?

1.労働時間規制の適用除外者とは
 労基法では、法定労働時間や休憩・休日に関し、最低限の基準が定められており、それを超えて働かせた場合、割増賃金(残業代)を支払わなければならないとされています。その一方で、労基法41条では、次の3種類の労働者について、法定労働時間や休憩・休日の規制の適用除外を認めています。
 ① 農業、畜産業、養蚕業、水産業に従事する者(林業は含まれません)
 ② 管理監督者の地位にある者または機密の事務を取り扱う者
 ③ 監視または断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けた者
 なお、労基法第41条が定める労働時間規制の適用除外者であっても、年次有給休暇(労基法第39条)及び深夜業については除外されません。したがって、深夜に労働させた場合は、深夜割増賃金を支給する必要があります。また、年少者や妊産婦の深夜業禁止規定(労基法61条、66条3項)についても適用除外にはなりませんので、注意が必要です。

2.① 農業、畜産業、養蚕業、水産業に従事する者
 農業や畜産業は、業務の性質上、天候や自然状況などの外的要因に左右されやすく、法定労働時間や週休制の規制になじまないため、労働時間制の適用除外とされています。

3.② 管理監督者の地位にある者または機密の事務を取り扱う者
 管理監督者や機密事務取扱者は、会社の経営的立場の者と一体であると考えられ、法定労働時間や休日の規制を超えて働くことが本来的に予定される者であるため、労働時間制の適用除外とされています。
 管理監督者や機密事務取扱者の範囲を使用者が自由に決めることはできず、あくまで労働基準法上認められた者の範囲に限られます。通達(昭和22年9月13日)では、機密事務取扱者の範囲ついて、以下のとおりとしています。
〈機密事務を取り扱う者の範囲〉
 機密の事務を取り扱う者とは、秘書その他職務が経営者又は管理監督者若しくは管理の地位にある者の活動と一体不可分であって、出社退社などについて厳格な制限を受けない者であること。

4.③ 監視または断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けた者
 監視・断続労働に従事する者は、通常の労働者と比較すると労働密度が薄く、労働時間や休日、休憩の規制を除外しても労働者保護に欠けることは無いと考えられるため、労働時間制の適用が除外されています。
 通達(昭和63年3月14日基発150号)では、監視業務に従事する者について、原則として一定の部署にあって監視することを本来の業務とし、常態として身体又は精神的緊張の少ない労働のことをいうとしています。

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