労働問題302 営業社員からの残業代(割増賃金)請求対策で最も重要なことは何だと思いますか。

 事業場外労働のみなし労働時間制の適用がない場合に、実労働時間に応じた残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払う必要があるのは当然ですが、事業場外労働のみなし労働時間制を適用できたとしても、当該業務を遂行するために通常所定労働時間を超えて労働させる必要がある場合には、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」労働したものとみなされ、みなし労働時間に基づき算定された時間外労働時間に対応する残業代(時間外割増賃金)の支払が必要となります。したがって、通常は所定労働時間内に事業場外労働が終わらず、18時間を超えて労働することが必要となるケースでは、事業場外労働のみなし労働時間制を適用するだけでは残業代(割増賃金)請求対策として不十分であり、何らかの形で残業代(時間外割増賃金)を支払済みにしておく必要があります。休日・深夜に労働させれば、残業代(休日・深夜割増賃金)の支払が必要なことは、通常の場合と何ら変わりありません。
 また、最高裁は、様々な要素を総合的に考慮して「労働時間を算定し難いとき」に当たるかどうかを判断しており、「労働時間を算定し難いとき」に当たるかどうかを的確に予測することは難易度が高いといわざるを得ません。したがって、「労働時間を算定し難いとき」には当たらないとして事業場外労働のみなし労働時間制の適用が否定された場合であっても、会社が支払わなければならない残業代(割増賃金)を最小限にとどめることができる制度設計が必要となります。この点、みなし労働時間に基づき計算された残業代(時間外割増賃金)を支払済みにしておけば、万が一、事業場外労働のみなし労働時間制の適用が否定された場合であっても、使用者が追加で支払わなければならない時間外割増賃金の金額を抑制することができます。
 このような事業場外労働のみなし労働時間制の構造からすれば、営業社員からの残業代(割増賃金)請求に対するリスク管理としては、事業場外労働のみなし労働時間制の適用があるかどうかよりも、実態に適合した金額の残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)の支払がなされているかどうかの方が重要とさえいえると思います。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎


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